ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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HSPB8は効率的にC9orf72遺伝子変異ALSにおける異常蛋白質凝集を除去する
▽ALSおよび前頭側頭型認知症においては、TDP-43やFUSなどの折り畳み異常蛋白質の局在化異常と凝集がみられます。

▽この原因は部分的にはこれら蛋白質固有の性質であり、同時に蛋白質品質管理システムの破綻によるものです。

C9orf72遺伝子変異ALSにおいては、開始コドン非介在性リピート関連翻訳により5種類のジペプチド繰り返し配列蛋白質が生成します。

▽これらの一部が細胞障害性を発揮すると考えられており、異常蛋白質はp62/SQSTM1およびユビキチン陽性封入体に蓄積します

▽ジペプチド繰り返し蛋白質は自食作用によって主に代謝されますが、自食作用のみでは排泄に不十分です。

▽小分子の熱ショック蛋白質であるHSPB8の過剰発現は、自食作用を介した折り畳み異常蛋白質の排泄を促進します。

▽HSPB8の過剰発現は、細胞モデルにおいて、有意にジペプチド繰り返し配列蛋白質を減少させました。HSPB8を用いた異常蛋白質減少が治療戦略として有望な可能性があります

(この研究はイタリア、Università degli Studi di MilanoのCristofaniらにより報告され、平成29年6月12日付のCell Stress Chaperones誌に掲載されました)

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ALSに関連したバイオマーカーを改善する薬剤
・ScienceDailyの6月12日付記事からです

▽マラリア治療薬が家族性ALSにおけるバイオマーカーの濃度を減少させることがわかりました

▽SOD1変異ALSに対してpyrimethamineを投与したところ、用量依存性に患者の髄液中のSOD1濃度を減少させることがわかりました

▽32名のSOD1変異ALS患者を対象として行われた臨床試験において、うち24名が18週間以上にわたって追跡された結果、pyrimethamineの安全性が確認され、症例数が少なく結論がだせないものの、病態進行の遅延を示唆する結果も得られたとのことです。

▽pyrimethamineが病態進行遅延効果を有するかどうかを確認するためにはさらに大規模な試験が必要です

引用元
https://www.sciencedaily.com/releases/2017/06/170612115342.htm
ALSにおける軸索再生を促進するためのEphA4単一ドメイン抗体
・ALS RESEARCH FORUMの6月1日付記事からです

▽EphA4はALSなどの神経変性疾患において、軸索の再生を阻害する因子として注目されています

▽しかしながら、EphA4を介したシグナル経路を阻害することは簡単なことではありませんでした

▽KYLなどのペプチド抗体は短時間のうちに分解され、作用発揮することが困難でした。そこで小分子による阻害法が探索されてきました

▽近年、ベルギーの研究者らが、EphA4を阻害しうる選択性の高い単一ドメイン抗体をみいだしました

▽この単一ドメイン抗体は、アルパカやリャマの体内で生成されるもので、組織移行性に優れ、免疫原性も少なく、中枢神経への移行性も確認されています

▽この小分子はNb39およびNb53であり、EphA4受容体に結合し、軸索成長を促進します。

▽一方でカリフォルニア大学の研究者らも、EphA4受容体をターゲットにした治療法を開発中です。彼らはEphA4受容体の選択的アゴニストを開発し、受容体を介した取り込みを促進することにより、障害を受けた運動神経細胞の表面からEphA4を除去します。前臨床段階の試験が進行中です

引用元
http://www.alsresearchforum.org/emerging-epha4-nanobodies-aim-to-facilitate-axon-regrowth-in-als/
ALS患者の運動中における骨格筋の酸素代謝機能不全
・ALS NEWS TODAYの6月15日付記事からです

▽最新号のNature誌に掲載された報告によると、ALS患者においては運動中において酸素代謝機能の減弱が存在することが明らかになりました

▽今回、Milano-Bicocca大学の研究者らは肺から取り込まれた酸素が、骨格筋における代謝に利用される効率を調べました。

▽酸素代謝機能とは、ミトコンドリアによる酸素利用のことを表します。骨格筋は運動の際に利用される主要な筋肉であり、骨格筋が正常に機能するためには適切な酸素代謝が必要です

▽17名のALS患者が研究に参加し、13名の健常者と比較されました。

▽運動耐性は、心肺運動負荷試験を行った際の最大酸素摂取量により測定されました。この最大酸素摂取量は骨格筋の近赤外スペクトロスコピー(NIRS)により測定されました

▽測定の結果、ALS患者では、最大酸素摂取量が健常者と比較して44%低く、骨格筋における酸素代謝も43%少ないことがわかりました。また呼吸機能障害に伴い、運動中の肺の換気量も46%少ないことがわかりました

▽以上の結果は、ALSにおいては骨格筋での酸素代謝機能の障害が生じていることを示唆しており、同時にNIRSによるALS患者の骨格筋の酸素代謝機能の測定が、ALSの病態の指標となりうる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/15/als-patients-experience-inefficient-skeletal-muscle-oxidative-function-during-exercise-study-finds/
AveXis社とREGENXBIO社がALSとRett症候群の治療法開発に向けて提携
・ALS NEWS TODAYの6月14日付記事からです

▽AveXis社とREGENXBIO社がALSとRett症候群の治療法開発に向けて提携することを公表しました。両社は既に脊髄性筋萎縮症の治療法開発において提携関係にあります

▽AveXis社は、REGENXBIO社の有する遺伝子運搬技術(アデノ随伴ウイルスを改変したNAV AAV9)を用い、遺伝性神経変性疾患の治療法開発を目指しています

