ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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変異TDP-43蛋白質単独では運動神経変性に不十分な可能性
・ALS NEWS TODAYの7月12日付記事からです

▽最新号のPLoS One誌に公表された研究結果によると、TDP-43蛋白症を再現するショウジョウバエによる基礎実験において、変異TDP-43蛋白質単独では病態発現に不十分で、その他の要因が関与している可能性を示唆する結果がえられました

▽これまで変異TDP-43蛋白質が凝集し、病態発現の引き金になると考えられていました。しかし、このアイデアでは、同一の遺伝子変異を有する家族において、発症時期が全く異なる場合があることを説明することはできませんでした

▽その他の要因が関与する可能性もあり、研究者らはこの観点から実験を進めました。これまでの動物モデルでは変異TDP-43蛋白質の発現量が多いモデルが用いられていましたが、今回は発現量がもともとの内因性TDP-43蛋白質の発現量と同等になるようなモデルが用いられました。

▽その結果、変異TDP-43蛋白質の凝集は観察されず、病態進展も観察されませんでした。変異TDP-43蛋白質は神経細胞においてリン酸化され、ユビキチン依存性のプロテアソーム系により処理されていました。

▽以上の結果は、変異TDP-43蛋白質の存在のみでは病態発現には不十分であり、その他の要因が関与している可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/12/insect-study-mutant-tdp-43-protein-als/
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脊髄の炎症がALSにおける運動神経変性を説明しうる可能性
・ALS NEWS TODAYの7月13日付記事からです。日本大学の研究グループによる報告です

▽最新号のNeurochemistry International誌に掲載された研究結果によると、ALSモデルマウスなどでの研究により、プロスタグランジンE2を介した炎症経路が神経細胞変性における病態に関与している可能性が示唆されました

▽これまでに、孤発性ALS患者の髄液中や血漿中のプロスタグランジンE2(PGE2)濃度上昇が報告されており、PGE2の病態への関与が考えられていました

▽今回、研究者らは、PGE2の4つの受容体EP1からEP4までに着目し、病態への関与を調べました。その結果、ALSモデルマウスの運動神経細胞においては、EP2受容体発現量が高いことがわかりました

▽運動神経細胞モデルであるNSC-34細胞においてもPGE2が増加した場合、PGE2を介したシグナルが、EP2受容体の発現量を増加させ、さらに細胞死をもたらすことが明らかになりました

▽ALSの病態においてEP2を介したシグナル経路が運動神経細胞死において関与している可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/13/spine-inflammation-might-explain-why-motor-neurons-die-in-als-patients/
新技術により折り畳み異常蛋白質に対する酵素の分子レベルでの機構が明らかに
・ALS NEWS TODAYの6月28日付記事からです

▽ミシガン大学の研究者らは、クライオ電子顕微鏡とよばれる新技術を用いて、折り畳み異常蛋白質の構造異常を是正する酵素であるHsp104がどのように機能するかを調べました

▽この研究は最新号のScience誌に掲載されました

▽研究者らは、Hsp104が折り畳み異常蛋白質を中心のチャネルから引き込み、蛋白質の折り畳み異常を是正するプロセスを開始することを見出しました

▽蛋白質はポリペプチドとよばれる構造を有しており、Hsp104は、ラチェットのようにポリペプチドを引き込み、折り畳み異常を起こしたポリペプチドの凝集体から一つのポリペプチドの折り畳み異常をほどき、そのポリペプチドが正常な折り畳み構造を回復したり、あるいは細胞の蛋白質分解機構により代謝されること過程へと導くことがわかりました。

▽ALSなどの神経変性疾患においては、蛋白質の折り畳み異常が病態進展の引き金になると考えられており、折り畳み異常を起こした蛋白質は、他の正常構造の蛋白質の折り畳み異常を誘発しうると考えられています。

