ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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201503<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201505
楽天三木谷社長と米SalesforceベニオフCEO、iPS細胞研究に計5億円を寄付
・麦酒王さんからお寄せいただいた情報です。ありがとうございます。
引用元
http://s.news.mynavi.jp/news/2015/04/08/352/index.html?lead
・官民共同による研究の推進は、今後さらに期待される方向性だと思います。
・このブログでもしばしば記事として引用させていただいており、おそらくはALSについての世界で最も活発な交流掲示板を有するALS TDIとよばれる民間施設があります
・ALS TDIは正式には ALS Therapy Development Instituteという非営利のALSに特化した研究機関です。1999年に患者家族により設立され、独立した研究機関を有し、運営資金は主に寄付やグラントの獲得によるものです。
・2013年の運営資金は10億円以上であり、30名以上の研究者が、前臨床段階のものを含めて30種類以上の治療薬候補についての研究を推進しています。
・日本では、このような規模の民間団体の設立は困難かもしれませんが、民間との資金的な連携の元で、ALSに特化した研究施設がCiRA内などに設立されるとうれしいものです。
ビタミンD3は酸化的ストレスと、ALSに関連したSOD1変異から運動神経細胞を保護する
管理人注:細胞モデルを用いた実験結果の報告です。ヒトでの臨床試験の結果ではなく、ビタミンDは脂溶性ビタミンであり過剰摂取は有害性があるため注意が必要です。

▽研究者らは、SOD1変異NSC34細胞(運動神経細胞モデル)、および酸化的ストレス下での野生種NSC34細胞におけるビタミンD3投与の影響を調べました。

▽ビタミンD3は運動神経細胞において、カルシウム結合蛋白質の発現を増加させるといわれており、その結果、カルシウム緩衝機能が増加し、細胞毒性に対する細胞の抵抗性が増すと考えられています

▽ビタミンD3投与は、高用量投与下において過酸化水素投与による酸化的ストレス下細胞の30%、SOD1変異細胞の40%を細胞死から保護しました。これらの効果は用量依存性に高まり、ビタミンD3投与細胞では、細胞内カルシウム濃度の変動が緩和されました。

▽ビタミンD3はSOD1変異細胞ないし酸化的ストレス下細胞において細胞死を防ぐ効果を示し、細胞内カルシウム濃度の変動を緩和しました。以上の結果は、ヒトに対する治療的有効性の可能性を示唆するものであり、今後の臨床試験の実施が期待されます。

(この研究は、アメリカ、University of North CarolinaのSoroka Dらによって報告され、平成27年4月6日付のNeurology誌に掲載されました)
引用元
http://www.neurology.org/content/84/14_Supplement/P2.062.short?rss=1
iPS細胞由来のCD15+、CXCR4+、VLA4+神経幹細胞サブグループの移植によるALSに対する新たな治療法
・ALSモデルマウスに対するヒトiPS細胞由来神経幹細胞移植による治療的効果についての報告です

▽研究者らは、近年、ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞をALSモデルマウスに移植することにより、治療的効果がみられることを報告しています。

▽今回、さらに中枢神経移行性に優れた神経幹細胞のサブグループを抽出し、治療的効果について検討しました。研究者らは、ヒト皮膚由来線維芽細胞からiPS細胞を誘導し、さらに神経幹細胞へと分化させました

▽得られた神経幹細胞の中からCD15+CXCR4+VLA4+などのマーカー陽性細胞のサブグループを抽出し、モデルマウス(SOD1変異)の髄腔内に注入しました。

▽その結果、これらマーカー陽性神経幹細胞は、中枢神経において優れた遊走能を有し、3種類の神経外胚葉性細胞に分化しました。

▽ヒトiPS細胞由来神経幹細胞は、マクログリオーシスを減少させることにより、運動神経細胞の生存期間を有意に延長しました。

▽以上の結果は、iPS細胞由来の神経幹細胞中のサブグループを抽出し移植することにより、ALSに対して有用な治療手段となる可能性を示唆するものです。

(この研究は、イタリア、Milan大学のChiara Simoneらにより報告され、平成27年4月6日付のNeurology誌に掲載されました)
引用元
http://www.neurology.org/content/84/14_Supplement/I8-1A.short?rss=1
NP001第2相臨床試験結果
・4月9日付Neurology誌に免疫系に作用しALSに対する治療的効果が期待されているNP001の第2相臨床試験の結果が報告されました。昨年12月11日の記事でもほぼ同様の内容についてご紹介しています。今回は正式にpeer reviewed journalに結果が公表されました。

