ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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軸索ガイダンス蛋白質のSemaphorin 3AがALSの運動野にて増加
▽ALSの病態の一部として軸索変性と、軸索の変性と再生機構の異常が存在する証拠が集まりつつあります。

▽Semaphorin 3Aは軸索ガイダンス蛋白質であり、軸索の伸長を阻害し、軸索再生を阻害する役割を有しています。

▽ALSモデルマウスにおいては、Semaphorin 3Aの増加が報告されており、運動神経変性に関与している可能性があります

▽今回、研究者らは、ヒトALS患者と対照群の運動野と脊髄組織におけるSemaphorin 3Aの発現量を調べました。

▽その結果、ALS患者の運動神経細胞においてSemaphorin 3Aの発現亢進を認め、軸索変性と再生の破綻に関与している可能性が示唆されました。

▽従って、Semaphorin 3Aの発現や機能を阻害することが将来的にALSの治療法として有用な可能性があります

(この研究は、ドイツ、Hannover Medical SchoolのKoernerらにより報告され、平成28年2月25日付Journal of neuropathology and experimental neurology誌に掲載されました)
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ALSでは末梢の単核球機能の変化と中枢神経への浸潤がみられる
▽ALSの共通した病態として中枢神経における神経炎症所見があげられます。しかしながら、運動神経変性において、末梢での免疫系の役割や中枢神経系固有の免疫系との相互作用はよくわかっていません

▽今回、研究者らはALSにおける末梢単核球の病態に果たす役割について調べました。

▽その結果、ALSにおいては、末梢血中の単核球が、その構成要素、機能、遺伝子発現において異常を来していることがわかりました。

▽さらに、ALSモデルマウスにおいて、末梢単核球の中枢神経への浸潤が、運動神経細胞の生存期間の延長と関連することが明らかになりました

▽さらに、ヒト免疫グロブリンないし、ヒトFcフラグメント抗体断片(Fabフラグメントではなく)を含む抗体注入により、末梢単核球の中枢神経浸潤が増加し、発症遅延効果がみられました

▽以上の結果は、ALSの病態における末梢単核球機能の果たす役割の重要性を示唆するものであり、ヒト免疫グロブリンによる末梢単核球機能の増強が、ALSに対して治療的となる可能性を示唆するものです

(この研究は、ドイツ、Ulm UniversityのZondlerらにより報告され、平成28年2月24日付のActa Neuropathologica誌に掲載されました)
メキシレチンの第2相臨床試験結果
▽孤発性ALSに対するメキシレチンの安全性と忍容性についての第2相無作為割付二重盲検比較試験の結果です

▽60名のALS患者がプラセボ、メキシレチン300mg、メキシレチン900mgに割り付けられ12週間投与されました。

▽メキシレチン900mg投与群では32%の患者が副作用などの理由で投薬中断し、プラセボ群では中断は5%であり、有意差がありました。

▽ALSFRS-Rおよび静的肺活量の変化率は投薬群とプラセボ群とで有意差はありませんでした。

▽筋痙攣の頻度については、300mg投与群ではプラセボ群の31%、900mg投与群ではプラセボ群の16%まで減少し、いずれもプラセボ群と有意差を認めました。また筋痙攣の強度についても300mg投与群はプラセボ群の45%、900mg投与群はプラセボ群の25%まで減少し、いずれもプラセボ群との有意差を認めました

▽メキシレチン300mgは忍容性良好でしたが、900mgでは副作用頻度が高く、中断率の高さにつながりました。また用量依存性に筋痙攣の頻度と、重症度が減少しました。

▽ALSの病態進行について有意な効果はみられませんでしたが、サンプルサイズが小さいことと、試験期間が短いことが関係しているかもしれません

引用元
http://www.neurology.org/content/early/2016/02/24/WNL.0000000000002507.short
ALSに対するブロモクリプチンの第2a相臨床試験
・日本で行われたブロモクリプチンの臨床試験結果が報告されました

▽ブロモクリプチンはドパミンD2受容体アゴニストであり(産後の乳汁分泌抑制やパーキンソン症候群などに対して保険適応のある薬剤です)、神経保護作用があるといわれており、ALSモデルマウスにおいて病態進行遅延効果が報告されています。