▽この折り畳み異常が、Hsp104のどのような構造により是正されるかが解明されることは、今後の治療法開発にとって有用な知見となる可能性があります。

▽さらにHsp104の機能を高めるような分子的操作についても研究されており今後の研究の進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/28/als-related-researchers-get-an-almost-atom-level-view-of-how-misfolded-proteins-are-fixed/
C9orf72遺伝子変異家族性ALSにおける病態機序の一部が判明
・ALS NEWS TODAYの6月27日付記事からです

▽ハーバード医科大学の研究者らは、C9orf72遺伝子変異ALSにおいて、変異産物がいかにエネルギー産生や神経細胞機能に影響をあたえるかを解明しました

▽最新号のCell Reports誌に掲載された報告です。家族性ALSはALS全体の約10%を占めるといわれており、さらにそのうち30-40%がC9orf72遺伝子変異に起因するといわれています(前頭側頭型認知症のうちの25%)

C9orf72遺伝子変異の過剰伸張した6塩基繰り返し配列からは、ジペプチド反復配列蛋白質が生成しますが、このうちGR反復蛋白質とPR反復蛋白質とが細胞毒性を発揮するといわれています

▽これらの蛋白質がRNAのスプライシングを行うスプライソソームに影響を与えることが知られていました。今回の研究により、異常蛋白質が、スプライソソームに関連したU2 snRNPとよばれる蛋白質の異常をもたらすことがわかりました

▽スプライソソームは本来核内で生成されるべきですが、これら異常蛋白質の影響により、U2 snRNPが細胞質内に異常局在化し凝集することがわかりました

▽このため細胞機能の維持に重要なRNAのスプライシングが正常に行われず、神経細胞死をもたらすことが推定されます。多くの神経変性疾患において同様の病態機序が存在する可能性があり、splicing modulator compoundなどによりスプライシングの異常を是正できれば、治療的に有望である可能性があるとのことです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/27/study-says-mutation-that-disrupts-genetic-instructions-may-be-cause-of-inherited-als/
ALSにおける運動神経細胞死の初期の病態を解明
・ALS NEWS TODAYの6月5日付記事からです

▽研究者らは、ALSにおける運動神経細胞死の初期の分子過程を解明しました。Cell Reports誌に掲載されたロンドン大学の研究者らの報告によるものです

▽研究者らは、家族性ALSの2%を占めるVCP遺伝子変異ALS患者由来のiPS細胞と健常者由来のiPS細胞を用いて実験を行いました

▽iPS細胞から運動神経細胞やアストロサイトを分化させ、運動神経細胞死における分子機序を調べました

▽その結果、患者由来運動神経細胞においては、核内に存在すべきTDP-43蛋白質が、細胞質内に漏出し、それが運動神経細胞死の引き金となっていることがわかりました。

▽これまでもTDP-43の細胞質内への局在化異常と凝集がALS患者の95%にみられ、病態の中心をなすことはわかっていました。しかし、細胞死につながる最初期のイベントはよくわかっていませんでした。

▽今回の報告により細胞内へのTDP-43の漏出が、ミトコンドリアなどの機能不全をもたらし、細胞死につながる流れが判明しました。

▽また、健常者由来のアストロサイトは運動神経細胞に対して保護的な機能を発揮しましたが、患者由来アストロサイトは、この機能を失っていることもわかりました

▽研究者らは、今回の知見を元に、TDP-43の細胞内動態を正常化する治療法開発についても研究したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/05/als-discovery-of-molecular-trigger-of-motor-neuron-death-could-aid-in-treatment-research/
ALSに関与する新たな遺伝子候補を同定
・ALS NEWS TODAYの5月18日付記事からです

▽最新号のelife誌に公表された結果によると、研究者らは、ALSの原因となる遺伝子変異候補を新たに同定しました。この遺伝子はUBQLN4遺伝子です

▽ゼブラフィッシュモデルにおいて、UBQLN4遺伝子の変異は、神経細胞におけるプロテアソームの機能を障害し、軸索の異常をもたらしました

▽しかしながら、quercetinと呼ばれる物質を投与したところ、UBQLN4遺伝子変異による運動神経細胞異常が正常化しました

▽quercetinはβ cateninとよばれる物質のシグナル経路を阻害することにより、遺伝子変異によって生じた機能的異常を是正することで、治療的効果がみられたと考えられています

