ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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ヒトiPS細胞由来FUS変異細胞モデルを構築
・慶應義塾大学の研究グループからの報告です

▽今回、研究者らは、FUS遺伝子のミスセンス変異(H517D)のヘテロ接合体を有するiPS細胞と、ゲノム編集技術を用いて作成したミスセンス変異(H517D)のホモ接合体を有するiPS細胞とを、家族性ALS患者より作成しました。

▽これらの細胞由来の運動神経細胞は、FUS蛋白質の細胞質への異常局在化やストレス負荷下におけるストレス顆粒生成などの神経変性疾患にみられる特徴を再現しました。

▽さらに、運動神経前駆細胞をCLIP-seq datasetsを併用して、エクソンアレイ解析を行うことにより、家族性ALSの運動神経前駆細胞における遺伝子発現やスプライシングパターンの異常が明らかになりました。

▽以上の結果は、iPS細胞由来運動神経細胞が、ヒト運動神経病の病態解明のために有用なツールであることを示唆しています。

(この研究は、慶應義塾大学、Ichiyanagiらにより報告され、平成28年3月16日付Stem Cell Reports誌に掲載されました)
引用元
http://www.cell.com/stem-cell-reports/abstract/S2213-6711(16)00062-X?_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS221367111600062X%3Fshowall%3Dtrue
モルフォリノによるSOD1発現減少がALSモデルマウスの病態を緩和する
▽変異蛋白質の蓄積による神経毒性は、神経変性疾患の病態として観察されます。SOD1蛋白質の変異は家族性ALSの原因となります

▽SOD1蛋白質は家族性ALSのみならず、孤発性ALSにおいても重要な役割を果たしていると考えられています。従ってSOD1蛋白質は治療対象として有望と考えられます。

▽今回、研究者らは、ALSモデルにおいて、SOD1発現量を減少させるように設計されたモルフォリノオリゴヌクレオチド(MOs)を用いて、神経筋機能の改善や生存期間の延長効果がみられることをみいだしました

▽モルフォリノオリゴヌクレオチド投与により、運動神経細胞数の増加と、アストログリオーシスおよびミクログリオーシスの減弱が観察されました

▽ヒト家族性ALS患者由来iPS細胞から分化誘導した運動神経細胞に対してモルフォリノオリゴヌクレオチドを用いることにより、生存期間の延長とアポトーシスマーカーの発現減少がみられました。

▽以上の結果は、モルフォリノオリゴヌクレオチドを用いた治療がALSに対して有効である可能性を示唆しており、今後の臨床試験での検証がまたれます

(この研究は、イタリア、University of MilanのNizzardoらにより報告され、平成28年2月16日付のScientific Reports誌に掲載されました)
慶応大病院にiPSコンサルテーション外来設置
・かなくんさんより御提供いただいた話題です。また今後受診される方がおられましたら、情報提供いただけますと幸いです

・「同外来ではパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など14種類の難病に関し、遺伝性の病気や幹細胞を研究する医師らが最新の研究や、将来の治療の見通しなどを情報提供する」とのことです

元記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151228-00010004-yomidr-sctch
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000001axvx-att/141224.pdf
http://cmg.med.keio.ac.jp/ips-consultation

・かなくんさん、ありがとうございました。
遺伝子治療と幹細胞治療の希望
・12月19付ALS FORUMの記事からです

▽12月11日から13日までオーランドで開催された第26回国際ALS/MND会議では800名以上の研究者らが集いました。この場で参加者らは、早急な治療法の開発の必要性について実感し、同時に新規治療法や研究の進歩を感じました。

▽特に遺伝子治療のセッションでは将来に希望の持てる内容がプレゼンされました。それはオハイオ州コロンバス小児病院のBrian Kasparの発表であり、脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療の最新の結果について公表されたものです。

▽脊髄性筋萎縮症は通常生後2年以内に致死的となる疾患ですが、Kasparらの臨床試験において、2014年春に治療を開始された小児は、現在も生存しており補助なしで起立可能であり、このような状態は未治療の脊髄性筋萎縮症患者ではなしえない状態とのことです。

