ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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質問状に対する日本ALS協会からの回答
・先日こちらに掲載した質問状を、代表2名他、ご協力いただいた皆様の連名にて日本ALS協会に提出したところ、以下のような回答をいただきました。

・会長名での御回答をいただいていますので、公平性の観点から、質問者代表2名は実名を公表させていただいています。
・お忙しい中、御回答いただきました日本ALS協会の長尾会長、金澤常務理事他、理事の皆様に感謝いたします。
また質問状作成にあたり、アンケートにご協力いただきました皆様ありがとうございました。

・あくまで質問状に対しての回答をいただくことが目標ではなく、日本ALS協会による「ALSの原因究明・治療法の開発」についての活動をさらに活性化し、ALSの治癒に向けての活動を促進することが目標ですので、これから私たちが何ができるかを考えなくてはなりません。

・アメリカALS協会と比較して予算規模が小さく、これが活動の規模を制約しており、最大の課題と思われます。
当ブログでも、日本ALS協会への入会の呼びかけをさせていただきますが、それだけではなく、さらなる啓発活動が必要と思われます。

・今回のALS協会からの回答について、皆様からのご意見、ご感想をコメント欄にて受け付けます。
よろしくお願いいたします。

(回答の掲載については日本ALS協会の許可をいただいています。この記事も5月中は上に来るように設定しています)

回答1

回答2
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成人血液細胞から神経細胞の効率的な生成に成功
・ALS FORUMのResearch Newsからです

▽ALS患者の組織から多能性幹細胞を生成する手法により、病態機序の解明や、創薬に新たな道が拓けることが期待されています。

▽今回研究者らは、新たな手法により、成人血球細胞から、多能性幹細胞を経ずに、神経前駆細胞を生成し、グリア細胞や中枢ないし末梢の神経細胞を分化誘導することに成功しました

▽この手法は、新鮮な血液サンプルのみならず、貯蔵された凍結血液サンプルを用いることによっても可能であり、これまでに蓄積された血液バンクを用いることができます。

▽この研究によりALSの病態解明と創薬がさらに進展することが期待されます。この研究はカナダ、Mcmaster UniversityのLee JHらにより報告され、5月21日付のCell Reports誌に掲載されました。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/14632
エーザイ:高用量メコバラミンのALSに対する新薬承認を申請
・まっしゃーさんからの情報です
・エーザイがビタミンB12製剤である、高用量メコバラミンのALSに対する新薬承認申請をしたとのことです
元記事
http://www.eisai.co.jp/news/news201535.html
・既に当ブログでも既報の通り、発症12ヶ月以内に治療を開始した患者群において症状進行遅延効果が認められたとの第3相臨床試験の結果を受けてのことです
・早期承認が期待されます
・まっしゃーさんありがとうございました
SOD1変異モデルマウスにおいてビタミンD3欠乏は病態増悪をもたらす
▽研究者らは、SOD1変異モデルマウスにおいて、食餌からのビタミンD3欠乏が、病態進行に及ぼす影響について調べました

▽正常のビタミンD3を投与されたモデルマウス(対照群)と、通常量の2.5%まで極端にビタミンD3投与量を制限されたマウスとで、症状変化が比較されました

▽その結果、ビタミンD3欠乏マウスにおいては、対照群と比較して、雌個体においては、抗酸化酵素であるSOD2の発現量が29%高く(有意差あり)、炎症反応の指標であるIL-6は22%高い結果(有意差なし)でした。

▽一方、雄個体においては、酸化的ダメージの指標である4-HNEは23%高く(有意差なし)、抗酸化酵素であるSOD2は18%低い結果でした(有意差あり)

▽またビタミンD3欠乏雄個体では、ビタミンD3欠乏雌個体と比較して、SOD2は27%低く(有意差あり)、抗酸化酵素であるGPx1は17%少なく(有意差なし)、炎症反応指標のIL-6は29%低い(有意差あり)結果でした。

▽以上の結果は、ビタミンD3欠乏が、SOD1変異モデルマウスの病態増悪をもたらし、その影響は雌個体においてより顕著にみられる可能性を示唆するものです

・管理人注:動物実験での結果であり、この結果がヒトにあてはまるかどうかは不明です。またビタミンDの過剰摂取は有害となる可能性があり、注意が必要です

(この研究はカナダ、York UniversityのMoghimiらにより報告され、平成27年5月28日付のPLoS One誌に掲載されました
TGF-β阻害薬は神経と筋肉幹細胞を再生する
・ALS FORUM、平成27年5月27日付のDRUG NEWSからです。

