ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201506<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201508
ラパマイシンはALSモデルショウジョウバエの病態を緩和する
▽TDP-43はRNA/DNA結合蛋白質で、様々な機能を有します。同時にALSの変性運動神経細胞にみられる病的な封入体の主要構成成分でもあります

▽今回研究者らは新たなALS関連TDP-43蛋白症モデルを開発し、ALS類似の病態が再現されることを確認しました

▽同時に自食賦活作用を有するラパマイシンを投与し、治療効果について検討しました。

▽健常ハエに対してラパマイシンは有害な物質ですが、病態発症前にALSモデルショウジョウハエにラパマイシンを投与した結果、TDP-43凝集体を有する神経細胞数の減少と、運動機能障害の緩和作用などが確認されました

▽今回開発されたALSモデルショウジョウバエにより、TDP-43蛋白症における治療薬候補のスクリーニングのための有用な手段が得られました。同時に自食賦活作用を有するラパマイシンなどの薬剤が、TDP-43蛋白症による神経変性疾患において、有用な治療薬候補となる可能性が示唆されました。

(この研究は、台湾、Academia SinicaのCW Chengらにより報告され、平成27年7月29日付のJournal of Neurogenetics誌に掲載されました)
引用元
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/01677063.2015.1077832
スポンサーサイト
遺伝子治療研究所AAV治療のpipeline
・かきのたねさんよりいただいた情報です

・以下のリンクよりかきのたねさんのコメントを参照ください

http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-726.html#comment

・臨床試験の開始まで順調に行っても平成29年のようです。当然資金面で充分なものが確保されていることも前提になると思われます

・迅速な臨床試験の実施のためには、益々の支援拡大が必要と思われます

・かきのたねさん、情報ありがとうございました。
アメリカALS協会より
・ALS NEWS TODAYの最近のニュースでアメリカALS協会関連の話題がありましたのでご紹介します

ALSの根治法が見つかるまで毎年8月にアイスバケツチャレンジを

▽昨年行われたアイスバケツチャレンジでは世界中でALSの研究と患者ケアのために2億2千万ドル以上が集まりました。

▽昨年アイスバケツチャレンジの実施を提唱したALS当事者である32歳のPat Quinnが5月のALS啓発月間に寄せたYOUTUBEでのメッセージです。
https://www.youtube.com/watch?v=3uUB-0de09A

▽アイスバケツチャレンジは、Pat Quinnと彼の友人で同じくALS患者である野球選手の Pete Fratesにより始まった活動です。

▽アイスバケツチャレンジが世界的な注目を集めたことに対する驚きと感謝を表すと同時に、この夏に再びアイスバケツチャレンジを行うことを提唱しています。

▽なぜ、またアイスバケツチャレンジを行うのか?その理由について、Pat Quinnらは、昨年2億2千万ドルが集まったものの、新たな治療法開発のために必要な資金は総額20億ドルに上り、さらにALS患者一人のケアにかかるコストが毎年25万ドルに上ることをあげています。

▽アイスバケツチャレンジはアメリカやカナダのALS協会ほかALS TDI、国際ALS/MND協会、筋ジストロフィー協会などの協賛により行われます

アメリカALS協会が、バイオマーカー開発のために資金供与

▽アメリカALS協会は、ALSバイオマーカの発見のための研究に新たに140万ドルの資金供与を行うことをアナウンスしました

▽バイオマーカーの発見は、疾患の診断や、病態進展の定量化、治療反応性の評価、新たな治療法の発見などにおいて重要です

▽疾患の客観的な指標が発見されることにより、臨床試験をより小規模で実施でき、治療法の実用化が迅速化されることも期待されています

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/07/28/als-association-announces-funding-biomarker-development-validation-projects/
遺伝子治療研究所AAV治療について
・いのべたさんからご提供いただいた情報です
・7月25日付NEWS ポストセブンの記事からです
引用元
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150725-00000016-pseven-life