▽前臨床試験段階の実験においてNAV AAV9を用いたALSモデル動物に対する治療法が有効であることを示唆する結果が得られており、今後臨床試験実施が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/14/regenxbio-and-avexis-sign-licensing-deal-to-develop-therapies-for-als-and-rett-syndrome/
Insilico社が人工知能を用いてALS治療薬候補を探索
・ALS NEWS TODAYの6月7日付記事からです

▽Insilico社は、ALS治療薬を探索するALS.AIを立ち上げました。ALS.AIでは、深層学習のアルゴリズムを用いて人工知能によりALS治療薬を探索する試みです

▽Insilico社はALS研究の支援組織であるAbove and Beyond(A&B)の支援を得て、Johns Hopkins大学内の施設を拠点に研究を促進します。

▽A&BはALS患者の遺伝子発現情報などを提供します。これらの情報を元に人工知能による薬剤探索が行われる予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/07/als-ai-artificial-intelligence-platform-discover-new-therapies-launched-insilio/
Flex Pharma社によるALSの筋痙攣治療薬候補
・ALS NEWS TODAYの6月9日付記事からです

▽Flex Pharma社はALSにおける筋痙攣や痙縮に対する治療薬候補であるFLX-787を開発中です。

▽先月開催されたアメリカ神経学会年会において、FLX-787は患者の有痛性の筋痙攣の頻度を減少させることが報告されました

▽FLX-787はTRPA1/TRPV1イオンチャネルを活性化し、脊髄運動神経の過剰興奮性を抑制することで筋痙攣を抑制すると考えられています

▽今後FLex社はアメリカで第2相臨床試験を実施予定としています

引用元
http://www.flex-pharma.com/docs/2017/05/AAN_Poster_2017_FINAL.pdf
AveXis社がSOD1変異ALSに対する遺伝子治療を開発中
・ALS RESEARCH FORUMの6月13日付記事からです

▽AveXis社はSOD1変異ALSに対する遺伝子治療の実現に一歩近づきました

▽同社は、アデノ随伴ウイルス(AAV9)を改変した運搬体を遺伝子ベクターとした遺伝子治療を開発中です

▽中枢神経と筋肉において変異SOD1遺伝子の発現を抑制することにより、治療的な有効性が期待されています。AAV9は血液脳関門の透過性が良好であり、中枢神経疾患の遺伝子治療に有用なベクターとなりえます

▽現在研究グループはC9orf72遺伝子変異ALSに対する遺伝子治療法も開発中です

・引用元
http://www.alsresearchforum.org/gene-therapy-biotech-avexis-targets-als/
臨床試験情報(AMX0035)
・先ごろ開始予定がアナウンスされていたAmylyx社のALS治療薬候補であるAMX0035のアメリカでの第2相試験ですが、患者募集が開始となりました

・AMX0035はフェニル酪酸とタウロウルソデオキシコール酸の合剤であり、合計132名の患者を対象に、プラセボ対照で、24週間、機能的尺度の変化などが調べられる予定です

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03127514
新規臨床試験情報(イノシン)
・アメリカでALSに対するイノシン(イノシン投与により尿酸値を軽度上昇させる)投与の安全性に関する第2相試験が実施予定となっています

・30名を対象に、プラセボ対照で施行され、20週間、イノシン投与群ではイノシンを500-3000mg/日投与され、血中尿酸値を7-8mg/dlに維持することが目標とされます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT03168711
新規幹細胞移植試験募集開始(GDNF)
・こちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-1134.html)にてご紹介した、Cedars-Sinai医療センターで行われる幹細胞移植の臨床試験が、募集開始となりました

・遺伝子編集技術を用いた新たな技法による臨床試験であり、結果が期待されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02943850
ALSにおける運動神経細胞死の初期の病態を解明
・ALS NEWS TODAYの6月5日付記事からです

▽研究者らは、ALSにおける運動神経細胞死の初期の分子過程を解明しました。Cell Reports誌に掲載されたロンドン大学の研究者らの報告によるものです

▽研究者らは、家族性ALSの2%を占めるVCP遺伝子変異ALS患者由来のiPS細胞と健常者由来のiPS細胞を用いて実験を行いました

▽iPS細胞から運動神経細胞やアストロサイトを分化させ、運動神経細胞死における分子機序を調べました

▽その結果、患者由来運動神経細胞においては、核内に存在すべきTDP-43蛋白質が、細胞質内に漏出し、それが運動神経細胞死の引き金となっていることがわかりました。

▽これまでもTDP-43の細胞質内への局在化異常と凝集がALS患者の95%にみられ、病態の中心をなすことはわかっていました。しかし、細胞死につながる最初期のイベントはよくわかっていませんでした。

▽今回の報告により細胞内へのTDP-43の漏出が、ミトコンドリアなどの機能不全をもたらし、細胞死につながる流れが判明しました。

▽また、健常者由来のアストロサイトは運動神経細胞に対して保護的な機能を発揮しましたが、患者由来アストロサイトは、この機能を失っていることもわかりました

▽研究者らは、今回の知見を元に、TDP-43の細胞内動態を正常化する治療法開発についても研究したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/05/als-discovery-of-molecular-trigger-of-motor-neuron-death-could-aid-in-treatment-research/
新規臨床試験情報(ラコサミド)

・千葉大学でALSに対する新規臨床試験が開始予定です

・オープン試験で行われ30名ほどのALS患者を対象にラコサミドの安全性が確認される予定です

・ラコサミドはNaチャネル阻害作用を有する抗てんかん薬です

詳細情報
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000031479
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