▽この臨床試験は第1/2相臨床試験として行われており、アデノ随伴ウイルス9(AAV9)を用いる遺伝子治療です。脊髄性筋萎縮症は常染色体劣性遺伝形式であり、SMN1遺伝子のミスセンス変異(コードされるアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる)ないし欠損変異により生じます。

▽SMN1遺伝子は運動神経細胞の生存に関与する蛋白質をコードしています。SMN遺伝子にはSMN2遺伝子が存在します。SMN2遺伝子はSMN1遺伝子と相同性が高いですが、SMN1遺伝子と一塩基のみ異なるSMN2遺伝子は、選択的スプライシングにより主としてエクソン7を欠くSMN蛋白質を生じます。しかしSMN2遺伝子よりわずかに産生されるエクソン7を含む完全長のSMN蛋白質の存在により、SMN1遺伝子の対立遺伝子双方の変異を有する罹患患者の症状を緩和することがわかっています

▽そのため、脊髄性筋萎縮症は重症度に幅があり、その程度はSMN2遺伝子から完全長のSMN蛋白質が産生される発現量によります。SMN1遺伝子変異のキャリア(片方の対立遺伝子のみ変異を有する)においても軽度の症状を呈することがあり、IV型に分類されており、30代以降に発症します。最重症型のI型では、SMN2遺伝子から産生される完全長のSMN蛋白質がほとんどなく、幼児期に発症し重篤な経過をたどります

▽今回は研究者らはアデノ随伴ウイルスベクター9(AAV9)を用いて正常なSMN1遺伝子を運動神経細胞に導入することを目指しました。AAVはサブタイプにより異なる構造、ターゲットとする細胞を持ちます。

▽AAV9は血液脳関門を通過することが可能であり、ガラクトースの結合した細胞蛋白質に結合します。この性質により運動神経細胞とアストロサイトをターゲットにすることができます。AAV9が一旦ターゲット細胞に結合すると、運搬遺伝子は核内に挿入され、染色体外のDNAとして長期に保存されます。このことにより、原理的には一度のみの治療により、SMN蛋白質を生涯にわたり供給することが可能となります。

▽重度SMNのモデルマウスにおいては、この遺伝子治療により27週間以上の生存効果が観察され、未治療の場合には2週間前後で死亡したとのことです。

▽研究者らは今回の臨床試験において、9ヶ月齢未満の18名の幼児をエントリーしました。全員が6ヶ月齢未満で発症し、重症型の特徴を有するものでした。被検者らは正常SMN1遺伝子を運搬するAAV9の静注を1度のみ受けました。18名は3つの異なる用量に分けられました。

▽最小の用量では、3名の幼児が体重1kgあたり6.7×10の19乗個のウイルスを注入されました。最高用量では体重1kgあたり3.3×10の20乗個のウイルスが注入されました。

▽通常の経過であれば、10.5ヶ月の経過で約半数の患者が呼吸器を必要とする状態になります。このような自然経過と被検者の経過が比較される予定です。2017年6月にこの臨床試験は終了予定です。

▽現段階では、最高用量を投与された被検者はまだいません。今回の会議では、3名の最低用量の投与を受けた被検者と、7名の中間用量の投与を受けた被検者のデータが一部公表されました

▽現在までのところ、副作用はみられないとのことです。最初の患児がエントリーされた2014年4月から、今年の9月30日までの間で、死亡した被検者はなく、呼吸器が必要となった被検者もいないとのことです。

▽さらに、遺伝子治療を受ける前よりも運動は良好とのことです。さらに中間用量の投与を受けた患児は、最低用量の投与を受けた患児よりも症状改善が良好とのことです。

▽一方で、AAVを用いた治療法とは別に、残されたSMN2遺伝子の機能を活用しようとする遺伝子治療の試みがあります。SMN2遺伝子はSMN1遺伝子と99%共通した配列を有します。コーディング領域においては、単一のシトシンからチミンへの置換がエクソン7の挿入を妨げます。そこで、研究者らは、完全長のSMN2蛋白質を得るためエクソン7の欠損を防ぐ方法を考案しました。

