ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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田辺三菱製薬がラジカットのALSに対する適応追加の申請
かなくん さんよりご提供いただいた情報です。
ありがとうございます。

元記事
http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2014/MTPC141113.html

田辺三菱製薬が厚労省にラジカットのALSに対する適応申請を行いました。
今回の適応申請に至った根拠と思われる論文を以下に要約します。

-------- エダラボンのALSに対する有効性と安全性確認のためのプラセボ対照比較試験 -------

▽エダラボンの有効性と安全性を確認するための合計36週間の臨床試験が行われました

▽この試験は、合計36週間からなり、最初12週間は観察期間、その後24週間で、プラセボ対照比較試験が行われました

▽エダラボン投与群に対しては、28日間を1サイクルとして、最初の1サイクル目においては、最初14日間連日エダラボン60mgの点滴が行われ、残り14日間は無投薬の観察期間とされました。2サイクル目から6サイクル目までは、最初14日間のうち10日間でエダラボン60mg点滴が行われ、残り14日間は無投薬の観察期間でした。

▽半年間で合計64回のエダラボン点滴が施行され、プラセボ投与群と経過が比較されました

▽エダラボン投与を受けたのは102名で、プラセボ投与されたのは104名でした。

▽投薬期間の24週間でのALSFRS-R(ALSの機能尺度)の変化量は、エダラボン群では平均-5.70点でしたが、プラセボ群では-6.35点でした。(11月19日訂正済)

▽ALSFRSーRで評価した機能尺度の悪化は、エダラボン群でより小さなものでしたが、統計的な有意差はありませんでした。

▽副作用の出現頻度は両群で有意差はありませんでした

(この報告は岡山大学のK.Abeらによって報告され、2014年10月6日付のAmyotrophic lateral sclerosis & frontotemporal degeneration誌に掲載されました)
引用元
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/21678421.2014.959024

論文公表後、さらに追加試験が行われた結果、良好な結果が得られたため、今回の承認申請に至ったとのことです(11月19日訂正済)
審査結果が注目されます
ALS患者の30%に存在し、疾病増悪をもたらす遺伝子型を発見
疾病の悪化に寄与する遺伝子型についての報告です。何が病気を悪化させるかの要因がわかることにより、新たな治療戦略の開発に役立つことになります。

▽ALS患者の1/3に存在する遺伝子変異を有するモデルマウスは、通常のALSモデルマウスよりも疾病経過が早いことが判明しました

▽研究グループは高齢発症の神経変性疾患であるParkinson病やアルツハイマー病の脳内において、鉄濃度が上昇する一群が存在することを発見しました

▽彼らは、鉄代謝に関連した遺伝子であるHFE遺伝子の変異がALSの30%に存在することと、ALSと鉄過剰沈着との関連性について、すでに報告しています。

▽今回は、ALSモデルマウスにHFE遺伝子変異を導入し、疾病経過を観察しました。その結果、HFE遺伝子変異を有するモデルマウスは疾病経過が有意に増悪しました。握力の低下が認められ、生存期間が平均4%短縮しました。

HFE遺伝子変異による疾病経過の増悪は、オス個体ではみられず、メス個体においてのみみられたということです。ただし、一般にモデルマウスにおいてはオス個体の方が疾病経過が早いため、予後短縮効果がはっきりしなかった可能性もあるということです

HFE遺伝子変異がどのようにして疾病経過を増悪させるかについても調べられました。変異マウスにおいては、酸化ストレスが増悪し、よりミクログリアの活性化がみられたとのことです。ミクログリアは正常であれば組織修復に関与しますが、過剰に活性化すると組織傷害性に働くということです。

▽同時にHFE変異マウスでは、神経細胞の栄養輸送体であるニューロフィラメントの機能障害もみられたとのことです。そのため、細胞内環境の悪化が起こりやすく、疾病経過を増悪させるのではないかと考えられています。

▽今後臨床試験の結果を解釈する際には、HFE遺伝子の亜型によって、効果を分けて観察する必要があるのではないかと研究者らは述べています。

(この報告はペンシルベニア州立大学のWint Nandarらによって2014年12月付のBiochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease誌に掲載されました)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443914003056
C9ORF72遺伝子変異によるALS/FTDに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド治療
▽前頭側頭型認知症を伴うタイプのALSにおいて、C9ORF72遺伝子の非翻訳領域にある6塩基配列(GGGGCC)の繰り返し数の増加が、最も頻度の高い遺伝子異常であることがわかってきました

▽しかしこの繰り返し配列の増加が、どのようにして細胞死に結びつくのかについては明らかになっていません

▽繰り返し配列の増加したRNAが、RNA結合蛋白質との親和性が変化し、細胞傷害性を獲得するとの説や、有害な蛋白質の産生につながるなどの説があります

▽最近、C9ORF72遺伝子のRNA転写配列に相補的な遺伝子配列を有する、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いることで、過剰反復配列を有するRNAの蓄積が減弱することが明らかになりました

▽このことは過剰反復配列を有するRNAが、細胞死をもたらす要因であることを示唆するものであり、将来的にはアンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いた治療が、C9ORF72遺伝子変異を有するALS/FTDに対して有望な治療法となる可能性があります

