ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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カルシウムチャネルのCacophony蛋白質発現が動物モデルにおいて運動神経細胞保護作用
・ALS NEWS TODAYの9月11日付記事からです

▽最新号のJournal of Neuroscience誌に公表された研究結果によると、オレゴン大学の研究者らはショウジョウバエのTDP-43欠損モデルにおいて、カルシウムチャネルであるCacophony蛋白質の発現が運動機能を回復させることをみいだしました

▽動物モデルにおいてRNA結合蛋白質であるTDP-43蛋白質(ショウジョウバエではTBPH遺伝子)を欠損させると、およそ1000の遺伝子発現の変化が生じることがわかりました。そのうちの1つがカルシウムチャネルであるCacophony蛋白質でした。

▽TDP-43欠損モデル動物においてCacophony蛋白質発現量を回復させたところ、運動機能の回復がみられました。この回復は神経筋接合部でのシグナル伝達頻度の回復を伴うものでした。

▽これらの知見がTDP-43蛋白症における病態との関連性があるならば、ALSの病態と治療についての新たな方向性につながる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/09/11/expression-cacophony-restored-motor-defects-drosophila-new-study-shows/

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RNA反復配列に起因した病態機序について
・はまじさんよりご提供いただいた話題です。

・6月8日号のNature誌に公表された研究結果です。ALSにおいてもこちらの記事(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-1348.html)でご紹介したとおり蛋白質凝集体などの相転移が病態に関与していることが報告されています。

引用元
http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n9/RNA%E5%8F%8D%E5%BE%A9%E9%85%8D%E5%88%97%E3%81%AF%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%82%92%E5%9B%BA%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%86/88464

・RNA凝集塊の相転移に関する今回の報告も、ALSの病態機序に関する新たな知見であり、今後の新たな治療戦略につながることが期待されます

・はまじさん、情報ありがとうございました
ALSにおける筋肉の再生などに関与する新たな遺伝子を同定
・ALS NEWS TODAYの8月30日付記事からです

▽最新号のScientific Reports誌にイタリアの研究グループが報告した研究結果によると、いくつかのmicroRNAがALSにおける筋肉の再生を制御していることがわかりました

▽これらのmicroRNAは、進行の比較的遅いタイプのALS患者を区別する際にも応用できる可能性があり、これらのmicroRNAをターゲットとした新たな治療戦略につながる可能性があります。

▽損傷を受けた筋肉細胞の再生過程の障害もALSの病態の一部として存在する考えられています。ALSの動物モデルにおける実験では、HDAC4とよばれる蛋白質が、筋肉の脱神経過程に関与しており、この蛋白質が神経細胞から筋肉へのシグナル伝達を阻害していると考えられています。しかし、microRNAであるMIR206はHDAC4蛋白質の発現量を減少させ、再生過程を促進することがわかりました。

▽進行の速いALS患者においてはMIR409とMIR208BとよばれるmicroRNAが有意に低下しており、これらのmicroRNAは骨格筋の脱神経に対する抵抗性を強める機能があるのではないかと研究グループは推測しています。同時にMIR206がHDAC4発現を阻害することから、MIR206がALSの進行を遅延させる治療薬候補となるのではないかということです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/30/las-researchers-identify-novel-genes-that-regulate-muscle-stimulation-and-regeneration/
TDP-43の新機能を発見

・かきのたねさんからご提供いただいた話題です。

・東京農工大学、首都大学東京などの研究グループがALSの病態に関与するTDP-43の新機能を発見しました

・新たな機能が発見されたことにより、治療法探索のための新たな方向性も明らかになりました。

・詳細は以下をご参照ください
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170809/index.html

・かきのたねさん、ありがとうございました
ALS関連遺伝子変異と蛋白質凝集の関連性が判明
・ALS NEWS TODAYの8月22日付記事からです

▽NEURON誌に公表された研究結果によると、ALSに関連した遺伝子変異に起因した病態の一部が明らかになりました

▽TIA1遺伝子変異はALSと前頭側頭型認知症の原因となることがしられています。TIA蛋白質は正常では細胞成分が膜の無い構造の集合体を形成する相分離を促進し、細胞が正常機能を維持するために重要な機能を果たしています