▽チミンへの置換は、エクソン7をmRNAに保持させるのに必要な、スプライシング活性化因子への親和性を減弱させます。研究者らは、近傍に位置するスプライシング抑制因子を阻害することにより、エクソン7を保持させようと考えました。

▽そのために、研究者らはIsis製薬と共同で、スプライシング抑制因子を阻害するためのアンチセンス・オリゴヌクレオチドを設計しました。通常アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、ターゲットとするmRNAのRNase Hによる破壊を促進させます。そこで、研究者らはアンチセンス・オリゴヌクレオチドをRNase Hにより認識されないように改良しました。

▽この方法により、モデルマウスにおいて、エクソン7の挿入率を15%から80%以上に改善させることに成功し、生存期間についても10日間から平均的な8ヶ月間に延長させることに成功しました。

▽アンチセンス・オリゴヌクレオチドは通常血液脳関門を通過しないため、髄腔内投与が必要となります。さらにオリゴヌクレオチドは髄液中において4-6ヶ月の半減期で消失します。そのため、治療的に用いるためには4-6ヶ月毎に注入することが必要となります。

▽2014年にISIS社はアンチセンス・オリゴヌクレオチドであるNusinersenの第2相臨床試験を開始しました。16名の幼児を対象とした試験では、6mgの用量では人工呼吸が必要となる期間が平均16.3ヶ月であり、12mgでは13.8ヶ月でした。これらは自然経過での10.5ヶ月より長いものです。

▽また12歳以上のSMN 2型ないし3型の患児に対して行われた試験では、56名の患児に様々な用量の投与が行われました。2014年時点での報告では、投与を受けた患児らは評価尺度において1.5から3.7点の改善を示しており、良好な経過とのことです。

▽現在Isis社は第3相臨床試験へのエントリーを募集しています。7ヶ月齢未満の幼児111名と2-12歳までのより軽症型の小児117名が対象となっています。2017年には終了の予定です。

▽ALSにおいても、遺伝子治療の進展は急速なものがあります。SOD1変異家族性ALSにおいて、ヘアピンRNAをAAVにより導入し、SOD1発現を抑制することで治療的効果を期待する試みが始まっています

▽モデルマウスでの実験では、1度のAAV投与により7週間程度の生存期間延長効果が確認されています。

▽さらに、神経栄養因子を分泌するように誘導されたアストロサイトを移植する試みも進行中です。現在、18名の患者を対象とした第1/2相臨床試験が予定されており、2016年3月に開始予定となっています。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/15182
ISIS社のSOD1変異ALSに対するアンチセンス治療の臨床試験が開始
・いよいよ家族性ALSに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた臨床試験が開始になるという話題です

・12月14付Nasdaqの記事からです

▽Isis製薬は、Biogen社と共同で、アンチセンス製剤であるISIS-SOD1RxによるSOD1変異家族性ALSに対する第I/II相臨床試験を開始することをアナウンスしました

▽無作為割付プラセボ対照試験として行われる本試験は、SOD1変異家族性ALS患者を対象とした安全性、有効性を評価する試験になります。患者は脊髄液中に直接ISIS-SOD1Rxの注入を受けます

▽72名の患者を対象に、約5ヶ月間追跡される予定です。

・良好な結果が期待されます

引用元
http://www.nasdaq.com/article/isisbiogen-initiate-amyotrophic-lateral-sclerosis-study-cm554741
自家骨髄単核球移植のALSに対する有効性
第26回国際ALS/MNDシンポジウム 抄録集その3

