ALS(筋萎縮性側索硬化症)に負けないで
全世界から最新の治療情報を見つけ出し、ここで紹介します。完治するまで戦い続けましょう!
201704<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201706
患者由来iPS細胞によりALSの治療標的分子経路を同定
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です

・京都大学CiRA増殖分化機構研究部門の研究グループは、ALS患者由来iPS細胞を用いて、薬剤スクリーニングを行い、オートファジーを促進するボスチニブなどの薬剤が有効な可能性をみいだしました

引用元
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/170525-030000.html

・ヒトでの有効性確認が期待されます

・かなくんさんありがとうございました
スポンサーサイト
幹細胞移植による血液脊髄関門の修復がALSモデルマウスに治療的効果
・ScienceDailyの5月15日付記事からです

▽南フロリダ大学の研究者らは、ALSモデルマウスに対して骨髄幹細胞を移植し、血液脊髄関門を修復することにより治療的効果がみられることを報告しました

▽Scientific Reports誌に掲載された報告によると、研究者らは、血液脊髄関門を修復する細胞に分化しうるヒト骨髄幹細胞を発症後のALSモデルマウスに移植し、治療的効果がみられることを確認しました

▽発症後のモデルマウスに対して、幹細胞を静注し、4週後に確認したところ、幹細胞は内皮細胞に分化し、ALSにおいて損傷された血液脊髄関門を修復し、その結果、神経炎症に関与しうる活性化グリア細胞の減少がみられ、機能的にも改善効果がみられたとのことです

▽今後ヒトでの検証が期待されます

引用元
https://www.sciencedaily.com/releases/2017/05/170515091129.htm
クモ膜下腔への自家末梢血単核球細胞移植の安全性
▽今回、中国で14名のALS患者に対して施行された自家末梢血単核球のクモ膜下腔移植についての安全性などについての報告がなされました

▽14名の患者から1×10の9乗個の末梢血単核球細胞が採取されました。その後、クモ膜下腔へ移植されました。

▽その結果、血液生化学検査などで異常所見はなく、移植も安全に施行されました。移植前1週間、移植後1,2,4,12週間において機能的尺度も評価されましたが、移植前後で有意差はありませんでした

▽以上の結果は、自家末梢血単核球移植が安全であることを示唆するものです。しかし、治療的効果は目立ったものではないようです。さらに大規模な試験での検証が必要です

(この報告は、中国、Dalian Medical UniversityのLiらにより報告され、平成29年3月12日付のNeural regeneration research誌に掲載されました)
CiRA Newsletter 4月号
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です

・京都大学iPS細胞研究所の機関紙であるCiRA Newsletter 4月号において、iPS細胞とALSについて高橋教授の記事がありました

・以下16ページからご参照ください
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/pdf/Newsletter_Vol_29.pdf?1493010279844

・またNHKのクローズアップ現代のHPでも遺伝子治療研究所の浅井克仁社長の記事が掲載されています
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3964/index.html

・かなくんさん、ありがとうございました
京大、慶應大などiPS細胞でALSの病態解明や治療法開発を探求
・かなくんさんよりご提供いただいた話題です

・京都大学などでiPS細胞を用いたALSの病態解明研究が進行中とのことです
引用元
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H0O_V10C17A2CR0000/

・ゲノム編集技術を用いた遺伝子修復などによる治療も研究されているようで、今後の進展が期待されます

・また慶應義塾大学でもiPS細胞から神経細胞を効率よく作成する技術を開発したとのことです
引用元
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG13HGT_T10C17A2CR8000/

・ALSなど神経変性疾患の病態解明が期待されます

・かなくんさん、ありがとうございました
ES細胞/iPS細胞から脊髄運動神経細胞を簡便に作製する技術開発
・麦酒王さんよりご提供いただいた話題です

・京都大学iPS細胞研究所において、運動神経細胞をiPS細胞などから簡便に作成する技術が開発されたとのことです。
引用元
http://s.news.mynavi.jp/news/2017/02/03/384/index.html