▽TIA1蛋白質の機能異常が存在すると、集合体が解離することが阻害され、蛋白質の凝集が生じ、神経細胞死につながります。

▽ALSの病態に関与しているTDP-43蛋白質は、病的な凝集体を形成し不溶性となり細胞死をもたらすことがしられています。

▽TAI1蛋白質の異常により、形成されたストレス顆粒が分解されることが阻害され、ストレス顆粒により捕捉されたTDP-43蛋白質などがさらに凝集していくこととなります。

▽今回の発見により、蛋白質の相分離に関与する過程が病態理解に重要であることがわかり、今後の治療法開発のターゲットとなることが期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/22/als-study-shows-another-way-that-mutations-can-kill-nerve-cells/
二重ロイシンジッパーキナーゼ阻害がALSモデルマウスにおいて神経保護作用
・ALS NEWS TODAYの8月23日付記事からです

▽Science Translation Medicine誌に公表された研究結果によると、神経障害のセンサー機能を有する二重ロイシンジッパーキナーゼとよばれる酵素を阻害することが、ALS動物モデルにおいて神経保護的に作用することが明らかになりました

▽二重ロイシンジッパーキナーゼは神経障害における神経変性を誘導する酵素であり、神経再生と変性に関与しています。ALSモデルマウスにおいてはこの酵素が関与すると考えられているJNK経路が活性化しています。

▽SOD1変異ALSモデルマウスにおいて二重ロイシンジッパーキナーゼ遺伝子を除去すると神経保護作用と生存期間延長効果が確認されました

▽研究者らは二重ロイシンジッパーキナーゼ阻害薬をモデルマウスに投与し、効果を調べました。その結果、神経筋接合部変性を遅延させる効果が確認されました。今後治療戦略として有望な可能性があります。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/08/23/inhibition-key-protein-involved-neuronal-injury-shows-potential-als-alzheimers-mouse-study/
TLR-4阻害剤のTAK-242がALSモデルマウスの病態を緩和
▽ALSにおいては神経炎症が病態に関与していると考えられています。TLR4は免疫系の活性化に関与し、ALSにおいてはミクログリアの活性化をもたらすといわれています

▽TLR4はSOD1変異ALSモデルマウスの脊髄において発現亢進がみられます。今回研究者らは選択的なTLR4阻害薬であるTAK-242の効果を検証しました

▽SOD1変異ALSモデルマウスに対してTAK-242を投与したところ、炎症促進性サイトカインの減少がみられ、脊髄におけるミクログリアやアストロサイトの活性化の減弱がみられました

▽またモデルマウスにおける病態進展遅延効果もみられました。しかしながら生存期間の有意な延長まではみられませんでした。今後さらにTLR4の治療対象としての検証が必要です

(この研究はイスラエル、Tel-Aviv UniversityのFellnerらにより報告され、平成29年8月1日付のInternational journal of molecular sciences誌に掲載されました)
ALSにおけるアストロサイトとTGF-β1
・ALS Research Forumの8月1日付記事からです

▽ALSにおいてはアストロサイトが病態に関与していることが報告されています

▽今回ハーバード大学の研究者らがStem Cell Reports誌に公表した研究結果によると、アストロサイトがTGFーβ1を分泌することにより運動神経細胞死に関与している可能性がわかりました

▽研究者らはSOD1変異ALSモデルマウスよりアストロサイトを採取し、ヒトES細胞由来の運動神経細胞と共に培養しました。

▽その結果、アストロサイトはTGF-β1を分泌し、自食作用を障害することにより運動神経細胞死をもたらすことを示唆する結果がえられました

▽今後TGF-β1をターゲットとした治療戦略が有望となる可能性があります

引用元
http://www.alsresearchforum.org/als-astrocytes-secret-sauce/
C9orf72遺伝子変異ALSの病態発現機序の一部を解明
・ALS NEWS TODAYの7月25日付記事からです