▽今回多施設でのリルゾール併用下無作為割付二重盲検プラセボ対照比較試験が行われました。

▽合計36名のALS患者が解析対象となり、12週間の観察期間を経て、リルゾール+ブロモクリプチン群(29名)、リルゾール+プラセボ群(7名)に無作為に割付されました。

▽観察期間後は、1.25mg/dayよりブロモクリプチン投与開始され、2週間毎に漸増され、14週後に最大15mg/dayまで増量されました。14週以降はさらに40-72週間、15mg/dayにて経過観察されました。

▽投与14週後の結果を用いた解析では、ブロモクリプチン投与群は、ALSAQ40のコミュニケーション尺度および摂食と飲水尺度の変化量において、有意水準5%でプラセボ群と比較して統計的に有意な効果を認めました。さらにALSFRS-Rや握力などにおいても良好な傾向を認めました。

▽副作用については、プラセボとの有意差はありませんでした。

▽症例数が少ないため、今後さらに大規模な臨床試験での有効性に関する検証が期待されます。

(discussionにもありましたが、同じくD2アゴニストのDexpramipexoleは第3相臨床試験でnegativeな結果となっています。ブロモクリプチンは抗酸化作用なども期待できる点でDexpramipexoleとは異なる結果になるのではと考察されています)

引用元
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0149509
MediciNova社のMN-166の臨床試験結果の公表について
・ALS NEWS TODAYの2月24日付記事からです。少し先の話になります

▽現在60名のALS患者を対象に、第1b/2a相臨床試験が行われているMN-166(ibudilast)ですが、4月15日-21日まで開催されるアメリカ神経学会において、臨床試験のデータが公表されることが明らかになりました。良好な結果が期待されます。

▽MN-166は日本では商品名ケタスとして、脳梗塞後遺症に保険適応のある薬剤であり、神経保護作用によりALSに対する治療的効果が期待されています。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/02/24/medicinova-announces-mn-166-ibudilast-als-abstract-accepted-for-dual-presentation-at-the-american-academy-of-neurology-aan-68th-annual-meeting-in-vancouver-canada/
ソマトスタチン陽性介在神経の過活動が神経変性疾患の興奮毒性につながる
▽研究者らはTDP-43変異モデルマウスを用いて、大脳皮質神経細胞について調べました。

▽その結果、ソマトスタチン陽性介在神経の過活動が、第5層の錐体細胞の脱抑制をもたらし、その過剰興奮毒性につながることがわかりました。

▽局所的にソマトスタチン陽性介在神経を除去することにより、錐体細胞の興奮性は正常化し、神経変性が緩和しました。

▽以上の結果は、ソマトスタチン陽性介在神経の過剰興奮性を抑制することが、ALSや前頭側頭型認知症に対して、治療的に有用である可能性を示唆するものでs。

(この研究は、アメリカ、National Institutes of HealthのZhangらにより報告され、平成28年2月22日付のNature Neuroscience誌に掲載されました)
http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.4257.html
Deanna Protocolについて
・昨日の記事で御紹介したDeanna Protocolについてです

・ALS NEWS TODAYの記事からの引用ですが、現段階でヒトALSに対して、病態改善効果があるかどうかについて、科学的根拠のある結論はありません。

・Simplesa社のサイト(http://www.simplesanutrition.com/blog/deanna-protocol-multipack-overview/)に出ていたDeanna Protocolの成分ですが、アルギニンサプリメント、α-ケトグルタル酸、カプリル酸、 L-5-ヒドロキシトリプトファン 、リポソーム・ グルタチオンなどから構成されるサプリメントのようです。

・いずれも、単品でサプリメントとして流通している商品のようです。ALSに対して有用とも有害ともつかない成分になりますので、このサイトでは使用は推奨しません(自己責任となります)

・コストも1か月分で数万円とかなり高価なもののようです。ALS NEWS TODAYの記事ということで、引用しましたが、運営組織も営利的側面がありますので、商業的な意味合いの強い記事だったのかもしれません。

・ただし、Deanna Protocolについては、動物実験レベルでは、複数の査読付雑誌に論文が掲載されており、それなりにきちんと検証されているようです。あとはヒトでの臨床試験が期待されます
Simplesa社がALS患者用のサプリメントの販売を拡大
・2月18日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽Simplesa社はDP diet(Deanna Protocol)とよばれるサプリメントを発売しています。今回Deanna Protocol Bundle Packとして販売を拡大することになりました。

