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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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201904<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201906
Ku80依存性DNA修復経路の過活動抑制がC9orf72遺伝子変異ALSに治療的効果
▽C9orf72遺伝子の第1イントロンにおける6塩基繰り返し配列の過剰伸長は家族性ALSの主要な原因の1つです。

▽poly(GR)などのジペプチド繰り返し配列蛋白質が細胞毒性を発揮すると考えられています。どのようにすればpoly(GR)による毒性を緩和しうるかはわかっていません。

▽ショウジョウバエALSモデルを用いて、研究者らはpoly(GR)の毒性を緩和しうる遺伝子的修飾因子をみいだしました。

▽驚くべきことにDNA修復蛋白質であるKu80の部分的機能喪失がpoly(GR)に起因した網膜変性を抑制しました。Ku80は患者iPS細胞由来神経細胞や、poly(GR)発現ショウジョウバエなどにおいて発現亢進がみられました。その結果、リン酸化ATMやp53、その他アポトーシス促進蛋白質であるPUMAやBaxなども患者由来神経細胞において発現亢進がみられました。

▽CRISPR/Cas9によるゲノム編集によりKu80の機能を部分的に喪失させるか、もしくは小分子RNAによるKu80遺伝子のノックダウンにより、アポトーシス経路は抑制されました。

▽Ku80依存性DNA修復経路の過活動を部分的に抑制することが、C9orf72遺伝子変異ALSに対して有望な治療戦略となりうる可能性があります

(この研究はアメリカ、University of Massachusetts Medical SchoolのLopez-Gonzalezらにより報告され、2019年4月24日付のPNAS誌に掲載されました)


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ヒスタミン系賦活はALSモデルマウスの病態進行遅延をもたらす
▽ヒスタミンは免疫系を修飾し、神経保護作用、再髄鞘化をもたらす物質です。またALSのミクログリアにおける抗炎症作用を促進します。

▽内因性ヒスタミン放出を促進する物質の神経変性疾患に対する治療的効果が検証されていますが、ALSではまだ調べられていません。今回研究者らはALSモデルマウスにおいてヒスタミン経路の関与を調べました

▽ALS患者における遺伝子発現プロフィールやコピー数多型、一塩基多型などが調べられました。またSOD1変異ALSモデルマウスにおいてヒスタミン前駆体であるヒスチジンが投与され、治療的効果が検証されました。

▽その結果、2つのALS患者のサブグループの脊髄において13のヒスタミン関連遺伝子の発現低下がみられました。またいくつかのヒスタミン関連遺伝子はALSに関連した遺伝子変異と関連性のある遺伝子領域と重複していました

▽ヒスチジン投与はALSモデルマウスの症状を改善し、生存期間を延長しました。

▽以上の結果は、ALSの病態にヒスタミン系が関与していることを示唆するものであり、治療ターゲットとして有用な可能性があります。

(この研究はイタリア、IRCCS FondazioneのApolloniらにより報告され、2019年4月24日付のJournal of cachexia, sarcopenia and muscle誌に掲載されました)
MEK5抑制がTDP-43蛋白質の毒性を緩和する
▽多くの神経変性疾患では折り畳み異常蛋白質の蓄積が主要な病態です。自食作用は凝集蛋白質の分解に関わる主要経路です。ALSにおいては自食経路の機能不全が報告されています。

▽今回、研究者らは自食経路の制御に関与する新たな機序をみいだしました。MEK5の抑制はp62濃度を減少させ、自食経路活性化の指標であるLC3-Iに対するLC3-IIの比率を増加させました。

▽オートファジーリソソーム経路(ALP)の制御因子としてmTORがしられていますが、MEK5はmTORなどを介さない経路によりALPを修飾することがわかりました。

▽さらにMEK5抑制は、TDP-43の異常局在化を緩和し、神経細胞死を抑制しました。以上の結果はMEK5がALSに対する治療ターゲットとなりうる可能性を示唆するものです