C9orf72遺伝子のイントロン領域の6塩基繰り返し配列の過剰伸長は、家族性ALSと前頭側頭型認知症の病因になることが知られています

▽今回、研究者らは過剰伸長によりDNAが損傷を受けやすい状態となり、細胞修復機構の過活動状態が生じ、この過活動状態が神経細胞死をもたらすことを明らかにしました

▽この研究結果は最新号のNature Neuroscience誌に公表されました。

▽DNAの過剰伸長部位が、RNAとの相互作用によりR-loopsと呼ばれる構造を形成することがわかりました。このR-loops構造は損傷を受けやすく、そのために細胞修復機構としての自食作用の過剰活性化が生じます

▽自食作用は異常な分子の排泄機構として機能しますが、過剰に活性化した場合、細胞死をもたらしうることになります。

▽DNA修復機構を調整することにより、神経細胞損傷を防ぐことが可能と考えられ、将来の治療法開発に有望な戦略となりうる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/25/als-study-shows-how-excessive-dna-repetitions-trigger-neuron-deaths/

ALSに関連した有害蛋白質の凝集を阻害する内因性機構の発見
・ALS NEWS TODAYの7月21日付記事からです

▽ノースカロライナ医科大学の研究者らが最新号のNature Communications誌に公表した研究結果によると、TDP-43蛋白症による病態を阻害しうる内因性機構の一部が明らかになりました

▽TDP-43は神経細胞において遺伝子発現や蛋白質生成を調整する機能を有しています。このTDP-43が凝集体を形成することにより、神経細胞にとって有害な作用をもたらすと考えられています

▽TDP-43蛋白質の凝集体は、ALSや孤発性封入体筋炎などで観察されています。研究者らは孤発性封入体筋炎のモデルマウスの筋肉細胞を用いて、TDP-43蛋白質凝集に拮抗しうるメカニズムについて調べました

▽TDP-43蛋白質はアセチル化により機能を喪失し、凝集体を形成しはじめます。TDP-43蛋白質のアセチル化を促進させることにより、TDP-43蛋白質の凝集が生じ、ミトコンドリア機能が障害され、筋肉細胞で炎症反応が生じることが確認されました

▽一方でHSF1(heat shock factor 1)とよばれる蛋白質の活性を高めることにより、TDP-43蛋白質の凝集が阻害され、モデルマウスの筋力低下が改善することが明らかになりました

▽研究者らは、今後ヒトの封入体筋炎患者やALS患者において、HSF1を介した凝集阻害経路を活性化する方法を実用化し、治療的有用性を確認したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/21/als-researchers-find-natural-mechanism-to-prevent-harmful-tdp-43-protein-clumping/
変異TDP-43蛋白質単独では運動神経変性に不十分な可能性
・ALS NEWS TODAYの7月12日付記事からです

▽最新号のPLoS One誌に公表された研究結果によると、TDP-43蛋白症を再現するショウジョウバエによる基礎実験において、変異TDP-43蛋白質単独では病態発現に不十分で、その他の要因が関与している可能性を示唆する結果がえられました

▽これまで変異TDP-43蛋白質が凝集し、病態発現の引き金になると考えられていました。しかし、このアイデアでは、同一の遺伝子変異を有する家族において、発症時期が全く異なる場合があることを説明することはできませんでした

▽その他の要因が関与する可能性もあり、研究者らはこの観点から実験を進めました。これまでの動物モデルでは変異TDP-43蛋白質の発現量が多いモデルが用いられていましたが、今回は発現量がもともとの内因性TDP-43蛋白質の発現量と同等になるようなモデルが用いられました。

▽その結果、変異TDP-43蛋白質の凝集は観察されず、病態進展も観察されませんでした。変異TDP-43蛋白質は神経細胞においてリン酸化され、ユビキチン依存性のプロテアソーム系により処理されていました。

