ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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TDP-43に関連した凝集体形成に関与するメカニズムの一部を解明
・自治医大の研究グループからの報告です

▽細胞質内での蛋白質凝集体形成はALSおよび前頭側頭型認知症の特徴的な病態の1つです。封入体の構成成分としていくつかのRNA結合蛋白質が同定されています。

▽近年、Drb1/RBM45(Developmentally-regulated RNA-binding protein 1/RNA-binding motif protein 45)が、ALSに関連した封入体の構成蛋白質であることが報告されました

▽しかしながら、細胞質内でDrb1が凝集するメカニズムはよくわかっていませんでした。研究者らは、今回、試験管内の細胞モデルを用いた実験により、TDP-43と関連する凝集体とDrb1が同時に局在化していることをみいだしました。

▽Drb1は主として、C末端に存在する古典的な核局在シグナルにより核内に局在し、核内と細胞質内を移行する蛋白質であることがわかりました。同時に、Drb1蛋白質において、二重ロイシンモチーフからなる核外搬出シグナルの存在も明らかになりました。

▽このDrb1遺伝子の核局在シグナル部位と核外搬出シグナル部位の両方に変異を有する場合に、細胞質内で凝集を起こしやすいことがわかりました。変異Drb1の凝集はTDP-43蛋白質の凝集を伴い、ミトコンドリア膜電位の減少を伴いました。

▽以上の結果は、Drb1蛋白質の核細胞質移送の障害が、有害な細胞質内封入体の形成に関与することを示唆しており、Drb1の局在異常が細胞毒性に関与することを示唆するものです。

(この研究は自治医科大学のMashikoらにより報告され、平成28年5月12日付のJournal of Biological Chemistry誌に掲載されました)
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Nanologica社とAlcyone Lifesciences社がALS治療薬開発のため提携
・ALS FORUMの5月20日付記事からです

▽特異的な薬剤運搬システムを開発している2つの会社がALS治療薬開発のため協定を結びました

▽Nanologica社は、ナノ多孔質のシリカ粒子を用いて、NLAB Slicaと呼ばれる薬剤運搬粒子を開発し、栄養因子を分泌する胎児由来幹細胞をNLAB Slicaに封入し、ALS治療薬として実用化することを目指しています

▽今回Nanologica社はAlcyone Lifesciences社と連携し、同社の有するCNSへの薬剤注入技術を用いて、薬剤の中枢神経移行性を高める技術の開発に乗り出しました

▽2社の連携により、新規薬剤の開発が促進することが期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/nanologica-and-alcyone-lifesciences-collaborate-to-develop-als-therapy/
SP110はイヌALS類似疾患における疾患修飾遺伝子として同定
・ALS FORUMの5月18日付NEWSからです

▽イヌ変性性脊髄症(DM)はイヌにおける神経変性疾患であり、ヒトALSに類似の病態を呈します

▽これまでにSOD1遺伝子変異がDMを引き起こすことがわかっていますが、驚くべきことに、変異SOD1遺伝子のホモ接合体を有するイヌにおいて、全てがDMを発症するわけではないことがわかっています。

▽5月16日付のPNAS誌において、研究者らはゲノムワイド関連解析を行い、SP110遺伝子の変異がDMの発症年齢と浸透率に影響することを報告しました。

▽SP110は白血球における遺伝子発現を制御するタンパク質複合体です。SP110の変異は血液細胞におけるSP110のアイソフォームの発現形式を変化させることがわかりました。

▽その結果、SOD1変異のホモ接合体を有するイヌでも、ALS類似の病態を発症する場合と、発症しない場合とが生じると考えられています。

▽以上の結果は、免疫系の機能異常と、ALSの病態との関連性を示唆するものであり、SP110がヒトでの病態に与える影響について明らかにされることが期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/sp110-identified-as-modifier-of-canine-als-like-disease/
AMD3100の長期投与はSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を延長する
▽ALSの病態は多様であり、治療戦略としては多因子的アプローチが必要と考えられます。CXCR4は神経細胞やグリア細胞に広く発現するケモカイン受容体です。またそのリガンドであるCXCL12は間質細胞由来因子(SDF1)として知られ、神経機能やグルタミン酸放出経路によるアポトーシス、造血幹細胞や前駆細胞の血中への遊走などの機能に関与しています。