・これらの技術により、患者由来iPS細胞を用いた治療法開発の研究がさらに進展することが期待されます

・麦酒王さん、ありがとうございました
韓国での幹細胞移植第1相臨床試験進行中
・既に募集中であった、韓国で行われている、HLAハプロタイプのマッチした同種骨髄幹細胞のクモ膜下腔内移植の第1相試験が募集終了し、進行中となりました

・6名の患者が対象となっており、今年中に終了予定となっています。良好な結果が期待されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT01758510
ES細胞から運動神経細胞を分化させる分子機構の解明
・ALS NEWS TODAYの12月16日付記事からです

▽ニューヨーク大学などの研究グループが最新号のCell Stem Cell誌に発表した結果によると、ES細胞を運動神経細胞に分化させる際のより詳細な分子機構が明らかになったとのことです

▽将来的に、ALSなど神経変性疾患において治療的に応用可能となることが期待されます。

▽3つの転写因子の発現量をコントロールすることで、幹細胞が様々な細胞に分化しますが、研究者らは、転写因子がどのように遺伝子に作用し、発現量に影響しているかをより詳細に観察しました

▽転写因子を調節することにより、研究者らは90-95%という高い効率で、幹細胞を運動神経細胞に分化させることに成功しました

▽分化過程において2つの独立したプロセスが機能していることがわかりました。1つは転写因子Isl1とLhx3が関与する経路であり、もう1つはNgn2が関与する経路です

▽これら分子機構の詳細が判明することにより、将来的に分化プロセスをさらに単純化させることができるのではないかということが期待されます。

▽また、これらの知見を元に、脊髄中の細胞を刺激し運動神経細胞に分化させることにより、ALSなどで失われた神経細胞に置換させるなど、将来的な技術の開発につながることが期待されています

引用元
https://alsnewstoday.com/2016/12/16/study-of-motor-neuron-formation-may-advance-als-cell-therapies/
自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植の安全性
・Mayoクリニックでの第1相臨床試験の報告です

▽ALSに対する自家脂肪組織由来間葉系幹細胞のクモ膜下腔内投与の安全性についての臨床試験が実施されました

▽27名の患者がエントリーし、1度ないし2度の移植を受けました。副作用としては一過性の腰痛や下肢痛などでした。これらの臨床所見は髄液中蛋白上昇と有核細胞の増加、およびMRIでの腰仙髄領域の神経根肥厚と関連していました。

▽ALSFRS-R得点については、進行性の経過をとりましたが、この第1相臨床試験の主たる評価尺度ではなく、今後の有効性を評価する第2相臨床試験で評価される予定です。

▽自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植の安全性が確認されました。

(この研究は、アメリカ、 Mayo ClinicのStaffらにより報告され、平成28年10月26日付のNeurology誌に掲載されました)
Cedars-Sinaiが新規幹細胞臨床試験の開始をFDAから承認
・Lou Gehrig's Disease News and Researchの10月21日付記事からです

▽Cedars-Sinai医療センターの再生医療研究班は、ALSの進行停止を目指した幹細胞治療の臨床試験の開始について、FDAから承認を得ました。

▽この承認により、18名のALS患者が、数ヶ月以内に新規治療法の試験にエントリーされ治療開始となる見込みです。

▽この治療法は、グリア細胞栄養因子(GDNF)を分泌するように遺伝子的に操作した幹細胞を移植するものです。今年中の開始が予定されています。良好な結果が期待されます

引用元
http://www.news-medical.net/news/20161021/Cedars-Sinai-receives-FDA-approval-to-examine-safety-of-combination-stem-cell-gene-therapy-in-ALS-patients.aspx
新規臨床試験情報:自家間葉系幹細胞移植の第1/2相臨床試験
・ブラジル、サンパウロでの新規臨床試験情報です

・ALSに対する自家間葉系幹細胞移植の第1/2相臨床試験が開始予定です。患者自身の骨髄より採取された間葉系幹細胞が採取より1ヵ月後および2ヵ月後の2度、クモ膜下腔内に移植され、6ヶ月間経過観察される予定です。