(この研究は韓国、Korea Brain Research InstituteのJoらにより報告され、2019年4月17日付のBiochemical and biophysical research communications誌に掲載されました)

自食作用を増強させることによるFUS毒性の緩和
・ALS NEWS TODAYの4月16日付記事からです

▽RNA結合蛋白質の機能異常がALSの病態と関連するといわれています。この機能異常が自食作用を亢進させることにより緩和する可能性がActa Neuropathologica誌に掲載されました

▽RNA結合蛋白質はRNAに結合し、その構造と機能を安定させます。これまでRNA結合蛋白質の機能変化をもたらす、細胞内濃度の変化や細胞内の局在部位の変化などがALSの発症に関与するといわれていました。FUS蛋白質はRNA結合蛋白質であり、この変異がALS発症に関与しています。

▽FUS遺伝子変異ALSは特に重篤な経過をとることが知られています。60%が40歳未満で発症します。

▽FUS遺伝子変異によりFUS蛋白質の細胞質内への異常蓄積が生じます。研究者らはこの異常蓄積がRNA結合蛋白質のバランスを乱し、神経細胞死につながることをみいだしました。

▽しかし、小分子により人工的に自食作用を賦活したところ、異常FUS蛋白質蓄積による細胞傷害作用が軽減し、細胞死が減少しました。

▽これらの結果はALS患者由来組織および患者iPS細胞由来神経細胞、ALSショウジョウバエモデルなどで確認されました。今後臨床試験が予定されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/16/perturbations-in-rbps-linked-to-als-can-be-alleviated-by-autophagy/
コラーゲンXIXα1とALSの予後との関連
▽ALSにおける診断的ないし予後のバイオマーカー探索は重要な課題です。今回、研究者らは268名のALS患者における筋生検および血液サンプルを用いて15の遺伝子と14の蛋白質に関して病態や予後との関連を探索しました

▽その結果、筋組織においてコラーゲンXIXα1蛋白質(COL19A1)の発現量が多いことと、進行が急速であることの関連を示唆する結果が得られました。

▽COL19A1は病態進行のバイオマーカーとなりうる可能性があり、同時に治療ターゲットともなりうる可能性もあり、今後の研究進展が期待されます

(この研究はスペイン、 University of ZaragozaのCalvoらにより報告され、2019年4月1日付のAging Dis.誌に掲載されました)
TDP-43蛋白質の構造変化により神経変性が停止
・ALS NEWS TODAYの4月30日付の記事からです

▽Cell Reports誌に掲載された論文によると、TDP-43の構造変化による活性阻害が神経変性を防ぎうることを示唆する結果が得られました。

▽TDP-43蛋白質はRNAに結合しRNAを安定化させる作用があります。TDP-43の蓄積は特定のRNAの安定性に影響を及ぼし、細胞生存に関わる機能を損傷します。

▽これまで研究者らは、TDP-43のクリアランスを促進させることで神経細胞の生存延長を図ることができることを示しました。しかしながら、TDP-43蛋白質の安定性や排除抵抗性に関与する因子はよくわかっていませんでした。

▽研究者らは特定の変異を導入することによりTDP-43蛋白質の構造を変化させ、RNAに対する結合性を変化させました。RNAに結合できないTDP-43蛋白質は速やかに破壊され、神経細胞損傷に関与することはありませんでした。全体として変異を導入したTDP-43蛋白質により細胞死が70%減少しました。

▽線虫モデルを用いた実験においても、TDP-43蛋白質の構造変化をもたらす変異を有する場合、TDP-43を欠損させたモデルと同等の性質を示すことがわかりました。TDP-43蛋白質の毒性発揮のためには機能的なRNA結合部位の存在が必要であることがわかりました。