▽CXCR4/CXCL12シグナル経路の抑制は、神経アポトーシスの阻害や造血幹細胞の遊走の変化につながると考えられます。そこで、今回研究者らはケモカイン受容体であるCXCR4阻害剤であるAMD3100投与による治療効果について調べました

▽その結果、SOD1変異ALSモデルマウスに対するAMD3100の長期投与は、生存期間の有意な延長と運動機能の改善効果をもたらしました。さらにミクログリアによる病態の改善や炎症促進性サイトカインの減少を認めました。

▽さらに、タイトジャンクション蛋白質濃度を上昇させることで、血液脳関門の透過性低下をもたらし、脊髄第X層における運動神経細胞数の増加をもたらしました

▽以上の結果は、CXCR4受容体を小分子であるAMD3100で阻害することが、ALSに対して治療的効果をもたらす可能性を示唆しており、今後の検証がまたれます

(この研究は、イスラエル、Tel Aviv UniversityのRabinovich-Nikitinらにより報告され、平成28年5月26日付のJournal of Neuroinflammation誌に掲載されました)
ALSにおける必要カロリー
・Northeast ALS Consortiumのサイトで今年3月に公表された現時点でのALSに対する栄養療法の最新のwebinarです
https://vimeo.com/157773402

▽TDEE=resting metabolic rate(体重や身長などで決まる)+TEF(食事摂取や消化などに要するカロリー、全カロリー消費量の10%程度)+EEact(日常生活の活動度による消費カロリー)

▽ALSのカロリー消費に影響を与える因子
・筋萎縮:RMRを減少させる
・四肢筋力低下:身体活動の減少によりカロリー消費が減る。食事摂取量の減少にもつながり、カロリー摂取量の低下につながる
・球症状:嚥下困難により食事時間が延長し、カロリー摂取量が減少する
・線維束収縮や痙縮、痙攣などの非機能的な運動:カロリー消費の増大につながる

▽カロリー摂取量が不足すると・・・脳のカロリー消費が最も優先されるため、体内のグリコーゲン貯蔵が減少し、脂肪が分解され、さらに筋萎縮が起こり、栄養源として用いられる(そのため不適切な栄養摂取による筋萎縮は避けなくてはならない)

▽基礎代謝を求める方法としては、Harris-Benedictの式が用いられている
・男性 [BEE=66.47+13.75W+5.0H ー 6.76A]
・女性 [BEE=655.1+9.56W+1.85H ー 4.68A]
W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(年)

▽ALSにおいて1日に必要な総カロリーを求めるには、ALSFRS-6スコアで補正する
・ここでALSFRS-6スコアとは、ALSFRS-Rの1,4,6,7,8,10aの6項目の総得点のこと(24点満点)。つまり
(1)言語
4.正常
3.軽度言語障害
2.繰り返すと理解できる
1.言語以外に伝達法を併用
0.言葉にならない
(4)書字
4.正常
3.遅く拙劣だが判読できる
2.判読出来ない文字がある
1.ペンを握れても書けない
0.ペンを握れない
(6)身支度と身体の清潔
4.障害なく正常に着る
3.努力をし遅くとも完全自立
2.時々介助あるいは工夫を要する
1.介助が必要
0.全面介助
(7)ベットでの体位変換とシーツ掛け
4.障害なくできる
3.努力を要し遅いが自立
2.やっとできる
1.開始の動作しかできない
0.なにもできない
(8)歩行
4.正常
3.すぐ歩行困難
2.介助歩行
1.歩行不能
0.意図した下肢の動きが出来ない
(10)呼吸困難
4.ない
3.歩行時にでる
2.食事・入浴・身支度一つ以上に出る
1.坐位あるいは安静臥床時に出る
0.呼吸器が必要
以上の合計点になります