▽アストロサイトにより産生されるTGF-β1は、ALSにおいて運動神経細胞死をもたらすシグナル経路の主要な構成要素です。

▽TGF-βは脳と骨格筋において、幹細胞の再生能を減弱し、加齢に関与する因子であると考えられています。

▽今回、カルフォルニア大学の研究者らは、TGF-β1シグナル経路の阻害剤(現在抗がん剤として開発中の薬剤)が、海馬の神経細胞新生を促進し、骨格筋の筋肉再生を促進することを報告しました

▽さらに、TGF-β1の阻害剤は、β2-ミクログロブリンなどの炎症マーカーを正常化し、脳や骨格筋の炎症反応を抑制することがわかりました。

▽以上の結果は、TGF-β1阻害剤が、運動神経細胞の生存や筋肉再生に寄与し、ALSの治療薬として有効性が期待できる可能性を示唆するものです

元記事
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/14633
日本ALS協会総会での提案
・5月30日に日本ALS協会の総会が開催されます

・私は会員ですが、遠方のため、参加できません。コメント欄にてかなくんさんより総会に参加される方に、以下のような趣旨の発言、ご提案をいただけないか、お願いがありました。

・建設的なご提案であり、管理人としても賛同いたしますので、記事として取り上げさせていただきます。

・総会に参加される方にご協力いただけますと幸いです。以下、かなくんさんのコメントからの引用です。

**********************************

・(質問状に対する)回答書のNO.3にもありますとおり、資金不足が一番苦労されているとのことです。ALS協会の年間予算(平成27年度一般会計)は、6千万円しかありません。米国ALS協会は、30億円の予算です。患者の人数比で調整しても、日本の10倍以上です。

・原因究明・治療法の開発にしても、この予算額ですと、十分なことができないのは明確です。そのため、まず資金集めに注力すべきだと思います。ファンド委員会という資金集めの委員会はあるようですが、機能していないのではないでしょうか。

・会費は、新たに5000人新規会員を集めても、2千万円にしかなりません。(現在会員数は5千人弱です)そのため、会員集めも大事ですが、まずは企業からの寄付金集めをすべきです。米国ALS協会は、年間6千万円を寄付している企業を10社程度確保しています。日本でもリルテックを発売しているサノフィ、エダラボンの田辺三菱製薬等の製薬会社に働きかけて、寄付金を集める努力をすべきだと思います。また、ヒロさんのように情報発信が得意な方の助けを借りて、寄付金集めのイベントの開催もすべきだと思います。

・予算が増えれば、原因究明・治療法の開発への援助だけでなく、HPの充実で患者さんが望む情報の発信もできます。

・障害者・難病患者に対するヘルパー制度利用時間(支給量)は、自治体によりまちまちです。24時間しているところもあれば、介護保険+若干というところもあります。要望は、各自治体の支援量実績を調査し、ALS協会のHPにリストを公表していただきたいということです。

・人工呼吸器をつけるかどうかの判断をする場合、家族以外の介護時間をどれだけ確保することができるかがポイントになると思います。ネットで相当探したのですが、リストは見つかりませんでした。リストがあれば、現在住んでいる自治体で少なくともどれだけ確保できるかがわかり、隣の市の支給量が多ければ、転居するという選択肢もとれます。また、見える化することにより、自治体間で支給量を増やすという競争心理が働くこともあると思います。

・なお、参考までに以下の組織では、弁護士が支給量を増やす手伝いをしてくれるようです。
介護保障を考える弁護士と障害者の会 全国ネット
http://kaigohoshou.utun.net/

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・またまっしゃーさんによると、実際に代議員以外の参加者が、フロアから発言するのは難しいのではないかとのことでした。
そこで、事務局宛(jalsa@jade.dti.ne.jp)にメールをして、メールを参考にしていただくように、発言することも選択肢ではないかとご提案がありました。

