ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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第25回国際ALS/MNDシンポジウム その3
グルタミン酸は運動神経において細胞内リン酸化TDP-43凝集を促進する

・東京女子医大 Shibataらの報告です

▽現在までにリン酸化TDP-43蛋白質(P-TDP-43)の運動神経細胞内における凝集が、孤発性ALSにおける特徴的な所見であることが判明しています。一方で、これまでの研究においてALSにおけるグルタミン酸の神経毒性の関与が提唱されています。しかしながら、グルタミン酸とp-TDP-43の関係性は不明でした

▽そこで研究グループは、グルタミン酸による刺激が、リン酸化TDP-43凝集の誘因になるかどうかを検証しました。

▽マウス由来の運動神経細胞NSC34を用いて、培養皿中での実験が行われました。運動神経細胞のマーカーである、NMDAグルタミン酸受容体とCAT(choline acetyltransferase)を発現したNSC34細胞に対して、グルタミン酸ナトリウム暴露群と、非暴露群、さらにMEK(mitogen-activated protein kinase/ extracellular signal-regulated kinase)暴露群と非暴露群とで比較をされました

▽その結果、グルタミン酸単独暴露群では、MEK単独暴露群およびグルタミン酸非暴露群と比較して、細胞質と核内においてリン酸化TDP-43の凝集が有意に増加していました。

▽MEKにより前処置した細胞においては、グルタミン酸暴露によるリン酸化TDP-43の凝集は有意に減少していました。

▽最近の研究では、アストロサイトのグルタミン酸トランスポータを抑制すると、細胞内でのリン酸化TDP-43凝集が促進するとの報告があり、リン酸化TDP-43凝集におけるグルタミン酸の関与が示唆されています。今回の結果はこれらの結果とも一致するものであり、運動神経に対するグルタミン酸刺激が、MEK経路を介してリン酸化TDP-43凝集を促進することの実験的証拠が示されました。


ALSに対するVEGFの脳室内投与の第1相臨床試験

・ベルギー Leuven大学 Van Dammeらの報告です

▽血管内皮成長因子(VEGF)はALSにおける運動神経変性に関与していると考えられており、ALS動物モデルにおいて、VEGFの脳室内投与は、病態進行を緩和する効果を有することが示されています。

▽研究グループは、ヒトALS患者に対してヒト遺伝子組み換えVEGF165の脳室内投与の安全性、忍容性などを確認する第1相臨床試験を実施しました

▽側脳室前角に挿入されたカテーテルからVEGFが注入され、最初8名に対しては0.2ug/day,0.8ug/day,2ug/dayの3つの用量で漸増試験が行われ、その後10名に対してプラセボ対照比較試験が行われました

▽試験開始3ヵ月目以降は、全患者がオープン試験にてVEGF投与を受けました。

▽18名中15名が3ヶ月間の試験を完遂しました。治療的手技は忍容性良好で、明らかな問題はありませんでした。最大用量の2ug/dayにおいて、髄液中における持続的なVEGF濃度の上昇が観察されました。

▽3ヶ月間でのALSFRS-Rの変化量は、プラセボ群で平均-0.82点、0.2ug/day群と0.8ug/day群全体で平均-0.88点、2ug/day群で-0.49点で、統計的な有意差はありませんでした。その後3年間の追加試験で重大な副作用はありませんでした

▽今回の結果は、長期間のVEGFの脳室内投与が安全で忍容性良好であることを示しています。さらに有効性を確認する第2相臨床試験が予定されています

ALSに対するNP001の第2相臨床試験の結果の事後解析

・アメリカ カルフォルニア大学 Mcgrathらの報告です

▽NP001は静注型の亜塩素酸ナトリウムであり、マクロファージの活性化を制御します。最近行われたNP001の第2相臨床試験では、136名のALS患者が対象となり、NP001の1mg/kg投与群、2mg/kg投与群、プラセボ投与群の3群が、6ヶ月間経過観察されました。

▽その結果6ヶ月間でALSFRS-Rの増悪がみられなかったサブグループ(非進行群)の存在が明らかになりました。非進行群の割合は、プラセボ群で10%、1mg/kg投与群では19%、2mg/kg投与群では27%でした

▽これらサブグループの特徴を抽出するため、血漿中の炎症マーカーが測定されました。

▽2mg/kg投与群での非進行群では、進行群と比較して、IL-18濃度がベースラインにおいて有意に上昇していました。6ヵ月後では、非進行群の大半でIL-18は減少していました。一方プラセボ群や進行群の大半ではIL-18濃度は上昇していました

