ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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Drp1/Fis1相互作用の抑制はALS進行遅延効果を有する
▽ALSの病態においてエネルギー産生異常と酸化的ストレスの存在が考えられていますが、これらに対する有効な治療的介入法の存在は知られていません。

▽ミトコンドリアの断片化などを伴うミトコンドリア機能異常は、Drp1の過剰活性化を介して生じることがしられています。

▽今回、研究者らはDrp1/Fis1相互作用を抑制することが、病態進行に影響を与えうるかどうかを検証しました

▽家族性ALS患者由来の線維芽細胞や、SOD1変異運動神経細胞培養モデルにおいて、ミトコンドリアの過剰な断片化と機能異常が観察されました

▽これら細胞モデルに対してDrp1/Fis1相互作用の選択的な阻害薬であるP110を投与すると、活性酸素の産生が有意に減少しました。またミトコンドリア機能と構造の改善がみられました

▽SOD1変異ALSモデルマウスにP110を投与したところ、運動機能改善と生存期間延長効果がみられました。以上の結果はP110がALSに対する治療薬候補となりうる可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Stanford UniversityのJoshiらにより報告され、平成30年1月15日付のEMBO molecular medicine誌に掲載されました)
ナノクルクミンのALSに対する安全性と有効性
▽ナノクルクミンは抗炎症作用、抗酸化作用があり、ALSに対する有効性が期待されています。今回研究者らはALSに対するリルゾール併用下ナノクルクミンの安全性、有効性についてのプラセボ対照二重盲検試験を行いました。

▽試験期間は12ヶ月で行われ、ナノクルクミン80mg群27名、プラセボ群27名の計54名の患者がエントリーしました。主要なアウトカムは人工呼吸導入ないし死亡とされました

▽12ヵ月後において、アウトカムに該当するイベントはナノクルクミン群1名、プラセボ群6名で観察されました。生存解析では有意にナノクルクミン群が良好な結果となりました。その他の尺度では有意差を認めませんでした。

▽以上の結果は、ナノクルクミンがリルゾール併用下において安全であり、予後を改善する効果を有する可能性を示唆するものであり、今後大規模な試験での検証が期待されます

(この研究は、イラン、Tehran University of Medical SciencesのAhmadiらにより報告され、平成30年1月19日付のNeurotherapeutics誌に掲載されました)
急速進行型SOD1変異ALSに対するarimoclomolの安全性と有効性
▽arimoclomolは熱ショック蛋白質の共誘導剤であり、蛋白質の適切な折り畳みを促進する物質です。今回急速進行型のSOD1変異ALSに対する臨床試験の予備的な結果が公表されました

▽試験はプラセボ対照二重盲検で行われ、arimoclomol 600mg/day投与群とプラセボ群とに無作為割付され12ヶ月間で行われました。

▽38名の患者がエントリーし、36名の患者が解析対象となりました(ITT)。副作用頻度は少なく、あっても軽度のものでした。

▽有効性については被験者数が少ないため結論付けることはできませんが、ALSFRS-RおよびFEV6はaimoclomol群でより緩徐に変化する傾向(ALSFRS-Rの変化率のプラセボとの差は0.5点/月、統計的有意差はなし)がありました。

▽今後さらに規模の大きな試験での検証が期待されます

(この研究はアメリカ、University of MiamiのBenatarらにより報告され、平成30年1月24日付のNeurology誌に公表されました)
MIFは変異SOD1蛋白質凝集体形成を阻害する
▽SOD1遺伝子変異は家族性ALSの病因となります。変異SOD1蛋白質の毒性は折り畳み異常に起因するといわれていますが、なぜ折り畳み異常SOD1蛋白質の凝集体が神経細胞内でのみ生じるのかはよくわかっていません

▽これまでに研究者らは、MIF(macrophage migration inhibitory factor:サイトカイン活性やシャペロン様機能を有する多機能蛋白質)が、異常SOD1蛋白質の凝集を抑制することを報告してきました