▽アンチセンス・オリゴヌクレオチドによる治療法の探索は、C9ORF72遺伝子変異によるALS/FTDのみならず、SOD1変異によるALS(第1相臨床試験後)、筋緊張性ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症の治療法としても精力的に研究されており、今後の臨床応用が期待されます

(この報告はイタリアMilan大学のRiboldiらによって、2014年12月号のMolecular Neurobiology誌に掲載予定です)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12035-014-8724-7
変異SOD1モデルマウスを用いた研究は意味がないか
コメントでいただいたご意見に対する記事です。
この問いに対する管理人の返答を先に記載させていただくと
「SOD1の研究が孤発性ALSの治療法開発に意味がないかどうかはわからないが、おそらく現段階では意味がないとはいえない」
となります。その理由を以下に記載します。

(管理人注:▼印の文章は、論文の翻訳ではなく、管理人のコメントです。▽印は論文の翻訳です)

▼孤発性ALSとSOD1変異ALSについては病態、発症機序が異なるといわれています。

▼東大の郭先生のグループも孤発性ALSをターゲットとした治療法開発の中で、コンディショナルADAR2ノックアウトマウスを用いて孤発性ALSに特異的な研究を進めておられます

▼このような疾患特異性の高い治療法が成功した場合、高い治療効果が期待できると思われます

▼しかし、孤発性ALSとSOD1変異ALSにおいて、運動神経細胞変性に至る過程に共通点があるのではないかとの報告もあります。

▼京都大学の山中先生らが今年8月に公表したヒトiPS細胞を用いたALS論文でも、iPS細胞の有効性の確認にはSOD1変異モデルマウスが用いられています(論文:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4175543)。

▼ALSに対する唯一の保険適応薬剤である、リルゾールは、グルタミン酸毒性を抑制することによりALSに対して治療的に作用するとされますが、SOD1変異マウスにおいてもリルゾールの有効性が確認されています。

▼孤発性ALSとSOD1変異ALSの間で、病態的な共通経路が存在し、SOD1変異モデルマウスを実験的に用いることの妥当性を支持する論文が出版されています。以下は論文の抄録です

--- ヒト孤発性ALSにおけるバイオマーカーのSOD1変異モデルマウスにおける発現 ---

▽研究者らは、ヒト孤発性ALSの骨髄間葉系幹細胞において、2つのALS関連新規バイオマーカーと2つの既知のマーカーを見出しました。新規マーカーの1つはTDP-43で、もう1つはSLPI(secretory leukocyte protease inhibitor)であり、既知のマーカーはCyFIP2とRbBP9です。

▽これら4つの孤発性ALSマーカーがSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、どのように組織内において発現しているか、どの病期において発現するかなどを調べました。

▽SOD1変異モデルマウスにおいて見出されたこれらマーカーは、ヒト孤発性ALSの骨髄間葉系幹細胞において見出されたものと、時空間的特徴が一致することがわかりました。

▽これらの結果は、孤発性ALSと家族性ALSとの間に分子病態的に共通の病態発現経路が存在することを示唆しています。

▽さらに、これらの結果は、SOD1変異モデルマウスと分子的マーカーを、ALS治療薬開発の評価目的に用いることの妥当性を与えるものと思われます。

引用元
http://hmg.oxfordjournals.org/content/22/23/4720.abstract

▼また以下の論文は、SOD1変異マウスとTDP43変異マウスとの間に共通の病態経路が存在するとの比較的最近の報告になります

--- 変異SOD1蛋白質ないし変異TDP43蛋白質を有する星状膠細胞はNaチャネルとニトロ酸化ストレスを介して運動神経細胞死をもたらす ---

▽ALS発症に関連すると思われるSOD1やTDP-43などの原因遺伝子がいくつか特定されています。変異SOD1蛋白質を発現する星状膠細胞はALSの病態に強く関与していると考えられます

▽研究グループは変異SOD1蛋白質を発現する星状膠細胞は、細胞傷害性因子を含んでおり、これが運動神経細胞の電位依存性Naチャネルを活性化することにより、運動神経細胞死をもたらすことを示しました。

▽一方で、最近の研究では、変異TDP-43蛋白質を発現する星状膠細胞もALSの病態に関与しているといわれています。

▽今回研究グループは、異なる変異を有する星状膠細胞が、運動神経細胞死をもたらす細胞傷害因子を放出するかどうか、もしそうであれば共通した病態経路を介しての作用かどうかについて調べました。

▽正常脊髄細胞を、変異SOD1蛋白質発現星状膠細胞ないし変異TDP-43蛋白質発現星状膠細胞と同時に培養を行いました。そのような状況下では、30分から1時間のうちにニトロ酸化ストレスのマーカーであるDCFが蛍光を発し、数日で細胞死に至ります

▽抗酸化剤のTroloxやesculetinと同時に培養を行うと、運動神経細胞の生存期間が大幅に延長しました。さらにNaチャネルブロッカーを投与することにより、ニトロ酸化ストレスが減弱し、運動神経細胞死も防ぐことができました