▽実用的には、このような介入により、全てのTDP-43が構造変化を起こし、正常なTDP-43が存在しなくなると細胞死につながるため、部分的に機能を喪失させる必要があります。過剰なTDP-43のRNA結合部位の構造変化をもたらしうる介入が、ALSに対する治療戦略として有望な可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/04/30/altering-tdp-43-structure-can-halt-neurodegeneration-in-als-and-ftd/

変異SOD1蛋白質の毒性は低酸素状態で促進する
▽SOD1遺伝子の変異は家族性ALSの病因となります。その病態は変異SOD1蛋白質の不安定化と凝集体形成によると考えられていますが、その他の病態に与える影響はよくわかっていません。

▽SOD1蛋白質はジスルフィド結合を含んでおり、これが安定化において重要な役割を果たしています。この結合の形成には酸素が不可欠であり、研究者らは低酸素ストレスがALSの病態に影響を及ぼしうる可能性を考えました。

▽患者由来線維芽細胞、アストロサイト、iPS細胞由来運動神経細胞などを用いて、低酸素下の影響を調べました。その結果、低酸素はSOD1蛋白質の機能異常を増加させました。患者由来運動神経細胞とアストロサイトの共培養下において低酸素の影響が最も大きく変異SOD1蛋白質の凝集体形成が観察されました。

▽以上の結果は、酸素環境が変異SOD1蛋白質の神経毒性に影響を与える可能性を示唆するものです

(この研究はスウェーデン、Umeå UniversityのKeskinらにより報告され、平成31年3月12日付のActa Neuropathol誌に掲載されました)
プロスタサイリン類似物徐放剤単回投与はALSモデル動物の低酸素毒性を緩和する
・大阪大学などの研究グループからの報告です

▽ALSは酸化的ストレス、アポトーシス、神経炎症、グルタミン酸毒性などの病態により特徴付けられます。

▽脊髄における低酸素および虚血がALSの病態において重要な役割を果たすことが報告されていますが、低酸素が病態進行に及ぼす影響はよくわかっていません。

▽今回、研究者らは低酸素ストレス下における主要な制御因子であるHIF-1α(Hypoxia-inducible factor 1-alpha)がALS患者脊髄およびSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄において発現亢進していることをみいだしました。

▽プロスタサイリン類似物徐放剤であるONO-1301-MSの単回皮下投与により、HIF-1α発現が減少しました。またモデルマウスの脊髄におけるBDNF濃度やATP産生の増加が確認されました。また、進行期における運動機能の有意な改善効果がみられました。

▽以上の結果は、脊髄における局所血流を改善させる治療的介入がALS治療法開発において有望な戦略となる可能性を示唆するものです

(この研究は大阪大学のTadaらにより報告され、平成31年3月27日付のScientific Reports誌に掲載されました)
TDP-43蛋白質相転移をRNA結合で拮抗する
▽TDP-43蛋白症における細胞質内でのTDP-43凝集体形成ははALSの主要な病態と考えられています。

▽TDP-43が凝集するメカニズムはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは光遺伝学的アプローチにより、時空間的にコントロール可能なTDP-43蛋白症を誘発させることで病態を調べました。

▽その結果、封入体形成は、RNA結合により拮抗可能な、TDP-43のLC(low-complexity)領域間の異常な相互作用により生じることがわかりました。

▽ストレス顆粒がTDP-43蛋白症における主要な誘導因子と考えられてきましたが、今回の研究によりこれらRNAが豊富な構造物の外においても封入体形成が生じることがわかりました。

▽さらに、細胞質におけるTDP-43の異常な相転移が神経毒性をもたらし、TDP-43をターゲットとするオリゴヌクレオチドにより封入体形成が阻害され、神経毒性が減弱することがわかりました。

▽以上の結果は、TDP-43蛋白症における病態機序に新たな視点を与えるものであり、今後の治療法開発において有用な可能性があります。

(この研究は、アメリカ、 University of PittsburgのMannらにより報告され、平成31年2月27日付のNeuron誌に掲載されました)
神経保護細胞とALS治療法開発
・ALS NEWS TODAYの3月19日付記事からです