・遺伝子治療研究所で進行中のアデノ随伴ウイルスベクターを用いたALSに対する遺伝子治療についての記事です
・期待が大きいだけに、早期の臨床試験実施が期待されます
・いのべたさん、ありがとうございました
ALS患者由来間葉系幹細胞の、DNAメチルトランスフェラーゼ抑制による機能回復
▽DNAのメチル化の変化は加齢過程とALSなど神経変性疾患の病態に関与していると考えられています。これら異常なメチル化を修復することが、疾患に対して治療的である可能性があります

▽これまでに研究者らは、ALS患者由来間葉系幹細胞では、幹細胞としての分化能が減弱し、DNAメチルトランスフェラーゼが過剰発現していることを報告しました。

▽今回、研究者らは、過剰なDNAメチルトランスフェラーゼ発現と、ALS患者由来間葉系幹細胞の機能変化との関連性を検討しました。

▽DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であるRG108をALS患者由来間葉系幹細胞に投与したところ、抗老化作用を有するTERT、VEGF、ANGなどの遺伝子発現が増加し、老化に関連するATMやp21、p16,p53などの遺伝子発現が減弱しました

▽細胞の遊走能や、酸化的損傷に対する抵抗力も、RG108で処理された間葉系幹細胞では増大しました。また神経類似細胞への分化能についても増大しました。

▽異常の結果は、ALS患者由来の間葉系幹細胞の機能が、DNAメチルトランスフェラーゼを阻害することにより、回復したことを示唆するものであり、今後の幹細胞治療において有効な治療法につながる可能性があります。

(この研究は、韓国、Chosun UniversityのOh YSらにより報告され、平成27年7月26日付のCellular and molecular neurobiology誌に掲載されました)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007/s10571-015-0242-2
ALSモデルマウスにおいて、急性頭部外傷はALS症状を悪化させない
・ALS FORUMの7月23日付NEWSからです。

・ALSのリスク因子として頭部外傷との関連性が報告されていますが、動物実験において1度のみの頭部外傷とALS症状との悪化との関連性はなかったとの報告です

▽研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、発症前の90日から120日齢において、大脳皮質に局所的に様々な大きさや深さの損傷が与えられました。

▽その後、発症時期や生存期間などが観察されましたが、1度のみの大脳損傷は、疾患の発症や進展に有意な影響を与えることはありませんでした。

▽今後は、慢性的、反復的な軽度の脳へのダメージがALSの発症や進展に与える影響について解明することが課題となります

引用元
http://eneuro.org/content/eneuro/early/2015/06/22/ENEURO.0059-14.2015.full.pdf

もう1つALSとリスク因子についての報告です。

ホルムアルデヒド暴露とALSの関連性

・ALS FORUMの7月23日付NEWSからです

▽ホルムアルデヒドは神経細胞において蛋白質凝集を起こすことが知られています。しかし、ホルムアルデヒドとALS発症との関連性は不明で、研究結果は一定していませんでした。

▽7月13日付、Journal of Neurology Neurosurgery & Psychiatry誌に掲載されたメタ解析によると、職業性にホルムアルデヒド暴露が高頻度であった男性(葬儀に関連する人など)は、そうでない人と比較して、約3倍ALS発症リスクが高い可能性があるとのことです。

▽しかしながら、この研究には制約があり、含まれたALS患者数が少ないため、結論は確定的なものではなく、今後さらなる検証が必要となります。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/14845
ALSの異種性が新規治療法開発の鍵となるかもしれない
・7月22日付ALS NEWS TODAYの記事からです

▽ALS患者の90-95%は原因がわからない孤発性ですが、5-10%は家族性ALSであり、最も頻度の高い遺伝子変異としてC9ORF72遺伝子変異が知られています。

▽Mayoクリニックの研究者らが今回、Nature Neurosienceに発表した論文により、孤発性ALSと家族性ALSの病態の違いについての理解が一歩前進するかもしれません。

▽研究者らは次世代シークエンシング技術を用いて、家族性ALSと孤発性ALSの脳組織におけるRNA代謝異常(選択的スプライシングと選択的プリアデニル化の異常)について調べました。その結果、ALS患者において様々なRNA代謝異常がみられました。さらに、異常のみられたRNAから生成する蛋白質が関与する代謝経路についても調べ、ALSの病態に関与する可能性のある分子機構についても予想しました