▽今後ヒトのALS患者において、この遺伝子変異の関与やβ cateninの病態への影響が調べられ、新たな治療法開発につながる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/18/researchers-identifiy-new-gene-mutation-likely-linked-als-development/
TDP-43の蓄積に関する新たな知見の報告
・ALS NEWS TODAYの4月20日付記事からです

▽ALSの病態に主要な役割を果たすTDP-43蛋白質ですが、今回TDP-43蛋白質の凝集に関する新たな知見が報告されました

▽セントルイス大学の研究者らは、TDP-43が特定のリン酸化酵素の基質となることをみいだしました。このリン酸化酵素はMEKとよばれ、MAPK/ERK経路の主要な酵素です

▽MEKによるTDP-43蛋白質のリン酸化は、熱ショック反応において劇的に誘発されます。熱ショック反応は、細胞の恒常性維持と蛋白質の折り畳み異常を防ぐために誘導される、細胞防御機構です。

▽MEKによりリン酸化されたTDP-43は、凝集に関与せず、可溶性を維持することがわかりました。またMEKによりリン酸化したTDP-43蛋白質は、これまでTDP-43が機能すると考えられていた場所とは別の場所に局在化することがわかりました

▽以上の知見を元に、さらにTDP-43の病的な凝集を防ぐメカニズムについて研究し、治療法の開発に結び付けたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/20/study-als-protein-behavior-brings-researchers-closer-finding-new-treatments/
ALSにおける変異FUS蛋白質についての新たな知見
・ALS NEWS TODAYの4月18日付記事からです

FUS遺伝子変異は、若年発症ALSの主要な原因となります。

▽今回、研究者らは、FUS蛋白質の機能異常について新たな知見をみいだしました。FUS蛋白質は、変異型であれ正常型であれ高濃度になると運動神経細胞死をもたらします

▽研究者らは、FUS変異動物モデルを用いて、特定の細胞において変異FUS蛋白質の発現を阻害することにより、病態に与える影響を調べました。

▽運動神経細胞において変異FUS遺伝子が発現しないようにし、その他のグリア細胞では発現する状態にしたところ、運動神経細胞死は抑制されました。

▽しかしながら、変異FUSを発現するオリゴデンドロサイトは機能異常を示し、脱髄と筋力低下などの症状が徐々に発現しました。

▽以上の結果は、変異FUS蛋白質は、運動神経細胞に直接的な影響を及ぼすのみならず、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞の機能異常をもたらすことにより、病態発現をもたらすことを示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/18/las-study-role-fus-protein-mutations-disease/
逆行性輸送の抑制は運動神経病における凝集蛋白質の蓄積と排泄を変化させる
▽ALSなどの運動神経病においては、折り畳み異常蛋白質の蓄積が細胞毒性をもたらします。細胞は、この異常蛋白質の毒性を防ぐために、シャペロンや、プロテアソーム、自食作用などからなる蛋白質品質管理機構(PQC)を発動します

▽PQCが作動が不十分だと、異常蛋白質が蓄積し、神経細胞死につながります。効率的なPQCの活性化は、活発なdyneinや特定のシャペロンにより構成される逆行性輸送機構に依存します。

▽今回、研究者らは、ALS類似細胞モデルを用いて、dyneinを介した逆行性輸送を抑制することが、異常蛋白質の蓄積を減少させ、排泄を促進することをみいだしました

▽異常蛋白質の排泄の促進は、自食作用ではなく、プロテアソームを介した機構に依存し、HSPA8のコシャペロンであるBAG1の発現亢進と関連していました

▽以上の結果は、細胞が、自食作用を介した異常蛋白質の排除機構がうまくいかない場合、dyneinに依存しない手段により、BAG1発現亢進させプロエアソームによる蛋白質排泄機構を用いて、異常蛋白質排泄を行うことを示唆しています