▽動物実験において、シュワン細胞がトロンビンによる有害作用から神経筋接合部を保護する作用を発揮することが判明しました。この研究結果はPLoS Genetics誌に掲載されました。

▽神経筋接合部は神経細胞と骨格筋、および神経細胞を保護する髄鞘を形成するシュワン細胞から形成されます。しかしシュワン細胞が神経筋接合部を維持するメカニズムは不明でした

▽研究者らはerbb3遺伝子を除去し、シュワン細胞を除去したモデルマウスを作成し、神経筋接合部を観察しました。

▽その結果、シュワン細胞が欠如すると、神経筋接合部が未成熟な状態で形成開始し、神経伝達物質であるアセチルコリンがシナプス変性に関与することを見出しました。アセチルコリンが放出されないか、受容体が欠如すると、シナプス変性は阻害されました。

▽遺伝子発現を解析することにより、シュワン細胞の欠如した横隔膜においては、セリンプロテアーゼを阻害する役割を有する2つの蛋白質の濃度が減少していることがわかりました。その蛋白質はserpin C1およびserpin D1であり、トロンビンの機能を阻害する機能を有します。

▽トロンビンの前駆体であるプロトロンビンを欠如させると、神経細胞変性が停止しました。またシュワン細胞の欠如した横隔膜ではプロトロンビンのトロンビンへの転換を促進する凝固因子の第X因子が増加していることがわかりました。

▽シュワン細胞は、筋肉から放出される有害因子を阻害することにより、神経筋接合部シナプスの発達を間接的に支持していることがわかりました。その有害因子の1つがトロンビンであり、トロンビンが凝固系以外で役割を有することの最初の発見であり、同時にシュワン細胞が筋肉からの有害物質を阻害することで神経筋接合部を保持していることを示すものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/03/19/nerve-protecting-cells-hold-potential-in-development-of-als-therapies/
骨格筋機能の回復がALS症状改善につながる可能性
・ALS NEWS TODAYの3月5日付記事からです

▽骨格筋におけるイオンチャネルの障害がALS症状の悪化に関与する可能性があることがScientific Reports誌に掲載された報告により明らかになりました

▽ALSの最初期の症状として、神経筋接合部におけるシグナル伝達の障害があげられます。このことから、運動神経細胞死に先立って、筋肉機能の変化が生じていることが指摘されています。

▽筋肉機能はナトリウム、カリウム、塩素、カルシウムなど各種イオンに関連するイオンチャネルにより維持されています。ALSにおいては、運動神経細胞の過剰興奮が興奮毒性を発揮しますが、ナトリウムイオンの交換を遮断することがALSにおいて治療的に作用することが報告されています。しかし塩素イオンチャネルであり、骨格筋において特異的に発現がみられるCIC-1の病態に果たす役割についてはよくわかっていません。

▽研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスと、骨格筋のみ変異SOD1を発現するモデルマウスを作成し、CIC-1と病態との関連を調べました

▽その結果、モデルマウスの骨格筋においてはCIC-1蛋白質の発現低下がみられ、CIC-1活性を阻害するprotein kinase-Cの発現増加がみられました。

▽また骨格筋における塩素イオン動態も障害されていることがわかりました。protein kinase Cの阻害剤であるchelerythrineを投与すると、塩素イオン動態が回復しました。同様の効果はアセタゾラミド投与によっても観察されました。

▽以上の結果は、骨格筋における塩素イオン動態の障害が病態に関与していることを示唆しており、これを回復させることが治療戦略となりうる可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/03/05/rescuing-impaired-skeletal-muscle-function-may-help-relieve-some-als-symptoms/
SIRT活性亢進がSOD1変異モデルマウス由来アストロサイトの神経毒性を緩和する
▽Sirtuins(SIRTs)はNAD+依存性のデアシラーゼであり、転写やDNA修復、代謝や酸化的ストレス抵抗性において重要な役割を果たしています