▽孤発性ALSとC9ORF72変異ALSとの間には、共通点もありましたが、RNA代謝異常のパターンに多くの相違点が存在することも明らかになりました。

▽この結果は、ALSにおいて、異なる要因が病態に関与している可能性を示唆するものであり、将来的には、早期診断のバイオマーカーとして利用されることや、テーラーメイド医療につながる可能性があります。

▽研究者らは今回の研究で得られたデータをpublic genomics data repositoryにて公表し、世界中の研究者が利用可能にすることで、ALS研究がさらに発展することを期待しています。

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/07/22/differences-among-als-patients-might-key-novel-therapies/
Aquinnah製薬がTDP-43をターゲットとした治療薬開発に着手
>>続きを読む
Cytokinetics社がTirasemtivの第3相臨床試験を開始
・ALS FORUMの7月14日付Newsからです

▽Cytokinetics社がALS治療薬として期待されているTirasemtivの第3相臨床試験の開始をアナウンスしました

▽トロポニン活性化剤である小分子のTirasemtivは、神経シグナルに対する筋組織のカルシウム感受性を増強し、神経刺激が減弱した状況下でも、骨格筋の筋力改善効果が期待されています

▽昨年終了した第2相臨床試験において、ALSFRS得点については、プラセボとの有意差を示すことができませんでしたが、静的肺活量においては、プラセボより有意に投薬群で維持される結果となりました

▽第3相臨床試験は1年間ほどの長期試験で行われ、北アメリカ、ヨーロッパから500名程度の参加者を募る予定とのことです

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/14846
細胞質からの病的TDP-43除去によるALSモデルマウスの機能回復
▽神経細胞とグリアにおける、細胞質でのリン酸化TDP-43封入体の蓄積と、核内からのTDP-43の喪失はALSと前頭側頭型認知症の病態の特徴です

▽しかし、細胞質におけるTDP-43がどのように病態に関与するのかはよくわかっていません。その一因として妥当な動物モデルが存在しないことがあります

▽研究者らは、ドキシサイクリンによりヒト変異TDP-43の発現を抑制可能な、ヒト変異TDP-43組み込みALSモデルマウスを開発しました。

▽モデルマウスにおいて変異TDP-43が発現すると、運動神経細胞喪失などALS類似の病態が再現されました。

▽一方で、発症後にドキシサイクリン投与し、変異TDP-43発現を抑制したところ、リン酸化TDP-43の減少と、核内のTDP-43濃度の正常化が観察されました。またさらなる運動神経細胞喪失が起こらなくなりました

▽ドキシサイクリン投与後のモデルマウスでは、筋肉の神経支配が増加し、運動機能障害の回復がみられ、生存期間が劇的に延長しました

▽今回開発されたモデルマウスは、病態進展過程、筋肉の脱支配や運動神経細胞喪失などの時間経過を詳細に明らかにすることが可能にするものと思われます。

▽さらに重要なことに、今回の研究結果は、発症後においても、細胞質からの病的TDP-43除去と、TDP-43の核内への正常な局在化は、病態進行を停止し、回復させることが可能な治療的介入となりうることを示唆しています。

(この研究はアメリカ、University of PennsylvaniaのWalkerらにより報告され、平成27年7月22日付のActa Neuropathologica誌に掲載されました)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007/s00401-015-1460-x
ALS患者における酸化的ストレスの増大とエダラボンの有効性
・エダラボンのALSに対する臨床研究を推進され、保険適応まで実現された吉野内科・神経内科医院の吉野先生と東京工科大学の研究グループからの発表です

▽ALS患者(26名)においては、健常対照群(年齢をマッチさせた55名)と比較して、酸化型コエンザイムQ10の比率(%CoQ10:全血清コエンザイムQ10に占める割合)の有意な増加、血清尿酸値の有意な低下、全遊離脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の比率の有意な減少、などの所見から、酸化的ストレスが増大していることが示唆されました