・インドで行われた75名のALS患者に対する自家骨髄単核球の髄腔内移植の後方視的解析の報告です

▽標準的なリハビリとリルゾール投与中の75名のALS患者に対して自家骨髄単核球移植を行いました
▽生存解析を行った結果、移植群の平均生存期間は93ヶ月であり、対照群と比較して長いものでした(有意差の有無は不明)。50歳未満で発症した群は、50歳以上で発症した群よりも長い平均生存期間でした(107ヶ月対85ヶ月:有意差の有無は不明)
▽移植後にリチウム投与を受けた群は、リチウム投与を受けなかった群と比較して、統計的に有意に生存期間の延長を認めました(104ヶ月対71ヶ月)
▽非介入試験のため、結果の信頼性は低いものですが、薬剤併用の有無により予後が変化する可能性があり、今後の質の高い臨床試験での検証が期待されます

・大規模臨床試験で有効性について否定的な結果のでたリチウムが登場しています。併用療法やサブグループによっては有効な可能性もあるかもしれません。今後の検証が待たれます

引用元
http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.3109/21678421.2015.1098819
第26回国際ALS/MNDシンポジウム 抄録集その2
SOD1変異に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド治療

・Biogen社より、再生医療として期待されているアンチセンス・オリゴヌクレオチドの動物実験での報告です

▽家族性ALSの一部はSOD1遺伝子変異に起因します。変異SOD1蛋白質は毒性を獲得(gain-of-function)し、発現することにより細胞毒性を発揮します。そのため、SOD1蛋白質の発現を抑制することが治療的となりうる可能性があります

▽今回、研究者らはSOD1に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチドを開発し、SOD1変異モデルマウスにおいて検証しました

▽SOD1変異モデルマウスに対して、変異SOD1 mRNAを阻害するように設計されたアンチセンス・オリゴヌクレオチドが、生後50日目と95日目に300ug、脳室内投与されました。

▽その結果、単回投与後8週目までSOD1遺伝子のmRNA量は50%以上減少しました。治療群の生存期間は180日から246日であり、非治療群での平均174日と比較して有意な延長効果を認めました。

▽今回の結果はアンチセンス・オリゴヌクレオチドの中枢投与が安全かつ有効であることを示唆しており、今後ヒトでの臨床試験実現への弾みとなるものです

引用元
http://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.3109/21678421.2015.1098819
ヒト間葉系幹細胞移植によるALSラットモデルに対する治療的効果
▽神経変性疾患において、成長因子などを分泌するように遺伝子操作を行ったヒトの幹細胞を移植する方法が注目を集めています。

▽研究者らは、家族性ALSモデルラットにおいて、骨格筋をターゲットとして、遺伝子操作を行った幹細胞を移植することにより、治療的効果があることを示しました

▽研究者らは、ヒト間葉系幹細胞を用いて、神経保護作用を有する成長因子(グリア細胞由来神経栄養因子や血管内皮成長因子など)を分泌するように遺伝子操作し、移植することで治療的効果を検討しました

▽この幹細胞をSOD1変異ALSモデルラットに筋注したところ、神経筋接合部の神経支配の増加や、運動神経細胞の生存期間の延長効果がみられました。将来的な治療法として有望である可能性があります

・Neuralstem社やBrainstorm社の幹細胞移植についても、同様の治療戦略をとるものですが、いずれも幹細胞に栄養因子を分泌させるように分化誘導するプロセスは企業秘密であり特許で保護された領域であったと思われます。今回は学術誌にこのあたりのプロセスも含めて(両社とは異なる方法とは思われますが)公表されるようですので、今後の幅広い発展が期待されます。

(この研究は、アメリカ、University of Wisconsin-MadisonのSuzukiらにより報告され、2016年のMethods in molecular biology誌に掲載予定です)
引用元
http://www.springer.com/series/7651?detailsPage=titles
iPS細胞での研究の進展
・かなくんさん、麦酒王さんよりご提供いただいた話題です
・慶應義塾大学と順天堂大学の研究グループが、iPS細胞から運動神経細胞を分化させ、病態の再現に成功したとのニュースです。
元記事
https://newswitch.jp/p/2584
・かなくんさん、麦酒王さん、ありがとうございました