▽これらの結果は、2つのまったく異なるALSモデルが、共通したプロセスにより運動神経細胞死をもたらすことを示唆しています。

引用元
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3916762/

▼以上のような報告もあるため、このサイトでは、あまり主観的な判断をさしはさまず、目に付いた論文の抄録やニュース記事を可能な範囲で翻訳しています。ただし先の不飽和脂肪酸の論文のように、論文の解釈をそのまま日常生活に適応することは時期尚早と思われる場合には、注釈をいれさせていただきます。

▼そもそも変異SOD1蛋白質がどのようにして運動神経細胞死をもたらすのか、孤発性ALSでは何が運動神経細胞死をもたらすのか、についてわかっていないため、孤発性ALSの治療法研究にSOD1の研究が意味がないかどうか、について明確な結論をだすことは現段階ではできません。

▼将来的に全ての病態機序が明らかになった場合、結果的に変異SOD1での研究は孤発性ALSの研究にとってあまり意味がないものであったという結論になるかもしれません。しかしそれをまってから治療法を開発するのは遅いですし、治療法の探索自体が病態機序の解明につながります。そのため現段階でもALSに対する治療法の探索がSOD1変異マウスを用いて精力的に行われています。

▼ALSに関する研究論文数は年々増加の一途で、この領域の研究は活性化しており、昨年1年間で医学論文データベースのPubmedでは2000本ほどのALSに関する基礎、臨床の論文が公表されています。

▼一刻も早く病態機序の解明と決定的な治療法が実用化されることを期待します
不飽和脂肪酸は性別依存性にALSモデルマウスの生存期間と酸化的修飾に影響を与える
▽脂質過酸化物がALSを含む神経変性疾患に与える影響については、過酸化物となりやすく、抗酸化作用の弱い多価不飽和脂肪酸の研究を中心に進められてきました

▽今回の研究において、研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用い、組織における脂肪酸組成を変化させるため食餌内容の調整を行い、生存期間や、発症時期、蛋白質とDNAの酸化的修飾にどのような影響を与えるを調査しました

▽その結果、生存期間と症状進展は、食餌中の不飽和脂肪酸量と性別に依存し、メス個体では不飽和脂肪酸が多いと病態進展が早いことがわかりました。

▽高不飽和脂肪酸食は、蛋白質のカルボニル化、糖化などの修飾が増加し、ミトコンドリアDNAの酸化マーカーである8-oxo-dGの増加がみられました。

▽DNA損傷反応のマーカーであるヒストンH2AXの免疫染色により、高不飽和脂肪酸食は、ミトコンドリア核におけるフリーラジカル反応を減弱させることがわかりました。ミトコンドリアDNAの酸化指標である8-oxo-dGの増加は、DNA損傷反応の増加とは関連しません。

▽全体として、高多価不飽和脂肪酸含有食は、SOD1変異ALSモデルマウスのメス個体において病態進展を増悪させることが判明しました。

(この結果はスペインUniversitat de LleidaのCacabelosらにより2014年12月のNeuromolecular medicine誌に掲載予定です)
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12017-014-8317-7

(管理人注)
▽動物モデルでの結果であり、ヒトへの一般化はできません

▽動物モデルにおいて、同様に不飽和脂肪酸であるω-3多価不飽和脂肪酸の影響を調べ、SOD1変異モデルマウスでの病態増悪を報告した論文(http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0061626)があります

▽この論文では、食事中のω-3不飽和脂肪酸の量に注意するよう述べています

▽ω-3不飽和脂肪酸(EPAやDHAなど)については、確定的ではないものの精神疾患に対しては比較的良好な結果が報告されているものもありますが、ALSについては動物実験レベルではあまり良くない状況のようです

▽ただし、進行期ALSに対する高カロリー摂取療法の第2相臨床試験の論文(http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)60222-1/fulltext)では高炭水化物にしても高脂肪にしても、経腸栄養のカロリーを125%増加させた方が、通常カロリー摂取よりも良好な予後が報告されていることから、低不飽和脂肪にして結果的にカロリーが落ちてしまうことはよろしくないようです。
Neuralstem社、NSI-566の第1相臨床試験の長期経過について
Neuralstem社のPress Relaeseからです

▽Neuralstem社の神経幹細胞であるNSI-566を用いた第1相臨床試験の結果、移植したNSI-566神経幹細胞は、移植を受けた6名のALS患者において、移植後最大で2.5年生着していることがわかりました。

▽移植後当初は免疫抑制剤を使用し、NSI-566に対する免疫応答が抑制されていましたが、免疫抑制剤を中止後の期間と、移植を受けた脊髄部位のDNA組成との関連がなかったとのことで、このことは免疫抑制剤を中止後も、移植されたNSI-566細胞が長期間生着していたことを示唆するものだということです。

▽NSI-566由来のDNAの比率は、全DNAの0.67-5.04%でした。

▽NSI-566による治療が成功するためには、NSI-566の長期間にわたる生着と分化が必要でした。これにより、NSI-566由来の神経栄養因子による運動神経細胞の保護が期待され、NSI-566はALS罹患運動神経細胞に対する看護的機能を発揮することが期待されます。

▽今回の結果は、実際にNSI-566細胞が長期間生着し、期待通りに分化することを証明したものといえます。

▽現在NSI-566を用いた第2相臨床試験が進行中で、移植手術は2014年7月に終了しました。さらに多施設での臨床試験の開始が2015年に予定されています。NSI-566はFDAよりorphan drug(希少疾病用医薬品)としての認可を得ています