(この研究は、イタリア、Università degli Studi di Milano のCristofaniらにより報告され、平成29年4月12日付のAutophagy誌に掲載されました)

SARM1とALSの病態の関連性
・ALS RESEARCH FORUMの3月31日付記事からです

▽今回、研究者らは神経軸索と関係のあるSARM1が、細胞のエネルギー源となるATP産生の補酵素であるNAD+の構造変化に関係する酵素であることをみいだしました。

▽これまで研究者らはSARM1がNAD+の利用率を減少させることで、軸索のエネルギー供給を低下させ、軸索変性をもたらすことを報告しています。

▽また、損傷をうけた軸索が、SARM1を介した機構により、自ら変性することが報告されています。さらに、SARM1はゲノムワイド関連分析により、孤発性ALSの病態に関与していることがわかっています。また、TDP-43蛋白症における運動神経細胞変性においてもSARM1を介した変性機構が働いていることが報告されています。

▽SOD1変異ALSモデル動物を用いた実験においては、運動神経細胞変性の少なくとも50%にSARM1が関与していることがわかりました。

▽今回の研究結果により、SARM1の詳細な作用機序が判明し、今後ALSの治療対象となりうる可能性が期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/a-new-sarm1s-race-in-als-begins/
ALSと脊髄小脳変性症の共通した新たな治療対象
・東京医科歯科大学などの研究グループからのプレス・リリースです

・東京医科歯科大学などの研究グループは、脊髄小脳変性症と、ALSとでは、特定のRNA結合蛋白質のバランスの破綻が病態につながり、バランスを補正することが治療的に有効な可能性があることをみいだしました

引用元
http://www.amed.go.jp/news/release_20170324.html

・今後の治療法開発につながることが期待されます
ALSにおける有害蛋白質の蓄積機序の一部が判明
・ALS NEWS TODAYの3月20日付記事からです

▽最新号のMolecular Cell誌に掲載された報告によると、C9orf72遺伝子関連ALSにおける異常蛋白質の凝集機序が明らかになりました

▽ストレス顆粒は、細胞がストレス下において形成される、RNA結合蛋白質の巨大な液滴様の凝集体です。ストレス顆粒は細胞のストレス応答において重要な役割を果たします

▽正常細胞においては、ストレス顆粒の形成は緻密に制御されており、形成と分解は可逆的です。

▽しかしALSにおいては、ストレス顆粒形成が制御されておらず、有害RNA結合蛋白質の凝集体のとなります

▽これら凝集体は、ALSの病態において重要な役割を果たし、ストレス顆粒関連蛋白質の変異の一部が家族性ALSの病因となることがしられています

▽一部の家族性ALSの病因であるC9orf72遺伝子変異はストレス顆粒の形成異常と関連します。この遺伝子異常によりストレス顆粒の粘稠度が増し、より固体に近い性質としてふるまうことがしられています。

▽今回、研究者らは、C9orf72遺伝子変異により生じた異常蛋白質、特にアルギニンが豊富なジペプチド繰り返し蛋白質により、RNA蛋白質の凝集が生じ、ストレス顆粒の粘稠度が変化することを明らかにしました

▽このように分子病態機序が明らかになることにより、異常蛋白質の凝集過程を阻害する治療法の開発が進展することが期待されます。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/03/20/new-toxic-pathway-identified-for-protein-aggregates-in-neurodegenerative-disease/
酵母のミトコンドリアが細胞質の蛋白質凝集体を消失させる
・ALS RESEARCH FORUMの3月4日付記事からです

