・ALS協会主催の定例のミーティングがアメリカ神経学会年会に併せて開催されました。既にご紹介した内容と一部重複しますが、結果の概略をご紹介します。
iPS細胞により抗てんかん薬が有効な可能性
▽ハーバード大学の研究者らは、iPS細胞を創薬に活用しています。その結果、既にFDAに認可されている抗てんかん薬であるRetigabineが、神経細胞を過剰興奮毒性から保護する作用を有する可能性があることがわかりました。
▽近年ALSにおいては、神経細胞の過剰興奮性が注目されており、特に上位運動神経細胞における過剰興奮性が注目されています。研究者らは患者皮膚より採取し、作成したiPS細胞を用いて過剰興奮性を防ぐ薬剤を探索しました。
▽その結果、iPS細胞より培養した神経細胞において、Retigabineが過剰興奮性を防ぎ、細胞生存期間を延長する効果を有することが判明しました。当初研究者らはSOD1変異を有する患者から作成したiPS細胞を用いて、研究を行っていました。しかし、SOD1変異を有さないタイプのALS患者より作成したiPS細胞においても同様の効果を有することが確認されました。
▽この結果を受けて、多施設によるRetigabineの臨床試験が予定されています
血液脳関門を通過させる薬剤運搬システム
・先日こちらのブログでもご紹介し、日本の研究でも話題になった血液脳関門を通過させる技術についての研究ですが、Lauren Science社でも同様の研究が行われています
▽神経栄養因子や、DNAを構成要素とするアンチセンス薬剤などは、血液脳関門を通過することができません。従って、これらの薬剤を中枢神経に届けるためには、直接的に中枢神経に薬剤を注入する必要があります。
▽このような直接的な中枢神経への薬剤注入は、不可能ではありませんが、侵襲性が高く、リスクを伴います。Lauren社は、薬剤を脂質をベースにした球形運搬体中に薬剤を封入し、ターゲットとする細胞に応じた修飾を表面に施すことで、血液脳関門を通過させる技術を開発しています
▽現在、ALSに対してグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)を末梢投与により中枢神経に到達させ、治療薬として実用化することを目指しています。現在はGDNFを運搬体中に封入する技術を開発中とのことです。
Tirasemtiv臨床試験続報
▽Tirasemtivは、筋肉の神経細胞からのシグナル感受性を高めることにより、治療的効果が期待されている薬剤です。最近終了した臨床試験では、ALSによる全般的な機能低下に対して有意な改善効果を示すことはできませんでした。
▽しかし、静的肺活量(SVC)については、プラセボ群と比較して、有意な進行遅延効果が確認され、一部指標については治療的効果を有する可能性が示唆されました。
▽2015年の第2四半期には、48週間の二重盲検比較試験の実施が予定されています
臨床試験迅速化のためのALS特異的なガイダンス文書作成
・ALS協会主導で、FDAへの薬剤承認申請過程を迅速化するため、ガイダンス文書を作成予定のようです。
・製薬会社のみならず、患者や療養担当者らも対象とした文書になるようで、迅速な薬剤承認に向けてのALS協会の意気込みが伺えます
引用元
http://www.alsa.org/news/archive/progress-in-drug-development.html
情報ありがとうございます。
米国ALS協会、さすがですね〜〜
まさに協会の役割を全うされていますね!
勇気づけられます。
HIDEさん、ご存知であれば教えて頂きたいのですが、
私のような日本在住の日本人でも米国ALS協会の会員になることは出来るのでしょうか。
日本ALS協会にも質問状の回答を急いでほしいものです。
そうですね。研究者たちとも連携して、一丸となってALSの治療法をみつけだそうとする姿勢がうかがえます。
ちょっと調べてみます。
日本ALS協会からの返答も、まだですね。
そろそろいただければうれしいのですが。