・以下管理人の独り言ですが、iPS細胞におけるALSの基礎研究の話題については、ALSの病態が細胞自律性か非細胞自律性か、その両者かということが問題になるものだと思います。iPS細胞から分化させた運動神経細胞のみでALSの病態が再現できる場合には細胞自律性の病態ということになると思われます。しかし最近の報告では、ALS患者由来のアストロサイトを健常マウスに移植することで、ALS類似の病態が再現されたとの報告があったり、Brainstorm社やNeuralstem社が行っている神経幹細胞移植についても、神経栄養因子を分泌するように分化誘導した幹細胞を移植することから、非細胞自律性の病態の存在を前提にした治療ということになるでしょうか。全ての報告が正しいとすると、現段階での理解は、ALSの病態は細胞自律性でもあり、非細胞自律性の要因も関与している、ということになるのでしょうか。よくわからないのですが、病態の主座がどこにあるのかについての答えについても、iPS細胞の研究が進展すれば、明らかになることが期待されます。今後の病態研究の進展が期待されます。
Isis製薬がアンチセンス技術を神経変性疾患に適応
・ALS FORUMの10月23日付記事からです

▽RNAをターゲットとした治療法を開発しているIsis製薬は、Roche社と共同でアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた治療を神経変性疾患への適応を目指しています。

▽最近、ハンチントン病と脊髄性筋萎縮症に対するアンチセンス製剤において進展が報告されました。ハンチントン病に対する治療薬であるISIS-HTTRxの第1相臨床試験が開始予定です

▽脊髄性筋萎縮症においても、モデルマウスでの実験において生存期間延長効果、筋萎縮抑制効果などがみられ、先月のPNAS誌に公表されました

▽ISIS製薬は、C9ORF72変異ALSにおいてもアンチセンス製剤を開発中です。今後の進展が期待されます

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15088
アメリカALS協会後援の最新の治療法についての会議開催
・ALS NEWS TODAYの10月23日付記事からです

▽アメリカALS協会が後援した会議がニューヨークで開催されました。研究者らがALSについての3つの治療分野について議論しました。アンチセンス治療、遺伝子治療、幹細胞治療の3分野です

▽アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた遺伝子治療は、対象とするRNAに結合する短鎖オリゴヌクレオチドを用いて、遺伝子発現を不活性化し、異常蛋白質生成を阻害するものです

▽このアプローチは現在、SOD1遺伝子変異とC9ORF72遺伝子変異に対する治療法として開発中です。ワシントン大学では、SOD1変異に対するアンチセンス治療を開発中であり、近日中に第1相臨床試験を開始したいとしています。

▽カリフォルニア大学ではC9ORF72遺伝子変異に対するアンチセンス治療を開発中であり、2016年にも第1相臨床試験を開始したいとしています

▽2つ目のアプローチは遺伝子治療です。Voyager Therapeutics社はSOD1遺伝子変異に対してウイルスベクターを用いた遺伝子治療を開発中です。現在前臨床段階にあります。オハイオ大学では遺伝子治療の有効性を前臨床試験段階で確認中です。ウイルスベクターを用いる治療法では、アンチセンスをコードした遺伝子を導入することもできますが、アンチセンスを用いる治療法よりも長い機能的な遺伝子を導入可能な利点があります。

▽3つ目のアプローチは幹細胞治療です。NSI-566の臨床試験を実施中のEmory大学のほか、Cedars-Sinai Hospitalでは、新たな幹細胞治療の第1相臨床試験を2016年に開始予定とのことです

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/10/23/als-promising-therapies-take-center-stage-researchers-meeting/
イタリアでの幹細胞移植の進展
・ALSに対する幹細胞移植といえば、Neuralstem社のNSI-566とBrainstorm社のNurOwnが有名ですが、イタリアでも新たな幹細胞移植の臨床試験が進行中です