▽17名のALS患者にエダラボン投与(30mg/dayで週に1-4回、最低3ヶ月間、13名は6ヶ月間)の結果、ALSFRS-R得点の変化量は、エダラボン投与群で、非投与群(19名)と比較して有意に小さい結果となりました

▽エダラボン投与は、ALSFRS-R得点の変化量が-5点以上であった増悪群と比較して、ALSFRS-Rの変化量が0点以上の経過良好群において、平均血清遊離脂肪酸濃度を1標準偏差以上減少させ、組織酸化的損傷の指標であるパルミトレイン酸、オレイン酸濃度も1標準偏差以上減少させました。

▽エダラボン投与は、血清尿酸値を増加させ、このことは、エダラボンが過酸化亜硝酸を効果的に除去したことを示唆するものです。しかし、エダラボン投与は酸化型コエンザイムQ10の濃度は減少させませんでした

▽従って、エダラボンをコエンザイムQ10のような物質と同時に投与することが、ALSにおける酸化的ストレスの減弱に、より効果的である可能性があります

(この研究は、東京工科大学のNagaseらにより報告され、平成27年7月20日付のRedox Report誌に掲載されました)
引用元
http://www.maneyonline.com/doi/abs/10.1179/1351000215Y.0000000026?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed
SOD1変異ALSモデルマウスにおけるBexaroteneの神経保護作用
・Bexaroteneは皮膚T細胞リンパ腫に対する治療薬として海外で承認されている抗腫瘍薬です。

▽ALSの病態にビタミンA(レチノイド)が関与しているとする報告があります。BexaroteneはレチノイドX受容体のアゴニストであり、安全性の高い皮膚リンパ腫の治療薬として知られています

▽今回、研究者らはBexaroteneのSOD1変異ALSモデルマウスにおける有効性について検証しました。ALSモデルマウスは60日齢より週に5回Bexaroteneが投与されました。

▽その結果、Bexaroteneは運動機能の悪化を有意に遅延させ、体重減少を改善し、生存期間を30%延長しました。組織学的な検討でも、Bexaroteneは、発症前から生じる初期の運動神経細胞喪失を著明に減少させていました。

▽Bexaroteneは、下位運動神経の恒常性維持を保持し、ユビキチン化封入体形成を減少させ、ライソゾーム反応を改善しました。同時にBexaroteneは反応性のアストログリオーシスを減少させ、細胞体周囲のシナプスを保存しました。

▽以上の結果は、SOD1変異モデルマウスにおいて、Bexaroteneが治療的効果を有する可能性を示唆するものであり、将来的な治療薬候補となることが期待されます。

(この研究はスペイン、University of CantabriaのRianchoらにより報告され、平成27年7月号のFrontiers in Cellular Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fncel.2015.00250/abstract
動物モデルにおいて網膜色素変性症に対する遺伝子治療に成功。ALSにも応用可能な可能性
▽オックスフォード大学の研究者らは、網膜色素変性症モデルマウスを用いて、光受容細胞の生涯にわたる保護を可能とする遺伝子治療に成功しました

▽この治療技法は網膜色素変性症において、神経細胞死を防ぐ新たな治療戦略を開拓したのみならず、ALSなど神経変性疾患にも適応可能な可能性があります。

▽研究者らは、ロドプシン欠損網膜色素変性症モデルマウスを用いて、桿状細胞変性の始まる4週齢において、ウイルスベクターにより、ヒト毛様体神経栄養因子(CTNF)を導入しました

▽CTNFは、これまでに光受容器細胞や網膜神経節細胞の喪失を防ぐ効果を有することがわかっていましたが、毒性が問題になっていました。しかし今回、研究者らは緑色蛍光色素を導入した錐体光受容体を用いて、経時的に状態を観察することにより、遺伝子導入量の調節を行い、毒性を最小限に抑えました。

▽30週後に、遺伝子を導入した方の網膜においては、遺伝子非導入の対照群と比較して、89倍も疾患に関連した遺伝子の活性が増大し、網膜神経細胞の保護機能が発揮されていることが明らかになりました。

