ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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ALS治療薬候補としてのActhar Gelの臨床試験
・ALS NEWS TODAYの6月20日付記事からです

▽Mallinckrodt社は同社のALS治療薬候補であるH.P.Acthar Gelの第2b相臨床試験の患者募集を開始しました。

▽H.P. Acthar GelはFDAがALS治療薬候補としてfast track指定と、orphan drug指定を与えています

▽この薬剤は高度に精製された副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を含有します。ACTHは副腎皮質ホルモンであるコルチゾールやコルチコステロン、アルドステロンを分泌を促進し、免疫系細胞に影響を与えます

▽この試験では、発症2年以内の195名のALS患者を対象に、プラセボ対照で行われ、H.P. Acthar Gel 16単位皮下注連日投与ないしプラセボに割付られ、36週間経過観察されます

▽H.P. Acthar Gelは既に多発性硬化症やサルコイドーシスなどの疾患に対する適応が承認されている薬剤です

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/20/phase-2b-clinical-trial-h-p-acthar-gel-als/
HSPB8は効率的にC9orf72遺伝子変異ALSにおける異常蛋白質凝集を除去する
▽ALSおよび前頭側頭型認知症においては、TDP-43やFUSなどの折り畳み異常蛋白質の局在化異常と凝集がみられます。

▽この原因は部分的にはこれら蛋白質固有の性質であり、同時に蛋白質品質管理システムの破綻によるものです。

C9orf72遺伝子変異ALSにおいては、開始コドン非介在性リピート関連翻訳により5種類のジペプチド繰り返し配列蛋白質が生成します。

▽これらの一部が細胞障害性を発揮すると考えられており、異常蛋白質はp62/SQSTM1およびユビキチン陽性封入体に蓄積します

▽ジペプチド繰り返し蛋白質は自食作用によって主に代謝されますが、自食作用のみでは排泄に不十分です。

▽小分子の熱ショック蛋白質であるHSPB8の過剰発現は、自食作用を介した折り畳み異常蛋白質の排泄を促進します。

▽HSPB8の過剰発現は、細胞モデルにおいて、有意にジペプチド繰り返し配列蛋白質を減少させました。HSPB8を用いた異常蛋白質減少が治療戦略として有望な可能性があります

(この研究はイタリア、Università degli Studi di MilanoのCristofaniらにより報告され、平成29年6月12日付のCell Stress Chaperones誌に掲載されました)

ALSに関連したバイオマーカーを改善する薬剤
・ScienceDailyの6月12日付記事からです

▽マラリア治療薬が家族性ALSにおけるバイオマーカーの濃度を減少させることがわかりました

▽SOD1変異ALSに対してpyrimethamineを投与したところ、用量依存性に患者の髄液中のSOD1濃度を減少させることがわかりました

▽32名のSOD1変異ALS患者を対象として行われた臨床試験において、うち24名が18週間以上にわたって追跡された結果、pyrimethamineの安全性が確認され、症例数が少なく結論がだせないものの、病態進行の遅延を示唆する結果も得られたとのことです。

▽pyrimethamineが病態進行遅延効果を有するかどうかを確認するためにはさらに大規模な試験が必要です

引用元
https://www.sciencedaily.com/releases/2017/06/170612115342.htm
ALSにおける軸索再生を促進するためのEphA4単一ドメイン抗体
・ALS RESEARCH FORUMの6月1日付記事からです

▽EphA4はALSなどの神経変性疾患において、軸索の再生を阻害する因子として注目されています

▽しかしながら、EphA4を介したシグナル経路を阻害することは簡単なことではありませんでした

▽KYLなどのペプチド抗体は短時間のうちに分解され、作用発揮することが困難でした。そこで小分子による阻害法が探索されてきました

▽近年、ベルギーの研究者らが、EphA4を阻害しうる選択性の高い単一ドメイン抗体をみいだしました

▽この単一ドメイン抗体は、アルパカやリャマの体内で生成されるもので、組織移行性に優れ、免疫原性も少なく、中枢神経への移行性も確認されています

▽この小分子はNb39およびNb53であり、EphA4受容体に結合し、軸索成長を促進します。

▽一方でカリフォルニア大学の研究者らも、EphA4受容体をターゲットにした治療法を開発中です。彼らはEphA4受容体の選択的アゴニストを開発し、受容体を介した取り込みを促進することにより、障害を受けた運動神経細胞の表面からEphA4を除去します。前臨床段階の試験が進行中です