▽以上の結果は、変異TDP-43蛋白質の存在のみでは病態発現には不十分であり、その他の要因が関与している可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/12/insect-study-mutant-tdp-43-protein-als/
脊髄の炎症がALSにおける運動神経変性を説明しうる可能性
・ALS NEWS TODAYの7月13日付記事からです。日本大学の研究グループによる報告です

▽最新号のNeurochemistry International誌に掲載された研究結果によると、ALSモデルマウスなどでの研究により、プロスタグランジンE2を介した炎症経路が神経細胞変性における病態に関与している可能性が示唆されました

▽これまでに、孤発性ALS患者の髄液中や血漿中のプロスタグランジンE2(PGE2)濃度上昇が報告されており、PGE2の病態への関与が考えられていました

▽今回、研究者らは、PGE2の4つの受容体EP1からEP4までに着目し、病態への関与を調べました。その結果、ALSモデルマウスの運動神経細胞においては、EP2受容体発現量が高いことがわかりました

▽運動神経細胞モデルであるNSC-34細胞においてもPGE2が増加した場合、PGE2を介したシグナルが、EP2受容体の発現量を増加させ、さらに細胞死をもたらすことが明らかになりました

▽ALSの病態においてEP2を介したシグナル経路が運動神経細胞死において関与している可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/07/13/spine-inflammation-might-explain-why-motor-neurons-die-in-als-patients/
新技術により折り畳み異常蛋白質に対する酵素の分子レベルでの機構が明らかに
・ALS NEWS TODAYの6月28日付記事からです

▽ミシガン大学の研究者らは、クライオ電子顕微鏡とよばれる新技術を用いて、折り畳み異常蛋白質の構造異常を是正する酵素であるHsp104がどのように機能するかを調べました

▽この研究は最新号のScience誌に掲載されました

▽研究者らは、Hsp104が折り畳み異常蛋白質を中心のチャネルから引き込み、蛋白質の折り畳み異常を是正するプロセスを開始することを見出しました

▽蛋白質はポリペプチドとよばれる構造を有しており、Hsp104は、ラチェットのようにポリペプチドを引き込み、折り畳み異常を起こしたポリペプチドの凝集体から一つのポリペプチドの折り畳み異常をほどき、そのポリペプチドが正常な折り畳み構造を回復したり、あるいは細胞の蛋白質分解機構により代謝されること過程へと導くことがわかりました。

▽ALSなどの神経変性疾患においては、蛋白質の折り畳み異常が病態進展の引き金になると考えられており、折り畳み異常を起こした蛋白質は、他の正常構造の蛋白質の折り畳み異常を誘発しうると考えられています。

▽この折り畳み異常が、Hsp104のどのような構造により是正されるかが解明されることは、今後の治療法開発にとって有用な知見となる可能性があります。

▽さらにHsp104の機能を高めるような分子的操作についても研究されており今後の研究の進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/28/als-related-researchers-get-an-almost-atom-level-view-of-how-misfolded-proteins-are-fixed/
C9orf72遺伝子変異家族性ALSにおける病態機序の一部が判明
・ALS NEWS TODAYの6月27日付記事からです

▽ハーバード医科大学の研究者らは、C9orf72遺伝子変異ALSにおいて、変異産物がいかにエネルギー産生や神経細胞機能に影響をあたえるかを解明しました

▽最新号のCell Reports誌に掲載された報告です。家族性ALSはALS全体の約10%を占めるといわれており、さらにそのうち30-40%がC9orf72遺伝子変異に起因するといわれています(前頭側頭型認知症のうちの25%)

C9orf72遺伝子変異の過剰伸張した6塩基繰り返し配列からは、ジペプチド反復配列蛋白質が生成しますが、このうちGR反復蛋白質とPR反復蛋白質とが細胞毒性を発揮するといわれています

▽これらの蛋白質がRNAのスプライシングを行うスプライソソームに影響を与えることが知られていました。今回の研究により、異常蛋白質が、スプライソソームに関連したU2 snRNPとよばれる蛋白質の異常をもたらすことがわかりました

