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ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
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201807<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201809
TDP-43蓄積は神経細胞におけるRNA不安定性を引き起こす
・ALS NEWS TODAYの7月24日付記事からです

▽TDP-43蛋白質は、DNAとRNAに結合する核内蛋白質ですが、ALS患者においてはRNAの不安定性を引き起こすことが明らかになりました。

▽ミシガン大学の研究者らが最新号のNature Communications誌に公表した研究結果によるものです。

▽ALSモデル動物においては、異常RNAの蓄積が報告されていますが、これがRNA産生異常によるものか、RNA代謝異常によるものかわかっていませんでした

▽研究者らはBru-SeqおよびBruChase-seqと呼ばれる最新の技術を用いて、ALS患者由来細胞におけるRNA産生とRNA分子の安定性を調べました

▽その結果、ミトコンドリア構成成分とミトコンドリア蛋白質をエンコードするRNA(ミトコンドリアRNAおよびリボソーマルRNA)の安定性に重大な異常がみつかりました

▽TDP-43蛋白質を過剰産生させるように加工した細胞モデルにおいても同様の現象が再現されました。

▽これらの結果は、TDP-43蛋白質の蓄積が細胞エネルギー産生に関与するRNAの不 安定性を促進し細胞死につながることを示唆するものです。

▽研究者はRNA不安定性に対する治療戦略を探索しており、RNA結合蛋白質の疎隔化や、RNA顆粒の崩壊などを阻害することにより、RNA恒常性を回復することにより治療的効果が期待できるのではないかと考えています。今後の研究の進展が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/07/24/tdp-43-accumulation-causes-rna-instability-als-patients-nerve-cells/
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p38 MAPK alpha阻害はALSの軸索輸送障害を改善する
▽発症前のSOD1変異ALSモデルマウスにおいて、軸索輸送の障害が報告されています。今回、研究者らは軸索の逆行性輸送を賦活する小分子を探索しました。

▽その結果、p38 MAPK alpha (p38 mitogen-activated protein kinase alpha)阻害剤がSOD1変異ALSモデルマウスの軸索輸送障害の改善に有用であることが判明しました。

▽p38 MAPK alpha阻害剤を投与すると、SOD1変異ALSモデルマウスにおける逆行性軸索輸送の生理学的な効率が回復しました。以上の結果は、p38 MAPK alpha阻害剤がALS治療法開発において有望な戦略となりうる可能性を示唆するものです

(この研究はイギリス、 University College LondonのGibbsらにより報告され、平成30年5月22日付のCell death and disease誌に掲載されました)
TP73遺伝子が孤発性ALS発症に関与する可能性
・ALS NEWS TODAYの4月18日付記事からです

▽ALS患者の5-10%は家族性ですが、残る大半が孤発性であり原因がよくわかっていません。

▽孤発性ALS発症リスクに関連する15以上の遺伝子が報告されていますが、はっきりしたことはよくわかっていません

▽今回ユタ大学の研究者らは、孤発性ALSの発症リスク増加に関与していると考えられる新たな遺伝子を報告しました

▽87名の孤発性ALS患者と324名の健常対照群を用いて、エクソーム解析が行われました。その結果TP73遺伝子の特定の変異が孤発性ALS発症と関与している可能性が示唆されました

TP73遺伝子はp73蛋白質をエンコードしており、この蛋白質は運動神経細胞の成長とストレス反応に関与していることがわかっています

TP73遺伝子の特定の変異と発症との関連性が明らかになることにより、病態解明と治療法開発への道が拓ける事が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/04/18/als-study-links-variations-of-tp73-gene-to-non-inherited-form-of-the-disorder/
ストレス顆粒の集合体が核細胞質間輸送を障害する
▽核細胞質間輸送の障害はC9orf72遺伝子変異ALSにおける主要な病態です。また異常蛋白質凝集を来すその他の神経変性疾患でも核細胞質間輸送の障害が報告されています

▽今回、研究者らは細胞ストレスが、核細胞質間輸送において重要な役割を果たす、RNA/蛋白質複合体をストレス顆粒中に閉じ込めることにより、核細胞質間輸送を障害することを明らかにしました