▽NAD+増加は内因性SIRT活性を亢進させ、酸化的ストレス抵抗性を高め、ミトコンドリアでの活性酸素産生減少につながります。

▽この保護的作用は、部分的には抗酸化作用のあるミトコンドリア蛋白質の活性化に依存します。

▽今回、研究者らは、アストロサイトにおけるNAD+濃度上昇が、核転写因子、Nrf2の活性化をもたらし、抗酸化蛋白質であるHO-1やSRXN1の発現亢進をもたらすことをみいだしました。

▽Nrf1の活性化は同時にSIRT6の発現亢進をもたらします。SOD1変異ALSモデルマウスより抽出されたアストロサイトは運動神経細胞との共培養により運動神経細胞死をもたらすことがしられています

▽ニコチンアミドモノヌクレオチドないしニコチンアミドリボシド投与はアストロサイトにおけるNAD+増加をもたらし、細胞毒性を減弱させます。この神経保護作用はアストロサイトでのSIRT6発現に依存することがわかりました。

▽さらにアストロサイトにおいてSIRT6を過剰発現させたところ、細胞毒性が減弱しました。以上の結果はSIRT6がALSにおけるアストロサイト依存性の神経細胞死において治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Medical University of South CarolinaのHarlanらにより報告され、平成31年3月6日付の FASEB J誌に掲載されました)
C9orf72遺伝子変異ALSの病態機序について
▽Mayoクリニックの研究者らがScience誌に公表した研究結果によると、C9orf72遺伝子変異ALSにおいて、異常転写産物であるジペプチド繰り返し配列蛋白質などがもたらす細胞内異常の病態が明らかになりました。

C9orf72遺伝子のイントロン領域の6塩基繰り返し配列の過剰伸長により、開始コドンを介さないリピート関連翻訳が生じ、その結果ジペプチド繰り返し蛋白質が産生し病態に関与することが知られています。

▽研究者らは、蛍光標識したPRジペプチド繰り返し配列蛋白質(50回繰り返し)を発現するモデルマウスを開発し、病態への関与を調べました

▽その結果、ヘテロクロマチンに局在化したPR繰り返し蛋白質がDNAに結合し、HP1α(ヘテロクロマチン蛋白質1α)の液相転移を阻害し、発現低下をもたらし、ヒストンメチル化異常などをもたらすことがわかりました。

▽ヘテロクロマチン構造と遺伝子発現を制御するこれらの核内構造物の異常は、繰り返し生成し、二本鎖RNAの蓄積を伴うことがわかりました。

▽以上の結果は、C9orf72遺伝子変異ALSにおいてPRジペプチド繰り返し蛋白質が病態に関与していることを示唆するものです

(この研究はアメリカ、MayoクリニックのZhangらにより報告され、平成31年2月15日付のScience誌に掲載されました)
T細胞による免疫応答がALSの神経細胞死に関与する可能性
・ALS NEWS TODAYの1月29日付記事からです

▽最新号のPNAS誌に公表された研究結果によると、T細胞より惹起された免疫応答がALSにおける神経細胞死に関与している可能性があるとのことです

▽ALSにおいては、異常に活性化したグリア細胞により惹起された神経炎症などの病態が観察されます。これまでのモデルマウスにおける動物実験では、CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の2種類の免疫細胞の浸潤が報告されていました

▽CD4陽性T細胞は、ALSにおいては神経保護作用の観点から注目されてきました。一方でCD8陽性T細胞の機能はよくわかっていませんでした。

▽今回研究者らはALSの病態におけるCD8陽性T細胞の機能に着目しました。その結果、モデルマウスにおいては病態進行期においてCD8陽性T細胞の中枢神経への浸潤がみられ、CD8陽性T細胞を除去したところ、運動神経細胞死の有意な減少がみられました