▽NP001は炎症細胞である単球、マクロファージに作用し、免疫系を調節することによりALSに対する治療的効果が期待されている薬剤です

▽第2相臨床試験は、136名のALS患者を対象にプラセボ対照二重盲検無作為割付試験として行われました。対象となったのは発症後3年未満で努力性肺活量70%以上などの条件をクリアした患者です。

▽試験は6ヶ月間で行われ、NP001 2mg/kg群、NP001 1mg/kg群、プラセボ群の3群で行われました。有効性については、ALSFRS-Rを尺度とし、過去の臨床試験においてプラセボに割り当てられた群のALSFRS-Rの変化量との比較、プラセボ群とのALSFRS-Rの変化量との比較、およびベースラインからの変化量などで解析されました。

▽治療反応群は、ALSFRS-Rがベースラインから変化しない群と定義されました。

▽試験の結果、NP001の安全性の忍容性が概ね良好であることが確認されました。注入部位の疼痛とめまいが主な副作用でした。

▽有効性については、全体としては、NP001投与群のALSFRS-R尺度の変化量はプラセボ群と統計的な有意差はありませんでした。しかしながら、高用量のNP001投与群でかつ炎症反応が高い群(CRPが高い群)においては病態進行遅延効果が確認されました。

▽さらに、一部の患者群においては、用量依存性に病態進行の遅延効果がみられました。6ヶ月間で病状進行がみられなかった群は、高用量NP001投与群では25%、プラセボ群では11%でした。

▽大半の治療反応群では、炎症に関するマーカー上昇(インターロイキンー18)がベースラインで観察され、ベースラインでリポポリサッカライドが陽性でした。これらは治療開始と共に減少しました。

▽以上の結果は、NP001は神経炎症が亢進している患者群において有効性が期待できることを示唆する結果であり、このことが今後確認されれば、ALSに対する新たな治療戦略になる可能性があります。

引用元
http://nn.neurology.org/content/2/3/e100.short?rss=1
選択的な脱リン酸化制御経路の抑制により蛋白質恒常性異常疾患を治療する
・4月10日付のScience誌に掲載された、ALSに対する新たな治療戦略についての報告です

▽蛋白質のリン酸化はほとんど全ての生物学的過程を制御しています。蛋白質リン酸化酵素は、普遍的な薬物治療のターゲットとなりますが、蛋白質の脱リン酸化酵素をターゲットにする治療戦略については、まだあまり研究されていません。

▽今回、研究者らは、Sephin 1とよばれる選択的な脱リン酸化酵素に注目しました。Sephin 1は小分子であり、選択的、かつ安全にprotein phosphatase 1のサブユニットを抑制します。

▽Sephin 1は選択的にストレス誘発性の細胞過程に関与する脱リン酸化酵素のサブユニットであるPPP1R15Aに結合し、抑制します。さらにそのことにより、適応的なリン酸化シグナル経路を維持し、異常折り畳み蛋白質による細胞傷害性から細胞を保護します。

▽マウスによる実験により、折り畳み異常蛋白の関与している2つの神経変性疾患であるCharcot-Marie-Tooth 1B病モデルマウスと、ALSモデルマウスにおいて、Sephin 1が治療的効果を発揮することが確認されました。

▽以上の結果は、脱リン酸化酵素が治療対象として有用なことを示唆しており、ALSなどの蛋白質折り畳み異常が関与する疾患に対する新たな治療ストラテジーとなる可能性があります。

(この研究はイギリス、ケンブリッジ大学のDas Jらにより報告され、平成27年4月10日付のScience誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencemag.org/content/348/6231/239.abstract
Kadimastem社がALS治療薬の臨床試験を開始を予定
・ALS NEWS TODAYの4月8日付の記事からです