▽重要なことに、Ataxin-2をノックダウンするなどの方法で、ストレス顆粒の集合を阻害することにより、核細胞質間輸送の障害が緩和されました。

▽以上の結果は、ストレス顆粒集合体と核細胞質間輸送の障害との関連性を明らかにするものであり、今後の治療法開発の手がかりとなる可能性があります

(この研究は、アメリカ、 Johns Hopkins UniversityのZhangらにより報告され、平成30年4月2日付のCell誌に掲載されました)

グリア細胞のCB2受容体刺激によるTDP-43蛋白症モデルマウスの症状改善
▽TDP-43変異ALSモデルマウスの脊髄における活性化ミクログリアにおいて、CB2受容体の発現亢進が知られています。今回研究者らはCB2受容体の機能を変化させる物質を投与することで病態がどのように変化するかを検証しました

▽TDP-43変異モデルマウスに対して、CB2受容体の非選択的アゴニストであるWIN55,212-2を単独投与、ないし選択的なCB1ないしCB2アンタゴニストと同時投与し、また選択的CB2アゴニストであるHU-308を投与し、その影響を調べました。

▽その結果、WIN55,212-2投与は軽度の治療的効果をもたらしました。この効果はCB2活性化を介することがわかりました。またHU-308投与は、運動機能などに有意な改善効果をもたらしました。HU-308投与は反応性のアストログリオーシスの減少をもたらしました。

▽以上の結果は、TDP-43変異ALSモデルマウスにおいて、グリア細胞のCB2受容体が病態に一定の役割を果たしていることを示唆しており、グリア細胞のCB2受容体の活性化が治療的に有益な効果をもたらす可能性を示唆するものです

(この研究はスペイン、Universidad ComplutenseのEspejo-Porrasらにより報告され、平成30年3月25日付のBritish Journal of Pharmacology誌に掲載されました)


ALS発症に関与する新規遺伝子の発見
・ALS NEWS TODAYの3月26日付記事からです

▽国際的な大規模な研究グループの共同研究によりALSの発症に関与しうる新たな遺伝子が同定されました。

▽この遺伝子はKIF5A遺伝子であり、20806名のALS患者と、59804名の健常者との比較によるゲノムワイド関連分析により判明しました。これまでで最大規模の研究となります。この研究結果は最新号のNeuron誌にて公表されました。

KIF5A遺伝子はこれまでに、家族性痙性対麻痺やシャルコーマリートゥース病2型の発症に関与していることがわかっています。この遺伝子変異によるALSでは発症が比較的早く、一方で進行は比較的ゆるやかであることがわかりました。今後さらに頻度や変異の部位などの詳細が研究される予定です

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/03/26/large-scale-international-study-links-kif5a-to-als/
p70 s6リン酸化酵素の抑制は自食作用亢進とSOD1凝集体分解を促進する
▽自食作用は、変異SOD1蛋白質などでみられる折り畳み異常蛋白質の分解において、中心的な役割を果たしています。

▽自食作用はULK1が特定の部位(S555)でリン酸化された場合やAMPKによりに活性化します。また自食作用はULK1がS757でリン酸化された場合に抑制されます。

▽p70 S6リン酸化酵素(S6K1)が自食作用に与える影響はよくわかっていません。今回研究者らはS6K1をA77 1726(抗炎症薬剤であるレフルノミドの活性代謝物)により阻害し、運動神経細胞モデルで影響を調べました

▽その結果、S6K1阻害は自食作用の亢進をもたらしました。この作用はTAK1活性化によるAMPKリン酸化を伴うことがわかりました。またA77 1726投与は、変異SOD1蛋白質とオートファゴソームの融合を促進し、SOD1蛋白質分解を促進することがわかりました。

▽以上の結果は、レフルノミドなどによるS6K1阻害が自食作用亢進をもたらし、ALSに対して治療的に有効な可能性を示唆するものです

(この研究は、中国、Yangzhou UniversityのSunらにより報告され、平成30年3月14日付のCell death and disease誌に掲載されました)
ビタミンA輸送体とALSリスクの関連性
・ALS NEWS TODAYの3月12日付記事からです