元記事
http://investor.neuralstem.com/2014-11-10-Neuralstem-Announces-Publication-Of-Long-Term-Cell-Survival-From-Phase-I-NSI-566-ALS-Study-In-The-Journal-Annals-Of-Clinical-And-Translational-Neurology
再生医療に保険適応
いつも情報提供をいただいている麦酒王さんからの情報です。

以下の中日メディカルサイトの記事からの引用です
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20141107150316540
再生医療に公的医療保険の適応が承認されました。
ここでいう、再生医療とは、iPS細胞、ES細胞、そして東大で進行中のアデノ随伴ウイルスベクターなどを用いた遺伝子治療などが含まれます。
今後進展するであろう新たな治療技術が、速やかに臨床現場で適応されるために、重要な一歩といえます。

麦酒王さん、ありがとうございました。
自食作用に関連したFYVE蛋白質はALSにおける折り畳み異常蛋白質の除去を促進する
▽自食作用に関連した蛋白質であるFYVE蛋白質(Alfy)は凝集した蛋白質を選択的に分解する作用を有します

▽研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスにおいて、変異SOD1蛋白質凝集体中にAlfyが存在することをみいだしました。

▽Alfyの過剰発現により、オートファゴソーム-ライソゾーム経路を通じて変異蛋白質発現が減少し、変異蛋白質の毒性が減弱することがわかりました

▽細胞モデルにおいて、Alfy遺伝子をノックダウンすると、NSC34細胞からの変異蛋白質の除去が障害されることがわかりました。

▽Alfy蛋白質はALSの病態に役割を果たしていることが推定され、Alfy蛋白質がALS治療の有望なターゲットとなる可能性があります。

(この結果は中国Hebei医科大学のHanらにより報告され、2014年11月11日付のIn vitro cellular & developmental biology. Animal誌に掲載されました)
引用元
http://link.springer.com/article/10.1007/s11626-014-9832-4
x(c)-系はミクログリア機能に影響を与え、x(c)-系の不活性化がALSモデルマウスの病態改善をもたらす
▽ALSに病態進行にミクログリアが関与している可能性が報告されています。しかし、ALSにおけるミクログリア由来の細胞傷害因子はほとんどわかっていませんでした。

▽ALSでは興奮毒性が運動神経細胞死の主要な要因であるとの説が提唱されており、研究グループは、活性化ミクログリアのx(c)-系(軽鎖サブユニットxCTを有するシステイン/グルタミン酸交換輸送体)によるグルタミン酸過剰放出が神経変性をもたらすとの仮説を提案し、検証を行いました

▽ALSの病態進行過程において活性化したミクログリアにおいては軽鎖サブユニットxCTの発現が誘導されます。軽鎖サブユニットの増加は、SOD1変異モデルマウスの脊髄中とミクログリア中において観察されました。

▽軽鎖サブユニットxCTの増加は、ALS患者の脊髄中からも検出され、炎症反応の増加を示唆するものと思われます。

▽モデルマウスにおいて遺伝子レベルで軽鎖サブユニットを除去した結果、ミクログリアからの炎症促進性物質や、神経毒性を有する物質(TNFαやIL6、NOなど)の放出が減少しました。一方で抗炎症作用や細胞を保護する作用のあるYm1/Chil3などの物質は増加しました。

▽軽鎖サブユニットxCT除去ALSモデルマウスでは、驚くべきことに発症の時期が早まりました。しかし、その後の病態進行はよりゆるやかで、運動神経細胞の生存期間も延長しました。

▽病態進行の緩徐化はミクログリア由来のグルタミン酸が除去されたことによるものと思われます。

▽これらの結果は、x(c)-系がミクログリアの活動性に影響を与え、ALSにおける運動神経細胞変性に影響を与えていることを示唆しています。さらに、x(c)-系を不活性化することで、ALSの病態進行を、発症後においても緩やかにすることができる治療的可能性を示唆するものと思われます。

(この研究結果はフランスSorbonne大学のMesciらにより報告され、2014年11月10日付のBrain誌に掲載されました)
http://brain.oxfordjournals.org/content/early/2014/11/10/brain.awu312
変異SOD1モデルマウスにおいて、miR-155の減少はミクログリアの機能回復と予後改善をもたらす
新たな治療ターゲット候補の報告です

▽miR-155はマイクロRNA(短い長さのRNAで他の遺伝子の発現を調節する働きを有すると考えられている)であり、ALSモデル動物とヒトのALSにおいて重要な役割を果たすと考えられています。

▽SOD1変異ALSモデルマウスのミクログリアにおいてmiR-155の発現が多くみられることが報告されています。

▽miR-155は炎症反応に重要な役割を果たしており、SOCS1 mRNAを介して、炎症促進性サイトカインを増加させます。

▽今回研究グループはSOD1変異マウスおよび孤発性ALS、家族性ALSにおけるmiR-155の役割について調べました

▽SOD1変異マウスでは、miR-155の過剰発現がみられました。またミクログリアに関連したP2ry12、Tmem119などのミクログリア生存に必要な分子が減少していました。ミクログリアの貪食作用についても抑制されていました。