▽今週、イスラエルのバイオ企業であるKadimastem社が、ヒト多能性幹細胞による、ALSに対する臨床試験の開始を、来年に予定していることを公表しました。

▽臨床試験の開始は、前臨床試験段階での良好な実験結果を受けて、FDAが承認に向けての臨床試験を遂行するように推奨したことを受けてのことです。

▽近年、アストロサイトがALSの病態に関与しているとの報告が増えつつあります。Kadimastem社の治療戦略も、幹細胞をアストロサイトに分化させ、移植することで治療効果を期待するものです。
(管理人注:アストロサイトに分化させるという点で、Neuralstem社のNSI-566やBrainstorm社のNurOwnとは異なります)

▽Kadimastem社の幹細胞は、患者自身の細胞から分化させる必要がないため、コストもあまりかからず、診断されてからすぐに移植が可能であるというメリットもあります。

▽臨床試験の早期実施と良好な結果が期待されています

引用元
http://alsnewstoday.com/2015/04/08/kadimastem-to-initiate-a-human-clinical-trial-for-promising-als-therapy/
腫瘍抑制因子のp53は蛋白質恒常性を促進するか
・ALS Forumの4月8日付のResearch Newsからです

▽腫瘍抑制因子であるp53は、DNA損傷から細胞を保護する機能を有することが知られています。このたびPLoS Biology誌に掲載された報告によると、p53は同時に異常折り畳み蛋白質の影響からも細胞を保護する可能性があるとのことです

▽研究者らは、今回の結果を、回虫を用いた実験で、細胞毒性を有する蛋白質凝集体から細胞保護作用を有する変異を探索する最中に発見しました。

▽今回の結果の、メカニズムについての全容は明らかになっていませんが、研究者らはヒトへの応用も可能ではないかと考えています

▽研究者らは、当初、蛋白質の品質を保持する遺伝子を探索していました。SOD1変異を有する線虫を用いて、実験を行いました。この変異を有すると線虫はほとんど運動することが出来ず、細胞傷害性を有する蛋白質から線虫を保護する変異の探索を容易にしました。

▽その中で、運動性が保持された変異の一群が発見されました。その一群の変異遺伝子を探索した結果、2つの変異が同定されました。1つはユビキチン化酵素と関連したufd-2(ubiquitin fusion degradation 2)であり、もう一つはグルタミンをアルギニンに置換するspr-5( suppressor of presenilin 5)とよばれる酵素の変異を有するものでした。

▽これら2種類の酵素が同時に変異した場合に、線虫の運動性は回復しました。さらに、これら2つの遺伝子の変異が同時に存在すると、神経細胞における変異SOD1蛋白質量の減少が観察されました。研究者らはこれら2つの遺伝子をまとめてSUNSとよびました。

▽SOD1変異以外の細胞毒性を有する封入体形成物質についても調べられました。その結果、SUNSの変異は、TDP-43凝集や、過剰伸長グルタミン鎖の凝集なども抑制することがわかりました。実際に変異TDP-43ないし変異FUS遺伝子を有するショウジョウバエALSモデルにおいてもSUNSのノックダウンは神経変性を防ぐことがわかりました

▽ヒトにおけるufd-2に対応する遺伝子はUBE4B(ubiquitination factor E4B)遺伝子であり、spr-5に対応する遺伝子はLSD1(lysine-specific demethylase 1A)として知られています。

▽ヒト胎児由来腎細胞であるHEK293TにSOD1遺伝子変異ないしTDP-43遺伝子変異を導入し、UBE4B遺伝子とLSD1遺伝子を同時にノックダウンしたところ、変異蛋白質の発現量が90%減少しました。

▽LSD1は腫瘍抑制因子であるp53を脱メチル化し、不活性化することが知られています。またUBE4Bもp53の不活性化に関与しています。UBE4BとLSD1をノックダウンしたHEK293T細胞における転写産物解析を行うと、転写因子であるp53による遺伝子発現パターンに類似していることがわかりました。

▽以上の結果から、SUNS変異による神経保護作用は、p53を介した作用であることが考えられました。p53は遺伝子損傷から細胞を保護するのと同時に、蛋白質毒性からも細胞を保護する作用を有する可能性があります。

▽現在、さらにメカニズムの詳細が研究されており、将来的にp53を介した経路が神経変性疾患に対する新たな治療戦略につながる可能性があります。

引用元
http://www.researchals.org/page/news/14449
SOD1変異モデルマウスにおいて、病初期のトレハロース投与は症状緩和効果を有する
▽これまでの研究から、神経変性疾患動物モデルにおいて、自食作用を増強させることにより、変異SOD1蛋白質などの病的な変異蛋白質の蓄積に起因した神経細胞障害や行動症状を改善しうることが示唆されています。