▽ドイツの研究者らがJAMA Neurology誌に公表した研究結果によると、ビタミンA輸送体であるRBP4(retinol binding protein 4)の濃度が高いことと、ALSの進行が緩やかなことが関連している可能性を示唆する結果が得られました

▽RBP4は脂肪組織から分泌されます。ビタミンAは中枢神経発達に重要な役割を果たし、ビタミンAの活性体であるレチノイン酸は運動神経発達の運動神経活動にとって重要な因子となっています

▽ALS進行期においてはレチノイン酸受容体の減少が報告されています。RBP4濃度が高いことは、インスリン抵抗性や肥満、糖尿病と関連していると考えられている一方で、BMIが高いことや糖尿病はALSから保護的な作用を有することも報告されています

▽この研究では、289名のALS患者と504名の健常対照群において、RBP4濃度などが比較されました。

▽その結果、RBP4濃度の高さと生存期間の長さとの関連がみられました。またRBP4濃度が高いとALS発症リスクが減少する可能性があることを示唆する結果がえられました

▽この研究だけでRBP4がALSに対して保護的なのかどうかを結論付けることはできませんが、RBP4が今後の治療対象として有用な可能性があります。

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/03/12/als-study-shows-vitamin-a-transporter-helps-protect-against-the-disease/
TDP-43蛋白症モデルマウスにおけるミクログリアによる運動神経変性の回復
▽ALSにおいては、運動神経細胞が選択的に障害されますが、その他の細胞も病態に関与しています。研究者らはヒトTDP-43蛋白症を可逆的に再現するrNLS8マウスを作成しました

▽このモデルマウスの運動神経細胞喪失過程において、脊髄におけるミクログリアの変化は、ミクログリアの炎症に対する反応性は保持されていましたが、わずかなものでした。

▽注目すべきことに、TDP-43発現を抑制したところ、ミクログリアは劇的に増殖し、形態と遺伝子発現パターンの変化がみられました。これらの活性化ミクログリアは、神経細胞のTDP-43を選択的に排除しました。この活性化したミクログリアをPLX3397(CSF1Rとc-kit阻害剤)で阻害したところ、運動機能の回復はみられませんでした

▽以上の結果は、活性化したミクログリアはこのモデルマウスにおいては神経保護作用を発揮することを示唆しており、今後の治療法開発において注目すべき結果と考えられます

(この研究は、アメリカ、University of PennsylvaniaのSpillerらにより報告され、平成30年2月20日付のNature Neuroscience誌に掲載されました)
モデルマウスにおけるアンギオゲニンの多面的効果
▽アンギオゲニン遺伝子の機能喪失型の変異は家族性および孤発性ALSの病因として報告されています。これまでに研究者らは細胞モデルにおいてアンギオゲニンが運動神経保護作用を有し、モデルマウスにおいてアンギオゲニン投与が生存期間延長効果を有することを報告しています。しかしその作用機序はよくわかっていません。

▽今回研究者らはモデルマウスにおいてアンギオゲニンの薬物動態などを調べました。

▽モデルマウスに対するアンギオゲニン投与は、生存期間の延長作用と運動機能喪失の遅延作用をもたらしました。投与されたアンギオゲニンは脊髄アストロサイトおよび内皮細胞への蓄積を認め、グリアによる傍分泌作用が作用機序であることを示唆するものです。アンギオゲニン投与により脊髄前角における血管ネットワークの保持作用がみられました。

▽以上の結果は、アンギオゲニンが多面的な効果によりモデルマウスに治療的効果をもたらす可能性を示唆するものです

(この研究は、アイルランド、Royal College of Surgeons のCrivelloらにより報告され、平成30年2月24日付のNeuropharmacology誌に掲載されました)

Sema3蛋白質がALSにおける運動神経細胞の生存に影響する
・ALS NEWS TODAYの2月21日付記事からです

▽Cell Death & Disease誌に掲載された研究結果によると、semaphorin 3A (Sema3A)とよばれる蛋白質がALS動物モデルにおいて運動神経細胞の生存に影響を与えることがわかりました

▽Sema3Aは軸索の成長を制御する蛋白質ファミリーに属します。ALSモデルマウスの脊髄運動神経細胞においては、Sema3Aとその受容体であるneuropilin1(NRP1)が増加していることがわかりました

