ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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アメリカALS協会とCReATeが新たに2つの研究への資金供与を決定
・10月6日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽アメリカALS協会とClinical Research in ALS and related disorders for Therapeutic development (CReATe) は新たに2つの研究プロジェクトへの資金供与を決定しました

▽1つ目の研究は、ロンドン大学のグループで、C9ORF72遺伝子変異から生じる、2塩基繰り返し配列を有する蛋白質の検出方法を開発するものです。これまで用いられているELISA法と比較して1000倍の検出感度増大を目指しています。この方法の開発により血液検査でC9ORF72遺伝子変異に起因した異常蛋白質を検出可能となることが期待されており、成功すればバイオマーカとしての活用や、治療効果判定にも用いることができる可能性があります。

▽2つ目の研究は、ミシガン大学のグループで、最近新たなリンパ球サブグループとして同定された自然リンパ球(Innate Lymphoid Cell:ILC)のALSにおける役割について調べるものです。

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/10/06/als-association-create-consortium-announce-funding-two-new-als-studies/
イノシトール6リン酸リン酸化酵素2は細胞質TDP-43凝集による細胞死を促進する
・東海大学からの報告です

▽TDP-43は前頭側頭型認知症やALSにおける脳や脊髄神経細胞中のユビキチン陽性封入体の主要な構成成分です。TDP-43のリン酸化されたC末端断片は神経細胞の細胞質において凝集し、結果的にそれが細胞死につながると考えられています。

▽二リン酸イノシトール 五リン酸(InsP7)とよばれるイノシトールリン酸は高エネルギーピロリン酸結合を有します。

▽研究者らは、これまでに哺乳類細胞においてイノシトール6リン酸リン酸化酵素2(InsP6K2:イノシトール6リン酸をInsP7にリン酸化する酵素)が細胞死に関与していることを報告してきました。アポトーシス過程においては、InsP6K2は核内から細胞質に移行します。

▽今回、研究者らは、リン酸化したTDP-43が脊髄前角細胞の細胞質内において、InsP6K2と同時に局在化し、結合していることを発見しました。さらに、細胞質にTDP-43凝集体が存在し、InsP6K2が活性化していると、細胞死が促進することをみいだしました。

▽TDP-43凝集体と活性化InsP6K2が細胞質に存在すると、HSP90とcasein kinase 2の発現量が減少し、Aktの活性が減少していました。この状況が細胞死を促進させた可能性があります

▽以上よりInsP6K2はALSにおいて神経細胞死に関与している可能性があります。

(この研究は、東海大学のNagataらにより報告され、平成27年10月6日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12035-015-9470-1
ALSに対するインターロイキン-1アンタゴニストの有効性:予備的試験結果
▽前臨床試験段階においてインターロイキンー1(IL-1)受容体阻害薬がALSに対して有効であることを示唆する結果が得られていました。

▽今回研究者らは、IL-1受容体アンタゴニストである、Anakinra(ANA)のALSに対する有効性を検証する小規模試験を実施しました

▽17名のALS患者が1日あたりANA100mgを1年間投与されました。対照群の設定がなかったため、過去の観察研究から47名のマッチした患者のデータを用い、有効性が検討されました。

▽副作用については軽度のもののみでした。炎症マーカーであるサイトカインやフィブリノーゲンについては投与開始24週間で低下を認めました。

▽しかしながら、ALSFRS-Rで測定した疾患の進行度については、有意な改善効果は認められませんでした。17名中94%の患者でANAに対する抗体が産生されていました。

▽以上よりANAの安全性が確認されましたが、IL-1を対象とした治療戦略の有効性についてはさらなる検証が必要です

(この研究はドイツ、Charité-University HospitalのMaierらにより報告され、平成27年10月7日付のPlos One誌に掲載されました)
引用元
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0139684
皮質への電極埋め込みによる入力装置
・10月8日付ALS FORUMの記事からです

▽BrainGate2 Neural Interface System(NIS)とよばれる埋め込み装置が2名のALS患者に移植され、指の動きをイメージするだけで、画面上で単語を入力することが可能となることが確認されました。