▽遺伝子的にmiR-155を除去することにより、SOD1変異マウスはメスで51日、オスで27日間生存期間が延長し、ミクログリアと単球に関連した細胞内分子の異常が回復しました。

▽家族性ないし孤発性ALSの脊髄中ではmiR-155の発現が増加していました。

▽SOD1変異マウスの脳室内にLNA-anti-miR-155とよばれるmiR-155を失活させる人工核酸を注入し、miR-155の機能を抑制することで、減少していたミクログリア関連分子の量が回復し、末梢からの投与によりSOD1変異マウスの生存期間が延長しました

▽以上の結果は、miR-155がALSの治療対象となりうることを示唆しています

(この結果はHarvard Medical SchoolのButovskyらによって報告され、平成26年11月7日付けのAnnals of Neurology誌に掲載されました)

引用元
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24304/abstract
普遍的な降圧薬にALS発症リスク低減効果があるかもしれない
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)は高血圧治療において第1選択となりうる治療薬ですが、この治療薬を一定期間以上内服した場合、ALS発症リスクが減少するかもしれないとの報告です

▽台湾の研究グループは、2002年1月から2008年12月までの間において、台湾全土においてALSと診断された729名の患者と、一般人口から、これらの患者群と年齢や性別、住まいの分布、収入などの特性を一致させた14580名を抽出し、ALS発症に関わる要因を分析しました

▽投薬内容との関連を調べるため、ALS発症の1年前から5年前までの4年間の処方データが収集されました。

▽その結果、ACEIの処方量とALS発症リスクとの間に逆相関関係があることがわかりました。

▽ACEIを4年間で449.5 cDDD(積算1日服用量:1日服用量の何倍内服したか)未満の低用量内服群については、ALSの発症リスクが17%減少しました(統計的に有意な減少ではありませんでした)

▽一方でACEIを4年間で449.5 cDDD(1日処方量の449.5日分)以上内服した高用量群においては、ALS発症リスクが57%減少することが判明し、この減少度は統計的に有意なレベルでした

▽ACEIがALS発症リスクを減少させる理由についてはわからないということですが、ACEIが神経保護作用を有するとの仮説があるということです。

▽研究者らは、その他の降圧薬やステロイド、アスピリン、NSAIDsなどの服用とALS発症リスクとの関連性も検討し、アスピリンとALS発症リスク低下との関連性が見出されたとのことです。しかしアスピリンとALS発症リスク低下との関連性について否定的な過去の報告もあり、さらなる研究が必要と思われます。

▽有識者は、今回の単一の症例対照研究のみで、ACEIのALS発症リスク軽減効果が確立したわけではなく、さらなる研究が必要であり、新たな創薬の第1歩にすぎないとコメントしています

(この研究は台湾 Kaohsiung医科大学のFeng-Cheng Linらにより報告され、2014年11月10日付のJAMA Neurology誌に掲載されました)
引用元
http://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/lou-gehrig-s-disease-als-news-1/common-blood-pressure-medication-may-lower-als-risk-study-693584.html

http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1921784
ピルビン酸メチルはALSに関連したSIGMAR1遺伝子変異によるミトコンドリア障害を防ぐ
▽近年、家族性ALS患者においてSIGMAR1遺伝子変異が新たな原因遺伝子として特定されました

▽研究グループは変異SIGMA1遺伝子を有するNeuro2A細胞を用いて、神経変性のメカニズムについて検討し、ピルビン酸メチルによるATP産生作用を通じて、改善効果がみられるかどうかについて検討しました

▽その結果、過剰発現した変異SIGMA1R蛋白質は、小胞体膜からの蛋白質遊離を促進し、それら蛋白質が細胞質において凝集し、その結果ミトコンドリアのATP産生とプロテアソーム(蛋白質分解を行う酵素)活性を阻害することが判明しました。

▽小胞体ストレス下においては、正常はSIGMA1蛋白質の過剰発現は、小胞体ストレスに起因したミトコンドリア損傷を抑制しますが、変異SIGMA1蛋白質が過剰発現すると、ミトコンドリア損傷が増悪し、自食作用による細胞死が起こることがわかりました。

▽さらに変異SIGMA1蛋白が過剰発現した細胞では、TAR DNA-binding protein(TDP-43)の異常な核外での局在化が生じていることがわかりました。

▽細胞をミトコンドリアのCa輸送体阻害薬のRu360で処理すると、変異SIGMA1蛋白質の過剰発現状態と同様の状況が観察されることから、変異SIGMA1蛋白質によるミトコンドリアのCa輸送の障害が、封入体中での核外TDP-43蛋白質の局在化とユビキチン化をもたらしているのではないかということです。

▽ピルビン酸メチル投与により、ATP産生を促進することにより、過剰な変異SIGMA1蛋白質に起因した、プロテアソームの障害とTDP-43の核外での局在化を防ぐことができたということです。

▽これらの結果は、家族性ALSの一亜型における神経細胞変性は、SIGMA1遺伝子変異に起因した、異常なミトコンドリアにおけるATP産生と、プロテアソーム活性、TDP-43の異常局在などが原因であることを示唆するものです。

