ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201412<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201502
ALSモデルマウスにおける、咀嚼関連運動神経と眼球運動関連運動神経の細胞膜ホメオスタシス異常
・ALSにおいては障害を受けやすい運動神経細胞と、比較的保持される運動神経細胞があります。この両者の違いがどのような点にあるのかについての基礎研究の報告です

▽ALSにおいては運動神経細胞の過剰興奮性が報告されており、興奮毒性による細胞死に先立って観察されます。しかしながら、過剰興奮性が比較的変性を起こしにくい運動神経細胞においてもみられるのかどうかは明らかではありませんでした。

▽また均質な運動神経プール由来の運動神経細胞が全て同様な過剰興奮脆弱性を示すのかどうかも明らかではありませんでした。なぜなら、伝導速度が速く、易疲労性を示す筋線維を支配し、発火閾値の高い運動神経細胞は、伝導速度が遅く疲労抵抗性を示す筋線維を支配する運動神経細胞よりも、より変性を起こしやすいことが知られているからです。

▽研究者らは、咀嚼筋を支配し、ALSにおいて神経変性が生じやすい三叉神経の運動神経細胞の興奮特性と、ALSにおいて神経変性が生じにくく、疾患抵抗性を示す、眼球運動を支配する動眼神経の運動神経細胞の興奮特性とを、発症前のALSモデルマウス(SOD1変異(G93A)マウス)において、電気生理学的に調べました

▽その結果、変異SOD1蛋白質は、全ての運動神経細胞においてみられましたが、過剰興奮性は、全ての運動神経細胞において共通した性質ではないことがわかりました。

▽ALSにおいて脆弱で変性しやすい三叉神経の運動神経細胞においても、発火閾値の高い運動神経細胞では、発火閾値の低下が起こり、一方でもともと発火閾値の低い三叉神経細胞の一群では、発火閾値の上昇が起きていました。このような複雑な変化は、ALSに対して抵抗性の高い眼球運動を支配する運動神経細胞ではみられませんでした。

▽このような三叉神経での発火特性の複雑な変化が、実際に咀嚼関連運動の開始において、障害が生じることが、シミュレーションにおいても示されました、変性しやすい運動神経細胞の興奮特性の変化の、分子病態的なメカニズムを明らかにすることにより、ALSに対する治療戦略の開発につながる可能性があります。

(この研究は、アメリカ、 University of CaliforniaのVenugopalらにより報告され、平成27年1月14日付のJournal of Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneurosci.org/content/35/2/707.abstract
スポンサーサイト
ALSに対するエリスロポエチンの第3相多施設プラセボ対照二重盲検比較試験
・一部で有効性を期待する報告もあったエリスロポエチン製剤ですが、第3相試験の結果は残念なものとなりました

▽イタリアで行われた第3相臨床試験です。この臨床試験では、リルゾール100mgに併用し、エリスロポエチン製剤4万単位ないしプラセボ(偽薬)が静注にて2週間に1回、12ヶ月間投与されました。

▽103名がエリスロポエチン投与、97名がプラセボを投与されました。

▽12ヵ月後の結果は、死亡率や気管切開率、非侵襲的人工換気の導入率、ALSFRS-Rの得点変化など、全てがプラセボとの統計的有意差なく、エリスロポエチン製剤の治療的有効性を確認することはできませんでした

(この研究は、イタリア "Carlo Besta" Neurological InstituteのLauriaらによって報告され、平成27年1月16日付のJournal of neurology, neurosurgery & psychiatry誌に掲載されました)
引用元
http://jnnp.bmj.com/content/early/2015/01/16/jnnp-2014-308996.abstract
ALSモデルマウスにおける神経筋接合部でのグリア細胞の早期からの機能異常
・基礎研究ですが、ALSモデルマウスにおける神経筋接合部でのグリア細胞機能異常についての報告です
・Brainstorm社のNurOwn細胞は、神経幹細胞を髄腔内および筋肉内投与を行っていますが、NurOwn細胞における、グリア細胞由来栄養因子などの産生能が報告されており、有効性があるならば、筋肉内投与の治療的根拠を与える報告かもしれません

▽ALSにおける病態は、運動神経細胞喪失が、神経筋接合部での神経の脱支配に先立って生じます。この神経筋接合部での神経の脱支配の機序についてはよくわかっていません

▽軸索をとりまくシュワン細胞などのグリア細胞の機能亢進が、運動機能低下に先立って起こることが報告されており、これらグリア細胞の病態への関与が注目されています

▽シナプス前のシュワン細胞や神経筋接合部におけるグリア細胞は、神経筋接合部の形態的安定性や、機能的統合、神経筋接合部の修復に関与しています。神経筋接合部の脱神経支配が早期から起こることから、これらグリア細胞の機能異常が脱神経支配に先立って生じていることが推測されます。

▽研究者らは、比較的進行の遅いALSモデルマウス(SOD1変異(G37R)マウス)を用いて、この仮説を検証しました。

▽その結果、生後120日目までの症状発現前においては神経筋接合部は正常な機能を示しましたが、シュワン細胞における細胞内カルシウム濃度は正常群よりも上昇しており、シナプス活動の変化が観察されました。

▽このような不適切なシュワン細胞の機能異常は、神経伝達物質放出量の増加に結びつき、シュワン細胞自身のムスカリン受容体の感受性亢進とも関連していました。

▽シュワン細胞におけるムスカリン受容体の機能変化は、病態発症前から持続しており、発症後の運動神経喪失の脆弱性とも関連していました。

▽これらの結果は、ALSの病態過程におけるシュワン細胞の機能変化を示唆するものであり、シュワン細胞の神経筋接合部維持機能の喪失の可能性を示唆するものです。シュワン細胞の機能異常が、ALSの病態に関与している可能性があります

(この研究はカナダ、Université de MontréalのArbourらによって報告され、平成27年1月14日付のJournal of Neuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.jneurosci.org/content/35/2/688.abstract
ALSにおけるAMP活性化プロテインキナーゼの異常活性化はHuRの分布異常と関連する
・先日AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化異常とALSとの関連性を報告した同じグループがAMPKと別の酵素との関連性について報告しています

▽mRNA代謝異常がALSの病態として報告されています。ヒト抗原R(HuR)は主要なmRNA安定化因子です。

▽研究者らは、AMPK活性の亢進により、HuRの異常な局在化が起こっていることをALS患者の運動神経細胞においてみいだしました。AMPKの活性化は、importin-α1のリン酸化を通じて、HuRの局在部位を変化させることが、マウスモデルでの実験で明らかになりました

▽アデノシンA2a受容体を刺激することにより、AMPKによって引き起こされたHuRの局在化異常が正常化することがわかりました。

▽以上の結果は、運動神経細胞における異常なAMPKの活性化が、HuRの正常分布を乱し、RNA代謝異常を引き起こすことで、ALSの病態に関与している可能性を示唆するものです。同時にアデノシンA2a受容体の活性化やAMPK活性の抑制がALSに対して治療的効果を有する可能性があります

(この研究は台湾、National Defense Medical CenterのLiuらによって報告され、平成27年1月12日付のFederation of European Biochemical Societies lettersに掲載されました)
引用元
http://www.febsletters.org/article/S0014-5793(15)00003-4/abstract
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.