・引き続き皆様からのご意見を募集いたします。よろしくお願いいたします
患者申出療養制度の法案成立
・まっしゃーさんから提供いただいた情報です
・患者申出療養制度を含む法案が本日参院で可決されたとのことです。
・まっしゃーさんありがとうございます。
元記事
http://mainichi.jp/select/news/20150527k0000e010199000c.html
・来年からの施行になるようですが、海外で新薬が承認された場合、その薬を日本で自己負担で使用する際に、具体的にどのような手続きをふむことになるのか、見極める必要がありそうです。
4-HydroxynonenalはTDP-43の不溶化と細胞内局在異常をもたらす
・国立精神・神経医療研究センターの研究グループからの報告です

▽TDP-43はALSにおけるユビキチン陽性封入体の主要な構成成分です。封入体中の異常TDP-43はリン酸化しており、核内から細胞質内に局在部位が変化しています。

▽TDP-43蛋白質の変化、とくに不溶化および凝集と細胞質内での異常局在化がALSの病態に関与すると考えられています。

▽4-Hydroxynonenal(HNE)は、酸化的ストレスのマーカーですが、孤発性ALS患者における濃度上昇が報告されています。しかしTDP-43へのHNEの影響は不明でした。

▽今回研究者らはこの点について調べ、HNEがTDP-43の不溶化、リン酸化と細胞質への異常局在化を引き起こすことを細胞モデルで明らかにしました。TDP-43蛋白質のシステイン残基が、HNEに起因したTDP-43の不溶化に重要であることがわかりました。

▽以上の結果は、HNEがTDP-43蛋白質の性質を変化させ、ALSの病態の原因となりうる可能性を示唆するものであり、HNE濃度の上昇がALSのリスク因子となる可能性を示唆するものです

(この研究は、国立精神・神経医療研究センターのKabutaらにより報告され、平成27年5月18日付のBiochemical and biophysical research communications誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X15009419
ALSに対する自己骨髄単核球移植の有効性
▽自己骨髄単核球移植の有効性についての後顧的観察研究の報告です。

▽37名の自己骨髄単核球移植を受けたALS患者(標準的リハビリとリルゾール投与も併用)37名と、それに年齢、性別などマッチした移植を受けていないALS患者からなるコントロール群20名とで後顧的に生存期間が比較されました

▽その結果、介入群における平均生存期間は87.76ヶ月であり、コントロール群の平均生存期間は57.38ヶ月であり、発症が50歳未満の群においては、生存期間に有意差を認めました。

▽同時に、自己骨髄単核球移植とリチウムを併用した早期介入群においても、生存期間が長い傾向がありました。

▽以上の結果は、自己骨髄単核球移植による早期介入が、ALSに対して有効である可能性を示唆するものであり、今後の前向き介入研究による検証がまたれます

(この研究は、インド、 Stemasia Hospital and Research CenterのSharmaらにより報告され、平成27年5月15日付のAmerican Journal of Stem Cells誌に掲載されました)
引用元
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4396155/
運動神経変性における新たな視点とALS治療の可能性
・ALS NEWS TODAYの記事からです

▽メキシコの Universidad Nacional Autónoma de Méxicoの研究者らは、運動神経細胞が変性する機構について新たな視点を明らかにし、新規ALS治療法の可能性を報告しました

▽これまで、ALSの運動神経細胞死においては、グルタミン酸神経系の過剰興奮による、興奮毒性が運動神経細胞を傷害することが報告されてきました

▽研究者らは、Caイオンを透過するグルタミン酸AMPA受容体の過剰な活性化が、モデルマウスにおいて運動神経細胞死をもたらすことをこれまでに報告しています。同時に酸化的ストレスとエネルギー代謝異常も運動神経細胞変性に関与していると考えられています

▽今回の研究では、アスコルビン酸と、グルタチオンエチルエステル(GEE)、ピルビン酸、3-ヒドロキシ酪酸などの物質が、モデルラットにおけるAMPA受容体の過剰興奮性による運動神経細胞変性に、どのような影響を与えるかを調べました

▽その結果、持続的なAMPA受容体の活性化は、ラットの筋力低下をもたらし、運動神経細胞死が観察されました。また運動神経細胞死に関連したアストログリオーシスや、アストロサイトの増加が観察されました

▽一方で、ピルビン酸、3-ヒドロキシ酪酸を投与したラットでは、運動神経障害が顕著に減少し、運動神経細胞喪失も減少し、アストログリオーシスも減少しました

▽アスコルビン酸やGEEなどの抗酸化作用を有する物質は、運動神経細胞変性を防ぐ効果がみられなかったことから、研究者らは、運動神経細胞変性においては、エネルギー代謝異常が主要な役割を果たし、酸化的ストレスについてはそれほど大きな影響がないのではないかと考えています

