ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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田辺三菱製薬がラジカットのALSに対する適応追加の申請
かなくん さんよりご提供いただいた情報です。
ありがとうございます。

元記事
http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2014/MTPC141113.html

田辺三菱製薬が厚労省にラジカットのALSに対する適応申請を行いました。
今回の適応申請に至った根拠と思われる論文を以下に要約します。

-------- エダラボンのALSに対する有効性と安全性確認のためのプラセボ対照比較試験 -------

▽エダラボンの有効性と安全性を確認するための合計36週間の臨床試験が行われました

▽この試験は、合計36週間からなり、最初12週間は観察期間、その後24週間で、プラセボ対照比較試験が行われました

▽エダラボン投与群に対しては、28日間を1サイクルとして、最初の1サイクル目においては、最初14日間連日エダラボン60mgの点滴が行われ、残り14日間は無投薬の観察期間とされました。2サイクル目から6サイクル目までは、最初14日間のうち10日間でエダラボン60mg点滴が行われ、残り14日間は無投薬の観察期間でした。

▽半年間で合計64回のエダラボン点滴が施行され、プラセボ投与群と経過が比較されました

▽エダラボン投与を受けたのは102名で、プラセボ投与されたのは104名でした。

▽投薬期間の24週間でのALSFRS-R(ALSの機能尺度)の変化量は、エダラボン群では平均-5.70点でしたが、プラセボ群では-6.35点でした。(11月19日訂正済)

▽ALSFRSーRで評価した機能尺度の悪化は、エダラボン群でより小さなものでしたが、統計的な有意差はありませんでした。

▽副作用の出現頻度は両群で有意差はありませんでした

(この報告は岡山大学のK.Abeらによって報告され、2014年10月6日付のAmyotrophic lateral sclerosis & frontotemporal degeneration誌に掲載されました)
引用元
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/21678421.2014.959024

論文公表後、さらに追加試験が行われた結果、良好な結果が得られたため、今回の承認申請に至ったとのことです(11月19日訂正済)
審査結果が注目されます
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ALS患者の30%に存在し、疾病増悪をもたらす遺伝子型を発見
疾病の悪化に寄与する遺伝子型についての報告です。何が病気を悪化させるかの要因がわかることにより、新たな治療戦略の開発に役立つことになります。

▽ALS患者の1/3に存在する遺伝子変異を有するモデルマウスは、通常のALSモデルマウスよりも疾病経過が早いことが判明しました

▽研究グループは高齢発症の神経変性疾患であるParkinson病やアルツハイマー病の脳内において、鉄濃度が上昇する一群が存在することを発見しました

▽彼らは、鉄代謝に関連した遺伝子であるHFE遺伝子の変異がALSの30%に存在することと、ALSと鉄過剰沈着との関連性について、すでに報告しています。

▽今回は、ALSモデルマウスにHFE遺伝子変異を導入し、疾病経過を観察しました。その結果、HFE遺伝子変異を有するモデルマウスは疾病経過が有意に増悪しました。握力の低下が認められ、生存期間が平均4%短縮しました。

HFE遺伝子変異による疾病経過の増悪は、オス個体ではみられず、メス個体においてのみみられたということです。ただし、一般にモデルマウスにおいてはオス個体の方が疾病経過が早いため、予後短縮効果がはっきりしなかった可能性もあるということです

HFE遺伝子変異がどのようにして疾病経過を増悪させるかについても調べられました。変異マウスにおいては、酸化ストレスが増悪し、よりミクログリアの活性化がみられたとのことです。ミクログリアは正常であれば組織修復に関与しますが、過剰に活性化すると組織傷害性に働くということです。

▽同時にHFE変異マウスでは、神経細胞の栄養輸送体であるニューロフィラメントの機能障害もみられたとのことです。そのため、細胞内環境の悪化が起こりやすく、疾病経過を増悪させるのではないかと考えられています。