・オープン試験で行われ合計28名の患者がエントリー予定です

・良好な結果が期待されます

引用元
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02917681
骨髄単核球移植はALSモデルマウスの発症遅延と生存期間延長効果をもたらす
▽ALSにおいて、細胞移植治療は運動神経喪失を抑制し、ミクロ環境を回復させる手段として注目されています。

▽今回、研究者らは、SOD1変異ALSモデルマウスを用いて、骨髄単核球移植の有効性を検証しました。骨髄単核球は緑色蛍光蛋白質(EGFP)遺伝子組み換えマウスおよびSOD1変異モデルマウスから採取されました

▽その結果、いずれのモデルマウスから採取した骨髄単核球でも、発症前に移植した場合、発症遅延と生存期間の延長がみられました。発症後時間がたってからの移植では、臨床的に有意な変化はあまりみられませんでした。

▽発症前の早期からの骨髄単核球移植は、病態改善効果を有する可能性があり、今後の検証が期待されます

(この研究はブラジル、Instituto do Cérebro do Rio Grande do Sul のVenturinらにより報告され、平成28年9月22日付のNeuroscience Letter誌に掲載されました)
3K3A-APCは神経幹細胞による中枢神経損傷修復を促進する
▽APC(activated protein C)は血中の蛋白分解酵素であり、抗凝固作用と、PAR1やPAR3を介した細胞内シグナル伝達経路に関与する働きを有しています。

▽APCの3つのリシン残基をアラニンに置換した遺伝子組み換え3K3A-APCは、脳梗塞や頭部外傷、多発性硬化症、ALSなどのモデルマウスにおいて治療的効果を有することが報告されています

▽3K3A-APCは安全性も高いため、脳梗塞については臨床試験段階まで進展しています。

▽近年、3K3A-APCは、神経幹細胞や、神経前駆細胞による、神経再生を促進させることが、基礎実験で示されました。この作用は、PAR1-PAR3-S1PR1(sphingosine-1-phosphate-receptor 1)-Akt経路を介するものであり、3K3A-APCが中枢神経を構造的に再生させる能力を有する可能性を示唆するものです。

▽今回、研究者らは、脳梗塞モデルマウスを用いて、3K3A-APCが移植したヒト神経幹細胞による神経再生を促進し、神経回路の再生と機能的回復を促進させることをみいだしました。

▽以上の結果は、3K3A-APCが、移植後のヒト神経幹細胞の再生能を促進させることができる可能性を示唆しており、今後の幹細胞移植治療において、治療選択肢となりうる可能性があります

(この研究はアメリカ、Keck School of Medicine of the University of Southern CaliforniaのWangらにより報告され、平成28年8月22日付のNature Medicine誌に掲載されました)
臍帯血細胞を用いた複数の治療的遺伝子同時投与がALSに対して治療的効果を発揮する可能性
▽ALSの発症に関与する病態は多様であると考えられており、単一分子をターゲットにした治療法の成果が芳しくない現状は予想しうるものです。

▽今回、研究者らは治療的有効性を高めるため、3つの遺伝子の同時投与による治療的効果を検証しました

▽アデノウイルスによりVEGF(vascular endothelial growth factor)、GDNF(glial cell-derived neurotrophic factor)、NCAM(neural cell adhesion molecule)の3つの遺伝子を導入されたヒト臍帯血由来単核球をALSモデルマウスに移植したところ、生存期間の顕著な延長効果が認められました。

▽移植5日後には移植した臍帯血単核球由来の栄養因子発現が認められ、1ヶ月経過後も生着していることが確認されました。免疫抑制剤を使用しない、マウスに対する異種移植でしたが、臍帯血由来単核球細胞の生着と生存が中枢神経において確認されました。