▽ALS患者が1日に必要な総カロリー
=(55.96×ALSFRS-6合計点)-168+基礎代謝量(Harris-Benedictの式による) 
となります。

・具体的に体重60kg、身長170cm、60歳の男性で、ALSFRS-6が19点の場合に、1日に必要な総カロリーは
(55.96×19)-168+66.47+13.75×60+5.0×170 ー 6.76×60
=2231.11(kcal)
となります。

▽実際に臨床場面で応用する場合には、診察前24時間の食事摂取内容を記録し、そこからカロリーを計算、さらにALS患者が必要な総カロリーを計算し、実際の摂取カロリーと比べ、食事摂取量が必要カロリーに満たない場合には胃瘻造設を考慮するとのことです
ALSモデルマウスにおける治療対象としてのNADPHオキシダーゼの妥当性
▽ALSの病態にはグリオーシスや神経炎症、酸化的ストレスの関与が報告されています。今回、研究者らはNADPHオキシダーゼがALSにおける病態進展と酸化的ストレスに与える影響について調べました

▽SOD1変異ALSモデルマウスにおける、NADPHオキシダーゼの発現様式と、NADPHオキシダーゼ1および2のアイソフォーム(同じ機能を持つ酵素)の遺伝子を除去することによる影響、および薬物でNADPHオキシダーゼを阻害した場合の影響を調べました

▽その結果、NADPHオキシダーゼ2の発現量はALSモデルマウスにおいて10-60倍増加しており、その他のNADPHオキシダーゼのアイソフォームも発現増加を認めました。

▽一方でNADPHオキシダーゼ1および2の遺伝子除去は、病態進展に影響を及ぼしませんでした。NADPHオキシダーゼの多くのアイソフォームに幅広い阻害作用を有するペルフェナジンおよびチオリダジンを投与し、効果を確認しました

▽その結果、チオリダジンは有意にSOD1変異モデルマウスの脊髄における過酸化物の濃度を減少させました。一方でいずれの薬剤も生存期間の延長効果は認めませんでした

▽チオリダジンはモデルマウスにおけるミクログリアマーカーを減少させました。ペルフェナジンではそのような効果はみられませんでした。

▽チオリダジンは運動機能の改善効果をもたらしました。以上の結果は、NADPHオキシダーゼがALSにおける治療対象の候補となりうる可能性を示唆しており、今後の研究の進展が期待されます

(この研究はスイス、University of GenevaのSeredeninaらにより報告され、平成28年5月19日付の)Free radical biology and medicine誌に掲載されました)
カロリー補充食品
・アメリカALS協会のwebinarでALSにおける適切な栄養について、ALSクリニックの栄養士の講演がありました

https://alsa.webex.com/alsa/ldr.php?RCID=e6897e5d0b07a21241bebbba44dd760c

・その中で、カロリーを不足させないための、補充食品の話があり、以下のような食品が推奨されていました(アメリカでの話ですので、日本ではもっと適したものがありそうです)

・オリーブオイルを滴下する(小さじ1杯で45kcal)
・クリームチーズ、ホイップクリームを加える
・麦芽入りミルクをシェイクに加える
・アボガド、アボガドソース
・ココナッツオイルを加える
など

・さらに水分摂取を制限することがないようにし、ネクターやスムージー、クリームスープや飲むヨーグルトなど様々な手段で水分を摂取するように推奨されていました

・また食事摂取に連続で長時間かけて疲労することがないように、こまめに食事をわけて摂取する方法などが紹介されていました

・その他アメリカALS協会のサイトにおいて高カロリーで嚥下しやすいレシピが紹介されています。
http://www.alsa.org/als-care/resources/publications-videos/factsheets/recipes.html

