ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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難病ALS、発症メカニズム解明…九大・慶大 (詳細)
日々不穏のみぐのすけさんの好意により転載致します。みぐのすけさん情報感謝致します。
http://www.miguchi.net/neuron/diarypro/diary.cgi?field=3

九州大と慶応大の研究チームは27日、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症メカニズムをマウス実験で解明したと発表した。
 脊髄で分解酵素の働きが低下し、神経を活性化させるアミノ酸「Dセリン」が増加、蓄積するため、筋肉の萎縮を引き起こすという。「酵素の活性を高める方法が見つかれば、治療薬の開発も期待できる」としている。研究成果は米科学アカデミー紀要(電子版)にも掲載された。
 ALSは脊髄内で筋肉を動かす運動神経が障害を受け、次第に全身の筋肉に力が入らなくなる病気。全国に約8500人の患者がいるとされる。詳しい原因は不明で、根治的な治療法も見つかっていない。
 研究チームは、遺伝子操作を受け、ALSと同じように脊髄の運動神経に障害を持つマウスで実験。脊髄内のアミノ酸の量を調べたところ、Dセリンが健康なマウスの約3倍に増え、蓄積していた。さらに、Dセリンの増加を抑える分解酵素「DAO」の働きが、通常の半分に落ちていることもわかった。
(2011年12月27日23時10分 読売新聞)

まずは実際の論文のリンク先を示します。
 D-Amino acid oxidase controls motoneuron degeneration through D-serine

D-アミノ酸酸化酵素 (DAO) は D-セリンを介して運動ニューロン変性を支配する

(背景)
 ALSの 90%は孤発性で、残りは遺伝性です。遺伝性 ALSの 20%が superoxide dismutase 1 (SOD1) 異常であり、10%が 43-kDa transactivation response DNA-binding protein (TDP-43) や fused in sarcoma/translocated in liposarcoma (FUS/TLS) 異常と関係があります。
 N-methyl-D-aspartate (NMDA) 受容体はグルタミン酸受容体の一つで、ある条件下で活性化し、様々な生理的、あるいは病的作用を発揮します。NMDA受容体の面白いところは、受容体の別の部位に「ある物質」がくっつかないと、受容体にグルタミン酸が結合できないところです。「ある物質」が今回報告された「D-セリン」です。
 「"D" って何のこと?」というのがわからないと「D-セリン」とか 「DAO」というのがしっくり来ないかもしれません。まともに論じるとややこしいのですが、簡単に言うと、アミノ酸には構造が同じでも鏡に映したように左右が反転した二つの形が存在し、それぞれ "L" とか "D" と呼びます。そして、セリンというアミノ酸の "D" 体のことを「D-セリン」と呼びます。D-セリンは、セリン・ラセマーゼという酵素の作用で L-セリンから作られ、前脳に多く存在します。そして、長期記憶に関わっているとされますが、一方でNMDA受容体を介した神経毒性に関与しているともされています。

 D-アミノ酸酸化酵素 (DAO) は D体のアミノ酸を分解する酵素です。ALSのごく一部の患者さんでは、DAOの遺伝子変異が指摘されています。
(方法)
 SOD1に G93Aという変異を入れた ALSのモデルマウス (mSOD1) を用いて、DAOの活性、D-serineの蓄積などを調べました。
(結果)
①DAO活性は、モデルマウスの網様体脊髄路のアストロサイト (星状膠細胞) において、大幅に減少していました。
②DAO活性低下の結果、D-セリンは分解が抑制され、大幅に増加しました。
③DAO活性低下の原因は、NMDA受容体/ERK経路が介在した DAO遺伝子の発現抑制によるものと思われます。
(考察)
 NMDA受容体と ERK経路についてが主体 (話が難しくなるので割愛)。
(結語)
 運動ニューロンにおける DAOと D-セリンの役割について明らかにしました。DAO活性をコントロールしたり、D-セリンを抑えたりすることが、ALSの治療につながる可能性があります。
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