▽さらにCD8陽性T細胞はMHC-I複合体を介して運動神経細胞を相互作用を行い、運動神経細胞を攻撃することがわかりました

▽また、活性化したCD8陽性T細胞はIFN-γを産生し、その結果運動神経細胞の細胞膜にMHC-I複合体の発現が誘導されることがわかりました

▽以上の結果は、CD8陽性T細胞がALSの病態に関与していることを示唆しており、今後CD8陽性T細胞をターゲットとした治療法の探索が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/01/29/immune-response-at-the-root-of-motor-neurons-death-in-als/
Axon-seqによりALS研究におけるmRNA解析が進展
・ALS NEWS TODAYの1月4日付記事からです

▽Axon-seqと呼ばれる新しい技術により、運動神経軸索におけるmRNA発現状況のより詳細な解析が可能となりました

▽今回、研究者はAxon-seqを用いて、ALS運動神経において121種類のmRNAの発現が異常を来していることをStem Cell Reports誌に報告しました

▽ALSの病態においては、運動神経細胞変性に先立って、神経筋接合部の障害が起こることがしられています。

▽スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らは、SOD1変異ALS運動神経細胞を用いて、軸索におけるmRNAの発現状況を健常者と比較しました

▽その結果、121種類のmRNA発現量が減少しており、その中にはNrp1,Dbn1,Nek1遺伝子由来のmRNAが含まれており、Nrp1発現量の減少は神経筋接合部機能異常につながることがわかっています。

▽これら発現異常を呈している遺伝子をターゲットとすることにより、治療法開発につながることが期待されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2019/01/04/axon-seq-lets-researchers-better-analyze-mrnas-in-study-of-als/
アストロサイトのアデノシンデアミナーゼ喪失が運動神経毒性を増大させる
▽ALSにおいては、エネルギー代謝異常が病態に関与している可能性が報告されています。

▽研究者らはC9orf72遺伝子変異ALS患者より線維芽細胞を採取し、アストロサイトに分化誘導しました。

▽その結果、患者由来アストロサイトにおいてアデノシンデアミナーゼの減少によるアデノシンからイノシンへの脱アミノ化の減少がみられることが明らかになりました。

▽健常アストロサイトにおいてアデノシンデアミナーゼを抑制すると運動神経細胞毒性が増加し、患者由来アストロサイトと同様の状況がみられました。

▽イノシン補給により、アデノシンデアミナーゼ欠損を補うと、細胞モデルにおいて、アストロサイトによる運動神経細胞毒性が減弱しました。

▽以上の結果は、アデノシンデアミナーゼ濃度の回復とイノシン補充がALS治療法として有望な可能性があることを示唆するものです。

(この研究はイギリス、University of SheffieldのAllenらにより報告され、平成31年1月29日付のBrain誌に掲載されました)
転写伸長因子複合体がターゲットとする非翻訳性RNAの異常活性化がTDP-43毒性に寄与する
▽TDP-43はユビキチン化された封入体を伴う神経細胞変性を病態とするALSに関与する主要な蛋白質です。

▽今回、研究者らは転写伸長因子Ell(転写伸長因子複合体であるLECとSECの共通構成因子)が、TDP-43による神経変性において重要な役割を果たしていることをみいだしました

▽ショウジョウバエALSモデルにおいて、転写伸長因子複合体LECおよびSECの選択的なターゲットの発現が亢進していることがわかりました。それらの中でU12 snRNAおよび、ストレス誘発性の非翻訳性RNAであるHsrωは、機能的にTDP-43による細胞変性に関与しています。

▽Hsrωは、RNA結合蛋白質であるTDP-43のターゲットであり、ヒトにおけるHsrωの機能的相同体であるSat IIIが、ヒトALS細胞モデルおよび患者組織において増加していることがわかりました。

▽また、共免疫沈降法により、ヒト細胞において、TDP-43とヒト転写伸長因子複合体ELL2が相互作用をしていることがわかりました。

▽以上の結果は、転写伸長因子EllがTDP-43蛋白症の病態において重要な役割を果たしていることを示唆しており、今後の治療法開発において重要な洞察を与えうるものです