▽この結果は、複数の神経栄養因子の遺伝子発現をもたらす臍帯血由来単核球移植が、ALSに対して治療的に有効な可能性を示唆するものです

(この研究は、ロシア、Kazan State Medical UniversityのIslamovらにより報告され、平成28年8月6日付のMolecular Neurobiology誌に掲載されました)
iPS細胞由来運動神経細胞は加齢でALS細胞モデルにより適合する
・ALS RESEARCH FORUMの7月19日付記事からです

▽7月18日付のNature Neuroscience誌に掲載された論文によると、研究者らは、ALSのiPS細胞由来モデルについて新たな知見を見出しました

▽iPS細胞由来の脊髄運動神経細胞のトランスクリプトーム解析を行い、胎児由来脊髄組織と、成人の脊髄組織とを比較した結果によると、iPS細胞由来脊髄運動神経細胞は、胎児由来組織により類似した性質を有する事が明らかになりました

▽さらに、研究者らは加齢に応じて活性化する遺伝子ネットワークの変化を明らかにし、ALSの病態がいかにこのネットワークを障害するかについて明らかにしました。

▽ALSの細胞モデルを構築する際には、加齢による性質の変化を考慮することで、より病態を正確に反映したモデルの構築が可能になるのではないかとのことです

引用元
http://www.alsresearchforum.org/ipsc-derived-motor-neurons-may-need-to-age-to-better-model-als/
間葉系幹細胞はTGF-β産生を通じてミクログリアの機能変化をもたらす

▽神経変性疾患においてミクログリアは治療ターゲットの1つとなっています。これまで研究者らは間葉系間質細胞におけるTGF-β産生能が、ALSに対する自家間葉系間質細胞移植における有効性の指標となりうる可能性を指摘してきました

▽しかし、間葉系間質細胞におけるTGF-βがミクログリア機能に与える影響についてはよくわかっていませんでした

▽今回、研究者らは間葉系間質細胞からのTGF-βが、ミクログリアの神経炎症における機能に与える影響について調べました。その結果、間葉系間質細胞培養上清は、ミクログリアの炎症促進性サイトカイン発現を抑制し、活性化ミクログリアマーカーの正常化をもたらしました。

▽さらに、これらの効果については、主として間葉系間質細胞培養上清におけるTGF-βが、ミクログリアにおけるNF-κB経路を抑制し、TGF-β経路を回復させることによりもたらされることがわかりました。

▽以上の結果は、間葉系間質細胞由来のTGF-βがミクログリア機能の正常化をもたらし、治療的効果をもたらすことができる可能性を示唆するものであり、TGF-β産生能の重要性を示唆するものです。

(この研究は、韓国、Hanyang UniversityのNohらにより報告され、平成28年7月8日付のStem cells translational medicine誌に掲載されました)
GM604が欧州でOrphan Drug指定の認可
・Genervon社の6月6日付Press Releaseからです

▽Genervon社が開発中のALS治療薬候補であるGM604が欧州においてOrphan Drug指定を受けました

▽GM604は胎生期におけるシグナル伝達の制御物質の類似物質であり、インスリン受容体のチロシンキナーゼのβサブユニットへの結合性を有します。そこから様々なシグナル伝達経路の活性を調節し、神経系の発達や、神経保護的に作用する遺伝子発現を活性化すると考えられています

・今後の具体的なプランなどについては、記載がありませんでした。GM604はFDAにおいては既にOrphan Drug指定を受けています。Orphan Drug指定は税制上の優遇措置や優先的な審査などが受けられる制度であり、承認の是非とは直接的な関係のないものである点に注意が必要です。

引用元
http://www.genervon.com/genervon/PR20160606.php
患者由来iPS細胞を機能的な骨格筋細胞に分化
▽近年、ALSは様々な要因の関与する疾患であり、いくつかの細胞が運動神経細胞変性に関与していると考えられています。運動神経細胞以外の中枢神経細胞や、非神経細胞が非細胞自律性の機序により運動神経細胞変性に影響を及ぼしていると考えられています。