▽今回、研究者らは、ALSモデルマウスにおいて、トレハロースを病初期ないし進行期に投与することで、治療的効果の有無を検証しました。

▽60日齢のSOD1変異モデルマウスに対して、飲水中に2%のトレハロースを混入し、30日間投与されました。その結果、トレハロース投与は、モデルマウスの脊髄における変異SOD1蛋白質濃度と、p62濃度を有意に減少させ、LC-3II濃度を上昇させま した。またトレハロース投与は、有意に症状発現を遅延させ、病態進行遅延効果をもたらしました。

▽しかしながら、発症後の進行期におけるモデルマウスに対してトレハロースを投与したところ、病態進行の遅延効果はほとんど確認できず、生存期間の延長効果もみられませんでした。

▽トレハロース投与は、観察期間のどの時点においても、ミクログリオーシスとアストログリオーシスを抑制しました。以上の結果は、ALSの初期におけるトレハロース投与が、症状緩和作用を有する可能性を示唆するものです

管理人注:ヒトでの臨床試験は未実施であり、ヒトにおける有効性の有無や有害性については確立していないため、積極的な摂取は控えるべきとされています

(この研究は、中国、the Second Hospital of Hebei Medical UniversityのLi Yらによって報告され、平成27年4月1日付のNeuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306452215003103
青色光で筋肉成長 ALS治療法開発に道
・たまごさんからお寄せいただいた情報です。
・河北新報オンライン版の記事ですが、 東北大の研究グループが、青色光により筋肉細胞を成長させることに成功し、将来的にALSなどへの治療応用が期待されるとのことです。

・元記事はこちらです。

・今後の臨床応用に期待されます
・たまごさんありがとうございました。
TweakはALSモデルマウスにおいてアストログリオーシス、ミクログリオーシス、骨格筋萎縮を制御する
▽ALSにおいては、アストロサイトやミクログリアの活性化や、骨格筋の萎縮所見が特徴的にみられます。しかしながら、アストロサイト、ミクログリア、骨格筋の病態過程における機能的な相互関連性については不明でした。

▽今回研究者らは、Tweak蛋白質(tumor necrosis factor-like weak inducer of apoptosis)とその受容体であるFn14がSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄アストロサイトと骨格筋において異常発現していることをみいだしました

▽Tweak蛋白質は、運動神経細胞死を誘発し、アストロサイトのインターロイキン-6放出を刺激し、アストロサイト増殖を誘発しました。

▽SOD1変異モデルマウスにおいて、Tweak遺伝子を除去すると、アストロサイトーシスやミクログリオーシス、骨格筋萎縮などの所見が減少しました。

▽抗Tweak抗体を投与することにより、末梢でのTweak蛋白質の機能を抑制すると、筋萎縮所見が改善し、ミクログリア活性化が減少しました。しかしながら、以上の操作により、運動機能の改善や生存期間の延長効果はみられませんでした。

▽今回の結果は、ALSが多因子疾患であり、ALSの治療戦略として、複数の種類の細胞をターゲットにすることにより、神経変性過程を抑制することができる可能性を示唆するものです。

(この報告は、フランス、Montpellier UniversityのMelissa Bowermanらにより報告され、平成27年3月12日付のHuman Molecular Genetics誌に掲載されました)
引用元
http://hmg.oxfordjournals.org/content/early/2015/03/26/hmg.ddv094.abstract
DJ-1ノックアウトは、ALSモデルマウスにおいて病態増悪と生存期間短縮をもたらす
▽酸化的ストレスは、グルタミン酸の興奮毒性や神経炎症と共に、ALSの病態進行に重要な役割を果たしていると考えられています。