引用元
http://www.alsresearchforum.org/emerging-epha4-nanobodies-aim-to-facilitate-axon-regrowth-in-als/
Flex Pharma社によるALSの筋痙攣治療薬候補
・ALS NEWS TODAYの6月9日付記事からです

▽Flex Pharma社はALSにおける筋痙攣や痙縮に対する治療薬候補であるFLX-787を開発中です。

▽先月開催されたアメリカ神経学会年会において、FLX-787は患者の有痛性の筋痙攣の頻度を減少させることが報告されました

▽FLX-787はTRPA1/TRPV1イオンチャネルを活性化し、脊髄運動神経の過剰興奮性を抑制することで筋痙攣を抑制すると考えられています

▽今後FLex社はアメリカで第2相臨床試験を実施予定としています

引用元
http://www.flex-pharma.com/docs/2017/05/AAN_Poster_2017_FINAL.pdf
臨床試験情報(AMX0035)
・先ごろ開始予定がアナウンスされていたAmylyx社のALS治療薬候補であるAMX0035のアメリカでの第2相試験ですが、患者募集が開始となりました

・AMX0035はフェニル酪酸とタウロウルソデオキシコール酸の合剤であり、合計132名の患者を対象に、プラセボ対照で、24週間、機能的尺度の変化などが調べられる予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03127514
新規臨床試験情報(イノシン)
・アメリカでALSに対するイノシン(イノシン投与により尿酸値を軽度上昇させる)投与の安全性に関する第2相試験が実施予定となっています

・30名を対象に、プラセボ対照で施行され、20週間、イノシン投与群ではイノシンを500-3000mg/日投与され、血中尿酸値を7-8mg/dlに維持することが目標とされます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03168711
新規臨床試験情報(ラコサミド)

・千葉大学でALSに対する新規臨床試験が開始予定です

・オープン試験で行われ30名ほどのALS患者を対象にラコサミドの安全性が確認される予定です

・ラコサミドはNaチャネル阻害作用を有する抗てんかん薬です

詳細情報
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000031479
人工知能の発見したALS治療薬候補が動物モデルで有効性確認
・ALS NEWS TODAYの5月30日付記事からです

▽シェフィールド大学の研究者らは、AI関連企業のBenevolentAI社が人工知能によりALS治療薬候補を同定したことを公表しました。名称はまだ未定とのことです。

▽この治療薬候補は酸化的ストレスに対する細胞の抵抗性を促進するものです。

▽BenevolentAI社の治療薬候補は、実験室内で運動神経細胞死を阻害し、ALS動物モデルにおいて発症遅延効果をもたらしました

▽同社はさらに研究を進め、実用化したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/30/als-therapy-that-was-proposed-by-artificial-intelligence-looks-promising/
ALSの治療ターゲットとしてのSrc/c-Abl経路
・5月25日付記事の論文です

▽研究者らは、SOD1変異家族性ALS患者より生成したiPS細胞を用いて、運動神経細胞を分化誘導し、この運動神経細胞を用いて治療薬候補をスクリーニングしました

▽薬剤スクリーニングの結果、効果を認めた薬剤の半数以上がSrc/c-Ablシグナル経路をターゲットとすることがわかりました

▽Src/c-Abl阻害薬は試験管内でiPS細胞由来の神経細胞の生存期間を延長しました。またsiRNAによるSrcないしc-Ablのノックダウンも運動神経細胞変性を防ぎました

▽治療薬候補のうちボスチニブは自食作用を促進し、変異SOD1蛋白質の折り畳み異常を減少させ、ミトコンドリア遺伝子発現の異常を減少させました

▽ボスチニブは同時に、孤発性ALS患者からのiPS細胞由来運動神経細胞やその他のTDP-43変異やC9orf72遺伝子変異家族性ALS患者由来iPS細胞から作成した運動神経細胞の生存期間を延長しました

▽ボスチニブはSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間をやや延長し、Src/c-Abl経路がALSに対する新規治療対象として有望なことを示唆しています

(この研究は、京都大学のImamuraらにより報告され、平成29年5月24日付のScience translational medicine誌に掲載されました)
発症前のAMPA受容体阻害薬はALSモデルマウスの運動神経末端におけるカルシウム増加を抑制する
▽運動神経細胞において、AMPA受容体を介した細胞内カルシウムの増加は、神経変性において重要な要因となりうると考えられています

▽研究者らは、これまでにSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、発症前におけるAMPA受容体阻害薬のtalampanelの投与が運動神経細胞におけるカルシウム濃度の増加を抑制することを報告しています

