手の震えや小刻みな歩行などの運動障害が現れるパーキンソン病は、脳内でドーパミン量が低下して起きるとされるが、根本的治療法はない。骨髄は白血病の治療で採取方法が確立しており、東北大の出沢真理教授(細胞組織学)は「近い将来に人間への応用が期待できるだろう」と話している。
チームはパーキンソン病のサル5匹の腰骨に針を刺して骨髄液を採取。骨や神経のもとになる間葉系幹細胞を分離し、さまざまな物質を加えながら培養、ドーパミン細胞に成長させた。
この細胞をドーパミンが減った脳の部分に移植すると、移植4カ月後ぐらいから、餌を取ろうとする手の動きが改善した。少なくとも8カ月後までは効果が持続、解剖すると移植した細胞が生着している様子を確認できたという。 自らの細胞のため拒絶反応がなく、がんにもならなかった。
パーキンソン病の治療研究では、京都大のチームが人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)をドーパミン細胞に成長させてサルの脳に移植し、症状を改善させることに成功している。
河北新報 2012年12月04日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121204t15005.htm
論文(英語)Autologous mesenchymal stem cellderived dopaminergic neurons function in parkinsonian macaques
http://www.jci.org/articles/view/62516
パーキンソン病治療へ光:自己の細胞を用いた新たな治療法の可能性
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20121203_03web.pdf
注記:ドーパミンと神経疾患について
パーキンソン病やアルツハイマー病、ALS、てんかんは、その種の病気です。例えばパーキンソン病は、中脳の黒質と呼ばれる部分の神経細胞が侵され、ドーパミンという神経伝達物質が減っていき、手足などの運動障害が徐々に進行して行く病気です。