▽Deanna Protocolは、娘がALS患者であるVincent Tendone医師により開発された天然のサプリメントです。DP dietはALS患者のQOLを改善すると言われています

▽また非営利団体によって行われた動物実験において、DP dietは病態進行遅延効果、生存期間延長効果、TCAサイクルの中間産物の増加作用などが確認されています。

▽ミトコンドリアにおけるATP産生を改善し、このことにより運動機能と進行遅延効果が見られたのではないかと考察されています。

▽今回、Simplesa社はより低コストなDP dietの選択肢を拡大し、提供することとなりました。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/02/18/simplesa-has-expanded-its-choices-for-deanna-protocol-for-als-patients/
Neuregulin 1はSOD1変異ALSモデルマウスにおいて神経保護作用をもたらす
・理研などの研究グループからの報告です

▽ALSにおいては、介在ニューロンやグリア細胞などによる非細胞自律性の神経変性機構の関与が注目されています。

▽ヒトALSやSOD1変異ALSモデルマウスにおいては、運動神経からCボタンと呼ばれる、脊髄α運動神経の興奮性を調節するコリン作動性シナプスの減少が報告されています。

▽Neuregulin-1は神経成長やシナプス可塑性などに関与する栄養因子ですが、Cボタンのシナプスに局在化していることが報告されています。しかし、NRG1の運動神経の機能維持における役割や運動神経病における変化などはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは、ALSモデルマウスとヒトALS患者においてNRG1の役割を調べました。その結果、モデルマウスとヒトALS患者において、NRG1はCボタンのシナプス後膜面に局在化していることがわかりました

▽SOD1変異モデルマウスにおいては、NRG1の喪失とCボタンの喪失はほぼ同時進行していました。さらにNRG1の受容体であるErbB3とErbB4は運動神経細胞において減少していました

▽さらにウイルスベクターによりIII型NRG1を脊髄中に導入することによりALSモデルマウスの生存期間延長が確認されました。

▽以上の結果は、NRG1補給によるNRG1-ErbB4/3系の維持が、脊髄運動神経におけるCボタンの保持作用により、運動神経保護作用を発揮することを示唆するものです

(この研究は理研、Lasieneらにより報告され、平成28年2月18日付のActa Neuropathologica Communications誌に掲載されました)
AAVによる人工マイクロRNAの注入がALSモデルマウスの生存期間を延長
▽家族性ALSの20%がSOD1遺伝子変異に起因するといわれています。これまでSOD1変異モデルマウスにおける実験において、変異SOD1蛋白質の発現量を減少させることが、治療的に有効であることが報告されてきました。

▽今回、研究者らはALSモデルマウスにおいて効率的なアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いたマイクロRNA遺伝子注入による治療法を開発しました。

▽ヒトSOD1遺伝子RNAに対する人工マイクロRNAをコードするAAV9ベクターが、新生児期のSOD1変異モデルマウスの髄腔内に単回投与されました

▽その結果、モデルマウスの生存期間は50%延長し、後肢麻痺の遅延効果が観察されました。また上位および下位運動神経細胞において変異ヒトSOD1 mRNAの減少が観察され、組織学的にも病態改善効果が観察されました。

▽以上の結果は、AAV9による遺伝子治療が、SOD1変異ALSに対して有効であることを示唆しており、今後の臨床試験開始が期待されます

(この研究はアメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのStoicaらにより報告され、平成28年2月18日付のAnnal of Neurology誌に掲載されました)

モルフォリノによるSOD1発現減少がALSモデルマウスの病態を緩和する
▽変異蛋白質の蓄積による神経毒性は、神経変性疾患の病態として観察されます。SOD1蛋白質の変異は家族性ALSの原因となります

▽SOD1蛋白質は家族性ALSのみならず、孤発性ALSにおいても重要な役割を果たしていると考えられています。従ってSOD1蛋白質は治療対象として有望と考えられます。

▽今回、研究者らは、ALSモデルにおいて、SOD1発現量を減少させるように設計されたモルフォリノオリゴヌクレオチド(MOs)を用いて、神経筋機能の改善や生存期間の延長効果がみられることをみいだしました

▽モルフォリノオリゴヌクレオチド投与により、運動神経細胞数の増加と、アストログリオーシスおよびミクログリオーシスの減弱が観察されました

▽ヒト家族性ALS患者由来iPS細胞から分化誘導した運動神経細胞に対してモルフォリノオリゴヌクレオチドを用いることにより、生存期間の延長とアポトーシスマーカーの発現減少がみられました。