(この研究はアメリカ、ペンシルバニア大学のChungらにより報告され、平成30年10月23日付のNature Communications誌に掲載されました)
変異ユビキチン2の発現はTDP-43蛋白症の病態を増悪させる
▽ユビキチン2の変異はALSの病因となりうることが知られています。ユビキチン2はユビキチンープロテアソーム系において主要な役割を果たしており、ユビキチン2の過剰発現はTDP-43の細胞質内凝集を増悪させることが知られています

▽ユビキチン2とTDP-43の相互作用を調べるため、研究者らは新たにユビキチン2変異(P497H)モデルマウスを作成しました。

▽このモデルマウスと、既に作成したTDP-43変異(G348C)モデルマウスとを交配し、ユビキチン2変異とTDP-43変異を共に有するダブルトランスジェニックマウスを作成しました。

▽このモデルマウスは運動神経細胞死や筋萎縮などALSの病態を再現しました。また変異ユビキチン2の増加はユビキチンープロテアソーム系がユビキチンと結合することと競合し、TDP-43蛋白質凝集を増悪させることがわかりました。ユビキチンを増加させることによりユビキチンープロテアソーム系の機能が促進し、TDP-43の細胞質内凝集を減少させることができる可能性があります。

▽以上の結果は、ユビキチン2変異モデルマウスがTDP-43蛋白症における病態研究と、治療法探索のため有用であることを示唆するものです

(この研究は、カナダ、Laval UniversityのPicher-Martelらにより報告され、平成30年10月30日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
Progranulinは不溶性TDP-43濃度を減少させALSモデルマウスの軸索変性を抑制する
▽特定のprogranulin遺伝子変異は、progranulin蛋白質濃度の約50%の減少をもたらし、TDP-43蛋白症を伴うALSの病態をもたらします。しかしprogranulinがどのようにALSの病態をもたらすのか、progranulin濃度を増加させることが治療的効果をもたらすのかどうかはわかっていません。

▽今回、研究者らはTDP-43蛋白症モデルマウスを用いて、progranulinの影響を調べました

▽progranulinを過剰発現させたところ、不溶性TDP-43蛋白質の減少と軸索変性の減少が観察されました。

▽同 時に病態進行の遅延効果と生存期間の延長効果(約130日間)を認めました。トランスクリプトーム解析により、この効果は単一の経路ではなく、複数の経路によりもたらされていることがわかりました。

▽以上の結果は、progranulinがTDP-43蛋白症に対して神経保護的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究は、ベルギー、 KU Leuven - University of LeuvenのBeelらにより報告され、平成30年10月16日付のMolecular neurodegeneration誌に掲載されました)
ALSの進展に関係する免疫機序の一部が判明
・ALS NEWS TODAYの10月12日付記事からです

▽Journal of Clinical Investigation Insight誌に掲載された報告によると、肥満細胞と好中球が病態に関与していることがわかりました。この研究結果はALS治療薬候補であるmasitinibが治療的有効性が期待される根拠となりうるものです。

▽近年ALSの発症後の神経筋接合部において肥満細胞が蓄積し炎症に関与している可能性があることが報告されました。

▽肥満細胞は活性化した好中球を呼びよせます。そのことにより更に神経細胞の変性が促進することがわかりました。

▽研究者らは、ALS患者からの生検筋組織を用いて肥満細胞と好中球の量と活性化の度合いを調べました。その結果ALS患者の骨格筋では両者の量と活性化の度合いの有意な増加が起きていることがわかりました。

▽ALSモデルラットにおいても同様の所見が得られ、masitinib投与により、肥満細胞の遊走と活性化が阻害され神経筋接合部での変性と病態進行阻害効果がみられたとのことです。masitinibとALSの病態との関連性を示唆する結果を考えられます

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/10/12/researchers-unravel-immune-mechanism-associated-als-progression-rat-study/
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