▽近年患者由来iPS細胞を用いて、実験室で運動神経細胞に分化させ、病態を研究する試みが報告されています。今回研究者らは、新規MyoD発現系を用いて、ALS患者由来iPS細胞から、機能的な骨格筋細胞を分化させることに成功しました。

▽このことにより、ALSにおける複雑な運動神経細胞とその周辺の微小環境における病態経路を、個別に明らかにしていく手段が得られたことになり、病態解明にむけての進展が期待されます。

(この研究は、イタリア、Sapienza University of RomeのLenziらにより報告され、平成28年6月8日付のStem Cell Research誌に掲載されました)
iPS細胞由来神経幹細胞がALSモデルマウスの症状を改善
▽今回、研究者らはiPS細胞由来の神経幹細胞を用いて、治療的効果を検討しました。この神経幹細胞はLewis X-CXCR4-β1-integrin陽性の幹細胞が選ばれました。

▽この神経幹細胞を、ヒトALS患者由来神経細胞と、患者由来アストロサイトを共に培養した試験管内に注入し、神経細胞の生存期間や軸索伸長などの様子を観察したところ、生存期間の延長と、軸索伸長の増大効果が観察されました。

▽また、この神経幹細胞をSOD1変異ALSモデルマウスに移植したところ、運動神経細胞の保持と、神経筋接合部機能の保持、ミクログリオーシスとマクログリオーシスの減少などが観察されました

▽以上の結果は、iPS細胞由来の神経幹細胞が、多様な機序により神経細胞と神経筋接合部の保護機能を発揮し、ALSに対して治療的効果を有する可能性を示唆するものです

(この研究はイタリア、University of MilanのNizzardoらにより報告され、平成28年6月6日付のHuman Molecular Genetics誌に掲載されました)
幹細胞治療総説
・幹細胞治療の簡潔な総説がありましたので、ホームページ掲載用に大まかに訳してみました(2014年の総説ですので、少し情報が古いかもしれません)

3種類の主な細胞源

▽現在までにALSに対する幹細胞移植に使用されている細胞は大きく2種類に大別され、さらにiPS細胞を加えると3種類となります

▽1つ目は間葉系間質細胞です。これらには、骨髄間葉系間質細胞、脂肪由来幹細胞、骨髄由来CD133+造血幹細胞、臍帯血由来CD34+前駆細胞などが含まれます。

▽2つ目は、神経組織由来の神経幹細胞です。これらには、胎児由来の脊髄細胞や嗅覚神経鞘細胞などが含まれます

▽さらに、近年iPS細胞由来の細胞が各種動物モデルに移植され、良好な成果が報告されています。遺伝子編集技術とiPS細胞から神経細胞に分化させる技術の進歩により、遺伝子的に編集した細胞の生成が可能となっており、多くの可能性を秘めています。

▽▽▽▽▽ALSに対する細胞移植治療▽▽▽▽▽

間葉系間質細胞移植

▽多能性体性幹細胞は骨髄、脂肪細胞、臍帯血細胞などから分離されます。間葉系間質細胞は特定の条件化で3種の胚葉に分化することができます。

▽間葉系間質細胞は古い組織を若返らせることができ、この作用は血液系組織のみならず、軟骨や平滑筋、神経系などで報告されています。研究者らは、外部から間葉系間質細胞を注入することにより、これら細胞が、有害な炎症性サイトカインを除去し、保護性のサイトカインを放出することにより、症状緩和作用を発揮することを報告しています。

(1)骨髄由来間葉系間質細胞移植(Brainstorm社NurOwn細胞がここに属します)

▽骨髄由来間葉系間質細胞の骨髄からの精製は比較的容易です。外部から注入した骨髄由来間葉系間質細胞は、運動神経細胞に分化することはないため、神経栄養因子をもたらす細胞に分化し、運動神経の生存を補助する働きによる治療的効果を期待します。

▽ALSにおいてはアストロサイトやオリゴデンドロサイトやその他のグリア細胞による細胞非自律性の障害機構の存在が知られています。非神経細胞による神経細胞の代謝補助の喪失や、毒性代謝産物の生成は運動神経細胞死をもたらします。