かなり詳細に各レシピが掲載されていますが、翻訳については今回は割愛します

またALSにおいて避けたほうがよい食品の例が記載してありました
・非常にスパイシーないし辛いないしすっぱい食品
・焼きたてのやわらかいパン
・クッキー、クラッカー、ドライシリアル、グラハムクラッカー
•ドライマフィン、ケーキ、ベーグル
•乾燥した、もしくは繊維状の、または骨の多い肉や魚
•ココナッツ、パイナップル
•粘度の高い食品(例えば、ピーナッツバター)
•繊維質の野菜(例えば、レタス、セロリ)
•揚げた麺や米飯
•ポップコーン、ポテトチップス、ナッツ
•皮または種子のある果物と野菜(例えば、エンドウ豆、トウモロコシ、リンゴ、ベリー)
•ピザ
など
CSF1受容体遮断はミクログリオーシス減少によりALS進展遅延効果を有する
▽研究者らは、ミクログリアの活性化などに関与するCSF1受容体経路が、ALSにおける炎症に与える影響を調べました。その結果、SOD1変異ALSモデルマウスの脊髄におけるミクログリアの増殖は、CSF1受容体とCSF1の発現量と関連していることがわかりました。

▽選択的なCSF1受容体阻害薬であるGW2580の投与はモデルマウスにおけるミクログリア増殖を抑制しました。さらに、病態進展遅延効果や運動神経細胞死の抑制作用を認めました。

▽さらにGW2580投与は末梢神経におけるマクロファージ浸潤の減少を認めました。このことは部分的に、CSF1受容体阻害による単球減少作用に起因するものと思われました。

▽以上の結果は、CSF1受容体経路はALSにおける中枢神経および末梢神経炎症に関与しており、CSF1受容体遮断がALSに対する治療戦略として有望な可能性があることを示唆しています

(この研究はスペイン、Universitat Autònoma de BarcelonaのMartinez-Murianaらにより報告され、平成28年5月13日付のScientific Reports誌に掲載されました)
ALSにおいてIGF-2が神経保護的に作用するかもしれない
▽ALSにおいては、理由は不明ながら、眼球運動を制御する動眼神経核の運動神経は保持されやすいことがしられています。

▽研究者らはALSの動眼神経においてIGF-2(insulin-like growth factor 2)が保持されており、そのことが動眼神経を保護している可能性をみいだしました

▽さらに動眼神経および外眼筋終板においては、IGF-1受容体(IGF-1R)が高濃度に発現していることをみいだしました。IGF-2はAktリン酸化、グリコーゲン合成キナーゼ3βリン酸化などの経路を活性化し、神経保護的に作用する可能性があります。

▽さらに、アデノ随伴ウイルスベクター9(AAV9)を用いてSOD1変異ALSモデルマウスにIGF-2遺伝子を導入し発現させたところ、生存期間が10%延長し、運動神経保護作用がみられました

▽以上の結果は、動眼神経特異的な遺伝子発現を調べることにより、運動神経に保護的な作用を同定することができる可能性を示唆するものであり、今後の進展が期待されます

(この研究はスウェーデン、カロリンスカ研究所のAllodiらにより報告され、平成28年5月16日付のScientific Reports誌に掲載されました)
VM Biopharma社の遺伝子治療薬がFDAによりfast track指定
・ALS NEWS TODAYの5月18日付記事からです

▽FDAはVM Biopharma社のALS治療薬候補であるVM202に対してFast Track指定を行いました。VM202は現在第1/2相臨床試験を実施中であり、今年中に結果を公表したいとしています

▽Fast Track指定を受けることにより、承認過程の迅速化が期待できます。VM202はHGFをコードするプラスミドDNAであり、神経栄養因子として神経保護作用を発揮し、治療的効果が期待されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/05/18/vm-biopharma-announces-fda-fast-track-designation-granted-for-investigational-gene-therapy-vm202-for-patients-with-amyotrophic-lateral-sclerosis-als
東北大学HGF治験詳細情報
・臨床試験登録データベースであるUMIN-CTRにエントリー基準などの詳細情報が掲載されています
以下御参照ください
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000025102