▽今後臨床試験の結果を解釈する際には、HFE遺伝子の亜型によって、効果を分けて観察する必要があるのではないかと研究者らは述べています。

(この報告はペンシルベニア州立大学のWint Nandarらによって2014年12月付のBiochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease誌に掲載されました)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443914003056
C9ORF72遺伝子変異によるALS/FTDに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド治療
▽前頭側頭型認知症を伴うタイプのALSにおいて、C9ORF72遺伝子の非翻訳領域にある6塩基配列(GGGGCC)の繰り返し数の増加が、最も頻度の高い遺伝子異常であることがわかってきました

▽しかしこの繰り返し配列の増加が、どのようにして細胞死に結びつくのかについては明らかになっていません

▽繰り返し配列の増加したRNAが、RNA結合蛋白質との親和性が変化し、細胞傷害性を獲得するとの説や、有害な蛋白質の産生につながるなどの説があります

▽最近、C9ORF72遺伝子のRNA転写配列に相補的な遺伝子配列を有する、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いることで、過剰反復配列を有するRNAの蓄積が減弱することが明らかになりました

▽このことは過剰反復配列を有するRNAが、細胞死をもたらす要因であることを示唆するものであり、将来的にはアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた治療が、C9ORF72遺伝子変異を有するALS/FTDに対して有望な治療法となる可能性があります

▽アンチセンス・オリゴヌクレオチドによる治療法の探索は、C9ORF72遺伝子変異によるALS/FTDのみならず、SOD1変異によるALS(第1相臨床試験後)、筋緊張性ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症の治療法としても精力的に研究されており、今後の臨床応用が期待されます

(この報告はイタリアMilan大学のRiboldiらによって、2014年12月号のMolecular Neurobiology誌に掲載予定です)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12035-014-8724-7
変異SOD1モデルマウスを用いた研究は意味がないか
コメントでいただいたご意見に対する記事です。
この問いに対する管理人の返答を先に記載させていただくと
「SOD1の研究が孤発性ALSの治療法開発に意味がないかどうかはわからないが、おそらく現段階では意味がないとはいえない」
となります。その理由を以下に記載します。

(管理人注:▼印の文章は、論文の翻訳ではなく、管理人のコメントです。▽印は論文の翻訳です)

▼孤発性ALSとSOD1変異ALSについては病態、発症機序が異なるといわれています。

▼東大の郭先生のグループも孤発性ALSをターゲットとした治療法開発の中で、コンディショナルADAR2ノックアウトマウスを用いて孤発性ALSに特異的な研究を進めておられます

▼このような疾患特異性の高い治療法が成功した場合、高い治療効果が期待できると思われます

▼しかし、孤発性ALSとSOD1変異ALSにおいて、運動神経細胞変性に至る過程に共通点があるのではないかとの報告もあります。

▼京都大学の山中先生らが今年8月に公表したヒトiPS細胞を用いたALS論文でも、iPS細胞の有効性の確認にはSOD1変異モデルマウスが用いられています(論文:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4175543)。

▼ALSに対する唯一の保険適応薬剤である、リルゾールは、グルタミン酸毒性を抑制することによりALSに対して治療的に作用するとされますが、SOD1変異マウスにおいてもリルゾールの有効性が確認されています。

▼孤発性ALSとSOD1変異ALSの間で、病態的な共通経路が存在し、SOD1変異モデルマウスを実験的に用いることの妥当性を支持する論文が出版されています。以下は論文の抄録です

--- ヒト孤発性ALSにおけるバイオマーカーのSOD1変異モデルマウスにおける発現 ---

▽研究者らは、ヒト孤発性ALSの骨髄間葉系幹細胞において、2つのALS関連新規バイオマーカーと2つの既知のマーカーを見出しました。新規マーカーの1つはTDP-43で、もう1つはSLPI(secretory leukocyte protease inhibitor)であり、既知のマーカーはCyFIP2とRbBP9です。