SIGMA1遺伝子変異に起因するALSにおいては、ピルビン酸メチル投与によるATP産生促進が治療的戦略となりうるかもしれません

(これらの結果は東北大学のTagashira H.らにより報告され、2014年12月号のBiochimica et biophysica acta誌に掲載予定です)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304416514002888
老いたアストロサイトは運動神経細胞を生存させることができない
平成26年11月7日付のALS FORUMの記事からの引用です

▽高齢者が若者から活気を得ることができるように、老齢な細胞も、幼若な細胞から同様に活力を得ることができるようです。

▽Neurobiology of Aging誌に掲載予定の論文によると、運動神経細胞は幼若なアストロサイトが周囲に存在すると、生存期間が延長することが判明しました。

▽一方で、老齢なアストロサイトは、生存期間の延長させる働きが貧弱なようです。それどころか、ALS発症遺伝子変異を有する老齢アストロサイトでは、さらに運動神経細胞の死滅が起こりやすいことが判明しました。

▽研究者らは、運動神経細胞の若返りの万能薬となりうるかもしれない物質を特定しました。彼らは神経膠細胞由来神経栄養因子(GDNF)が、老齢なアストロサイトが運動神経細胞を保護することに役立つことを発見しました。彼らは、幹細胞からGDNFを産生するアストロサイトを誘導し、正常な老齢ラットと、ALSモデルマウスに使用する実験を予定しています

▽SOD1変異ALSモデル動物より採取されたアストロサイトは、運動神経細胞と一緒に培養すると、運動神経細胞が死滅することが知られています。

▽しかし、今回研究グループは、生後2日目の動物から採取したアストロサイトと運動神経細胞を同時に培養すると、生後150日目の老齢動物から採取したアストロサイトと比較して、運動神経細胞の生存率が向上することを発見しました。

▽老齢アストロサイトでは、なぜ運動神経細胞を保護する働きが弱いかについては、細胞の老化が原因ではないかと考えられています。実際に生後300日目のSOD1変異モデルマウスでは、β-ガラクトシダーゼやp17やp21などの腫瘍抑制因子などの細胞老化のマーカーの増加が見いだされました。

▽また細胞の老化は細胞がストレス下におかれたり、ダメージが蓄積した状況でも起こりやすく、SOD1変異マウスのアストロサイトは、過剰なストレス下におかれ働きすぎた結果、細胞の老化が促進されてしまうのではないかと研究者らは考えています。

▽研究者らは、これらダメージを受けやすいアストロサイトを、GDNFが補助し、SOD1変異モデルラットにおいて、運動神経細胞が保護されることをすでに報告しています。

▽老齢な健常ラットや、SOD1変異老齢マウスから採取したアストロサイトをGDNF投与下で1週間培養すると、アストロサイトが若返るようにみえるとのことです。老化マーカーであるp21や炎症促進サイトカインであるIL-6の産生が減少しました。さらにGDNFで処理したアストロサイトは、運動神経細胞の生存期間を延長させることができました。

▽研究者らは、iPS細胞からGDNF産生細胞を誘導し、SOD1変異家族性ALS患者に投与することで、治療的効果が得られるのではないかと期待しています。また、孤発性ALSの病態においても、老齢アストロサイトの関与があれば、同様の治療手段が適応可能な可能性があると考えています。

GDNFを用いた治療法の臨床応用が期待されます

元記事
http://www.researchals.org/page/news/14093
グアナベンズがSOD1変異ALSモデルマウスの生存期間と運動機能を改善
グアナベンズは高血圧治療薬(α2受容体アゴニスト)ですが、ALSモデルマウスにおいて治療的効果が確認されたとの報告です

▽近年ALSの病態進展に小胞体ストレスが関与していることが様々な実験により推測されています

▽グアナベンズは真核生物翻訳開始因子2α(elF2α)の脱リン酸化を阻害し、抗プリオン蛋白活性を有し、小胞体ストレスを低減する作用を有することが最近報告されています。
またグアナベンズは変異TDP-43遺伝子を有する線虫やゼブラフィッシュなどの動物モデルにおいて、神経変性を抑制し、運動麻痺を軽減することが報告されています。

▽まだALSモデルマウスに対するグアナベンズの有効性については、報告されていませんでした。今回研究グループは、SOD1変異ALSモデルマウスに対してグアナベンズを投与しました

▽その結果、生存期間の有意な延長、発症時期の遅延、運動機能の改善、運動神経細胞の喪失の減少などの効果が見いだされました。

▽さらに蛋白質解析の結果、グアナベンズはリン酸化したelF2α蛋白質の量を大幅に増加させていました(elF2α蛋白の全量は不変)。また小胞体シャペロンであるグルコース調節蛋白質78(BiP/Grp78)やATF6α、IRE1などの小胞体ストレスの指標となる蛋白質量の減少が確認されました。

▽一方で、グアナベンズは抗アポトーシス因子であるBcl-2蛋白質量を増加させ、CHOPやBAXなどアポトーシス促進蛋白質の発現を減少させました。

▽これらの結果は、グアナベンズが、リン酸化したelF2α蛋白質を増加させることで、小胞体ストレスを緩和するメカニズムにより、ALSの治療薬候補となりうることを示唆しています