・なお問い合わせについては、ALS患者さんまたはご家族等については、”必ず主治医の先生を通してFAXでのお問い合わせをお願いします”とのことですので御注意ください
専用FAX番号:022-728-3455
専用FAX問合せ用紙ダウンロード先:http://www.neurol.med.tohoku.ac.jp/
SOD1変異ALSモデルマウスにおける鉄キレート剤の有効性
▽孤発性ALSおよび家族性ALSにおいて中枢神経における鉄濃度の上昇が報告されています。鉄キレート剤はALSモデルマウスにおいて治療的効果を有することが示されています

▽研究者らは、血液脳関門の透過性が良好で、毒性がなく、多機能の鉄キレート剤を開発しました。そのような化合物の1つであるVAR10303と高カロリー食を併用し、発症後のSOD1変異ALSモデルマウスに投与したところ、運動機能の改善と生存期間の延長効果がみられました

▽投与後のモデルマウスでは、中枢神経において神経栄養因子の増加やBcl-2の発現増加などがみられました。

▽以上の結果は、鉄キレート剤と高カロリー食の併用がモデルマウスにおいて神経保護作用を発揮したことを示唆しており、今後の治療法開発につながる可能性があります

(この研究はイスラエル、 Technion-Israel Institute of TechnologyのGolko-Perezらにより報告され、平成28年5月13日付のJournal of Molecuiar Neuroscience誌に掲載されました)
東北大学と大阪大学でHGFの第2相試験開始
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です。

・以下の東北大学のプレスリリースにありますように、東北大学と大阪大学が共同でHGFの第2相臨床試験が開始されるとのことです。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/05/press20160513-02.html

・合計48名が対象となる予定とのことで、良好な結果が期待されます

・かなくんさんありがとうございました
Genervon社GM604がヨーロッパでOrphan drugの指定を受ける可能性
・Genervon社5月3日付Press Releaseからです

(かなくんさんより情報提供をいただき、元記事の日本版Compassionate Useおよび患者申出療養制度について、誤りがありましたので5月13日付で修正および追記いたしました。かなくんさんありがとうございました)
・具体的な実施時期については未定のようですが、第3相臨床試験の実施についての言及があります。FDAから早期承認がなくとも、第3相臨床試験開始と同時に日本版Compassionate Useの申請対象になるものと思われます(実際に認可されるかどうかは別として)。
→修正後:日本版Compassionate Useについては国内治験が対象となるものでした。従って、GM604については、海外での第3相臨床試験開始段階では、患者申出療養制度による申請対象となります

・またFDAから早期承認された場合については、海外承認、国内未承認薬として、患者申出療養制度の申請対象となるものと思われます。(5月13日追記:早期承認されていない現段階でもGM604については患者申出療養制度の申請対象となりえます)

▽GM604に対してヨーロッパでのOrphan Drugの委員会において、肯定的な意見が得られており、今後EUにおいてGM604がOrphan Drugの指定を受けることができる可能性があります

▽GM604は既にFDAより2014年にOrphan Drugの指定を受けており、EUにおいても指定される可能性があり、指定された場合、今後EU諸国のALS患者にCompassionate UseやTemporary Authorization for Use(ATU)などによるGM604使用への道が拓ける可能性があります。

▽Genervon社は第3相臨床試験の実施を計画していますが、それよりも早く薬剤を届けるため、より早期に有効性と安全性を示す道がないか模索しているところです。

引用元
http://www.genervon.com/genervon/PR20160503.php
アストロサイトは血液脳関門内皮細胞のP糖蛋白質発現を促進する
・2014年11月21日付のこちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-452.html)において、リルゾールの排泄を促進し、薬剤の効果を減弱させている可能性が指摘されたP糖蛋白質ですが、今回新たな知見が報告されました

▽血液脳関門は薬剤透過性が低いことから、薬剤が中枢神経で作用を発揮することが困難なことが多いです。最近、ALS患者およびSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄において、薬剤排泄トランスポータであるABCB1もしくはP糖蛋白質の組織特異的かつ選択的な発現亢進がみられることが報告されました。