▽患者は皮質運動野に微小電極を移植されました。この電極からのシグナルを解析し、画面上のカーソルを動かす指令を読み取ります

▽患者がスクリーン上に表示された文字の上にカーソルが移動するように指を動かすことをイメージすることにより、これまでにない正確性で文字の入力が可能であったとのことです。

▽さらに、入力を高速化するため、入力文字を予測するソフトウェアも利用されました。この研究は9月28日付のNature Medicine誌に報告され、1名の患者は1分間に6文字の入力が可能であったとのことです。

▽開発チームはさらなる入力の高速化のため技術的改善を目指しています

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/15047
ALS動物モデルにおけるヒト人工染色体による栄養因子発現
・鳥取大学の研究グループからの報告です

▽ヒト人工染色体(HAC)は、宿主の染色体と統合せず、宿主染色体以外の遺伝因子として細胞内にて維持されます。HACは複数の大きな導入遺伝子を運搬可能であり、細胞内で宿主の染色体と同様に活動することができます。

▽今回、研究者らは、HACを用いて、肝細胞増殖因子(HGF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様成長因子1(IGF-1)を同時に発現可能な間葉系幹細胞(HAC-MSCs)を作成しました。

▽このcell lineは安定的な移植と、充分な分析が可能です。さらに、ALSモデルマウスを用いて、HAC-MSCsを第4脳室ないし静注にて移植したところ、対照群と比較して、生存期間の延長(脳室内移植群)および発症遅延(静注群)が観察されました。

▽この効果は、HACを導入していない間葉系幹細胞においてはみられませんでした。

・今後実際の治療的応用が期待されます

(この研究は、鳥取大学のWatanabeらにより報告され、平成27年10月6日付のMolecular therapy. Nucleic acids誌に掲載されました)
引用元
http://www.nature.com/mtna/journal/v4/n10/abs/mtna201528a.html
国内臨床試験情報
・久々に国内で実施される臨床試験についての情報です。

・オープン試験ですが、独立行政法人国立病院機構 高崎総合医療センターにて、ALSに対して「CaHMB・L-アルギニン・L-グルタミン配合飲料(アバンドTM)飲用によるサルコペニア改善効果 」についての臨床試験が実施されます

・エントリー基準などについては、以下のページをご参照ください

https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000022093&language=J
遺伝子治療研究所のパイプライン更新
・いのべたさんよりご提供いただいた話題です。

・遺伝子治療研究所のパイプラインが更新されました。以下のページをご参照ください

http://www.genetherapy-ri.com/wp-content/uploads/2015/09/Pipeline_jp_1509.pdf#view=fitH

・ALSでの臨床試験開始が2017年とあります。早期実現を期待します。

・いのべたさん、ありがとうございました。
患者申出療養制度続報
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です

・患者申出療養制度についての続報です。さらに詳細に実施に当たっての細則が規定されつつあります。人道的見地から、治験を実施中であれば、なるべく治験につなげるように提案があります。つまり、治験実施中の薬剤について、患者申出療養制度を利用して、使用を希望すれば、治験への組み込みを検討してもらえる可能性があります。治験中の薬剤を使用したいとの希望がある場合、制度を利用した投薬が可能になるかもしれません。権利拡大という観点からは、望ましい方向性と思われます。

・厚労省のHPより以下の資料をご参照ください

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000098762.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000098763.pdf

・来年の4月から施行されるようです。

・かなくんさん、ありがとうございました。
ストレス顆粒はALSの病態の中心的役割を果たすかもしれない
・9月30日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽St. Jude Children’s Research Hospitalの研究者らは、ALSの病態の一部の解明と、将来的な治療法開発につながるかもしれない研究成果を、9月24日付のCell誌に報告しました。

▽hnRNPA1とよばれる蛋白質の特定の領域の変異はALSなどの神経変性疾患の病因となります。hnRNPA1はRNAに結合し、細胞が様々なストレス状況下において、細胞がmRNAから蛋白質の正常な生成に失敗した際に形成される、ストレス顆粒を形成することができます