▽今回、研究者らはALSにおいて運動神経細胞変性が始まる部位である運動神経軸索末端において、talampanel投与によりカルシウム濃度がどうなるかを調べました

▽その結果、発症前からのtalampamel投与は、軸索末端でのカルシウム濃度上昇を緩和しました。一方で発症後に投与しても、緩和効果はみられませんでした

▽ALSにおいて病態変化を受けにくいとされる、動眼筋の支配神経末端においては、発症後のカルシウム濃度の上昇はみられず、talampanel投与によるカルシウム濃度の減少もみられませんでした。動眼神経においてはカルシウム濃度の変動を緩衝する作用があるとのこれまでの報告と一致します。またグルタミン受容体サブユニット2型を発現しており、AMPA受容体がカルシウムを透過しにくいことも一因と思われます

(この研究は、ハンガリー、Biological Research CentreのPataiらにより報告され、平成29年5月17日付のBiochimica et biophysica acta誌に掲載されました)
Sis1シャペロンの過剰発現はTDP-43の毒性を減弱する
▽TDP-43蛋白症を再現する酵母のALSモデルを用いた実験において、TDP-43の過剰発現は細胞形態の変化とユビキチン依存性の蛋白分解の減弱をもたらします

▽研究者らは、HSP40シャペロンの補助因子であるSis1の過剰発現がTDP-43に起因した細胞毒性を減弱されることをみいだしました

▽Sis1とTDP-43が直接的に相互作用を行っている証拠を見出すことができず、Sis1は間接的な影響によりTDP-43凝集の減弱をもたらしている可能性が示唆されました

▽哺乳類におけるSis1の相同体であるDNAJB1の過剰発現も、皮質神経細胞におけるTDP-43毒性を減弱しました。この結果は、Sis1とその相同体は、ALSにおいて神経保護作用を発揮する可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、University of NevadaのParkらにより報告され、平成29年5月22日付のPLoS Genetics誌に掲載されました)
エダラボンの長期追跡試験
・ALS NEWS TODAYの5月22日付記事からです

▽5月18日-20日にヨーロッパで開催された国際会議においてMT Pharma Americaが公表した結果によると、エダラボンの24週間投与試験を終了後の患者の追跡調査において、さらに6ヶ月間の追加投与は臨床的に有効であることを示唆する結果が得られたことを公表しました

▽この結果は、24週間で行われた第3相試験の対象患者について、オープンでさらに6ヶ月間エダラボンを追加投与した結果によるものです

▽その結果、48週の全期間を通じてエダラボンと投与された患者(28日間を1クールとし、第2クール以降最初14日間のうち10日間投与し、その後14日間は休薬のサイクル)は、最初24週間はプラセボを投与され、その後オープン期間でエダラボンを投与された患者群と比較して、有意に機能的尺度の悪化度が少なかったとのことです

▽アメリカでは5月5日にFDAがエダラボンをALSに対して承認しており、8月までには患者に投与可能となる見込みです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/22/radicava-seen-to-uphold-benefits-over-nearly-a-year-in-extension-trial/
抗癌剤がALS動物モデルに治療的な可能性
・ALS NEWS TODAYの5月24日付記事からです

▽Ben-Gurion大学の研究者らは、抗癌剤であるリツキシマブがALS動物モデルに治療的に有効な可能性を報告しました

▽リツキシマブを動物モデルに投与したところ、中枢神経における免疫細胞の正常化がみられたとのことです

▽慢性リンパ性白血病や非ホジキンリンパ腫の治療薬であるリツキシマブは、B細胞をターゲットとするモノクローナル抗体です。

▽リツキシマブの免疫系への作用により、ALSモデル動物における免疫系の異常が是正されることが期待されます

▽リツキシマブ投与によりALSモデルマウスの生存期間が延長したとのことです。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/24/als-investigational-drug-based-on-cancer-treatment-rituximab-shows-promise-researchers-say/
新規臨床試験情報(CK-2127107)
・新規臨床試験情報です。cytokinetics社がALSに対するトロポニン活性化剤であるCK-2127107の第2相試験を予定しています

・同社のトロポニン活性化剤といえば第3相試験が行われているtirasemtivが知られていますが、同じものかどうなのか、今回の情報ではわかりませんでした

・プラセボ対照で445名を対象に行われる比較的規模の大きな試験になる予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03160898
Masitinibの第3相試験結果
・ALS NEWS TODAYの5月19日付記事からです