▽CTNFはこれまでALSに対しても臨床試験の実施が考案されてきました。しかし高用量では副作用が強いため、実施が不可能でした。今回の研究により、CTNFにより活性化していた遺伝子群を、なんらかの手法で直接的に活性化することにより、神経細胞の保護作用が発揮され、ALSなどの神経変性疾患についても、治療的効果が期待できるのではないかと考えられています。

引用元
http://scicasts.com/genomics/2015-gene-therapy/9657-scientists-successfully-apply-gene-therapy-against-retinitis-pigmentosa/
ピラゾロン誘導体は変異SOD1による蛋白質凝集を抑制しALS治療薬候補
▽ピラゾロン誘導体は変異SOD1蛋白質に起因する蛋白質凝集を抑制し、ALSモデルマウスにおいて生存期間を延長することが報告されています

▽研究者らはピラゾロン誘導体の性質について調べました。その結果、ある種のピラゾロンリン酸化化合物が、肝代謝安定性、細胞毒性、血液脳関門透過性などにおいて優れた性質を有することがわかりました

▽以上の結果は、ピラゾロン誘導体がALSの治療薬候補として有望な可能性を示唆するものであり、今後の臨床試験での検証が期待されます

(この研究は、平成27年7月17日付のJournal of Medical Chemistry誌に掲載されました)
引用元
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jmedchem.5b00561?src=recsys
抗酸化作用を有するMitoQはALS治療薬として有望
・ALS NEWS TODAYの7月16日付の記事からです

▽ウルグアイの研究グループは、抗酸化作用を有する薬剤であるMitoQがALSに対して有望な治療法である可能性を報告しました

▽ALSの病態にミトコンドリアの機能不全と酸化的ストレスが関与している可能性が報告されています。ミトコンドリアの機能不全は細胞のエネルギー供給の障害につながります。

▽ミトコンドリアは同時に活性酸素の発生源であり、活性酸素が高濃度になると細胞傷害が生じます。この活性酸素産生と抗酸化作用のバランスが乱れた状態が酸化的ストレスとよばれています。

▽今回、研究者らは、ミトコンドリアをターゲットとした抗酸化剤であるMitoQのALSモデルマウスに対する有効性を調べました

▽MitoQは合成抗酸化剤であり、Coenzyme Q10の類似物質です。MitoQはミトコンドリアに集積し、酸化的ストレスを減弱する効果があります。

▽MitoQを投与されたモデルマウスでは、筋力の改善と、脊髄と大腿四頭筋におけるミトコンドリア機能不全の改善がみられ、生存期間を6%ほど有意に延長しました

▽この6%という数字は小さく思えますが、病態進行が極めて早いこのモデルマウスにおいては比較的意義のある結果と考えられています。

▽今後はMitoQの臨床試験が予定されています

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/07/16/antioxidant-mitoq-shown-promising-therapy-als/
トロント大学の研究者らがALSの原因遺伝子の新たな知見を発見
・ScienceDaily 7月15日付の記事からです

▽ALSの病態研究は2011年のC9ORF72遺伝子変異の発見により大きく進展しました。しかし、この遺伝子の細胞内での機能と、関連する蛋白質についてはほとんどわかっていませんでした

▽この問題にとりくんできた研究者らは、C9ORF72蛋白質に対する特異的な抗体を開発し、病態の解明を目指してきました

▽その結果、C9ORF72蛋白質は、健常な神経細胞においては核膜に局在化しているのに対して、病的な神経細胞では膜外に異常局在化していることがわかりました。この結果は2015年7月14日付のAnnals of Neurology誌に掲載されました

▽同時に、C9OFR72蛋白質は、核膜の内外の物質輸送に関与する、核輸送複合体と直接的に相互作用を行っていることがわかりました。そのような物質の1つがTDP-43です。正常ではTDP-43は核内に局在していますが、ALSにおいては細胞質内に異常局在化しています。TDP-43の細胞質における蓄積と凝集はALSの大半のケースでみられます。しかしC9ORF72との関連性はわかっていませんでした。