▽以上の結果は、モルフォリノオリゴヌクレオチドを用いた治療がALSに対して有効である可能性を示唆しており、今後の臨床試験での検証がまたれます

(この研究は、イタリア、University of MilanのNizzardoらにより報告され、平成28年2月16日付のScientific Reports誌に掲載されました)
食事からのBMAAはサルにおいてALS類似の病態を引き起こす
・ALS FORUMの2月16日付記事からです

▽シアノバクテリア毒素であるBMAAを摂取したサルは、グアムALS/パーキンソン認知症複合に類似した病態を呈することがわかりました。また、同時にL-セリンを摂取すると、神経障害を部分的に防ぐことができることが明らかになりました。

▽この研究はグアムのChamorro地方においてALS/パーキンソン認知症複合の発症が多いこととBMAA暴露との関連性があることの根拠となる可能性がありますが、孤発性ALSとBMAAとの関連性はよくわかっていません。

▽BMAAはソテツの種子から採取される非典型的なアミノ酸であり、Chamorro地方では製粉されているものです。さらにChamorro地方で食用されているオオコオモリにも生物学的に濃縮されます。

▽BMAAは種子に共生するシアノバクテリアから産生されます。神経毒性を有することがわかっていましたが、慢性的な暴露による影響はよくわかっていませんでした

▽今回、研究者らはサルに対して140日間、651mg(210mg/kg)のBMAA、もしくは 651mgのL-セリン、もしくはその両者を含む食事を与えました。投与されたBMAAの総量はChamorro地方の住民が生涯に摂取するBMAAの10倍に及びます

▽BMAA単独投与されたサルは、タウ陽性の神経原線維変化とアミロイド斑形成が脳内でみられました。BMAAとL-セリンを同時に投与されたら、これら病態変化は10-20%に減少しました

▽さらにChamorro地方の人々と同じ生涯摂取量に設定されたBMAAを投与されたサルにおいても、同様に神経原線維変化とアミロイド斑形成が観察されました。これら病的変化の量はBMAAの投与量が多くなるにつれ、増加しました。

▽以上の結果はChamorro地方におけるALS/パーキンソン認知症複合の病因がBMAA摂取によることを示唆するものです。孤発性ALSとBMAAとの関連性についての研究が次の課題となっています。TDP-43に関連した病態はグアムALS/PDC患者にもみられています。

▽また疫学研究においても、湖岸や繰り返し洪水のある砂漠地方においてはBMAA暴露が多く、ALS発症リスクと関連するとの報告があります。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/15283
ALSの運動神経変性はある酵素によって促進する
・ALS NEWS TODAYの2月15日付記事からです。

▽研究者らは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解に関与する金属プロテイナーゼ(金属を含有する蛋白質質分解酵素の一種)であるADAMTS-4が、ALSモデルマウスにおいて神経変性を促進することをみいだしました

▽ADAMTS-1と-4,-5および-9はADAMTSファミリーに属します。とりわけ、ADAMTS-1と-4は中枢神経発達過程においてシナプス可塑性を制御するといわれています。さらにADAMTS-4投与はラットにおいて脊髄損傷後の神経修復に寄与すると報告されています

▽ADAMTS酵素発現は脳卒中や脊髄損傷などの中枢神経系への急性損傷においては発現亢進することがわかっていましたが、ALSにおける発現はよくわかっていませんでした

▽今回、研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスにおいてADAMTS-4の発現と影響を調べました。その結果、発症前からADAMTS-4を投与すると、神経筋機能不全を促進し、病態の悪化をもたらしました

▽病態の悪化は、運動神経周囲のペリニューロナルネット(発達の可塑性を制御する細胞外マトリックス)の変性と、グリア細胞による神経栄養因子の分泌減少を伴い、そのため運動神経変性の増加につながると考えられました。

▽研究者らは、細胞外マトリックスの喪失が、モデルマウスの病態増悪をもたらす原因となったと考えています。ALS病態進行過程におけるADAMTS-4の活性減弱は、運動神経変性を防ぐための適応的な変化と考えられます。