▽近年、間葉系間質細胞は制御性T細胞の調節を通じて、直接的な免疫系への調節作用を有する事が報告されています。

▽現在、間葉系間質細胞を用いたALSに対する臨床試験が進行中です。イタリアのMazziniらは、第1相臨床試験の結果を報告しました。この試験では10名の患者が自家骨髄由来間葉系間質細胞の脊髄実質への注入による移植を受けました。

▽2名の患者が過去の臨床試験における臨床経過と比較して、有意な進行遅延を認めました。しかし大半の患者では期待されるような結果ではありませんでした。この試験では、健常群から採取された間葉系間質細胞と、患者から採取された間葉系間質細胞とで、成長因子の放出や、神経保護作用などにおいてほとんど差がなかったことが報告されています。

▽近年、韓国において骨髄間葉系間質細胞移植の臨床試験が行われました。2014年に終了した第2相臨床試験において、37名のALS患者が自家間葉系間質細胞の髄腔内移植を1ヶ月の間隔で2回受けました。

▽この臨床試験ではALSFRS-Rを用いて、治療反応群と非反応群に分類され、治療反応群における治療反応性を予測するバイオマーカーが検討されました。その結果、VEGF、アンギオゲニン(ANG)、TGF-βなどが移植による治療反応性を予測する因子となる可能性が示唆されました。

▽また、ALS症状進展遅延効果が優れていた、ALS患者由来の骨髄間葉系間質細胞による、HLAハプロタイプのマッチした同種骨髄幹細胞(HYNR-CS)のクモ膜下腔内移植がALS患者に対して韓国食品医薬品局の条件付承認を得ています(2014年7月)。

▽メキシコでの臨床試験においては、自家CD133+幹細胞が末梢血より採取され、運動野皮質に移植されました。合計10名の患者に移植され、良好な結果が報告されています(http://alexkazu.blog112.fc2.com/blog-entry-994.html)

▽スペインでも小規模の臨床試験で、自家骨髄間葉系間質細胞の脊髄内移植が行われ、TDP-43の有意な減少と、運動神経細胞数の保持が観察されました。

(2)脂肪由来幹細胞移植

▽脊髄損傷モデル動物での実験において、脂肪由来幹細胞移植の報告がなされています。ALSモデルマウスにおいても、脂肪由来幹細胞移植による治療的効果が報告されています。前臨床試験段階では良好な成績が報告されており、ヒトにおいてもいくつかの臨床試験が行われています

(3)臍帯血由来幹細胞移植

▽臍帯血由来幹細胞移植による報告は、基礎実験で骨髄幹細胞移植の成績と同等の成果が報告されています。動物モデルにおいて有効性が報告されており、現在臨床試験が進行中です


神経系幹細胞移植

(1)神経幹細胞移植


▽上記の骨髄間葉系間質細胞や胎児由来幹細胞、造血幹細胞など未分化な細胞を移植する方法については、その治療効果を明確に説明しうる根拠が乏しい状況です。成人の脊髄は、移植した幹細胞が運動神経細胞に分化するのに適した環境ではありません。

▽間葉系幹細胞と比較して、脊髄由来の神経幹細胞は、実験段階で、成長因子の分泌能において優れているのみならず、運動神経そのものに分化し、適切なシナプス形成が可能であるという点で異なります。

▽ALSモデルマウスに対してヒト神経幹細胞を移植することにより、治療的効果が報告されています。ヒト胎児脊髄由来の神経幹細胞はALSにおいて変性する運動神経細胞に置き換わる細胞として有力な候補となります(Neuralstem社のNSI-566はこの治療戦略をとるものです)

▽NSI-566の臨床試験では、安全性が確認され、幾人かの患者において治療的効果が認められたことが報告されました

(2)嗅覚神経鞘細胞移植

▽嗅覚神経鞘細胞は嗅覚シュワン細胞として知られ、ミエリン化されていない嗅神経細胞を髄鞘化するものです。嗅覚神経鞘細胞は軸索伸長と適切な経路探索、シナプス形成などを補助します。