▽今回の研究結果により、C9ORF72蛋白質の核膜からの喪失が、TDP-43に起因した病態に関与していることがわかりました。

▽この結果は、C9ORF72蛋白質の異常が、核輸送複合体の正常機能を障害し、その結果、TDP-43が細胞質に蓄積することを示唆しています

▽今回の研究結果により、ALSの病因の1つとなる遺伝子異常と、病態生理との関連性が明らかになりました。このような関連性は家族性のみならず、ほとんどのALSにおいて共通している可能性があり、重要な知見といえます。将来的に有効な治療法開発につながることが期待されます。

引用元
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150715122405.htm
アメリカALS協会が58の研究に対して総額14億円以上の新規グラントを決定
・アメリカALS協会の7月14日付のNewsからです

▽アメリカALS協会は、新たに、58の研究グループに対して総額14億円以上(1162万ドル)の資金供与を行うことを決定しました。

▽いずれもALSの治療法開発のための基礎ないし臨床研究に対して与えられるものです。1件あたり最低で約500万円、最高で5000万円程度であり、平均2500万円ほどになります。

引用元
http://www.alsa.org/news/archive/new-research-grants-2015.html
ヒストン脱アセチル化酵素6はALSモデルマウスにおいて自食作用改善により運動神経変性を防ぐ
▽ALSの病態には異常な蛋白質の凝集と、蛋白質分解の障害とが関与していると考えられています。研究者らは、これまでにSOD1変異ALSモデルマウスにおいて自食作用の障害が病態に関与していることを報告しています

▽ヒストン脱アセチル化酵素6(HDAC6)は、オートファゴソームとライソゾームの融合を促進することにより、自食作用を促進する酵素です。今回研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、発症段階でヒストン脱アセチル化酵素6の発現量が減少しており、病態進行と共に著明に減少することを見出しました。

▽レンチウイルスを用いたHDAC6遺伝子の注入により、HDAC6を過剰発現させると、ALSモデルマウスの生存期間が延長し、運動神経変性が減少しました。さらに、HDAC6はオートライソゾーム形成を促進し、SOD1蛋白質凝集体の分解を促進しました

▽以上の結果は、HDAC6が、自食作用を改善することにより、ALSモデルマウスにおいて神経保護作用を有することを示唆しており、ALSにおける治療対象となりうる可能性を示唆しています。

(この研究は、中国、 Shanghai Jiaotong UniversityのChenらにより報告され、平成27年7月11日付のNeuroscience Bulletin誌に掲載されました)
ヒト臍帯血由来の血漿はALS患者由来単核細胞の増殖を調整する
▽ALSの病態に自己免疫系が関与しているとの報告があります。ヒト臍帯血由来の血漿を治療的に使用することは、現在は幼児期に限られています。ヒト臍帯血血漿は、造血過程において、細胞の成長と生存に必要なサイトカインと成長因子を豊富に含んでいます。

▽今回、研究者らは、ALS患者の血液から分離された単核細胞の、分裂因子誘発性の細胞増殖に対して、ヒト臍帯血由来血漿が与える影響について調べました。同時にcaspase 3/7活性測定によりアポトーシス活性についても調べられました

▽植物性凝集素(PHA)により単核細胞の増殖を誘発した結果、3タイプの異なる増殖反応が観察されました。1つ目は正常反応群、2つ目は無反応群、3つ目は過剰反応群でした。

▽過剰反応群にヒト臍帯血由来血漿を投与した結果、過剰な増殖反応が抑制されました。また正常反応群では増殖が促進されました。一方で無反応群では変化がありませんでした。

▽ALS患者由来の単核細胞におけるcaspase 3/7活性の亢進は、ヒト臍帯血由来血漿投与により抑制されました。

▽分裂促進因子投与により、異なる増殖反応がみられたことは、ALS患者においてリンパ球活性が変化しており、非反応群では免疫系の機能不全が、過剰反応群では自己免疫反応の変化が存在している可能性を示唆しています。

▽ヒト臍帯血由来血漿が、分裂因子に対する細胞応答を変化させることや、caspase活性を減弱させることは、ヒト臍帯血由来血漿が、単独ないし、幹細胞との組み合わせにより、ALSに対して治療的に有効な可能性があることを示唆しています。