▽以上の結果は、ALS治療法開発において、新たな視点を提供するものとして注目されます

元記事
http://alsnewstoday.com/2015/05/21/new-insights-motor-neuron-degeneration-potential-als-therapies/
バルプロ酸は小胞体ストレスを抑制し、自食作用を促進することでTDP-43起因性の運動神経細胞傷害を減少する可能性
▽近年、TDP-43のC末端断片である、TDP-35やTDP-25などの物質が運動神経変性において重要な役割を果たすと考えられています

▽バルプロ酸は、抗てんかん薬ですが、ALSモデルマウスにおいて、神経保護作用を有する可能性が報告されています。しかしその機序は不明でした

▽今回、研究者らは、バルプロ酸が、TDP-43に起因した運動神経傷害を防ぎ、小胞体ストレスに起因したアポトーシスを抑制する作用があることを報告しました

▽さらに、自食による自己防御作用が活性化し、TDP-43に起因した細胞傷害を抑制する可能性を報告しました。

▽以上の結果は、バルプロ酸が、ALSやTDP-43蛋白症に起因した病態において、治療的に作用する可能性を示唆するものです

(管理人注:動物実験における結果であり、バルプロ酸については、有害作用の可能性もあるため(例えばこちらの論文など:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3179645/)、臨床的には注意が必要です)

引用元
http://www.ijbs.com/v11p0752.htm
ALSモデルマウスにおける超高用量メチルコバラミンの神経保護作用
・エーザイ、徳島大学、東邦大学などで現在進行中のメチルコバラミンの臨床試験に関連して、動物実験での有効性に関する報告です

▽ヒトALS患者での二重盲検試験の結果から、高用量のメチルコバラミンは、筋活動電位の振幅増大効果がある可能性が示唆されています。現在大規模臨床試験が進行中です

▽研究者らは、ALSモデルマウス(wobbler mouse model)を用いて、高用量メチルコバラミンの効果について検証しました

▽3-4週齢のモデルマウスに対して、プラセボないしメチルコバラミン3ないし30mg/kgが連日4週間腹腔内投与され、効果が比較されました。その結果、高用量のメチルコバラミン投与群において、有意に筋力低下が抑制され、上腕二頭筋重量の増加と筋皮神経線維数の増加を認めました

▽以上の結果は、高用量のメチルコバラミン投与が、ALSモデルマウスにおいて症状遅延効果、病態抑制効果を有する可能性を示唆するものです

(この研究は、東邦大学のIkeda Kらにより報告され、平成27年5月8日付のJournal of the neurological sciences誌に掲載されました)
引用元
http://www.jns-journal.com/article/S0022-510X(15)00262-2/abstract
InCell Western法によりTDP-43蛋白症の治療薬候補としてHexachloropheneを同定
▽TDP-43はDNAおよびRNA結合蛋白質であり、ALSなどのTDP-43蛋白症の病態に関与していると考えられています

▽研究者らは、TDP-43をターゲットとする薬剤をスクリーニングするため、InCell Western(ICW)法と呼ばれる、細胞内蛋白質の定量化技法を応用しました。

▽合計281種類の薬剤をスクリーニングした結果、hexachlorpheneと呼ばれる薬剤が細胞内TDP-43濃度を減少させることが判明しました。

▽TDP-43濃度減少効果は、N9ミクログリア細胞およびTDP-43を過剰発現するHEK293細胞の2種類の異なる細胞モデルで検証されました。

▽同時にALSに関連した変異を有する細胞モデルにおいても、hexachlorpheneはTDP-43濃度を減少させました。

▽以上の結果は、TDP-43蛋白症に起因するALSなどの病態に対して、hexachlorpheneが治療的に作用する可能性を示唆するもので、今後の治療薬開発に期待されます

(この研究は、アメリカ University of South FloridaのNarayan Mらにより報告され、平成27年5月15日付のJournal of biotechnology誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168165615001881
ADAR2コンディショナルノックアウトマウスの脊髄運動神経における自食作用:ALSにおける自食過程亢進におけるカルシウムの機能について
・東大の郭先生の研究グループからの報告です