▽今回、研究者らは、SOD1変異モデルマウスを用いてP糖蛋白質の発現について精査しました。その結果、P糖蛋白質の発現亢進は、毛細血管内皮細胞に限局しており、アストロサイトやオリゴデンドロサイト、神経細胞にはみられないことがわかりました

▽血液脳関門のモデルを用いて調べたところ、SOD1変異を有するアストロサイトが内皮細胞においてP糖蛋白質の発現亢進をもたらしていることがわかりました。さらにヒトおよび動物の血液脳関門モデルにおいて、SOD1変異を有するアストロサイトに暴露された内皮細胞では、活性酸素の増加、NF-κB活性化などが観察されました。

▽FUS変異を有するアストロサイトにおいても、同様にNF-κB依存性のP糖蛋白質発現亢進が観察されました。この発現亢進は、酸化的ストレスが誘因となるものではなく、TNF-α放出と関連しているようでした。

▽以上の結果は、SOD1変異もしくはFUS変異ALSにおいて、血液脳関門の内皮細胞におけるP糖蛋白質発現亢進は、NF-κBと関連していることを示唆しており、今後の研究により薬効の改善につながることが期待されます。

(この研究はアメリカ、Jefferson Weinberg ALS CenterのQosaらにより報告され、平成28年5月9日付のGlia誌に掲載されました)
糖尿病性神経障害とALSにおけるインスリン様成長因子1(IGF-1)
・過去にALSに対するIGF-1の有効性に関する第3相臨床試験で望ましい結果が得られなかったことへの考察がなされています

▽IGF-1は多能性を有する成長因子であり、末梢神経および中枢神経において多様な機能を有します。IGF-1は神経生存や軸索成長を助け、髄鞘化を担うシュワン細胞やオリゴデンドログリアにも作用します。

▽IGF-1の生物学的機能は、IGF結合蛋白質(IGFBPs)によって変化します

▽IGF-1の発現とIGF-1受容体(IGF-1R)発現が、糖尿病やALSなどの疾患において減少していることが報告されています。また糖尿病神経障害患者において、IGF-1の結合阻害作用を有するIGFBP5が神経において増加していることが報告されています

▽研究者らは、運動神経細胞と感覚神経線維においてIGFBP5の発現増加を伴う遺伝子組換えマウスを用いて、病態に与える影響を調べました。

▽これらのマウスは糖尿病性神経障害にみられるのと同様な運動神経軸索変性と感覚障害を呈しました。

▽同時に、運動神経軸索変性は運動神経局限的にIGF-1Rがノックアウトされたモデルマウスにおいても観察されました。このことは、運動神経細胞におけるIGF-1の作用が減弱することが、運動神経軸索変性につながることを示唆しています

▽ALSの臨床試験において、IGF-1の治療的有効性が示されなかった原因として、IGFBP5の発現亢進が関与していた可能性が考えられます

▽IGFBP5によるIGF-1の作用減弱効果を阻害することにより、IGF-1投与による治療的効果が期待できる可能性があり、今後の検証がまたれます

(この研究はドイツ、University Hospital WürzburgのRauskolbらにより報告され、平成28年4月30日付のNeurobiology of disease誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969996116300894
既承認の薬剤で臨床試験が実施ないし予定されているもの
・ホームページ掲載用に、ざっと過去記事を眺めてみて、既に別に疾患に対して保険承認されており、ALSに対する治療的効果が期待され、臨床試験が実施ないし予定されている薬剤についてまとめてみました

・タウロウルソデオキシコール酸(肝疾患治療薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-554.html

・メキシレチン(抗不整脈薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-647.html

・ibudilast(脳梗塞後遺症)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-991.html

・ピモジド(抗精神病薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-836.html

・Cu-ATSM(PET用低酸素診断薬剤)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-915.html

・rasagiline(パーキンソン病治療薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-981.html

・Fingolimod(多発性硬化症治療薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-968.html

・pyrimethamine(抗マラリア薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-967.html