臨床試験での効果の確認が期待されます

(この報告は Harbin医科大学のJiang HQらにより、2014年9月26日付のNeuroscience誌に掲載されました)
引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S030645221400267X
細胞移植により脊髄損傷患者の麻痺が回復
麦酒王さんよりご提供いただいた情報です。ありがとうございます。

失われた脊髄機能が、嗅球から採取した細胞を培養し、移植することで回復したというニュースです
ALSへの応用が期待される技術です

▽完全な機能損傷を来たした脊髄損傷患者の治療は、損傷した軸索の自然回復が不可能なため、困難な課題でした。

▽症例は38歳の男性で、第9胸髄レベルで、外傷により脊髄の切断損傷を受傷しました。受傷後21ヶ月間、歩行不能で臨床的には完全脊髄損傷の症状を呈していました

▽患者の嗅球の1側が摘出され、嗅神経鞘細胞(嗅覚系において、神経線維の継続的な再生を誘導する役割を有する)と嗅神経線維芽細胞を含む細胞が2週間かけて培養されました。

▽損傷部位よりグリア性瘢痕を除去した後、培養細胞が損傷した脊髄部位の上下に合計24ヶ所、2mmの深さまで移植用の針を刺入し、深さ0.5mm毎に培養細胞を0.5ulずつ、1ヶ所につき計4回移植され、損傷部位周囲全体では合計96回、細胞50万個が移植されました。

▽さらに、自己採取された腓腹神経の移植片が、失われた脊髄の損傷部位を埋め合わせるように8mmの間隔で4片移植されました

▽移植前後において、患者は1日5時間にわたる集中的なリハビリプログラムを受けました。移植3ヶ月目で、患者は部分的な改善の兆しを感じ始めました。さらに移植半年後には、平行棒に沿って、補装具を用いながら最初の1歩を歩むことができました。

▽移植2年後には、補助具を用いて外を歩くことができるようになりました。表在感覚と深部感覚の部分的な回復が得られ、膀胱機能、直腸機能、性機能も部分的に回復したとのことです。

▽研究者らは、嗅神経鞘細胞が、損傷部位の上下をつなぐ移植神経片を渡り橋にして、脊髄神経の再生を刺激したのではないかと考えています。

脊髄損傷の患者さんには革新的な臨床研究かもしれません。
ALSへの応用が期待されます。

元記事
http://www.bbc.com/news/health-29645760
東大と遺伝子治療研究所が第I/II相臨床試験準備を開始
ALS40さんにご提供いただいた話題です。ありがとうございます。

以下の遺伝子治療研究所のホームページのお知らせにて、いよいよ臨床試験の準備開始の告知がありました。
http://www.genetherapy-ri.com/information/category/news#post-122

日本発の遺伝子治療の有効性が確認され、早期に臨床応用されることを期待します。
メキシレチンがALSの筋けいれんと疼痛に有効
抗不整脈薬のメキシレチンがALSの一部の症状に有効性が確認されたとの報告です。

▽最近ALSに対するメキシレチンの有効性と安全性を確認するための第2相臨床試験が終了しました

▽この臨床試験は60名のALS患者を対象として、12週間にわたり、プラセボ投与群、メキシレチン300mg投与群、メキシレチン900mg投与群の3群で有効性、安全性が比較されました

▽有効性については、ALSFRS-R尺度のほか、静的肺活量(SVC)、筋けいれんの頻度などの指標で検討されました

▽その結果、高用量のメキシレチン投与群の数名において、嘔気などの消化器症状が出現した他は、安全性については概ね問題なかったとのことです

▽メキシレチン投与群では、筋けいれん頻度と疼痛が有意に軽減しました。筋けいれんの改善度は、高用量群の方が良好であったとのことです。

▽一方、サンプルサイズが小さかったせいか、ALSFRS-RとSVCについては、群間の有意差はみられませんでした。

(この報告は平成26年11月4日にNEALSのNEWSに掲載されました)

引用元
http://alsconsortium.org/news_mexiletine_study_results.php
遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤のALSへの安全性と臨床応用可能性
エリスロポエチンがALSに対する臨床試験で良好な結果を得たとの報告です

▽エリスロポエチン(主に腎臓で産生され赤血球を産生を促進するホルモン)はALSを初めとした神経変性疾患の動物モデルにおいて、神経保護作用を有することが確認されています。

▽今回研究グループは、高用量の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤をALS患者に反復投与し、安全性と今後の臨床応用可能性について検討しました。

▽実験は2つの段階に分けて行われました。第1段階では26名のALS患者が参加しました。最初の3ヶ月間は、ALSの進行度をALSFRS-R(ALSの機能的な病状を評価する尺度)により観察されました。
次の3ヶ月間で、患者は1ヶ月に1回、35000単位のエリスロポエチンを合計3回、3ヶ月間静注されました。3回の静注が終了後、さらに3ヶ月間、病気の進行状況が観察されました

▽第2段階では、60名の患者が対象となり、治療群と未治療のコントロール群に分けられ、治療群に対しては1ヶ月に1回、エリスロポエチン静注が施行され、合計6回、6ヶ月間にわたり病気の進行状況が確認されました