▽ALSの運動神経細胞においては、RNA編集酵素であるADAR2(adenosine deaminase acting on RNA 2)の発現低下が起こり、グルタミン・アルギニン部位におけるRNA編集を受けていない未編集型GluA2の増加がみられます

▽ADAR2の欠損したALSモデルマウスの運動神経細胞では、グルタミン酸AMPA受容体のカルシウムイオン透過性亢進が起こり、それにより運動神経細胞死が起こります

▽発症初期ないし後期のモデルマウスにおいて、自食作用に関連した蛋白質であるLC3とp62の免疫染色は陽性でしたが、発症前のモデルマウスではLC3とp62の発現はみられませんでした。

▽電子顕微鏡による観察では、発症初期のモデルマウスにおいて、最も活発な自食過程の亢進が観察されました。ADAR2が欠損していても、GluA2が正常に編集されるように遺伝子的に操作し、AMPA受容体のカルシウムイオン透過性が正常なマウスでは、自食作用の亢進はみられませんでした。

▽以上の結果は、ADAR2ノックアウトマウスの運動神経細胞における自食過程亢進は、カルシウム透過性亢進に起因することを示唆しています

(この研究は、東京女子医大のShoichi Sらにより報告され、平成27年5月14日付のNeuroscience Letters誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304394015003821
N-アセチル-L-トリプトファンは、ALSモデルマウスの発症遅延と生存期間延長効果を有する
▽N-アセチル-L-トリプトファン(L-NAT)はチトクロームc放出阻害作用とneurokinin 1受容体(NK-1R)拮抗作用を有することが知られています。今回研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスを用いて、L-NATの治療的効果の有無を検証しました

▽L-NATはミトコンドリアによる細胞死経路を抑制し、炎症反応を抑制する効果を有することが期待されています。

▽SOD1変異モデルマウスにL-NATを投与したところ、発症遅延効果、生存期間延長効果、運動機能低下改善効果などが確認されました。

▽今回の結果は、L-NATが脊髄や骨格筋、中枢神経に到達し、作用したことを示唆するものです。L-NATはチトクロームcなどの放出を抑制し、細胞死に関連するcaspase-3などの活性化を抑制しました。L-NATは、運動神経喪失を抑制し、炎症に関与するGFAP濃度やlba1濃度などを減少させ、炎症抑制作用を示しました。

▽以上の結果は、L-NATがALSに対して治療的効果を有する可能性を示唆するものです。

(この研究は、アメリカ、Harvard Medical SchoolのLi Wらにより報告され、平成27年5月15日付のNeurobiology of disease誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0969996115001643
ウルソール酸は骨格筋の再生を促進し、加齢性代謝変化を改善する
▽ウルソール酸はリンゴの皮に多く含まれる脂溶性物質です。ウルソール酸にはいくつかの特徴があるといわれており、重要なものとして、骨格筋における蛋白同化作用があります。

▽そのため、骨格筋の再生作用により加齢過程に影響を与える可能性があります。研究者らは、衛星細胞を用いて、ウルソール酸が抗加齢バイオマーカーであるSIRT1とPGC-1αの発現量に影響を与えるかどうかを調べました

▽その結果、ウルソール酸は、衛星細胞中のSIRT1とPGC-1α発現量を増加させました。さらにマウスを用いて、ウルソール酸の細胞代謝に与える影響を調べました。その結果、ウルソール酸は、細胞内ATP濃度、ADP濃度を変化させ、エネルギー消費に対して影響を与えることがわかりました。

▽同時にウルソール酸は、衛星細胞数を増加させ、骨格筋の再生を促進することがわかりました。

▽以上の結果は、ウルソール酸が、筋萎縮や筋機能障害を伴うALSなどの病態に対して、治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、イラン、Tarbiat Modares UniversityのBakhtiariらにより報告され、平成27年3月2日付のMedical hypotheses誌に掲載されました)
引用元
http://www.medical-hypotheses.com/article/S0306-9877(15)00091-2/abstract
TDP-43に起因した病態を再現するC9ORF72変異モデルマウスの開発
・TDP-43蛋白症に起因するALSの病態を再現する新たなモデルマウスが開発されたとの報告が5月14日付Science誌に掲載されました。これにより、薬剤開発が進展することが期待されます