▽Revert Onlus AssociationとStem Cell Foundationなどは、GMP準拠した細胞(一定の品質基準をクリアした細胞ということのようです)を用いて、ヒト臍帯血由来の幹細胞移植の有効性を検証する臨床試験を行っています。

▽2012年6月25日よりALS患者18名を対象に、安全性や薬物動態などを検証するための、第1相臨床試験が開始されました。幹細胞は患者の腰髄領域と頸髄領域に移植されます。2015年6月5日に最後の患者への移植が終了しました。

▽現在のところ、重篤な副作用は観察されておらず、合計60-80名の患者が対象となる第2相臨床試験の実施に向けて順調な経過とのことです。

引用元
http://www.alscience.it/#c388
ALS動物モデルにおけるヒト人工染色体による栄養因子発現
・鳥取大学の研究グループからの報告です

▽ヒト人工染色体(HAC)は、宿主の染色体と統合せず、宿主染色体以外の遺伝因子として細胞内にて維持されます。HACは複数の大きな導入遺伝子を運搬可能であり、細胞内で宿主の染色体と同様に活動することができます。

▽今回、研究者らは、HACを用いて、肝細胞増殖因子(HGF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様成長因子1(IGF-1)を同時に発現可能な間葉系幹細胞(HAC-MSCs)を作成しました。

▽このcell lineは安定的な移植と、充分な分析が可能です。さらに、ALSモデルマウスを用いて、HAC-MSCsを第4脳室ないし静注にて移植したところ、対照群と比較して、生存期間の延長(脳室内移植群)および発症遅延(静注群)が観察されました。

▽この効果は、HACを導入していない間葉系幹細胞においてはみられませんでした。

・今後実際の治療的応用が期待されます

(この研究は、鳥取大学のWatanabeらにより報告され、平成27年10月6日付のMolecular therapy. Nucleic acids誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/mtna/journal/v4/n10/abs/mtna201528a.html
ベラルーシでの自己間葉系幹細胞移植の話題
・ALS FORUMの掲示板でも話題になっていた論文ですが、ベラルーシでの自己間葉系幹細胞移植のALSに対する有効性についての臨床試験結果が報告されました

・ただし、abstractだけでは、ALSFRS-Rなどの記載はなく、統計的有意差があったのかどうかもわからず、小規模の試験でもあるため、掲示板でもはっきりしない扱いとなっていました。査読付論文に掲載された内容とのことで、以下abstractを要約します。間葉系幹細胞については、BrainStorm社も自己由来間葉系幹細胞を用いたもの(ただし分化誘導させる対象は異なると思われます)ですし、韓国でも同様の臨床試験についての報告があり、今後の展開が期待される再生医療領域でもあります。

▽今回研究者らは、自己間葉系幹細胞をそのまま静注ないし、神経経細胞に分化させた後、髄腔内投与する方法で、移植し、治療的効果について検討しました。10名の患者に移植され、15名の対照患者と比較されました。その結果、12ヶ月間で病態進行の遅延が観察されました。移植の安全性も確認されました。

引用元
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10517-015-3017-3
iPS細胞から機能的な筋線維の作成に成功
・ALS FORUMの記事からです

▽8月3日付のNature Biotechnology誌に発表された論文によるとHarvard Medical Schoolの研究者らが、ヒトおよびマウスのiPS細胞から収縮機能を有する骨格筋線維の作成に成功したとのことです。

▽実際に作成に成功したプロトコルを用いて、筋ジストロフィーなど疾患の研究が開始されているとのことで、今後はALSを含む様々な神経筋疾患において、患者由来のiPS細胞を用いた研究がさらに進展することが期待されます。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/14948
Kadimastem社の幹細胞治療がALSモデルラットにおいて治療的効果
・ALS FORUMの8月19日付Newsからです

▽イスラエルのバイオ企業であるKadimastem社は、ALSラットモデルにおける良好な結果をうけて、FDAと第1相臨床試験の実施に向けた臨床試験実施申請(Pre-IND)についてミーティングを行う予定です。

