▽研究者らは神経細胞の軸索が、自身を分解する際に起点となる酵素を特定しました。
▽平成27年1月15日付のCell誌に掲載された研究結果によると、損傷した軸索の分解のためには、MAP(mitogen-activated protein)キナーゼ(リン酸化酵素)と呼ばれる酵素群に属する酵素が重要であることがわかりました
▽研究者らは、MAPキナーゼ経路が蛋白質分解酵素を誘導し、細胞骨格を分解させると考えています。同時に、ALSなど神経変性疾患の病態にも、これらリン酸化酵素が関与していると推測しています。
▽軸索の変性は、胎生期における神経突起の刈り込みの際や、損傷の際に、正常な過程として存在します。損傷した軸索は、新たな神経発芽により軸索を伸長させる必要があります。この修復プロセスはワーラー変性として知られており、Wlds遺伝子変異により阻害されます。
▽研究者らは、軸索変性の開始には、多くの細胞内プロセスが関与していると考えてきました。例えば、Death Receptor 6を介したアポトーシス類似経路などです。今回、研究者らは、Wlds変異に関連した経路とは異なる、ワーラー変性の新たな経路を発見しました。
▽これまでの研究により、軸索変性経路の始点と終点となる出来事はわかっていました。この経路は、受容蛋白質であり、損傷センサーともよばれている、Sarm 1蛋白質より開始されます。Sarm 1蛋白質をノックダウンすることにより、動物実験において軸索変性の遅延が観察されています
▽変性過程の終点においては、軸索が分解する直前に、ATP濃度が低下することがわかっています。このATP減少は、細胞内カルシウム濃度の増加につながり、そのことが細胞骨格を融解させるcalpain酵素を活性化すると考えられています。
▽始点と終点の間の出来事はわかっていませんでした。今回研究者らは、この点を明らかにしました。Sarm 1蛋白質は、MAPキナーゼ経路との関連性が示唆されていました。そこで研究者らは動物モデルから採取した神経細胞を用いて、MAPキナーゼに属する酵素を阻害したり、ノックダウンし軸索の様子を観察しました。
▽神経細胞の軸索に損傷を与え、観察したところ、大半は変性を起こしましたが、いくつかの軸索は生き残りました。このことは、生き残った軸索において阻害した酵素が、軸索変性過程に関与していることを示唆しています。このようにして、研究者らは、8つのMAPキナーゼ酵素ファミリーを同定しました。
▽軸索の損傷は、Sarm 1蛋白質を刺激し、さらにMAPキナーゼ経路を活性化させます。その後ATP濃度減少が起こり、カルシウム濃度が上昇し、calpainが軸索を破壊することがわかりました。
▽Wlds遺伝子の変異は、いくつかの神経変性疾患モデルマウスにおいて、保護的に作用することがわかっています。今回発見された新たな経路が、ALSなどの神経変性疾患に対する新たな治療法開発の糸口になるかもしれません
引用元
http://www.researchals.org/page/news/14285
拝読させて頂きましたが、私の理解度の問題もあって難解です〜涙
でも、すんごい研究結果なのはよくわかりました!
原文は日本語ではないですから、こうして読めて有難いです‼︎
こちらこそいつもありがとうございます。
専門用語が多く、表現の問題もあり、わかりにくい記事も多いかと思いますが、なるべく海外の皆さんと同じレベルの情報に迅速にアクセスできるようにと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。