▽さらにNRP1を阻害する抗体を40日齢のモデルマウスに投与したところ、発症遅延効果と生存期間延長作用が認められました

▽ALS患者においては、運動皮質におけるSema3A濃度の上昇と、脊髄におけるSema3A濃度の減少が報告されていますが、統計的に有意な差ではありません。ヒトにおけるSema3Aの病態に果たす役割については解明すべき点が多くあります。

▽研究者らはヒトの皮質運動神経細胞モデルと、脊髄運動神経細胞モデルを用いて、Sema3Aの影響を調べました。その結果皮質細胞においてはSema3Aは細胞障害性に働き、脊髄運動神経細胞に対しては、Sema3Aは保護的に働くことを示唆する結果がえられました。今後ヒトにおけるSema3Aの病態に果たす役割の解明が期待されます

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/02/21/protein-sema3a-in-als-impacts-motor-neurons-survival-early-study/
Elongator subunit 3(ELP3)はtRNAの修飾によりALSの病態変化をもたらす
▽今回、研究者らはtRNAのウリジン基を修飾する作用を有するelongator complecのサブユニットであるELP3がALSの病態に与える影響を調べました

▽その結果、ELP3はSOD1変異ALSゼブラフィッシュモデルおよび、C9orf72遺伝子変異ALSゼブラフィッシュモデルにおいて軸索変性を減少させました。またSOD1変異ALSモデルマウスにおいてELP3を発現させたところ生存期間の延長効果と神経変性の減少が観察されました。細胞モデルにおいてELP3を除去したところ、不溶性SOD1凝集体の増加が観察されました。

▽ALS患者においては運動野においてELP3 発現が減少していることが知られています。今回の研究結果はELP3がALSの病態改善作用を有する可能性、およびtRNA修飾とALSの病態が関与している可能性を示唆するものです。

(この研究は、ベルギー、University of LeuvenのBento-Abreuらにより報告され、平成30年2月3日付のHuman Molecular Genetics誌に掲載されました)
喪失した蛋白質を回復させることで神経細胞死が停止
・ALS NEWS TODAYの2月8日付記事からです

▽南カリフォルニア大学の研究者らが最新号のNature Medicine誌に公表した研究結果によると、C9orf72遺伝子変異ALSにおいて、正常蛋白質の量を回復させることが神経細胞死を防ぎうることがわかりました

C9orf72遺伝子変異では、異常蛋白質の生成が神経毒性を発揮することが知られていますが、その病態は十分にわかっていません。C9orf72蛋白質は自食経路に関与することが知られています。

▽今回、研究者らは、C9orf72遺伝子変異ALS患者より採取した血液より運動神経細胞を生成し、同時に健常者の血液細胞から遺伝子編集技術によりC9orf72遺伝子変異を有する運動神経細胞を作成しました

▽主要な発見は、患者由来運動神経細胞におけるC9orf72蛋白質の減少でした。さらにモデルマウスにおいて、C9orf72蛋白質濃度を回復させたところ、神経変性が停止しました。また、研究グループはC9orf72蛋白質がリソソームと呼ばれる蛋白質分解に関与する細胞内器官の形成に関与していることをみいだしました

▽以上の結果は、運動神経細胞においてC9orf72蛋白質の活性を高めることが治療的に機能する可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/02/08/als-study-shows-that-restoring-missing-protein-stops-nerve-cell-degeneration/
ALSの神経細胞毒性に細胞内輸送機構の関与
・ALS NEWS TODAYの1月22日付記事からです

▽エンドサイトーシス(細胞が細胞外物質を取り込む機構)とよばれる細胞輸送機構がALS患者において異常を来している可能性が報告されました

▽アリゾナ大学の研究者らがNature Communications誌に公表した報告によると、エンドサイトーシスの異常により異常蛋白質凝集が生じる可能性があるとのことです。

▽ALSにおいては、運動神経細胞におけるTDP-43蛋白質の凝集体形成が主要な病態の1つですが、TDP-43蛋白質が正常機能を失うために細胞死がもたらされるのか、凝集体そのものが有害なのかなどについてはよくわかっていません。また異常蛋白質を除去する自食作用の異常についてもその可能性が報告されています