▽研究者らは、特定の温度や蛋白質濃度、電解質濃度などの条件下において、hnRNPA1がストレス顆粒類似の液滴を形成しうることをみいだしました。この蛋白質を含む液滴は、液相分離とよばれる過程を経て形成されます

▽この研究は、ストレス顆粒や毒性のある原線維変化などの生成機序についての洞察を与えるものです。ストレス顆粒形成過程をターゲットとした治療法開発にも寄与しうる可能性があります。

▽研究者らは、さらにhnRNPA1変異がストレス顆粒類似の液滴形成に関与し、アルツハイマー病にみられるアミロイド原線維に類似した、毒性のある繊維状物質の形成を促進することを報告しました。ストレス顆粒形成は、ある段階までは可逆性ですが、さらに形成過程が進行すると不可逆性となり、病態進行につながります。

▽ストレス顆粒を対象とした治療法開発につながることが期待されます。

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/09/30/stress-granules-may-key-als-related-diseases/
Cloud社、THERAMetrics社がALS治療薬などの開発で合意
・10月1日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽Cloud製薬とTHERAMetrics社は、共同でALSなどの治療薬を開発することに合意しました

▽THERAMetrics社は、新たな治療対象の探索のためDRR 2.0テクノロジーを開発しました。Cloud社はTHERAMetrics社の同定した蛋白質を対象とした小分子薬剤を設計するための技術を提供します。

▽従来の方法で薬剤を開発するのはコストがかかりますが、今回の連携により、低コストで新規薬剤の開発が促進することが期待されています

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/10/01/cloud-pharmaceuticals-and-therametrics-to-collaborate-on-drug-development-for-orphan-cns-diseases-including-als/
潜在的なウイルス遺伝子の覚醒がALS発症に関与しているかもしれない
・9月30日付アメリカ国立衛生研究所のPress Releaseからです

▽今回アメリカ国立衛生研究所の研究者らは、ヒト遺伝子中に埋め込まれた古代のウイルス遺伝子の再活性化が一部のALSの病態に関与している可能性を、Science Translational Medicine誌に報告しました。

▽ヒト内在性のレトロウイルス遺伝子(HERVs)とALSの病態との関連性が報告されました。このことはHIV治療薬のような抗レトロウイルス薬が、一部のALSに対して治療的有効性を有する可能性があることを示唆しています。

▽ヒトは数百万年の経過の中で、レトロウイルス感染により、遺伝子的な組換えを経験し、正常なヒト遺伝子全体の8%がウイルス由来といわれています。しかし、これら遺伝子の機能についてはほとんどわかっていません

▽これまでにも一部のALS患者由来の血液サンプルにおいて、逆転写酵素を用いた方法により、レトロウイルス由来の蛋白質が存在することが報告されていました。しかしその役割は良くわかっていませんでした。

▽ALS患者の脳サンプルを用いた研究により、患者脳内では、正常よりも多くの内在性レトロウイルスK(HERV-K)由来のmRNAが検出されることがわかりました。また健常者ではみられない、HERV-K由来のenv蛋白質がALS患者の脳サンプルから発見されました。

▽同時に、HERV-K遺伝子の活性化は、神経細胞死をもたらすことが培養皿中での実験で観察されました。さらに研究者らは、HERV-Kのenv遺伝子が活性化するように遺伝子操作を行ったモデルマウスを用い、ALS類似症状が観察されることを確認しました。ALSと同様に、脊髄運動神経細胞が変性し、その他の神経系は影響をうけていませんでした。

▽さらに、研究者らは、HERV-K遺伝子の活性化が、遺伝子調節蛋白質であるTDP-43により制御されている可能性をみいだしました。ヒト神経細胞においてTDP-43発現が増加すると、HERV-K由来のmRNA量の増加がみられました。

▽以上の結果は、今後の個別化医療の実現に向けて有意義な発見であり、今後治療法開発に向けての進展が期待されます。

引用元
http://www.ninds.nih.gov/news_and_events/news_articles/pressrelease_ALS_viral_genes_09302015.htm
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