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/02/15/generating-diverse-spinal-motor-neuron-subtypes-from-human-pluripotent-stem-cells/
Cu-ATSMについて
・Cu-ATSMについて、少し詳しい記事がありましたので、訳してみます

・2月5日付ALS FORUMの記事からです

▽研究者らは1月27日付のNeurobiology of Diseases誌にて公表された論文において、SOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を通常の1-2週間を約2年ほどに延長することに成功したことを報告しました。

▽研究者らは、モデルマウスを脳や脊髄に銅を運搬する銅のキレート剤であるCu-ATSMにより治療しました。理論的には、銅が無いと凝集する変異SOD1蛋白質にキレート剤がSOD1に銅イオンを運搬することになります。

▽ヒト変異SOD1蛋白質と、銅シャペロンであるCCSを同時に過剰発現させたモデルマウスにおいて、治療効果が最も顕著でした。さらに変異SOD1遺伝子のみを保有するALSモデルマウスにおいてもCu-ATSMの治療効果はみられました。

▽オーストラリアの会社であるCollaborative Medicinal Development社は今年ヒトに対するCu-ATSMの臨床試験開始を予定しています。

▽ここまでSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間を延長させた薬物はこれまでになく、大きな驚きとして受け止められています。

▽研究者らは、Cu-ATSMがSOD1蛋白質に銅を補給するのみならず、チトクロームオキシダーゼc(COX)に対しても銅を補給することで効果を発揮していると考えています

▽SOD1変異に起因するALSは全患者の2%を占めると考えられています。SOD1の変異により、SOD1蛋白質の金属結合能が障害されます。

▽正常SOD1蛋白質は銅イオンと亜鉛イオンを介して安定した2量体を形成します。しかし金属イオンを欠くと折り畳み異常を起こしやすく、凝集しやすいことが報告されています。

▽このことから、銅イオンを補給することにより、異常を是正できるのではと考えられていました。研究者らは、SOD1変異モデルマウスに銅シャペロンCCSを同時に発現させることにより、治療的効果を期待しましたが、逆に症状が増悪しました

▽SOD1変異とCCS過剰を有すると生存期間は数週間であり、SOD1変異単独の数ヶ月より短縮しました。研究者らは、CCSがCOXなどのその他の銅イオンを必要とする酵素からも銅イオンを奪ってしまい、変異SOD1蛋白質に運搬するため、全体のバランスが崩れると考えました。

▽研究者らはSOD1変異とCCS過剰発現を同時に有するモデルマウスを作成しました。Cu-ATSMをジメチルスルホキシドに溶解し、モデルマウスの頚部皮膚に滴下しました。Cu-ATSMは経皮的に吸収され、数時間後にモデルマウスは歩行可能となっていました。

▽Cu-ATSMを投与することにより、変異SOD1蛋白質のみならず、銅イオン欠乏を起こしたCOXにも銅イオンが補給され、劇的な効果が観察されたと考えられています。

▽CCS過剰を有さない通常のSOD1変異モデルマウスに対してCu-ATSMを投与したところ、3週間から155日間までの生存期間延長効果が確認されました。

▽以上のことからSOD1変異ALS患者に対して、きわめて有望な治療選択肢になりうると考えられています。SOD1変異に起因したALS患者はごく一部であり、孤発性ALSに対して効果があるかどうかはわかりません。孤発性ALSに対して効果が期待できる化膿性については懐疑的な研究者もいますが、正常蛋白質の折り畳み異常が観察されていることから、効果がある可能性を指摘する研究者もいます。

▽マウスからヒトへの適応は単純にはいかず、安全性などクリアすべき課題も多くありますが、今年4月からオーストラリアにて第1相臨床試験が、孤発性ALSおよび家族性ALS患者に対して開始される予定となっています

引用元
http://www.researchals.org/page/news/15269
C9ORF72変異ALSにおける核細胞質間輸送の重要性
・ScienceDailyの2月12日付記事からです

▽2011年にALSと前頭側頭型認知症の原因として、C9ORF72遺伝子の直列型反復配列の反復数の増加が報告されました。

C9ORF72遺伝子の6塩基繰り返し配列の過剰伸長がALSの発症要因となります。さらに繰り返し配列を含むRNAが、核内のRNA結合蛋白質の障害をもたらすことにより毒性を発揮すると考えられています

