ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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第25回国際ALS/MNDシンポジウム その2
神経筋接合部をターゲットとしたアデノ随伴ウイルスベクター注入

・オーストラリア UNSW Tosoliniらの報告です

▽遺伝子治療は、障害があるシステムに対して、機能的欠損の増悪を停止したり、再構築したりすることを目的とする治療法です。

▽ALSモデル動物に対して様々なアプローチがなされてきました。例えば、栄養因子を注入したり(インスリン様成長因子など)、変異SOD1遺伝子をノックダウンするためにsiRNAを注入するなどです。

▽遺伝子治療においては、ウイルスベクターを筋注し、逆行性に運動神経に到達させることが、運動神経と骨格筋に遺伝子を注入する際に、最も侵襲性の少ない方法です。

▽Tosoliniらは、これまで、神経筋接合部領域に逆行性トレーサーを注入することで、運動神経への逆行性トレーサーの取り込み効率が有意に改善することを報告してきました。今回は実際にウイルスベクターでの結果が報告されました。

▽今回の研究では、健常マウスモデルにおいて、神経筋接合部にアデノ随伴ウイルスベクターを注入し、脊髄運動神経における遺伝子発現の増加がみられるかどうかが検討されました

▽蛍光蛋白質(tag-GFP)をコードした遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクターにより神経筋接合部に注入したところ、蛍光蛋白質が脊髄運動神経と、注入部位の骨格筋において発現していることが確認されました。蛍光蛋白質発現は、脊髄前根、後根、後根神経節において確認されました

▽今回の研究により、アデノ随伴ウイルスベクターを神経筋接合部に注入することが、逆行性に脊髄運動神経に遺伝子を注入する有効な方法であることが示されました。今後の運動神経細胞に対する遺伝子治療において、有用な手法になることが期待されます

リポソームに封入されたH-フェリチンはSOD1変異モデルマウスにおいて生存期間を延長する

・アメリカ ペンシルベニア州立大学 SNYDERらの報告です

▽鉄代謝異常とそれに伴う酸化ストレスの影響はヒトALSと動物モデルに共通した病態です。鉄貯蔵蛋白質であるH-フェリチンは鉄酸化作用を有し、鉄イオンの毒性を中和する働きをもっています。そのため、ALSにおいて治療的効果を有することが期待されています

▽大半のこれまでの治療法の欠点は、投与した薬剤が、標的臓器のみならず、全身の末梢組織で作用し、副作用につながったり、標的臓器での薬剤濃度が低下したりします。Snyderらは、この問題を解決し、標的臓器に薬剤と届けるためにリポソームによる薬剤運搬の有効性を検証しました。

▽SOD1変異ALSモデルマウスに対して、リポソームに封入した鉄欠乏フェリチンを投与し、治療的効果の有無について検証しました。

▽90日齢のモデルマウスに対し、側脳室内に薬剤が持続注入されました。リポソームの表面にリポ多糖類を発現させ、ミクログリアをターゲットとしたフェリチン封入体投与群と、リポ多糖類非標識のフェリチン封入体投与群、未投与群の3群で比較されました。

▽その結果、非標識リポソーム投与群の生存期間が平均136.5日、リポ多糖類標識リポソーム投与群の生存期間は平均128.5日、非投与群では126日でした。

▽非標識リポソーム投与群では、ミクログリアの顕著な活性化がみられました。さらに非標識リポソーム投与群では、運動神経細胞の有意な保持効果がみられました。

▽今回のリポ多糖類標識リポソーム投与で生存期間延長がみられなかった理由として、ミクログリアの過剰な活性化が考えられます。非標識リポソームでのフェリチン投与は、ミクログリアを適切に活性化したのではないかということです。