DJ-1遺伝子変異は、蛋白質の正常機能の喪失をもたらし、家族性パーキンソン病や運動神経病の原因になることがしられています

▽DJ-1は酸化的ストレスに反応し、細胞防御機構において重要な役割を果たしています。

▽研究者らは、ALSモデルマウス(SOD1変異)の病態進行における、DJ-1変異の影響を調べるため、SOD1変異マウスのDJ-1遺伝子をノックアウトしました

▽その結果、DJ-1変異を有するモデルマウスでは病態進行の増悪と、生存期間の短縮がみられました。

DJ-1欠損は、グリオーシスを伴う脊髄運動神経細胞喪失と、抗酸化反応の減弱をともないました。DJ-1欠損の影響は、グルタミン酸毒性と酸化ストレスに暴露された運動神経細胞においてみられました。

DJ-1遺伝子由来の蛋白質であるND-13を加えたところ、グルタミン酸や酸化的ストレス暴露による脆弱性が改善しました。

▽以上の結果は、DJ-1遺伝子が、ALSの病態進行に影響を与えることを示唆しており、ALSに対する治療ターゲットとしての可能性を示唆するものです

(この研究は、イスラエル、Tel Aviv UniversityのLev Nらにより報告され、平成27年3月30日付のPLoS One誌に掲載されました)
引用元
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0117190
ALSに関連したVAPB変異は、3T3-L1前脂肪細胞の分化を抑制する
・信州大学のグループからの報告です

▽ALSにおいては、脂質異常症など、代謝機能の変化が報告されています。しかしながら、代謝機能異常発現のメカニズムは不明です。

▽研究者らは、ALSに関連したVAPB(vesicle-associated membrane proteinassociated protein B)遺伝子の特定の変異(P56S)に注目し、3T3-L1 前脂肪細胞の分化に与える影響と、分化に関連した遺伝子発現や、小胞体ストレス応答(UPR)関連遺伝子の発現状況を調べました。

▽変異VAPB遺伝子を組み込んだベクターを野生型の3T3-L1前脂肪細胞に注入し、観察した結果、細胞内の脂肪滴のサイズはVAPB変異細胞において小さいものの、細胞内への脂質蓄積を認めました。

▽変異VAPB蛋白質発現細胞においては、PPARγ2aP2C/EBPαなどの脂肪細胞の分化に関与する遺伝子の発現が観察されませんでした。さらに、小胞体ストレス応答に関与したATF4CHOPなどの遺伝子発現が増加していることが観察されました

▽以上の結果は、変異VAPBはATF4-CHOP経路を活性化することにより、脂肪細胞の分化を抑制することを示唆しており、ALS患者においてみられる脂質異常症は、脂肪組織におけるATF4-CHOP経路の活性化に起因することを示唆するものです

(この研究は、信州大学のTokutakeらにより報告され、平成27年3月27日付の Molecular cell biology research communications誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X15005847
神経変性疾患と異常な免疫応答の新たな関係性を発見
・3月30日付ScienceDailyの記事からです

▽研究者らは、ALSなどの神経変性疾患と関連性のある特定の蛋白質が、同時に生体の免疫応答においても重要な役割を果たしていることをみいだしました

▽Nature Immunology誌に掲載された報告によると、神経変性疾患と炎症反応との関連性についての今回の発見は、ウイルス感染が神経変性疾患の引き金になる可能性についての新たな視点を提供するものになるとのことです。

▽セナタキシン遺伝子(SETX)の変異が、ALSや運動失調動眼失行症とよばれる神経変性疾患の病因となることがしられれていました。しかし、これらの変異がなぜ神経変性疾患に結びつくのかについてはよくわかっていません。

▽今回の研究で、セナタキシンが欠損した状態や、これら神経変性疾患患者由来の細胞が、ウイルス感染に対して異常な応答を示すことがわかりました。特に、過剰な免疫応答につながることが判明しました。過剰な免疫応答はALSの病態と関与しているといわれています。

▽セナタキシン遺伝子変異に起因したALSは若年発症型として知られています。これまでの研究ではセナタキシン遺伝子の機能は、主に酵母細胞により行われてきましたが、今回はヒトの細胞を用いて研究が行われ、セナタキシンは、これまで知られていたよりもずっと強力に遺伝子発現を制御していることがわかりました。

▽セナタキシンは、生体の自然なウイルスに対する免疫応答を制御しており、セナタキシンが欠乏していると、ウイルス抗原への暴露が、過剰な炎症反応につながり、病的な状態につながるとのことです。