・抗レトロウイルス剤
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-942.html

・ブロモクリプチン(パーキンソン病治療薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-925.html

・acthar(ACTH)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-909.html

・ezogabine(retigabine)(抗てんかん薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-681.html

・flecainide(抗不整脈薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-907.html

・Tocilizumab(関節リウマチ治療薬)
http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-906.html

・その他前臨床段階ですが、ビクトーザ、メラトニン、4-アミノピリジン、Bexarotene、hexachlorphene、グアナベンズなども注目されています
・質の高い臨床試験によって、これらの薬剤の有効性が確認され、臨床適応されることが期待されます
HALについて
・かなくんさんより御提供いただいた情報なのですが、先日日テレで紹介された番組は残念ながらリンク切れとなっていました。情報提供ありがとうございました。
・ロボットスーツのHALを開発したCYBERDYNE社のホームページにて、ALSに対して保険承認されたHALを実際に使用する場合の自己負担額などについて記載されています。以下のページです
http://www.cyberdyne.jp/company/PressReleases_detail.html?id=4223
・所得により自己負担額が決まるようですが、最大でも月額3万円とのことです。
ALSの病態に異常蛋白質凝集の拡散が関与しているかもしれない
▽研究者らはモデルマウスを用いた実験により、変異SOD1蛋白質がドミノのように拡散し、神経細胞死をもたらすことを報告しました

▽ヒト変異SOD1を導入したALSモデルマウスにおいては、2種類の異なる変異SOD1蛋白質の凝集体が確認されています。今回、研究者らは、ヒトSOD1組換えモデルマウス(変異SOD1ではない)の腰髄領域に変異SOD1蛋白質凝集体を注入し、病態の変化を観察しました。

▽その結果、変異SOD1蛋白質を注入したモデルマウスでは、ALS類似の症状を呈し、注入していないモデルマウスと比較して、生存期間が200日も短かかったとのことです。

▽SOD1蛋白質凝集体は、指数関数的に脊髄の吻側に拡大しました。また病態進展の速度などは注入した凝集体の種類によって異なりました。

▽以上の結果は、変異SOD1蛋白質凝集体はプリオン類似の様式で拡散することを示唆しており、今後の病態解明や治療法開発の手がかりとなるものです。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/05/05/6085/
小型化した顕微鏡により生体内のアストロサイト活動の可視化に成功
・ALS NEWS TODAYの5月2日付記事からです

▽研究者らは小型化した顕微鏡を用いて、運動するマウスの脊髄においてアストロサイトの可視化に成功しました。この技術により、病態解明や新規治療法開発に寄与することが期待されています

▽約十年ほど前までは、アストロサイトなどのグリア細胞は、神経細胞の栄養を補助し、構造を支持する受動的な役割を果たすサポート役と考えられてきました。しかし近年、アストロサイトなどグリア細胞は、gliotransmissionとよばれる活動を通じて、能動的に因子を放出し、神経伝達を制御していることがわかってきました。

▽最新号のNature Communications誌に報告された研究において、Salk Instituteの研究者らは、活動下のマウスにおいてアストロサイトの活動を観察することに成功しました。

▽研究者らは、蛍光イメージングの技法を用い、小型の2光子およびシングルフォトン顕微鏡を開発しました。末梢からの感覚刺激時の脊髄後角神経やアストロサイトにおけるカルシウム動態などを観察しました。

▽その結果、脊髄後角神経では、刺激の強度やタイプに応じて単一細胞レベルの神経活動で、個別にシグナル化されるのに対して、アストロサイトは弱い刺激では反応せず、強い刺激下において、広範囲に協調したカルシウム応答を示すことが明らかになりました。

▽以上の観察技術により、今後ALSなどの病態におけるグリア細胞の動態異常について、新たな知見が得られ、病態理解の促進や、新たな治療法開発に寄与することが期待されます。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/05/02/astrocytes-part-of-spinal-cord-nerve-signalling-a-finding-with-als-drug-development-implications/
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