▽フェリチン封入リポソームによる治療は有効な選択肢となる可能性があります

ALSに対する自己脂肪組織由来間葉系間質細胞の髄腔内投与の安全性試験

・アメリカ Mayoクリニック Staffらの報告です

▽間葉系間質細胞はパラクリン(傍分泌)作用による中枢神経と免疫系への影響により、治療的効果が期待されています

▽Staffらは、ヒトALSに対する、自己脂肪組織由来間葉系間質細胞の髄腔内投与の用量増量試験での安全性評価を行い、中間結果を発表しました

▽発症後1-2年の15名のALS患者に対して、10万、50万、ないし100万個の間葉系間質細胞が1-2回腰椎穿刺にて髄腔内投与されました。

▽その結果、副作用は軽度で、忍容性良好でした。50万個の細胞移植を受けた大半の患者が18個/uL未満の髄液細胞増加症を呈し、1名の患者は無症候性の腰髄神経根の肥厚を呈しました。

▽患者はいずれも、通常のALSの進行速度を超えての症状増悪はなく、神経障害もみられませんでした

▽自己脂肪組織由来間葉系間質細胞の髄腔内投与は試験に用いた用量範囲内で安全であることが確認されました。今後さらに有効性に関する臨床試験が予定されています

Neuregulin阻害によるSOD1モデルマウスでの病態進行遅延効果

・アメリカ イリノイ大学のSongらの報告です

▽Neuregulin 1(NRG1)はグリア栄養因子であり、グリア細胞の成長と生存、神経細胞のシナプス形成や軸索伸長、ミクログリア活性化などを制御します。

▽Songらは、近年ヒトALS患者とSOD1変異モデルマウスの双方において、脊髄前角のミクログリアにおけるNRG1受容体が活性化していることを報告しました

▽上位運動神経徴候が優位にみられるALS患者の皮質脊髄路におけるミクログリアも活性化していることがわかっています。

▽彼らは、NRG1阻害薬であるHBD-S-H4を開発し、慢性脊髄性疼痛モデルラットに対して髄腔内投与した場合に、ミクログリア活性が減弱することをみいだしました。

▽ALS患者に対しても同様にHBD-S-H4を用いることで、ミクログリア活性が減弱し、治療的効果が得られるのではないかと考えました

▽今回はSOD1変異モデルマウスでの報告です。

▽有効性は2つの異なるモデルマウスで検証されました。1つはSOD1変異モデルマウスにHBD-S-H4遺伝子を導入し、両者が発現するようにしたモデルマウスによる検証、もう1つは、SOD1変異モデルマウスで、HBD-S-H4を9週間以上髄腔内投与し効果が検証されました。

▽HBD-S-H4遺伝子導入SOD1変異マウスでは、発症が遅延し、生存期間の延長がみられました。HBD-S-H4遺伝子発現量が多いほど、より生存期間の延長効果がみられました。SOD1モデルマウスに対するHBD-S-H4髄腔内投与では、有害作用はみられず、発症遅延と生存期間の延長効果がみられました。

▽NRG1阻害薬はALSに対する治療選択肢となる可能性があります

折り畳み異常SOD1蛋白質に対する抗体投与による生存期間延長効果

・アメリカ Biogen Idec社のMccampbellらの報告です

▽SOD1蛋白質に対して様々な親和性を有する抗体の有効性が、2種類の異なるSOD1変異モデルマウス(G93AとG37R)に対して評価されました

▽B8H10、3H1、MB591-37などの折り畳み異常を有する変異SOD1蛋白に対する特異的抗体の有効性が確認されました。発症時期を体重がピーク時の10%減少時点と定義した場合、両SOD1変異モデルマウスにおいて発症時期の有意な遅延がみられました。一方で、発症時期を症状発現時点と定義すると、G93A変異モデルマウスでのみ有意な発症時期の遅延がみられました

▽一方で、運動機能については、G93A変異モデルマウスでは有意な改善がみられず、G37R変異モデルマウスでは改善がみられました。生存期間は両モデルマウスにおいて有意に延長しました

▽今回の結果は、変異SOD1蛋白質の異常な折り畳み構造が有害作用を有するとの仮説を支持するものです。抗SOD1抗体の作用機序については、今後さらなる検証が必要です。

引用元
http://informahealthcare.com/doi/pdf/10.3109/21678421.2014.960188



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