▽今回、研究者らは、細胞モデルにおいて、MIFの過剰発現が変異SOD1蛋白質の核内からの拡散を阻害し、毒性のあるアミロイド様SOD1凝集体形成を阻害し、無秩序な凝集体の形成を促進することをみいだしました。

▽さらにMIFは変異SOD1蛋白質と直接的な相互作用を行って、その有害性を減弱させることをみいだしました。さらに、特定の変異を有するMIFの三量体がサイトカイン機能を喪失する代わりに、強力なシャペロン機能を発揮することを発見しました。

▽以上の結果は、MIFがALSに対する治療戦略として有望な可能性を示唆するもので す

(この研究は、イスラエル、Ben-Gurion UniversityのShivilらにより報告され、平成30年1月25日付のCell death and disease誌に掲載されました)
ニューレグリン1は運動神経細胞死を減少させ、神経突起成長を促進する
▽ニューレグリン1(NRG1)は運動神経細胞と神経筋接合部に発現する神経栄養因子です。近年NRG1とその受容体であるErbB受容体がALSの病態に関与していることが報告されています

▽運動神経細胞生存とNRG1-ErbB経路の関係性はよくわかっていません。今回、研究者らは脊髄の器官型培養モデルを用いて、過剰興奮毒性に暴露し(THA付与により)、NRG1の効果を調べました

▽その結果、NRG1投与は、運動神経細胞の生存期間を有意に延長し、ミクログリアの反応性を減少させました

▽NRG1はPI3K/AKT経路の活性化により生存促進性に働き、自食経路を回復し、神経突起成長を促進しました

▽以上の結果は、ALS治療戦略として、NRG1経路の活性化が有望な可能性を示唆するものです

(この研究は、スペイン、Universitat Autònoma de BarcelonaのModol-Caballeroらにより報告され、平成30年1月9日付のFrontiers in cellular neuroscience誌に公表されました)
新規臨床試験情報(筋萎縮性側索硬化症の遺伝子解析と臨床病型について)
・国内での新規臨床試験情報です

・虎ノ門病院分院にて筋萎縮性側索硬化症の遺伝子解析と臨床病型についての臨床試験が開始されます

・治療的介入ではありませんが、遺伝子変異と臨床病型の関連性が研究されます

引用元
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000035087
ALSの神経細胞毒性に細胞内輸送機構の関与
・ALS NEWS TODAYの1月22日付記事からです

▽エンドサイトーシス(細胞が細胞外物質を取り込む機構)とよばれる細胞輸送機構がALS患者において異常を来している可能性が報告されました

▽アリゾナ大学の研究者らがNature Communications誌に公表した報告によると、エンドサイトーシスの異常により異常蛋白質凝集が生じる可能性があるとのことです。

▽ALSにおいては、運動神経細胞におけるTDP-43蛋白質の凝集体形成が主要な病態の1つですが、TDP-43蛋白質が正常機能を失うために細胞死がもたらされるのか、凝集体そのものが有害なのかなどについてはよくわかっていません。また異常蛋白質を除去する自食作用の異常についてもその可能性が報告されています

▽今回、研究者らは酵母細胞を用いた研究により、TDP-43蛋白質凝集体が、エンドサイトーシスを阻害することをみいだしました

▽エンドサイトーシスを活性化したところ、TDP-43凝集体は減少し、細胞毒性が減弱したとのことです。同時に エンドサイトーシスを阻害したところ、TDP-43蛋白質濃度が上昇しました

▽ALS動物モデルであるTDP-43変異ミバエを用いて、エンドサイトーシスを活性化したところ、病態緩和効果がみられました。

▽以上の結果はエンドサイトーシスの活性化がALSに対する新たな治療戦略として有望な可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/01/22/study-links-cell-transport-mechanism-to-nerve-cell-toxicity-in-als/
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