▽ベースラインのLPS濃度(IL-18を誘導する役割を有する)については、NP001投与による非進行群では、大半でベースラインでLPS濃度上昇がみられ、治療とともに減少しました。一方プラセボ群ではLPS濃度は6ヵ月後に上昇しました

▽興味深いことにNP001反応群では、ベースラインでLPS濃度上昇がみられ、プラセボ投与による非進行群では、ベースラインでLPSは検知されず、この群においては進行もゆるやかでした。

▽以上の結果より、NP001に対する反応性が良好なサブグループでは、2つの血漿中炎症マーカーに特徴がみられることがわかりました。NP001反応群では、ベースラインのIL-18濃度が高く、LPSが検出されました。さらに治療によりLPS濃度は減少しました。

ALSに対するtirasemtivの有効性

・アメリカ Cytokinetics社 Andrewsらの報告です

▽tirasemtiveのALSに対する有効性を確認する第2b相臨床試験であるBENEFIT-ALSの事後解析結果です。この臨床試験の結果は、こちら(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-417.html)とこちら(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-443.html)で当ブログにて既報です。

▽tirasemtiveは骨格筋のトロポニン活性化作用を有します。第2b相臨床試験では、12週間の治療の結果、主尺度であるALSFRS-Rでは、プラセボ群との有意差がでなかったものの、tirasemtiv投与群において、静的肺活量(SVC)では有意な進行遅延がみられました。

▽tirasemtiveによるSVCの増悪遅延効果は、年齢、性別、リルゾール使用の有無に関わらず、プラセボとの有意差が観察されましたが、特に以下のサブグループにおいて、反応性が良好でした。反応性が良好であったサブグループは、女性群、非リルゾール使用群、ベースラインのSVCが中間値よりも良好である群などでした。

▽今後はさらに長期間の有効性に関する臨床試験が予定されています

RAB1は変異FUS蛋白質による小胞体ストレス、マクロオートファジー、小胞体ーゴルジ体輸送の障害を軽減する

・オーストラリア La Trobe大学のSoo KYらによる報告です

▽自食作用(オートファジー)は細胞が細胞質内の蛋白質を分解する主要なリソソーム経路です。オートファジーが誘発されると、小胞体からomegasomeが出現し、オートファゴソームの二重膜が形成されます。、

▽オートファゴソームは最終的にはリソソームと合体し、内容物が分解されます。オートファジーは凝集特性を有する蛋白質の主要な分解経路であり、ALSの病態と関与しているといわれています

▽研究者らは、これまでに、変異FUS蛋白質が、小胞体ストレスを誘発し、小胞体からゴルジ体への分泌蛋白質の輸送を阻害することを示しました。Rab1蛋白質は、小胞体ーゴルジ体輸送と、オートファゴソーム膜形成を担う主要な蛋白質です

▽今回の研究では、変異FUS蛋白質が、オートファジーを阻害するかどうか、Rab1蛋白質の過剰発現は、マクロオートファジーの障害や小胞体ストレス、小胞体ーゴルジ体輸送の阻害を軽減するかどうかが確認されました

▽その結果、変異FUS蛋白質は、オートファゴソーム形成を阻害することがわかりました。オートファゴソームによるユビキチン化蛋白質の除去についても変異FUS発現細胞においては障害されていました。

▽さらにオートファジーのマーカーであるATG9は異常局在化を示し、オメガソームの形成も阻害されていました。

▽Rab1蛋白質の過剰発現は、オートファゴソーム形成を回復し、オメガソーム形成を増加させ、小胞体ストレスを減弱させ、変異FUS蛋白による小胞体ーゴルジ体輸送の抑制を回復させました。

▽ヒト孤発性ALS運動神経細胞においては、Rab1蛋白質が封入体様の構造体を形成していることがわかっています。これは健常群にはみられませんでした。

▽今回の結果は変異FUS蛋白質は、Rab1蛋白質の抑制を通じて、マクロオートファジーを障害することを示唆するものです。Rab1の過剰発現が障害された機能の回復をもたらすことから、Rab1活性化が今後の有望な治療戦略となりうることを示唆しています。

引用元
http://informahealthcare.com/doi/pdf/10.3109/21678421.2014.960172
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