▽第1段階の結果、重篤な副作用がないことが確認されました。3ヶ月の治療期間中はALSFRS-Rで評価された病気の進行度は、最初3ヶ月間の観察期間中よりもゆるやかでした(最初3ヶ月間の平均悪化度は-3.7点で、治療期間中は-2.6点)。
しかし、治療期間が終了した後の3ヶ月間の病気の進行度は、治療前の3ヶ月間と同程度に戻りました

▽第2段階では、治療群では、未治療群と比較して、統計的に有意な病気の進行の減少がみられました。最初3ヶ月間のALSFRS-R得点の減少度は、治療群では平均-1.8点、コントロール群では平均-3.1点、続く3ヶ月間のALSFRS-R得点の減少度は、治療群では平均-2.1点、コントロール群では平均-3.5点といずれも有意差がありました。

▽今回の有望な結果を受けて、今後はさらに治療間隔を変えたり、用量を変化させた臨床試験を検討するとのことです

今後の臨床応用が期待されます。

(この研究結果はHangyang大学のHyun Young Kimらによって報告され、平成26年10月10日付のJournal of clinical Neurology誌に掲載されました)

引用元
http://thejcn.com/DOIx.php?id=10.3988/jcn.2014.10.4.342
抗炎症作用を有するペプチドであるstearyl-norleucine-VIP(SNV)がALSモデルマウスの生存期間を延長
新たな治療薬候補の報告です。

▽血管作動性腸管ペプチド(VIP)は、慢性的な炎症に起因した神経変性疾患の経過に影響を与える、免疫系の修飾作用を有します。

▽今回研究グループは変異SOD1蛋白によるALSモデルマウスにおいて、stearyl-norleucine-VIP (SNV)が、治療効果を有することを確認しました。

▽SNVを発症前80日間にわたり、1日おきに腹腔内投与したところ、運動機能の低下が出現するまでの時間を3週間以上延長したとのことです。一方で生存期間は2ヶ月ほど延長しました。

▽SNV治療マウスは、脊髄において星状膠細胞やミクログリアによるグリオーシスが抑制され、運動神経細胞も有意に保持されていました。

▽治療期間中、SNVは抗炎症サイトカインであるインターロイキン10の発現を誘導し、ALSに対して治療的と考えられているインスリン様成長因子やBDNFなどの神経成長因子も誘導していることが判明しました。、

▽一方でSNVは、TNF-αやNO、炎症促進性刺激因子であるインターロイキン1βなどの発現を抑制していました。ヒトSOD1蛋白のmRNA発現もSNV投与により減少しました。

▽以上の結果は、SNVやその関連ペプチドがALSの生物学的マーカーとなると同時に、ALS治療薬となりうる可能性を示唆するものです。

(この結果は、ルーヴァンカトリック大学のGoursaudらにより報告され、平成26年10月10日付のExperimental Neurology誌に掲載されました)

引用元
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014488614003148
マインドフルネスとALSの予後の関連
マインドフルネスとよばれる心理的状態とALSの予後が関連する可能性を示唆する報告がなされました

(以下は論文のアブストラクトの翻訳です)

▽マインドフルネスとは、過去の慣例化した習慣に従って日常を送るのではなく、新たな方向性を見出すように模索する心理的状態のことです。マインドフルネスは、身体的健康度と関連し、病気や感染症からの回復速度を改善させたり、疼痛を軽減したり、QOLを向上させたりする効果があるといわれています。

▽これまでALSの心理的状態がALSの病態に与える影響については調べられていませんでした。

▽ALS患者197名を対象として、オンラインのアンケート形式で、マインドフルネスの程度、身体状況、QOL、不安症状やうつ症状などが調べられました。調査は4ヶ月の間隔で2回行われました

▽その結果最初のアンケート時点でのマインドフルネス得点が高い患者については、4ヵ月後にALSの進行がよりゆるやかで、QOLも高く、心理的健康度も高いことがわかりました。

▽この結果は、純粋に生物学的要因による疾患であっても、心理的要因が疾病の進行に影響を与えうることを示唆するものと思われます

(この論文はミラン・カトリック大学心理学部のPagniniらにより平成26年10月31日付のPsychology & health誌に掲載されました)

引用元
http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/08870446.2014.982652?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed&#.VFtGHY0cSJB

(以下管理人の注釈です)

▼マインドフルネスとは、心理学用語で、もともとはベトナム出身の禅宗の僧侶であるティック・ナット・ハンが、ベトナム戦争の影響を避け海外に移住した際に、禅宗の教えを自身の著作で欧米に紹介したことから広まった概念です。

▼最近では、心理学、精神医学の分野で、最も新しい第3世代認知行動療法と呼ばれる心理療法に、マインドフルネスの考え方が取り入れられ、アメリカを中心に臨床場面でも広まりつつあります。

▼マインドフルネスについては、以下のホームページのマインドフルネス尺度(日本語版Five Facet Mindfulness Questionnaire)などが参考になると思います(アクセプタンス&コミットメントセラピーの日本での第一線の研究室である同志社大学 心理学部 武藤研究室より許可をいただいて紹介しています)
http://www.act-japan-acbs.jp/tool.html

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