▽今回、研究者らは酵母細胞を用いた研究により、TDP-43蛋白質凝集体が、エンドサイトーシスを阻害することをみいだしました

▽エンドサイトーシスを活性化したところ、TDP-43凝集体は減少し、細胞毒性が減弱したとのことです。同時に エンドサイトーシスを阻害したところ、TDP-43蛋白質濃度が上昇しました

▽ALS動物モデルであるTDP-43変異ミバエを用いて、エンドサイトーシスを活性化したところ、病態緩和効果がみられました。

▽以上の結果はエンドサイトーシスの活性化がALSに対する新たな治療戦略として有望な可能性を示唆するものです

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/01/22/study-links-cell-transport-mechanism-to-nerve-cell-toxicity-in-als/
天然物質がALSモデルマウスの症状緩和
・ALS NEWS TODAYの1月19日付記事からです

▽ミズーリ大学の研究者らがCell Reports誌に公表した研究結果によると、天然の酵素がALSモデルマウスの症状緩和効果を有することが判明しました

▽NAMPT(nicotinamide phosphoribosyltransferase)とよばれる酵素は、主に神経細胞で発現しており、脳梗塞後などで過剰発現し神経保護作用を有します

▽NAMPT遺伝子除去したモデルマウスではALS類似症状が観察されました。細胞レベルでは、NAMPT遺伝子除去によりミトコンドリア機能の障害が生じ、神経筋接合部の機能異常や細胞死が生じることがわかりました

▽NAMPT酵素の代替となりうる天然分子である nicotinamide mononucleotideを投与したところ、NAMPT遺伝子欠損モデルマウスの症状が緩和し、生存期間の延長効果がみられました

▽ALS患者の脊髄細胞においてはNAMPT濃度が減少していることが報告されており、NAMPT遺伝子に着目した治療戦略が有望な可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/01/19/study-shows-symptoms-of-mice-with-als-improve-after-they-are-treated-with-enzyme/
細胞ストレスがALSにおける有害蛋白質生成を促進する
・ALS NEWS TODAYの1月4日付記事からです

▽ミシガン大学の研究者らがNature Communications誌に公表した研究結果によると、ウイルス感染などの細胞ストレスがC9orf72遺伝子変異による異常蛋白質生成に関与している可能性があるとのことです

C9orf72遺伝子変異により生成したmRNAからリピート関連非ATG翻訳により、有害蛋白質が生成することが知られていますが、この有害蛋白質の生成が、細胞ストレス下において促進することが実験的に示されました。

▽この結果は、ウイルス感染や栄養不足などの外部のストレスが神経変性疾患の病態に影響しうる可能性があることを示唆する結果として注目されています。研究者らはこれら外部要因が有害蛋白質を生成する過程をコントロールする方法がみつかれば、病態改善につながるのではないかと期待しています

引用元
https://alsnewstoday.com/2018/01/04/cell-stress-unleashes-downward-spiral-of-toxic-protein-production-in-als/
ClusterinはTDP-43蛋白症から細胞保護作用を有する
▽蛋白質の正常構造を保持する機能を有するシャペロンであるclusterinは、小胞体ストレス下において細胞質内に局在化することが知られていますが、その生理的役割はよくわかっていません

▽今回、研究者らは、clusterinの発現亢進により、TDP-43蛋白症における蛋白質凝集による細胞毒性がどのように変化するかを調べました

▽実験は、TDP-43蛋白症の細胞モデルとショウジョウバエモデルで行われました。

▽その結果、clusterinは直接TDP-43と相互作用し、TDP-43と同一部位に局在化し、その凝集を阻害することがわかりました。

▽TDP-43蛋白症ショウジョウバエモデルにおいては、運動機能の改善と生存期間の延長がみられました。

▽以上の結果は、clusterinがTDP-43蛋白症からの細胞保護作用において重要な役割を果たしており、今後の治療戦略として有望な可能性があります

(この研究はイギリス、University of EdinburghのGregoryらにより報告され、平成29年11月7日付のActa Neuropathologica Communications誌に掲載されました)
植物の異常蛋白質除去機構がALS研究のヒントになる可能性
・ALS NEWS TODAYの11月1日付記事からです