▽中枢神経細胞を末梢神経細胞とシナプス形成させる能力と、分化の多能性により、ALS細胞移植治療の有力な候補と考えられています。

▽前臨床試験段階の基礎実験では、良好な結果が報告されています。中国で2つの臨床試験が実施され、胎児由来嗅覚神経鞘細胞が脊髄内に移植され、安全性が確認されました。しかし治療的効果については芳しいものではありませんでした。

▽移植回数を増やした場合においては、機能的改善が報告されたケースもあり、頻回移植を増やすことの有効性が示唆されています

▽▽▽▽▽iPS細胞を用いた新しい技術▽▽▽▽▽

▽ノーベル賞の受賞対象となったiPS細胞技術は、ALS治療法開発において2つの新たな手段を与えました。

▽1つ目は、患者由来のiPS細胞を用いたALS研究が可能になったことです。患者自身の細胞により、患者の病態を反映したモデルを得ることが可能となります。

▽2つ目は、iPS細胞技術により、ALS患者に対する細胞移植手段として自家移植の新たな手段が得られたことになります。

▽ES細胞とiPS細胞は運動神経に分化するために必要な性質を備えています。iPS細胞により移植手段が拡大し、従来技法と比較してより望ましい細胞に分化しうる細胞の移植が可能になります。

▽iPS細胞の多能性はES細胞と比肩するものです。しかしiPS細胞においては、エピジェネティック(後天的な遺伝子修飾)な記憶が保持されており、ES細胞と比較して、より発生元の組織への分化が容易であるといわれています。ただし基本的にはiPS細胞を分化させることは、ES細胞を分化させることと同一の現象となります。

▽現在までに多様な神経系細胞への分化が報告されており、多様な神経系細胞により正確に分化させることが可能なため、研究者らがiPS細胞を用いて、神経系疾患をモデリングしたり、治療源として用いることを可能としています。

▽YamanakaのiPS細胞技術を用いて、ALS患者由来のiPS細胞を生成する臨床試験が実施されています。近年、患者由来iPS細胞を用いて、細胞モデルを構築し、治療法探索に応用する研究が報告されています。

▽SOD1変異ALS患者由来のiPS細胞を運動神経細胞に分化させ、ミトコンドリア機能異常や小胞体ストレスを制御する遺伝子発現が減少していることなどが報告されており、病態解明に近づいています。

▽C9ORF72遺伝子変異ALS患者由来のiPS細胞を用いた研究でも、同様な病態が報告されており、今後の治療法開発にも役立つことが期待されています

▽iPS細胞を用いた治療法探索において、kenpaulloneが運動神経細胞の生存期間を延長することが報告されており、新規治療法開発の可能性があります。

iPS細胞を用いた細胞移植治療

▽iPS細胞を用いた自家多能性幹細胞移植治療の方向性も探索されています。骨髄由来間葉系間質細胞などの体性幹細胞と比較して、iPS細胞は成熟した運動神経細胞に分化する能力が優れています。

▽さらに様々な細胞に分化することが可能なため、多くの治療的可能性が開けています。動物モデルを用いた研究によりiPS細胞が様々な特異的な組織に分化することが可能であることが示されています。

▽近年、iPS細胞由来の神経前駆細胞が、ヒト胎児由来神経前駆細胞と同等の性質を有する事が示され、胎児由来の同種細胞を、自家iPS細胞に置き換えることが出来る可能性が示唆されています。

▽ALS患者由来のiPS細胞の遺伝子変異を遺伝子編集技術を用いて修復し、移植することにより、有力な治療手段となることが期待されています。

(これまで当ブログでは、intracecalを髄腔内と翻訳していましたが、より正確な表現のため、以後クモ膜下腔内と翻訳します)

引用元
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4174611/#B8
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.