▽またこれら繰り返し配列からの転写産物であるジペプチド反復蛋白質も細胞毒性を有します。ジペプチド反復蛋白質は、開始コドンを 介さないリピート関連翻訳により6塩基繰り返し反復配列から産生されます。

▽ジペプチド反復蛋白質は、アンチセンス転写産物としても生じるため、合計5種類の異なるジペプチド反復蛋白質がC9ORF72変異ALS患者において産生されることになります。

▽研究者らは、これらジペプチド反復蛋白質の毒性がいかに発揮されるかを調べました。1種類のみのジペプチド反復蛋白質を産生する動物モデルを用いて実験を行った結果、グリシンーアルギニンおよびプロリンーアルギニンの反復配列を有するジペプチド反復蛋白質が毒性を有することがわかりました

▽さらに酵母などを用いたゲノムワイドスクリーニングにより、ジペプチド反復蛋白質が影響を与える遺伝子が探索されました。その結果、核細胞質間輸送に関連する遺伝子が多く抽出されました。

▽特に影響の大きなものはtransportin-1と呼ばれる、多くのRNA結合蛋白質の細胞質から核への輸送を担う蛋白質の遺伝子でした。transportin-1の機能がジペプチド反復蛋白質に障害された結果、RNA結合蛋白質の細胞質への蓄積が観察されました

▽さらにC9ORF72遺伝子変異ALS患者の脳内において、transportin-1が輸送する蛋白質の異常局在化がみられました。

▽バイオインフォマティクスによる解析により、グリシンーアルギニンおよびプロリンーアルギニン反復は、RNA結合蛋白質の核内局在化シグナルを模倣し、核輸送をハイジャックすることがわかりました。

C9ORF72遺伝子変異ALS患者では、通常は核内にみられるべきRNA結合蛋白質の細胞質内への異常局在化と凝集が観察されており、核細胞質間輸送を正常化することが、治療戦略として有望な可能性があります

引用元
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160212091902.htm
Yumanity社がALSなど治療薬開発のため4500万ドルを用意、他
・ALS FORUMの2月11日付記事からです

▽Biogen社とSanofi社らが出資しているYumanity社は、蛋白質の折り畳み異常の起因するALSなどの神経変性疾患の治療薬開発のため、4500万ドルの資金を当てることを公表しました

▽またアメリカALS協会はTREAT ALSプログラムのため250万ドルの資金を供与することを公表しました。主に基礎研究段階での薬剤開発のための研究のためのグラントとのことです。

http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15279
ALS病治療戦略国際シンポジウムin大阪
・かなくんさんより、ALSに関連したシンポジウム開催の情報が寄せられました。日本ALS協会のHPからも告知されています

・下記のシンポジウムが2/19に大阪で開催されます。東北大青木教授、東大郭教授等が講演されます。出席される方は、情報アップください。

http://www.alsjapan.org/-article-1063.html

・参加された方は、どんな情報でもかまいませんので、コメント欄にて情報提供いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします
CuATSMについて
・当ブログ1月30日付の記事にて御紹介したCopper-ATSMの臨床試験の予定です

・先日SOD1変異ALSモデルマウスにおいて劇的な生存期間延長効果が報告されたCuATSMですが、早くもオーストラリアにおいて今年の4月から、孤発性および家族性ALS患者30-50名を対象とした第1相臨床試験が開始予定とのことです。

・この臨床試験では28日間CuATSMが投与される予定です。

・迅速な臨床試験開始に驚きますが、良好な結果が期待されます

引用元
http://www.alzforum.org/news/research-news/copper-rescue-als-mice
VM202について
・第1/2相臨床試験が進行中のVM202についてです
・VM202はVM BioPharmaにより開発された薬剤であり、HGF(hepatocyte growth factor)の2種類のアイソフォームをコードするプラスミドDNAです。
・この第1/2相臨床試験ではVM202が合計4回筋注にて投与され安全性と有効性が検証される予定です。
・合計18名の患者を対象に進行中であり、良好な結果が期待されます

引用元
http://www.alstdi.org/als-research/clinical-trials/199/
Actharについて
・現在第2相臨床試験が進行中のactharについてです
・Actharは副腎皮質刺激ホルモンであり、ALSモデルマウスにおいて治療的効果が確認されています。
・この臨床試験では40名のALS患者を対象に用量の異なるactharが投与され、主として安全性が確認される予定のようです
・良好な結果が期待されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01906658
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