▽スプライソソームは本来核内で生成されるべきですが、これら異常蛋白質の影響により、U2 snRNPが細胞質内に異常局在化し凝集することがわかりました

▽このため細胞機能の維持に重要なRNAのスプライシングが正常に行われず、神経細胞死をもたらすことが推定されます。多くの神経変性疾患において同様の病態機序が存在する可能性があり、splicing modulator compoundなどによりスプライシングの異常を是正できれば、治療的に有望である可能性があるとのことです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/27/study-says-mutation-that-disrupts-genetic-instructions-may-be-cause-of-inherited-als/
ALSにおける運動神経細胞死の初期の病態を解明
・ALS NEWS TODAYの6月5日付記事からです

▽研究者らは、ALSにおける運動神経細胞死の初期の分子過程を解明しました。Cell Reports誌に掲載されたロンドン大学の研究者らの報告によるものです

▽研究者らは、家族性ALSの2%を占めるVCP遺伝子変異ALS患者由来のiPS細胞と健常者由来のiPS細胞を用いて実験を行いました

▽iPS細胞から運動神経細胞やアストロサイトを分化させ、運動神経細胞死における分子機序を調べました

▽その結果、患者由来運動神経細胞においては、核内に存在すべきTDP-43蛋白質が、細胞質内に漏出し、それが運動神経細胞死の引き金となっていることがわかりました。

▽これまでもTDP-43の細胞質内への局在化異常と凝集がALS患者の95%にみられ、病態の中心をなすことはわかっていました。しかし、細胞死につながる最初期のイベントはよくわかっていませんでした。

▽今回の報告により細胞内へのTDP-43の漏出が、ミトコンドリアなどの機能不全をもたらし、細胞死につながる流れが判明しました。

▽また、健常者由来のアストロサイトは運動神経細胞に対して保護的な機能を発揮しましたが、患者由来アストロサイトは、この機能を失っていることもわかりました

▽研究者らは、今回の知見を元に、TDP-43の細胞内動態を正常化する治療法開発についても研究したいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/06/05/als-discovery-of-molecular-trigger-of-motor-neuron-death-could-aid-in-treatment-research/
ALSに関与する新たな遺伝子候補を同定
・ALS NEWS TODAYの5月18日付記事からです

▽最新号のelife誌に公表された結果によると、研究者らは、ALSの原因となる遺伝子変異候補を新たに同定しました。この遺伝子はUBQLN4遺伝子です

▽ゼブラフィッシュモデルにおいて、UBQLN4遺伝子の変異は、神経細胞におけるプロテアソームの機能を障害し、軸索の異常をもたらしました

▽しかしながら、quercetinと呼ばれる物質を投与したところ、UBQLN4遺伝子変異による運動神経細胞異常が正常化しました

▽quercetinはβ cateninとよばれる物質のシグナル経路を阻害することにより、遺伝子変異によって生じた機能的異常を是正することで、治療的効果がみられたと考えられています

▽今後ヒトのALS患者において、この遺伝子変異の関与やβ cateninの病態への影響が調べられ、新たな治療法開発につながる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/05/18/researchers-identifiy-new-gene-mutation-likely-linked-als-development/
TDP-43の蓄積に関する新たな知見の報告
・ALS NEWS TODAYの4月20日付記事からです

▽ALSの病態に主要な役割を果たすTDP-43蛋白質ですが、今回TDP-43蛋白質の凝集に関する新たな知見が報告されました

▽セントルイス大学の研究者らは、TDP-43が特定のリン酸化酵素の基質となることをみいだしました。このリン酸化酵素はMEKとよばれ、MAPK/ERK経路の主要な酵素です

▽MEKによるTDP-43蛋白質のリン酸化は、熱ショック反応において劇的に誘発されます。熱ショック反応は、細胞の恒常性維持と蛋白質の折り畳み異常を防ぐために誘導される、細胞防御機構です。

▽MEKによりリン酸化されたTDP-43は、凝集に関与せず、可溶性を維持することがわかりました。またMEKによりリン酸化したTDP-43蛋白質は、これまでTDP-43が機能すると考えられていた場所とは別の場所に局在化することがわかりました