(この研究は、アメリカ、University of South FloridaのEve DJらにより報告され、平成27年7月8日付のCell Transplantation誌に掲載されました)
引用元
http://www.ingentaconnect.com/content/cog/ct/pre-prints/content-CT-2560_Eve_et_al
自食作用増強がALSの蛋白毒性から神経細胞を保護する
・7月10日付、ALS FORUMのResearch Newsからです(当ブログで既に6月19日付で紹介済の論文でした。こちらの方がやや詳しいので、そのまま掲載します)

▽研究者らは試験管内および線虫モデルにおいて、折り畳み異常を呈したSOD1蛋白質の自食作用を賦活することにより、SOD1蛋白質の毒性から運動神経細胞を保護することをみいだしました

▽SecinH3と呼ばれる小分子が、ライソゾームによる有害蛋白質の除去を促進すること報告した論文が、6月17日付のJournal of Neuroscience誌に掲載されました。

▽この結果は、有害蛋白質の蓄積に起因する様々な神経変性疾患の治療戦略として有望なものになるかもしれません

▽研究者らは、膜輸送動態がALSの病態にどのように関与しているかを研究してきました。小胞体とライソゾームの両者がALSの病態に関与することが推定されています。

▽膜代謝過程に関与する、ARFs(ADP-ribosylation factors)の性質が調べられました。ARFsはGTPをGDPに加水分解します。さらにグアニンヌクレオチド交換因子であるサイトヘシンはGDPを除去します。このことによりARFsは速やかに再活性化することができます。

▽哺乳類は少なくとも6種類のARFsと4種類のサイトヘシンを有することが知られています。研究者らは、サイトヘシンを阻害する物質を発見し、この物質をSOD1変異モデル動物に用いることを思い立ちました。

▽研究者らはまず、ラットの脊髄運動神経を変異SOD1遺伝子を有するウイルスベクターと共に培養しました。通常この条件下では、1週間以内に半数の神経細胞が死滅します。しかしSecinH3を投与すると神経細胞は生存しました。また優性阻害のサイトヘシンを導入した場合や、サイトヘシンのRNAを阻害した場合においても、神経保護作用が観察されました。

▽ついで、研究者らは、SOD1変異モデル線虫を用いてサイトヘシンの阻害作用を調べました。サイトヘシンのRNAを阻害した結果、線虫の運動機能は保持されました。

▽研究者らは、サイトヘシンの阻害が、折り畳み異常を起こした変異SOD1蛋白質の除去を促進するのではないかと考えました。変異SOD1蛋白質に対する抗体を用いることにより、SecinH3は、神経細胞において折り畳み異常SOD1蛋白質濃度を減少させることがわかりました。

▽以上の結果を基に、研究者らはSecinH3投与が自食作用を賦活するかどうかを調べました。オードファゴソームの構成要素であるLC3を定量化することにより自食作用の賦活の程度がわかります。SecinH3を投与した細胞ではLC3が増加しており、自食作用が亢進していることが示唆されました

▽さらに残された課題として、各種サイトヘシンやARFsのうちどれが、自食過程において決定的な役割を果たしているのかを明らかにすることがあります。また、サイトヘシンを阻害することにより、どのようなメカニズムで蛋白質除去が促進するのかについても明らかにする必要があります。

▽しかし、これらの課題は、ALSの病態に関与すると考えられている遺伝子が多く、凝集する蛋白質の種類も複数あり、いずれもサイトヘシンの不活性化により除去されうることから、現段階では未解決です。

▽孤発性ALSにおいても、非変異型のSOD1蛋白質の折り畳み異常が報告されていることから、今回の研究結果は、家族性ALSのみならず、孤発性ALSにおいても適応しうることが期待されています。

▽現段階ではSecinH3を治療的に用いることが現実的ではありません。なぜならSecinH3は脂質への親和性に乏しく、細胞内に到達することが困難であるからです。治療的応用のためには、この点を改良する必要があります。サイトヘシンを阻害することがALSに対して治療的効果が期待できることが判明したことから、今後の研究の進展が期待されます。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/14801
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.