▽フランスのAB Science社のALS治療薬候補であるmasitinibですが、ALSに対する第3相試験において、機能尺度を改善する有望な結果が得られたことが公表されました

▽この試験は394名のALS患者を対象に、48週間で行われ、リルゾール併用で、masitinib 4.5mg/kg/日投与群とmasitinib 3mg/kg投与群、プラセボ投与群にランダムに割付されました。

▽治療開始前のALSFRS-Rの変化率が1.1点/月未満の患者群を対象として解析を行った結果、masitinib 4.5mg/kg投与群は、プラセボ群と比較して、48週間でのALSFRS-Rの変化量は、3.4点有意に良好な結果となりました。その他、QOL尺度、努力性肺活量なども有意に良好な結果となりました

▽Masitinibは経口投与可能な薬剤であり、肥満細胞とマクロファージを対象に神経炎症を抑制し、有効性を発揮することが期待されている薬剤です。

▽既にヨーロッパではALSに対して条件付承認を得ており、正式な承認についてのコメントは来月にでもなされる予定です。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/19/masitinib-slows-als-progression-effective-treatment-trial-data-shows-says-ab-science/
新たな抗体であるArmanezumabがALSに有効な可能性
・ALS NEWS TODAYの5月9日付記事からです

▽研究者らは、タウ蛋白質に対して特異的に作用する抗体であるarmanezumabを開発しました

▽この抗体はアルツハイマー病や前頭側頭型認知症などタウ蛋白質の凝集が関連した神経変性疾患に対する有効性が期待されていますが、ALSにおいても髄液中タウの増加が報告されているため、治療的有効性が期待されています

▽タウに起因した病態の動物モデルにおいて、armanezumabの頭蓋内投与はタウ蛋白質を減少させることがわかっています

▽またarmanezumabは、正常なタウ蛋白質は阻害せず、病的なタウ蛋白質のみを阻害しうることがわかっており、安全性が高いことが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/09/immunotherapy-targeting-tau-protein-als-combatant/
ALSの筋痙攣に対する薬物療法の第2相試験が予定
・ALS Reserch Forumの5月8日付記事からです

▽ALSにおける筋痙攣への対処法として、ハーバード大学の研究者らは、感覚神経に分布するTRPチャネルをターゲットとして、カプサイシンなどの物質の有効性を検証する臨床試験が予定されています

▽今夏にもアメリカで第2相試験の開始が予定されています

引用元
http://www.alsresearchforum.org/a-potential-cramp-reliever-muscles-in-the-als-clinic-at-phase-2/
エダラボンがアメリカで承認
・ALS Reseach Forumの5月10日付記事からです

▽すでに当ブログでも触れましたが、5月5日にFDAがエダラボンをALS治療薬として承認しました

▽この承認は、発症初期のALS患者のみをターゲットとした小規模の臨床試験である"study 19"の結果に基づいたものとのことです

▽発症初期(診断後2年以内などの条件を満たす)のALS患者エダラボン投与により24週後のALSFRS-Rの変化量はプラセボよりも2.5点有意に少なかったことが報告されています

▽しかしながら、さらに長期間の有効性などについてはわかっていないため、日本では販売後調査が継続中です

引用元
http://www.alsresearchforum.org/fda-approves-edaravone-as-a-treatment-for-als-2/
リゾホスファチジン酸とアミトリプチリンはLPA1Rを介して血液脳関門透過性を改善する
▽血液脳関門は有害物質から中枢神経を保護する作用を有しますが、薬物の透過性を阻害する要因にもなります

▽P糖蛋白質はATP結合輸送体であり、薬物の排泄に中心的な役割を果たしています。P糖蛋白質をターゲットにすることは、中枢神経への薬物移行性を改善するために有望な戦略となります

▽今回、研究者らは、動物モデルにおいて、リゾホスファチジン酸およびアミトリプチリンが、LPA1R( lysophosphatidic acid 1 receptor)を介してP糖蛋白質の輸送活性を減弱させ、薬物の中枢神経への透過性を改善させることをみいだしました

▽ALSモデルマウスであるSOD1変異モデルマウスにおいても、 リゾホスファチジン酸およびアミトリプチリンはP糖蛋白質の活性を減弱させました

▽以上の結果は、これらの物質が、薬物の中枢神経移行性を改善させるために有用である可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、National Institute of Environmental Health SciencesのBanksらにより報告され、2017年1月のJournal of cerebral blood flow and metabolism 誌に掲載されました)
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