▽3月1日付のNature誌の報告です。酵母においては、凝集蛋白質は、ミトコンドリアの外膜に集まり、その後シャペロンが蛋白質の凝集構造をほどき、膜輸送孔から蛋白質がミトコンドリアマトリックス内に輸送され、ミトコンドリア内において分解されることがわかりました。

▽細胞質の守護者としてのミトコンドリア(MAGIC:mitochondria as gurdian in cytosol)と名づけられたミトコンドリアのこの機能はヒトにおいても存在すると考えられています

▽ミトコンドリアは電子伝達系を有し、ATPを産生し、細胞にエネルギーを供給する機能を有することで有名です。しかし、今回の報告により、別の機能も有することが明らかになりました

▽研究者らはαーシヌクレインやTDP-43などの凝集体についてもミトコンドリア膜に集まり、エネルギー産生に負荷をかけると考えており、ミトコンドリアの機能低下により有害蛋白質の除去が障害され、病態発現につながるのではないかと考えています。

▽今後ミトコンドリアと神経変性疾患の病態との関連性がさらに明らかになり、治療法開発につながることが期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/its-magic-yeast-mitochondria-make-cytosolic-protein-aggregates-disappear/
VEGFはALS細胞モデルにおけるTDP-43凝集を緩和する
▽脊髄運動神経細胞の細胞質におけるTDP-43やFUSの異常局在化は、ALSの病態として観察されます。今回研究者らは孤発性ALSの細胞モデルを用いて、VEGFの効果を検証しました

▽運動神経細胞モデルであるNSC-34細胞を、ALS患者由来の髄液に暴露し、その後にVEGFを投与しました

▽髄液暴露後においては、TDP-43およびFUS蛋白質の細胞質への異常局在化が観察されました。しかし、その異常局在化はVEGF投与により抑制されました

▽同時に核膜の形態的異常なども改善しました。しかしながら、凝集蛋白質の細胞質への異常局在化は完全には正常化はしませんでした。

▽以上の結果は、VEGFがTDP-43およびFUSに起因した病態を緩和することができる可能性を示唆しており、今後の治療的応用が期待されます

(この研究はインド、National Institute of Mental Health and Neuro SciencesのShantanuらにより報告され、平成29年2月2日付のJournal of Chemical Neuroanatomy誌に掲載されました)
東北大学から家族性ALSの原因遺伝子についての報告
・麦酒王さんからご提供いただいた話題です

・東北大学が日本人における家族性ALSの原因遺伝子を解析し、発症に関わる遺伝子変異を複数明らかにしました
引用元
http://s.news.mynavi.jp/news/2017/02/01/087/index.html

・今後の治療法開発に結びつくことが期待されます

・麦酒王さん、ありがとうございました
補体シグナル経路の抑制はALSモデルマウスの病態を改善する
▽近年、ALSにおいては補体系の活性化が報告されており、活性化産物のC5aは受容体であるC5aR1を通じて病態進展作用を有する可能性があることが報告されています

▽今回研究者らはC5aR1の拮抗薬であるPMX205を、発症前および発症後のモデルマウスに経口投与し効果を検証しました

▽その結果、発症前に投与した群では、発症遅延効果と、有意な筋力改善効果、進展遅延効果などが観察されました。

▽この効果は、炎症促進性の単球や顆粒球の減少や、ヘルパーT細胞の増加などを伴うものでした。発症3週後に投与開始した群においても、病態緩和作用や生存期間延長効果がみられました

▽以上の結果は補体系C5aR1シグナル経路を阻害することが、ALSにおいて治療的に作用する可能性を示唆するものです

(この研究はオーストラリア the University of QueenslandのLeeらにより報告され、平成29年1月27日付のBritish journal of Phamacology誌に掲載されました)

ALSに関連したRNA結合蛋白質のZfp106はC9orf72遺伝子変異に起因した細胞毒性から細胞を保護する
C9orf72遺伝子の第1イントロンの6塩基(GGGGCC)繰り返し配列の過剰伸長は家族性ALSの原因となります。しかし反復配列に起因した病態については十分わかっていません。