▽セナタキシンは、ウイルス応答に関与し、同時に神経変性疾患の病因にもなりうることが判明した最初の蛋白質となります。このことは、ALSと免疫応答との関連性についての理解を深め、潜在的な治療法発見につながる可能性があります。

引用元
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/03/150330112238.htm
平成27年3月号
・当地では桜が咲いています。春に相応しい明るいニュースが入ってくることを期待しています

・さて、3月のALSに関するニュースを振り返ると、国内の研究グループからの研究報告が複数みられました。特に慶應義塾大学のiPS細胞を用いた治療薬候補についての研究報告は、iPS細胞による治療研究が着実に進歩していることを実感させるものでした。国内でも早期に患者由来iPS細胞バンクなどの構築と、それを用いた活発な治療研究が望まれます。

基礎研究
・これまでと全く異なる方向性からALSの病因に迫る試みとして目に付いたのは、3月22日付の記事で、後天的なDNA修飾であるエピジェネティクスの観点から、ALSの病因を調べた報告です。DNAの後天的なメチル化が、ALSの病態進展に対して保護的に機能する可能性が報告されました。新しい創薬ストラテジーが提案されたという点で、興味深いものでした。

・また慶應義塾大学の学会報告についても、既存の薬物について調査されたという点で、実現可能性の高い治療選択肢の可能性であり、今後の進展が期待されます。

Neuralstem
・臨床研究についての最大のニュースはNeuralstem社のNSI-566の第2相臨床試験の結果が公表されたことです。

・以下は管理人の主観的な意見もさしはさんだものになりますので、あくまで1つの意見として解釈ください(誤った解釈かもしれません)

・公表された第2相臨床試験の結果は、残念ながら、当初の期待に沿うものではなかった印象です。理由としては、Neuralstem社が公表したデータの解析手法が、慣例的な手法と異なる方法で公表されており、positiveな結果を導き出そうとした結果とみえるからです。

・慣例的な手法とは、治療前3ヶ月間程度の経過観察期間中のALSFRS尺度の変化量と、治療開始後のALSFRS尺度の変化量との違いを統計的に解析し、有意な病態進行遅延効果がみられるかどうか、について報告するものです。

・しかし、今回のNSI-566については、この方法での結果は公表されず、治療に反応したとされるサブグループを抽出し、報告されています。治療に反応したかどうかについても裏づけがなく、もともと進行がゆるやかであった一群を抽出したにすぎない可能性もあります

・このような状況のため、結果公表後もアメリカのALS TDIの掲示板でもコミュニティの反応はかなり乏しいものでした。そうした書き込みの中でも、治験参加者を知る人の書き込みがあり、実際に12ヶ月間、進行がとまったケースがあるとの書き込みがありました。こうした情報は期待のもてるものですが、確定的なものではなく、今後の情報に注目されます。

GM604
・GM604についてはFDAが早期承認の是非を検討中です。当初の報告が正しければ、最終判断まであと1ヶ月以内と思われます。

・そうした中、3月30日にGenervon社のHPにて”The Innovative and Advanced Science of GM604(GM604の高度で革新的なサイエンス)”との題名で記事が掲載されています。以下一部抜粋して引用します

▽Genervon社は全てのALS患者に速やかに合法的にGM604を提供することを望んでいます。Genervon社はFDAとミーティングを行い、早期承認要請を提出しました。もしFDAから承認された場合、全てのALS患者がGM604を使用することが可能になり、保険会社からの保険もおりるでしょう。

▽FDAが早期承認する可能性は当然のことながら低いものです。しかしながら、GM604が期待できることは明確です。第2a相臨床試験において、努力性肺活量や、ALSのバイオマーカーであるTDP43、SOD1、Tauなどに効果がみられました。小規模の臨床試験であったにも関わらず、統計的な有意差をもって、有効性が示されました

▽アメリカ国外のALS患者に対しての注意書き:Genervon社の臨床試験と承認プロセスはアメリカ国内のみのものですが、FDAの承認は、海外の国における早期承認にとっても重要事項になります。さらにFDAが早期承認を行った場合、国外の患者であっても、各国での承認を待たずに、国によっては合法的にGM604を使用できる可能性があります。

▽Genervon社のGM604に対する興味に感謝いたします(以上Genervon社HPより:http://www.genervon.com/genervon/images/data20150330.pdf)
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