▽Kadimastem社の幹細胞治療は、ヒトES細胞由来のアストロサイト前駆細胞を用いるものです。

▽ALSラットモデルの髄液中に幹細胞を注入することにより、ラットの運動機能改善、発症遅延、進行遅延効果などが確認されています

▽免疫抑制剤が必要ではない治療法であるため、期待されています

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/14946
東京医科歯科大のグループが、新たな遺伝子制御可能な核酸医薬を開発
・いのべたさんよりご提供いただいた話題です

元記事
http://www.qlifepro.com/news/20150813/success-in-the-development-of-the-third-nucleic-acid-pharmaceutical-hetero-double-stranded-nucleic-acid.html

・これまで、遺伝子異常に起因した、遺伝性疾患の治療は、アンチセンス核酸を中心として開発されてきました。ALSにおいても、SOD1変異やC9ORF72変異に起因した病態に対して、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた治療戦略が積極的に研究されているところだと思われます。

・今回の記事は、こうした治療戦略に新たな一手を加えるものであり、記事によれば、細胞内への到達効率や、標的遺伝子抑制効果が従来のものよりはるかに高いことから、遺伝子治療の分野において、大きな進歩といえそうです。

・今後の治療的応用が期待されます。

・いのべたさん、ありがとうございました。
神経軸索の伸びる力を生み出す仕組みを発見
・初代管理人のalexkazuさんよりご提供いただいた話題です
・奈良先端科学技術大学院大学の稲垣教授らが、神経の再生医療への応用も期待されるメカニズムを発見しました。
・詳細は以下の記事を参照ください
http://www.naist.jp/pressrelease/detail_j/topics/2086/
・神経再生の治療法開発にとって基盤となる知見であるとされ、今後の治療的応用が期待されます。
・alexkazuさんありがとうございました。
ALS患者由来間葉系幹細胞の、DNAメチルトランスフェラーゼ抑制による機能回復
▽DNAのメチル化の変化は加齢過程とALSなど神経変性疾患の病態に関与していると考えられています。これら異常なメチル化を修復することが、疾患に対して治療的である可能性があります

▽これまでに研究者らは、ALS患者由来間葉系幹細胞では、幹細胞としての分化能が減弱し、DNAメチルトランスフェラーゼが過剰発現していることを報告しました。

▽今回、研究者らは、過剰なDNAメチルトランスフェラーゼ発現と、ALS患者由来間葉系幹細胞の機能変化との関連性を検討しました。

▽DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であるRG108をALS患者由来間葉系幹細胞に投与したところ、抗老化作用を有するTERT、VEGF、ANGなどの遺伝子発現が増加し、老化に関連するATMやp21、p16,p53などの遺伝子発現が減弱しました

▽細胞の遊走能や、酸化的損傷に対する抵抗力も、RG108で処理された間葉系幹細胞では増大しました。また神経類似細胞への分化能についても増大しました。

▽異常の結果は、ALS患者由来の間葉系幹細胞の機能が、DNAメチルトランスフェラーゼを阻害することにより、回復したことを示唆するものであり、今後の幹細胞治療において有効な治療法につながる可能性があります。

(この研究は、韓国、Chosun UniversityのOh YSらにより報告され、平成27年7月26日付のCellular and molecular neurobiology誌に掲載されました)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007/s10571-015-0242-2
カナダMcgill大学でiPS細胞を用いたALS治療法探索
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です。

元記事
https://www.mededge.jp/b/tech/14840

http://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/skin-cells-research-parkinsons-244883

▽カナダMcgill大学では、神経変性疾患の病態および治療法探索のため、患者由来iPS細胞を用いた研究を推進するようです。

▽まずは、パーキンソン病とALSから研究にとりかかるようで、患者の皮膚から採取した細胞由来のiPS細胞を用いて、ALSでは神経細胞とアストロサイトを分化誘導し、これを用いて治療薬候補を探索するようです

・国内でも同様の試みについての報告がありましたが、今後の研究成果が期待されます
・かなくんさんありがとうございました。
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