▽これら4つの孤発性ALSマーカーがSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、どのように組織内において発現しているか、どの病期において発現するかなどを調べました。

▽SOD1変異モデルマウスにおいて見出されたこれらマーカーは、ヒト孤発性ALSの骨髄間葉系幹細胞において見出されたものと、時空間的特徴が一致することがわかりました。

▽これらの結果は、孤発性ALSと家族性ALSとの間に分子病態的に共通の病態発現経路が存在することを示唆しています。

▽さらに、これらの結果は、SOD1変異モデルマウスと分子的マーカーを、ALS治療薬開発の評価目的に用いることの妥当性を与えるものと思われます。

引用元
http://hmg.oxfordjournals.org/content/22/23/4720.abstract

▼また以下の論文は、SOD1変異マウスとTDP43変異マウスとの間に共通の病態経路が存在するとの比較的最近の報告になります

--- 変異SOD1蛋白質ないし変異TDP43蛋白質を有する星状膠細胞はNaチャネルとニトロ酸化ストレスを介して運動神経細胞死をもたらす ---

▽ALS発症に関連すると思われるSOD1やTDP-43などの原因遺伝子がいくつか特定されています。変異SOD1蛋白質を発現する星状膠細胞はALSの病態に強く関与していると考えられます

▽研究グループは変異SOD1蛋白質を発現する星状膠細胞は、細胞傷害性因子を含んでおり、これが運動神経細胞の電位依存性Naチャネルを活性化することにより、運動神経細胞死をもたらすことを示しました。

▽一方で、最近の研究では、変異TDP-43蛋白質を発現する星状膠細胞もALSの病態に関与しているといわれています。

▽今回研究グループは、異なる変異を有する星状膠細胞が、運動神経細胞死をもたらす細胞傷害因子を放出するかどうか、もしそうであれば共通した病態経路を介しての作用かどうかについて調べました。

▽正常脊髄細胞を、変異SOD1蛋白質発現星状膠細胞ないし変異TDP-43蛋白質発現星状膠細胞と同時に培養を行いました。そのような状況下では、30分から1時間のうちにニトロ酸化ストレスのマーカーであるDCFが蛍光を発し、数日で細胞死に至ります

▽抗酸化剤のTroloxやesculetinと同時に培養を行うと、運動神経細胞の生存期間が大幅に延長しました。さらにNaチャネルブロッカーを投与することにより、ニトロ酸化ストレスが減弱し、運動神経細胞死も防ぐことができました

▽これらの結果は、2つのまったく異なるALSモデルが、共通したプロセスにより運動神経細胞死をもたらすことを示唆しています。

引用元
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3916762/

▼以上のような報告もあるため、このサイトでは、あまり主観的な判断をさしはさまず、目に付いた論文の抄録やニュース記事を可能な範囲で翻訳しています。ただし先の不飽和脂肪酸の論文のように、論文の解釈をそのまま日常生活に適応することは時期尚早と思われる場合には、注釈をいれさせていただきます。

▼そもそも変異SOD1蛋白質がどのようにして運動神経細胞死をもたらすのか、孤発性ALSでは何が運動神経細胞死をもたらすのか、についてわかっていないため、孤発性ALSの治療法研究にSOD1の研究が意味がないかどうか、について明確な結論をだすことは現段階ではできません。

▼将来的に全ての病態機序が明らかになった場合、結果的に変異SOD1での研究は孤発性ALSの研究にとってあまり意味がないものであったという結論になるかもしれません。しかしそれをまってから治療法を開発するのは遅いですし、治療法の探索自体が病態機序の解明につながります。そのため現段階でもALSに対する治療法の探索がSOD1変異マウスを用いて精力的に行われています。

▼ALSに関する研究論文数は年々増加の一途で、この領域の研究は活性化しており、昨年1年間で医学論文データベースのPubmedでは2000本ほどのALSに関する基礎、臨床の論文が公表されています。

▼一刻も早く病態機序の解明と決定的な治療法が実用化されることを期待します
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