▽以上の知見を元に、さらにTDP-43の病的な凝集を防ぐメカニズムについて研究し、治療法の開発に結び付けたいとしています

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/20/study-als-protein-behavior-brings-researchers-closer-finding-new-treatments/
ALSにおける変異FUS蛋白質についての新たな知見
・ALS NEWS TODAYの4月18日付記事からです

FUS遺伝子変異は、若年発症ALSの主要な原因となります。

▽今回、研究者らは、FUS蛋白質の機能異常について新たな知見をみいだしました。FUS蛋白質は、変異型であれ正常型であれ高濃度になると運動神経細胞死をもたらします

▽研究者らは、FUS変異動物モデルを用いて、特定の細胞において変異FUS蛋白質の発現を阻害することにより、病態に与える影響を調べました。

▽運動神経細胞において変異FUS遺伝子が発現しないようにし、その他のグリア細胞では発現する状態にしたところ、運動神経細胞死は抑制されました。

▽しかしながら、変異FUSを発現するオリゴデンドロサイトは機能異常を示し、脱髄と筋力低下などの症状が徐々に発現しました。

▽以上の結果は、変異FUS蛋白質は、運動神経細胞に直接的な影響を及ぼすのみならず、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞の機能異常をもたらすことにより、病態発現をもたらすことを示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/04/18/las-study-role-fus-protein-mutations-disease/
逆行性輸送の抑制は運動神経病における凝集蛋白質の蓄積と排泄を変化させる
▽ALSなどの運動神経病においては、折り畳み異常蛋白質の蓄積が細胞毒性をもたらします。細胞は、この異常蛋白質の毒性を防ぐために、シャペロンや、プロテアソーム、自食作用などからなる蛋白質品質管理機構(PQC)を発動します

▽PQCが作動が不十分だと、異常蛋白質が蓄積し、神経細胞死につながります。効率的なPQCの活性化は、活発なdyneinや特定のシャペロンにより構成される逆行性輸送機構に依存します。

▽今回、研究者らは、ALS類似細胞モデルを用いて、dyneinを介した逆行性輸送を抑制することが、異常蛋白質の蓄積を減少させ、排泄を促進することをみいだしました

▽異常蛋白質の排泄の促進は、自食作用ではなく、プロテアソームを介した機構に依存し、HSPA8のコシャペロンであるBAG1の発現亢進と関連していました

▽以上の結果は、細胞が、自食作用を介した異常蛋白質の排除機構がうまくいかない場合、dyneinに依存しない手段により、BAG1発現亢進させプロエアソームによる蛋白質排泄機構を用いて、異常蛋白質排泄を行うことを示唆しています

(この研究は、イタリア、Università degli Studi di Milano のCristofaniらにより報告され、平成29年4月12日付のAutophagy誌に掲載されました)

SARM1とALSの病態の関連性
・ALS RESEARCH FORUMの3月31日付記事からです

▽今回、研究者らは神経軸索と関係のあるSARM1が、細胞のエネルギー源となるATP産生の補酵素であるNAD+の構造変化に関係する酵素であることをみいだしました。

▽これまで研究者らはSARM1がNAD+の利用率を減少させることで、軸索のエネルギー供給を低下させ、軸索変性をもたらすことを報告しています。

▽また、損傷をうけた軸索が、SARM1を介した機構により、自ら変性することが報告されています。さらに、SARM1はゲノムワイド関連分析により、孤発性ALSの病態に関与していることがわかっています。また、TDP-43蛋白症における運動神経細胞変性においてもSARM1を介した変性機構が働いていることが報告されています。

▽SOD1変異ALSモデル動物を用いた実験においては、運動神経細胞変性の少なくとも50%にSARM1が関与していることがわかりました。

▽今回の研究結果により、SARM1の詳細な作用機序が判明し、今後ALSの治療対象となりうる可能性が期待されます

引用元
http://www.alsresearchforum.org/a-new-sarm1s-race-in-als-begins/
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