C9ORF72遺伝子の6塩基の繰り返し配列の過剰伸長に起因したALSと前頭側頭型認知症は、これまで動物モデルが開発されていませんでした。Mayoクリニックの研究者らはこのたび、アデノ随伴ウイルスベクターを用いた方法により、ヒトALS/FTDの病態を再現する動物モデルの開発に成功しました

▽重要なことは、このことにより、TDP-43蛋白症に起因する病態に対する治療薬候補を、動物モデルを用いて探索することが可能になったことです。ALSの基礎研究における大きな進展として注目されています

引用元
http://staugustine.com/news/2015-05-14/breakthrough-mayo-als-research#.VVitw40w-JA
論文
http://www.sciencemag.org/content/early/2015/05/14/science.aaa9344.abstract
超高用量メチルコバラミンの第3相臨床試験
・エーザイなどが協同で行っている日本での第3相臨床試験の結果についての報告がNeurology誌のsupplementに掲載されていました
・2007年から行われている試験のようです

▽超高用量(25mgないし50mg筋注を週に2回)のメチルコバラミン投与のALSに対する有効性と安全性を確認することを目的とした第3相臨床試験が行われました

▽高用量のメチルコバラミンはアクリルアミド神経炎において神経保護作用を有することが報告されており、ALSにおいても筋活動電位の振幅増大効果が報告されています

▽試験は発症3年以内のFVC60%以上の患者が対象となり、プラセボ対照で行われました。182週間で行われ、主尺度は、非侵襲的人工換気の導入などのイベントなしでの生存期間およびALSFRS-Rの変化量で評価されました。

▽プラセボ群には123名、25mg筋注群は124名、50mg筋注群は123名が割り当てられました。

▽発症12ヶ月以内にALSと診断された患者に限定して解析をした結果、イベントなしでの生存期間は用量依存性に有意に延長を認め、ALSFRS-Rの変化量についても、投薬群において有意に減少を認めました。重大な副作用はみられませんでした。

▽一方、発症2~3年後にメチルコバラミン投与を開始した患者においては、治療的効果はあまり期待できないものでした。発症後早期に投与開始された患者については、プラセボ群と比較して統計的に有意な治療効果を認めました。

▽メチルコバラミンの発症後12ヶ月以内での超高用量投与は、ALSの進行遅延効果を有する可能性があります

引用元
http://www.neurology.org/content/84/14_Supplement/P7.060.short?rss=1
NIHなどがグアナベンズの多発性硬化症に対する臨床試験を開始予定
・ALS FORUMのNEWSからです

・以前当ブログの記事でもご紹介し、ALSモデルマウスにおいて治療的効果の報告されたグアナベンズ(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-427.html)ですが、最近グリア細胞の一種で、ミエリン形成を担う役割を有する乏突起膠細胞を保護する作用があることがNature Communications誌にて報告されました(http://www.nature.com/ncomms/2015/150313/ncomms7532/full/ncomms7532.html)

・グアナベンズはFDAに認可されている高血圧治療薬ですが、多発性硬化症モデルマウスにおいて治療的効果が観察されたことから、アメリカ国立衛生研究所などが主導で第1相臨床試験が予定されています。

・同時にALSに対しても治療的効果を有する可能性があることから、今後の臨床試験での検証に期待されています

引用元
http://www.researchals.org/page/news/drug_news/14598
ALSモデルマウスにおいてTLR4欠損は生存期間を延長する
▽ALSの病態において、免疫系に関与するTLR(toll-like receptor)系が病態進行に関与していると考えられています。

▽実際にALSモデルマウスとして知られているwobbler mouseでは、TLR4受容体拮抗薬が運動機能を改善し、ミトコンドリア活性化を減少させることが報告されています

▽今回研究者らはSOD1変異モデルマウスにおいて、TLR4受容体を介したシグナル経路の病態進行における役割を調べました。

▽その結果、病態進行と同時に、活性化したアストロサイトとミクログリアにおいて発現するTLR4受容体の増加が観察されました。TLR4をノックアウトしたSOD1変異モデルマウスでは、筋力改善と、生存期間の延長効果が認められました

▽以上の結果は、TLR4伝達経路が、病態進行期において、機能亢進しており、これを阻害することにより治療的効果が期待できる可能性を示唆しています

(この研究は、オーストラリア、The University of QueenslandのLeeらにより報告され、平成27年5月13日付のJournal of Neuroinflammation誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneuroinflammation.com/content/12/1/90/abstract#
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