▽ALSを含むいくつかの神経変性疾患の病態においては、神経細胞における蛋白質の折り畳み異常が関与しています。

▽スペインの研究者らは植物を用いて、葉緑体に折り畳み異常蛋白質が蓄積する際に、蛋白質の恒常性維持機構が発現する機構について明らかにしました。

Plos Genetics誌に掲載された報告によると、この機構は、HsfA2遺伝子の活性化を伴うものであることがわかりました。

▽葉緑体において折り畳み異常蛋白質が生じた際に、Clpと呼ばれる蛋白質分解酵素が活性化し、異常蛋白質が除去されます。しかし、Clpによる蛋白質除去がうまくいかなかった場合には、異常蛋白質が蓄積し、その結果、ストレスシグナルが発生します。

▽葉緑体がストレスシグナルを発生させた場合、そのシグナルを受けた核においてHsfA2遺伝子活性化が起こり、その結果、シャペロンとよばれる正常な折り畳み構造を維持するための蛋白質発現が誘導されることがわかりました。

▽このような蛋白質の恒常性維持機構が判明することにより、ヒト神経変性疾患の治療戦略に新たなヒントがもたられされる可能性があります

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/01/als-research-examines-how-plants-eliminate-protein-folding/
細胞内の自食作用の障害が神経変性疾患につながる可能性
・ALS NEWS TODAYの11月8日付記事からです

▽ドイツの研究者らがNature Communications誌に報告した研究結果によると、細胞内の不要物質の除去機構である自食作用の機能異常が、ALSなどの神経変性疾患の病態において中心的役割を果たしている可能性を示唆する結果が得られました。

▽自食作用により細胞は異常な蛋白質などを分解し、再利用し、細胞内の恒常性を維持しています。SOD1変異ALSモデルマウスにおいて自食作用を変化させた場合、病態進行も変化することが知られています。運動神経細胞において自食作用がどのように制御されているかはよくわかっていませんでした。

▽今回、研究者らは、運動神経細胞における自食作用の発現においてPLEKHG5遺伝子が重要な役割を果たしていることをみいだしました。

PLEKHG5遺伝子は、運動神経細胞においてシナプス小胞の分解を制御しています。PLEKHG5遺伝子を除去すると、自食作用が遅延し、シナプス小胞の蓄積が起こります。その結果軸索の成長が阻害されました。さらに運動神経病に類似した病態が再現されました。

▽以上の結果は、運動神経病において自食作用が病態に与える影響についての新たな知見を加えるものであり、今後の治療法開発において新たな戦略を与える可能性があります。

引用元
https://alsnewstoday.com/2017/11/08/als-other-diseases-caused-by-defects-in-cell-cleanup-system-mouse-study-suggests/
アストロサイトの神経保護状態はEphB1シグナル経路により誘導されるが、ALSモデルでは障害されている
▽アストロサイトの神経障害に対する反応は、状況によって神経保護的であったり神経障害的であったしたりしますが、これらの状態を決定するメカニズムはよくわかっていません。

▽今回、研究者らは、傷害を受けた運動神経細胞においては、B型エフリン受容体1(EphB1)が発現亢進しており、エフリンB1を介したシグナル伝達と、STAT3の活性化がアストロサイトを活性化させることを明らかにしました

▽転写解析により、EphB1は神経保護的、抗炎症性のアストロサイト活性化をもたらすことがわかり、この作用はSTAT3ネットワークを介していることがわかりました。

▽この反応はIL-6を介した炎症促進過程とは異なる反応であることがわかりました。また、EphB1-エフリンB1経路がALS患者由来の幹細胞から分化させたアストロサイトや、ALS動物モデルのアストロサイトにおいては、障害されていることがわかりました

▽今回の結果は、神経細胞がアストロサイトを神経保護的に活性化するヘルプシグナルを明らかにするのみならず、ALSにおいてこのシグナル経路が障害されていることから、今後の治療ターゲットとして有望な可能性があります

(この研究は、イギリス、University of CambridgeのTyzackらにより報告され、平成29年10月27日付のNature Communications誌に掲載されました)
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