▽これまでに、反復配列を有するRNAが凝集体を形成し、RNA結合蛋白質の結合が阻害される結果、運動神経細胞でのRNA代謝が変化し、細胞傷害が生じるメカニズムが提唱されてきました

▽今回、研究者らは、GGGGCC反復配列RNAに特異的に結合するRNA結合蛋白質であるZfp106を同定しました。

▽Zfp106は、多くのRNA結合蛋白質と相互作用をし、その中にはTDP-43とFUSも含まれます。

▽Zfp106 ノックアウトマウスは重度の運動神経変性を示しました。Zfp106はC9orf72遺伝子変異ショウジョウバエALSモデルにおいて、神経毒性を抑制することが示されました。

▽Zfp106はALSの治療戦略において、有望な研究対象となる可能性があります

(この研究は、アメリカ、University of CaliforniaのCelonaらにより報告され、平成29年1月10日付のElife誌に掲載されました)

神経毒性を有するアストロサイトは活性化ミクログリアにより誘導される
▽活性化アストロサイトは中枢神経損傷や疾患により生じます。しかしその機能についてはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは、活性化アストロサイトのサブタイプであるA1 アストロサイトが、神経炎症に関与する活性化ミクログリアにより誘導されることをみいだしました。

▽活性化ミクログリアは、IL-1α、TNF、C1qを分泌することによりA1 アストロサイトを誘導します。これらのサイトカインはA1 アストロサイトの誘導に必要かつ十分な物質となります

▽A1 アストロサイトは神経成長やシナプス形成、神経生存を支持する機能を喪失し、神経細胞とオリゴデンドロサイトの細胞死をもたらします

▽A1 アストロサイトの生成を阻害したところ、生体内での軸索切断した中枢神経細胞の細胞死が妨げられました。

▽さらに、ALSを含む様々な神経変性疾患において、A1 アストロサイトが多く誘導されていることがわかりました

▽以上の結果は、神経変性疾患においてA1 アストロサイトが神経細胞死に寄与していることを示唆するものであり、今後の治療法開発において新たな視点を提供するものです

(この研究はアメリカ、Stanford UniversityのLiddelowらにより報告され、平成29年1月18日付のNature誌に掲載されました)
ALSの病態をさらに解明(東大グループなど)
・かきのたねさんからご提供いただいた情報です

・グルタミン酸AMPA受容体のカルシウム透過性異常が孤発性ALSの病態に関与することを報告してきた東大などの研究グループが、さらに病態の詳細なメカニズムについて明らかにしました。
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/press.html#20170104

・今後病態の全容が明らかになり、治療に結びつくことが期待されます

・かきのたねさん、ありがとうございました
筋線維はALSの神経筋接合部変性遅延のためFGFBP1を分泌する
▽神経筋接合部の発達と維持のために筋肉が分泌する因子についてはよくわかっていません。今回研究者らは筋線維が神経筋接合部においてFGFBP1(fibroblast growth factor binding protein 1)を分泌することをみいだしました

▽発達段階においてFGFBP1発現は増加しますが、加齢やALSモデルマウスにおいては神経筋接合部変性に先駆けて、FGFBP1の発現が減少することがわかりました

▽FGFBP1を除去すると、神経筋接合部の構造異常が発達段階のマウスにおいてみられました。またSOD1変異ALSモデルマウスにおいてFGFBP1を除去すると、神経筋接合部変性が促進しました

▽さらに、FGFBP1発現は、骨格筋と神経筋接合部におけるTGF-β1の蓄積により阻害されることがわかりました

▽以上の結果は、FGFBP1および、TGF-β1が神経変性疾患において神経筋接合部変性を遅延させる治療的ターゲットとして有望である可能性を示唆するものです

(この研究は、アメリカ、Virginia Tech Carilion Research InstituteのTaetzschらにより報告され、平成29年1月4日付のJournal of Neuroscience誌に掲載されました)
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